カイジのシリーズ構成・高屋敷英夫さんの軌跡

カイジおよび福本作品、そのアニメが好きで、シリーズ構成の高屋敷英夫さんが、子供の頃からアニメのクレジットで凄くよく見る名前なので調べてみたものの膨大すぎてまとめきれなくなってきたので、自分のブログよりここに切り離してまとめることにしました。ツイッターアカウントは@makimogpfbです

元祖天才バカボン10話B演出コンテ:人情を照らすランプ

Togetterのバックアップです。修正や追加などで再構成しています。)

脚本は山崎晴哉氏。冒頭から飯テロのケーキ(特徴)。
友達から、ケーキのおこぼれを貰う遊びをするバカボン
画像はケーキ集。今回、怪物くん脚本、家なき子演出、めぞん一刻脚本。ケーキだけに景気がいい、というダジャレはめぞん一刻にも出てきた。 

f:id:makimogpfb:20170324215044j:image

あまりにバカボンが貧乏くさい役割の遊びなので、パパが紙飛行機を飛ばしてツッコミ。
紙飛行機も、同氏作品によく出てくる。画像は今回、エースをねらえ!演出、ジョー2脚本。 

f:id:makimogpfb:20170324215151j:image

バカボンの友達は、父親のボーナスでケーキを買ってもらったという。
会社員ではないパパはボーナスとは何かわからず行動し、町の人達を混乱させる。その間、色々ダジャレが出てくる(特徴:ダジャレ好き)。ママの説明で、パパはボーナスの意味を漸く理解。

その後パパは、刈田という男から、ボーナスを預かってくれと頼まれる。ツケの支払いを迫る人達から逃げるためである。刈田とパパは逃げる事に成功。刈田はお礼に、パパに豪華な食事(特徴・飯テロ)を奢る。画像は今回とカイジコボちゃん・チエ2期脚本。 

f:id:makimogpfb:20170324215304j:image

だが刈田がボーナスで支払いをしようとすると、パパは、ボーナスを守れと言われたから渡さない(特徴:頓知)と言いトンズラする。刈田はお代の代わりに身ぐるみはがされる(特徴:脱衣演出)。

f:id:makimogpfb:20170324215401j:image

散々な目にあった刈田は、パパを見つけて追いかけまわす。

その頃本官は、山口百恵等身大パネル相手に結婚ごっこをしていた(特徴:物言わぬ像もキャラ)。そして、刈田とパパの追いかけっこを見た本官は、刈田をボーナス泥棒と勘違いし確保する。
画像は物言わぬ像達。今回、カイジ脚本、ルパン三世2演出。

f:id:makimogpfb:20170324215531j:image

刈田に対する取り調べ中にも、山口百恵パネルの意味深なアップがあり、特徴が出ている。これは未来作の「脚本」でも出てくる特徴なのが毎回不思議。

さらに本官が「百恵ちゃんも微笑みかけてくれている」と言い、同氏の特徴を後押し。

f:id:makimogpfb:20170324215641j:image

刈田は頭にきて百恵パネルに八つ当たりし、更に本官を怒らせてしまう。
そこへパパとバカボンが来て、ボーナスなら刈田の家に届けたと言う(特徴:義理人情)。かくして刈田は無罪放免となる。刈田の家族は、初めてボーナス全額を得て感謝する。

そこへ、ツケの支払いを求める人達が刈田宅にやってくる。パパは、刈田は死んだとホラを吹き、香典代をせしめる。パパは香典代を刈田に渡そうとするが、刈田は無欲(特徴)で金をパパに譲る。それを、温かなランプ(特徴)が見守る。

状況や感情に連動し、事象を「見ている」ランプは同氏演出・コンテ・脚本・監督すべてで頻出する特徴。挙げればキリがない。画像は今回、ど根性ガエル演出、ジョー2脚本。もちろん、アカギ・カイジ脚本にも出てくる。

f:id:makimogpfb:20170324215816j:image

パパはせしめた香典で、家族に沢山のおでんをふるまう。香典→おでんのダジャレで〆。
皆で食事をすることは良いこと、というのも同氏特徴。画像は今回、新ど根性ガエルめぞん一刻脚本。めぞん一刻では、皆で食事をするのは楽しい、という直球台詞あり。 

f:id:makimogpfb:20170324215907j:image

  • まとめ

まず冒頭の紙飛行機。エースをねらえ!演出の紙飛行機は、想いを伝えるキャラとして活躍しており、名シーンとなっている。ジョー2脚本の紙飛行機も、「沈黙を破るもの」という役割が与えられている。今回も、悪趣味な遊びを止める役割がある。

そしてランプ。人の温かさを表現することが多く、演出時代は、画像のように光の円が描かれることが多い。

f:id:makimogpfb:20170324220051j:image

また、不吉な場合は光が灯っていなかったりする。緊迫した状況だと、アップになり、数秒の間がある。間に関しては、脚本の方が殺気がある。

同氏演出・脚本に頻出する像(今回はパネルだが)についても、この話では、物言わぬとはいえ、全てを見ていて、感情もあるキャラであると、直球で描かれている。
これがシリアスものだと、非常に殺気のある間を形成する。カイジ脚本然り。

f:id:makimogpfb:20170324220233j:image

元祖天才バカボン家なき子は、山崎晴哉氏脚本・高屋敷氏演出の回が多く、相性はバッチリだと思う。双方とも人情話を得意としている?
山崎氏が鬼籍なのが悔やまれる。
高屋敷氏が脚本にまわる時、山崎氏の影響を受けることがあったかもしれない。

このように、今回の収穫は、紙飛行機・ものいわぬ像の役割・人情を照らすランプ、の特徴や意図が直球で出てきたこと。元祖天才バカボンはつくづく、同氏の作家性を深く探求できる貴重な作品であると思う。

元祖天才バカボン8話A演出コンテ:自殺を的確に止めるキャラ達

Togetterのバックアップです。修正や追加などで再構成しています。)

脚本は山崎晴哉氏。家なき子などでよくある組合わせ。

開幕から特徴全開、太陽どアップ。今回は演出コンテだから解るが、らんま「脚本」でもこの特徴が出ているのが怪(画像)。また、パパ達が、お天道さまに感謝する直球描写(特徴:天道さま主義)。

f:id:makimogpfb:20170317220351j:image

天気がよいのでホラをつきたくなる日だし、(釣りの)浮きが2つでウキウキするということで(特徴:物もキャラ)、パパとバカボンは釣りに行くことに。ここでバカボンが東京ブキウギの替え歌を歌うが、ゲン2「脚本」でも、東京ブキウギの替え歌が出てくる。 

f:id:makimogpfb:20170317220451j:image

バカボンとパパは、まず医者にちょっかいを出して困惑させる。とにかく、演出でも脚本でも、医者がよく出てくる特徴がある。画像は一歩3期脚本と比較。

f:id:makimogpfb:20170317220542j:image

パパ達はは釣りを開始。パパは、通りがかった男性二人に、川で鳥や猫が釣れるとふっかけ、本当に釣れたら金をもらうという賭けをふっかける。カイジとコンビニ店長の賭けに似てる。パパは事前に仕掛けを作っておいたので、賭けに勝つ(特徴:博打とイカサマ) 。

f:id:makimogpfb:20170317220628j:image

パパは、男性二人は賭けに負けたが、スリルと興奮を味わったから、これでいいのだと言う。これもカイジっぽい。

更に猟師にも、川で鳥が釣れるとホラを吹く。猟師はそれを信じ川に入る。パパは、信じる人は神様が見捨てないから、これでいいのだと言う(特徴:純粋)。

賭けに負けた男性二人のやり取りにて、家なき子演出と同じような画が出てくる。これは、どちらも演出だから納得。

f:id:makimogpfb:20170317220739j:image

男性二人は、仕返しに(特徴:不屈・復讐)鳥の格好をしてパパ達を驚かせようと川に入る。だが、水中で待ち伏せしていた猟師から発砲され退散。

パパ達は、今度は服と、自殺未遂をした半裸の男性を釣りあげる(脱衣演出)。大事な金をひったくられたとのこと。

パパは、死んでお詫び…を受け「死んでもアワビにならないのだ」と説教(特徴:上手い自殺防止)。だが励ましの勢いがあまって、再び男性を池に落とす。

池に再び落ちた男性は、水中にて、なくしたお金(鞄)を見つける。パパは、生きていたから見つけられたのだ、と言い、男性も、「諦めなくてよかった」と言う。諦めない精神も、同氏作品によく出る。カイジ脚本の、諦めてしまった石田さんと比較。 

f:id:makimogpfb:20170317220911j:image

男性は、お礼をしたいと申し出るが、パパは、「礼はもうしてる」と金を受け取らない(特徴:お人好し、義理人情)。3人は笑い合う。
一方、賭けに負けた男性二人と猟師は和解し、おでん屋(特徴:飯テロ)で酒を飲み交わす。 

f:id:makimogpfb:20170317221008j:image

お代を気にする3人に対し店主は、お代はパパから受け取ったと言う(賭けでせしめた金を返した)。これも特徴の義理人情。3人は笑い合う。
夜、パパは、今度はどんなホラを吹こうか、と浮きを握りながら(特徴:物のアップ)眠るのだった。カイジ脚本と比較。

f:id:makimogpfb:20170317221103j:image

  • まとめ

山崎晴哉氏脚本との組合わせだと、ほっこりする話が多い。
そして、またしても、うまい自殺防止の話が出た。ど根性ガエル演出でも、自殺しようとするひろしを、美人の女性が止めてくれたり、仲間が止めようと走って来たりする。他も多数出てくる。

じゃりん子チエ1、2期脚本も、孤独は万病の源(死にたくなる)というポリシーが出てくるし、ゲン2脚本でも、死にたくても死ねない老人を、ゲン達が家族として迎える。カイジ脚本でも、自殺同然のおっちゃんを、カイジが止めに来てくれる。

この、精神疾患描写や自殺防止のうまさは、どうして多く描写されるのか謎である。
だが、カイジ2期13話の脚本における、駆けつけたカイジとおっちゃんのやり取りが強調されていることに感動したから、このように同氏の作品を好きな私がいる。

あと、同氏演出や脚本のキャラは、今回含め、やはり幼く可愛く描写されている。そして今回、特徴である連呼が頻出。これは脚本の方が顕著だが、演出では、時間の埋め合わせ調整ぽい。だがテンポは脚本と同じ。演出と脚本、やる事が同じなのが毎回不思議。

あと驚いたのは、今回・ゲン2脚本とも、同じ東京ブキウギの替え歌が出てきたこと。声優のアドリブだと今まで思っていたが、これを見るに何らかの指示がある?
あと、ギャグ作品なので、特徴である、物のアップが丸ワイプで強調されているのも直球。

監督作である忍者マン一平に、「気の病にかからぬこと」という教えが出る。
また、元祖天才バカボン中盤の脚本作にて、自殺をするフリをする詐欺師に対しパパが本気で怒る描写が出る。自殺とその防止について多くの作品で強いメッセージを発している。

この自殺防止ポリシーについて、原因は謎だが、同氏の描写は非常に時代先取りで的確。
また、そういった暗い兆候の人に対し、主人公達はギャグや義理人情や優しさで対応する。そういったヒーローであってほしい、という願いも見受けられる回だった。

チエちゃん奮戦記37・38話脚本:これがテツの生きる道(?)

Togetterのバックアップです。修正や追加などで再構成しています。)

冒頭、スリ注意を促す貼り紙が風ではためき、特徴である紙=キャラが出ている。伏線にもなっている。また、テツがカルメラ経営のラーメン屋でラーメンを食べており、特徴の飯テロ。

画像は今回と、カイジジョー2脚本。

f:id:makimogpfb:20170225135525j:image

そこへ顔面蒼白のカルメラ兄が帰ってきて、店の資金50万をスられたと言う。
その頃、スリをしたヤクザは獲得した金額の高さに驚くも、これを資金に強いヤクザを雇って、テツを倒そうと目論む。だが、その様子は、たまたま通ったコケザルに目撃される。

カルメラの不運を可哀想に思うチエ達は、警官であるミツルを伴ってカルメラ宅に行く。ミツルとカルメラは、1期でテツを取り合って喧嘩した事があり、不仲。それもあり、引きこもってしまう。ここで特徴の紙ネタ。ど根性ガエル演出と比較。

f:id:makimogpfb:20170225135644j:image

チエとヒラメは犯人を探すため、何やら情報を握っているコケザルを、ヒラメの怪力*1で吊し上げ、犯人の特徴を吐かせる。それを元に、ヒラメは犯人の似顔絵を作成。
ヒラメの怪力特訓に家具を使っており、同氏特徴が出ている(物=キャラ) 。

f:id:makimogpfb:20170225135822j:image

その頃、カルメラは犯人を探しに駅周辺をうろついていた。そこへ犯人ヤクザ二人と、ヤクザが雇った刺客が登場する。刺客は頭突きの強化のため、額に鉄板を埋め込んでいる大男(鉄板男)。偶然にも彼等にぶつかったカルメラ弟は、鉄板男にボコボコにされてしまう。

カルメラ弟は、お好み焼き屋に収容される。チエ達も合流して、犯人の似顔絵を見せ、テツを狙っている事情も話す。そしてチエとおバァはんは、刺客を倒せ、と小遣いなどをダシにテツに依頼。テツは喜んでヤクザ達を待ちわびる。ここも特徴の紙ネタ。 

f:id:makimogpfb:20170225135943j:image

だがしかし、ヤクザ達は中々来なかった。鉄板男が、てっちりやしゃぶしゃぶ等を報酬に求めたためである(特徴:食いしん坊)。そうこうしてるうちに、大晦日が来る。
ところで紙ネタその2。ルパン三世2nd脚本と比較。 

f:id:makimogpfb:20170225140110j:image

テツは、いつでもヤクザ達を迎え討てるよう、決闘場所に毎日通っていた。
拳骨の提案で、ヤクザ達が来たら、狼煙がわりに花火を上げようということに。そしてとうとうヤクザ達が来て、花火があがる。ここで次回へ。
画像は花火シンクロ集。今回、ベルばらコンテ、ジョー2脚本。花火もキャラ。 

f:id:makimogpfb:20170225140333j:image

とうとうヤクザ達とテツが決闘…という所で、自分達でケジメをつけたいカルメラから石をぶつけられ、テツは気絶。百合根も同様に処理される。カルメラはヤクザ達に特攻、鉄板男以外は倒すことができた。1期でカルメラが意外に強い話があり、それも高屋敷氏脚本。 

f:id:makimogpfb:20170225140420j:image
鉄板男を何とかしようということで、小鉄達がランプ(特徴)でテツを照らし、鉄板男をおびき寄せる。画像はランプ(懐中電灯)集。 今回、らんま・カイジ2期脚本、忍者マン一平監督。 

f:id:makimogpfb:20170225140535j:image

鉄板男の頭突きで目が覚めたテツは、鉄板での痛みに耐え、やられたらやり返す本能で、鉄板男を見事倒す。代償として、顔は鏡餅のように膨れ上がったが。おバァはんに言われ、ヨシエが、勝ったテツを迎えるための紙吹雪を作っているが、カイジ脚本とシンクロ(特徴の紙ネタ)。 

f:id:makimogpfb:20170225140629j:image

かくして鉄板男を倒したテツは、皆に歓迎され、一件落着。大晦日に仲間が集まるのは、同氏担当話によくある。挙げればキリがないが、ど根性ガエル演出と比較。

f:id:makimogpfb:20170225140741j:image

年明け、元旦をろくに過ごせなかったテツのため、皆は正月をやり直す。ここでも特徴の紙ネタ。 

f:id:makimogpfb:20170225140854j:image

テツはチエと二人きりで初詣に行きたいと言い出す。だがそれはブラフで、鉄板男が入院している病院へ行くのが目的だった。 

テツは、屋上に逃げた鉄板男を探す。ここで出崎統的屋上・洗濯物演出が出てくる(特徴:出崎演出持ち込み)。そして、シーツもキャラとしての役割がある。
画像は今回とジョー2脚本。 

f:id:makimogpfb:20170225141142j:image

結局鉄板男はテツに見つかり、土下座する。また、手術で頭の鉄板を取ってもらった事を話し、鉄板をチエ達に見せる。カイジ2期脚本と、奇跡的にシンクロ。また、鉄板もキャラとして扱われている(特徴)。 

f:id:makimogpfb:20170225141232j:image

テツより先に帰宅したチエは、おバァはんとヨシエに鉄板を見せる。鉄板は、なんとテツの石頭のせいで、テツの額の形に湾曲していた。これにはおバァはん達も震撼する。
画像は、同氏特徴の、何かを語る物達。今回は強さ。ジョー2・一歩3脚本と比較。 

f:id:makimogpfb:20170225141311j:image

その頃テツは、鉄板男にカブをやろうと持ちかけていた。なんとなくカイジ脚本と比較(カブとブラックジャックの遊び方が似てるため)。

f:id:makimogpfb:20170225141348j:image

どのみちテツの頭突きを食らうことになる賭けなので、鉄板男は恐れて病室を飛び出すのだった。 

  • まとめ

シリーズ終盤に一大決戦を持ってくるのは、1期の踏襲。1期のバトルはヨシエが全部持っていったが、今回は高屋敷氏らしく、テツが見事な強さを発揮する。1期でも、同氏はテツが東洋チャンプと互角だったボクシング回を担当している。

色々見ていくと、同氏はテツを不憫に思っているのでは?と邪推してしまうのだが、今回はその鬱憤を晴らすように、テツの力が存分に発揮され、しかも皆に誉められる(大晦日限定)。
また、カルメラの為に皆が奔走した話であり、特徴の義理人情・仲間愛が出ている。

あと、何本もの平行エピをさばいて合流させる脚本術も存分に発揮されている。今回は相当エピ数が多く、それらを複雑に絡めている。全てを説明するにはとてもじゃないが字数が足りない。

今回の快勝は、同氏演出ルパン三世2ndの、数万個のダイヤをゲットするルパン快勝話を思わせる。ルパンは知恵を使うが、テツは本能w
また、バトル話なので、ジョー2脚本からの引き出しも多い。チエが「相手は足にきてる」等セコンドめいたことも言う。

また、今回は「男の世界」な話でもある(同氏特徴)。ケジメをつけようとするカルメラは、普段の姿から一変して強さを見せるし、テツも本来の強さを見せる。また、37話冒頭、小さくカタギにまとまろうとするカルメラを、テツがいさめる場面もある。

テツとカルメラの会話から、男の生きる道は生きがいがないといけない(特徴)というメッセージも感じられる。これは監督作の忍者マン一平でも、カイジ構成・脚本でも込められているテーマ。シリーズ終盤にして、テツとカルメラの魅力を見せた回だった。

チエちゃん奮戦記の高屋敷氏脚本回は、これで最後。シリーズを通して見ると、1期が全て頭に入っているとしか思えない話運び。同氏の脚本は、テツを何とかしてやりたいという思いが強い気がする。なので最後はテツの快勝で終わるのは痛快だった。

*1:どんくさいと言われると発動

チエちゃん奮戦記36話脚本:頻出する「像」演出の解答

Togetterのバックアップです。修正や追加などで再構成しています。)

冒頭、何故かチエとテツのコテコテ漫才がある。何故か棒読みで、わざとつまらないノリになっている。謎演出。食い倒れ人形にまつわる話だからかも?脚本というより、テツ役の西川のりお氏などによるアドリブかもしれない。

f:id:makimogpfb:20170216225827j:image

本編開幕で、早くも同氏特徴が出ている。太陽のアップの間。らんま脚本と比較。どちらも太陽がキャラとして機能し、無言なのに何か言っているような不気味な間がある。 

f:id:makimogpfb:20170216225908j:image

残暑厳しい中、謎のおっさんが勝手にチエ宅に上がり込む。テツを除くチエ一家は、おっさんの顔に記憶があるのに、思い出せなくて悩む。おっさんは厚かましくもビールを飲みくつろぐ。同氏特徴のビールテロ。挙げればキリがないがカイジ脚本と比較。

f:id:makimogpfb:20170216230028j:image

帰宅したテツは、おっさんの顔が食い倒れ人形に似ているだけだと気がつき、気がつかなかったチエ達を散々バカにする。

それはそれとして、テツは食い倒れ人形そっくりなおっさんが来てると町内に言いふらし、見せ物にしようとする。像が出てくるのは同氏特徴。

f:id:makimogpfb:20170216230137j:image

高屋敷氏の作品には、像が出てくることが多い。これも、もの言わぬものでも、キャラとしてカウントする特徴。今回の食い倒れ人形にそっくりなおっさんは、食い倒れ人形がまんまキャラとして出たようなもので、同氏演出の解答的なものがある。

下記が、同氏作品に出る像の数々。これも挙げればキリがない。

今回、ルパン三世2期演出、ジョー2・ルパン三世2期・じゃりん子チエ1期脚本。カイジでも、帝愛の女神像が意味深に描写される。

f:id:makimogpfb:20170216230244j:image

食い倒れ人形のおっさんを見に来た百合根とカルメラ兄弟が可愛い(特徴)。今回は相当不気味な話なのでオアシス。

f:id:makimogpfb:20170216230343j:image

一方チエは、なぜテツ以外の家族が、おっさんが食い倒れ人形に似ているだけだと気がつかなかったのか悩む。
(おっさん自体は、ミツルに連行された。)

かき氷を食べながら、チエは拳骨に愚痴をこぼす。特徴の飯テロ。カイジ脚本と比較。

f:id:makimogpfb:20170216230016j:image

ミラクル☆ガールズ脚本でもチエ1、2期脚本でも、愚痴をこぼす時に食べ物をよく食べている。

拳骨は、チエ一家は、常にテツが何処かで誰かに迷惑をかけているのではないかと思っているから、おっさんが食い倒れ人形に似てるだけという事に気がつかなかったのだと解説。言うなればテツのせいだと気が付いたチエとおバァはんは、段々テツにムカついて来る。

その頃テツは、カルメラと百合根に、おっさんを見る見物料をせびる。稼いだ見物料で、おっさんに食い倒れ人形の衣装を着せ、更に見せ物にしようという魂胆。半ば強引に金を巻き上げたテツだが、帰宅すると、チエが食い倒れ人形の衣装を既に作っていた。

チエとおバァはんは、テツにムカついていたので、テツに食い倒れ人形の格好をさせる。

そこへミツルが、おっさんが逃げたと知らせに来る。おっさんの妻も同行。妻によると、おっさんは家で気に食わない事があると、他人の家に上がり込む癖があるのだという。

そこにヒラメが来て、おっさんがヒラメ宅にいると報告。今度こそ確保されるだろうという事で、拳骨は一見落着と宣言。一方で、テツは食い倒れ人形の格好で店の呼びこみをさせられるのだった。食い倒れ人形の衣装を着る・着ないは、同氏特徴の脱衣演出かも。

  • まとめ

とにかく、おっさんが不気味すぎてホラー。食い倒れ人形に似ているためか、おっさんはほとんど喋らない。だが高屋敷氏作品で出てくる多くの像の「不気味な間」は、像を生きているキャラクターと捉えているからだ、という解答が得られた感じ。
また、食い倒れ人形の服を着せる・着せないは、同氏特徴の「アイデンティティの着脱」の意味での「脱衣演出」とも見て取れる。
ところで、不気味な人物を泊める話は、同氏担当回ではないが、ど根性ガエルによくある。

おっさんが、知り合いのフリをしては他人の家に上がり込むのは、今の視点で見ると不気味すぎるが、西萩の面々は義理人情に厚いということかもしれない。また、家で面白くない事があると他人の家を渡り歩くというのは、それだけおっさんが孤独だということか。

おっさんが家に居場所がなくて孤独なのかもしれない(同氏特徴:ぼっち、ぼっち救済)、というのは、テツが、おっさんの妻に「お前がちゃんと世話してなかったからやないか」と抗議する所からも見て取れる。ぼっち→救済失敗のケースかも。

同氏演出コンテ脚本すべて、何かしら像が出てくるのは、状況を「見て」「何らかの意思を持っている」からなのだと考えられるが、そのルーツは、まんが世界昔ばなしの「幸福の王子」演出コンテからだと思われる。あれこそ意思を持つ像である。

幸福の王子」演出では、原作通りツバメと王子が絶命するが、王子にはツバメという親友がいたため、ぼっちが救済されてはいる。一方で今回のおっさんは、孤独なままであるので悲劇でもある。同氏の作品での悲劇話は、ぼっち救済が失敗するケースが多い。

カイジ脚本・シリーズ構成では、女神像が意味深に映るが、「偽の神」になろうとする帝愛の、禍々しい理念を象徴するキャラとして女神像が「出演」している。また、兵藤会長は、人から裏切られた経験も多く、ある意味孤独。だから他人の命を欲する側面がある?

そう考えると、カイジにおける、高屋敷氏の帝愛の解釈が見えてくる。「偽の神になろうとする孤独な老人と、その部下達」という所か。これは、ここまで同氏のことを調べなくても、アニメカイジを見ていて気付いたことでもある。見れば解るよう設定されている。

話単体は不気味だが、今回、いわば「像」が動いて喋る、ということから、カイジについてもう一度考察できる機会が得られた。
あと、テツの無責任で純粋な感性が、おっさん=食い倒れ人形に似ているだけ、を見抜いたわけで、テツの重要性が見れる回だった。

チエちゃん奮戦記34話脚本:男のロマンと幼さのせめぎ合い

Togetterのバックアップです。修正や追加などで再構成しています。)

2部作の後編。
33話概要:
宿題のネタのため、チエとヒラメは見知らぬ駅で降りるという冒険を思い付く。一方マサルも、(宿題のネタのため)男のロマンを求めタカシと共に旅に出る。
チエを守るという名目で小遣いをせしめたテツも、見知らぬ駅に着く。偶然にも全員が同じ駅に着き…

━━━
前回、見知らぬ土地(香部駅)の閑散さに飽きてしまったチエ達は、早々に西萩に帰る。西萩に着いた途端チエ達は、あんみつやミルク金時を食べたいと口にする。同氏特徴の飯テロ(台詞バージョン)。すると改札口で、マサルを過剰に心配するマサル母と出会う。

チエ達と同じ発想(あてどもない旅)で出かけたから、マサルはチエ達と同じ駅に着いたに違いない、とマサル母はまくしたてる。マサルは「旅は男のロマンだ」と言っていたらしい。同氏演出・家なき子も同様の台詞があり、特徴が出ている。

その頃、マサル達は山に登っていた。ハイキング程度の山だが、マサルにとっては険しい雪山に見えており、そのイメージが出る。イメージでなくガチの雪山は、同氏家なき子演出に出るし、カイジシリ構でもイメージが出てくる。どれも人生で越えなければならない障害。画像は今回、家なき子演出、カイジ2期シリーズ構成。

f:id:makimogpfb:20170131003515j:image

マサルは最初にペースを上げすぎてスタミナ切れになる性質である事を知っているタカシは、マサルにそれを指摘するが、マサルは言うことを聞かない。

ところで森の描写が偶然にも同氏過去作と似てくる。画像はエースをねらえ・家なき子演出、めぞん一刻脚本。 

f:id:makimogpfb:20170131003651j:image

同氏過去作と画像が似てくる怪、その2。エースをねらえ!演出と比較。出崎演出によく出て、それらが普遍的になってるからそうなるってだけだが、最終映像が似てくるのが面白い。脚本でもそれが起こるから不思議。

f:id:makimogpfb:20170131003735j:image

一方テツは、森の中を徘徊していた。

その頃、登山を続けるマサルは、タカシの指摘通り、ハイペースがたたってスタミナ切れを起こし倒れる。
家なき子演出では、レミとマチヤが人生の厳しさを再び噛み締めるために雪山に登るが、二人とも逞しいため健在。
理想(家なき子)と現実(今回)という感じ。 

f:id:makimogpfb:20170131003817j:image

そんなマサルとタカシの所に、斜面を転がり落ちてきたテツが来る。三者は激突し、山道から転がり落ちてしまう。これも平行するエピソードをさばいて、指定の所で合流させる、高屋敷氏の脚本上の特徴。

虫の知らせか、マサル母は心配を募らせる。
マサルを心配するマサル母の音頭で、マサル母・ヒラメ母(元登山部)・チエ・ヒラメは、マサル達の捜索に向かう。香部駅に着いた一行は、マサル達とテツらしき人物が来たという情報を掴む。マサル母の早口長台詞が同氏特徴。テツの情報に、チエは動揺。

その頃、目を覚ましたテツ・マサル・タカシは、状況を把握する。テツの体力なら斜面を登って山道に戻れるが、マサル達は無理。
この組み合わせは結構珍しいが、3人のやりとりが可愛らしい(特徴)。

f:id:makimogpfb:20170131003936j:image

一方、マサル母は、マサルの荷物を見つけ大声でマサルを呼ぶ。

マサルを呼ぶマサル母達のもとへ、テツがツッコミがてら登ってくる。元登山部のヒラメ母とテツのパワーで、マサル達はロープで救出される。だが、母離れ・男のロマン・旅立ちを目指していたマサルは、理想破れて男泣きするのだった。カイジ脚本と比較。

f:id:makimogpfb:20170131004028j:image

  • まとめ

まず、家なき子同氏演出(最終回)と比較すると面白い。家なき子の場合、レミとマチヤはガチ雪山に登り、人生の厳しさを敢えて味わい、その後、あてどもないが自立した旅に出る。

ところがどっこい、マサルとタカシは、やる気はあれど夢破れてしまう。
レミとマチヤは、マサル達より3年くらい上だが、このギャップはすごいw
しかも、レミとマチヤは「誰にも頼らず自分の力で」生きていこうと誓い、実行に移すのに、マサル達は、テツ、ヒラメ母など大人の力を借りねばどうにもならなかった。

だが「幼さ」の表現も長けている高屋敷氏なので、今回に関してはマサル達の幼さを前面に出しているようにも感じる。「まだ、それでいいんだよ」的な。もともと、1期中盤~2期は、チエ一家が修復したため、子供達が幼く無邪気に描かれるようになっている。

時々テツは、変わろうともがくが、チエ世界がそれを許さない。そういう、テツが変わろうとする回は、高屋敷氏の脚本回が多い。今回はそれのマサル版。マサルに関しては変われるチャンスはあるのだが、今回は失敗する。最後のガン泣きは結構胸を打つ。

家なき子や宝島の演出においては、少年から男への成長を描いてきた高屋敷氏だが、今回の場合、それに対する「照れ」も何だか感じられる。元祖天才バカボン同氏演出でも、出崎統氏的な男世界に対する「照れ」が出ている。

そこから来るセルフパロというか。

出崎統氏作品にて竹内啓雄・高屋敷氏で演出をしていた頃でも、高屋敷氏は可愛くコミカルな特徴を出していた。それが、男らしくかっこいい竹内氏の演出と好対称になっていた。これを見るに、同氏は一旦出崎統監督と反対のスタンスを取っているようにも見える。

そういった、男ロマンもいいけどコミカルさや幼さも欲しい…という同氏の反発?があってこそ、家なき子等が演出バリエーション豊かな名作になっていると思う。じゃりん子チエはギャグなので、今回、コミカル系に振り切ったのではないだろうか。

そうは言っても、ラストの、母離れも、男のロマンも達成できなかったマサルの男泣きは胸を打つわけで、ここだけシリアスになっている。

家なき子のレミ達のようにはできなくても、いつかは自立できる…という希望を込めて書いているような感じもする。

あと、同氏の脚本上の特徴が顕著に出ている。チエ・ヒラメ、マサル母・ヒラメ母、テツ、マサル・タカシの平行エピが要所要所で合流するようになっている。もともとチエ1期脚本から突出して来た特徴。山での冒険ものだから、それが存分に生きた回だった。

ミラクル☆ガールズ44話脚本:心をつなぐ贈り物

Togetterのバックアップです。修正や追加などで再構成しています。)

ミラクルガールズは、心を合わせると超能力が使える松永ともみ・みかげの双子姉妹の物語。
二代目監督はYAWARA監督の、ときたひろこ氏。(初代監督は安濃高志氏:元エースをねらえ!制作進行)。今回のコンテ演出はギャグの第一人者・大地丙太郎氏。

今回は、ローマに単身赴任しているパパが一時帰国してくる。だが、年頃の姉妹への配慮が足りず、姉妹を怒らせてしまう。冒頭、パパが姉妹を驚かそうと、お化けを演じる。これがコボちゃん脚本と重なる。どちらもパパがお化け役。

f:id:makimogpfb:20161227220210j:image

パパのデリカシーの無さを、ともみはボーイフレンドの野田に愚痴る。ここで特徴の飯テロ(アイス)。また、チエちゃん奮戦記脚本で、チエが愚痴りながら、かき氷を食べる場面とシンクロ。

f:id:makimogpfb:20161227220305j:image

ともみと野田は、パパと見知らぬ若い女性がカフェで談笑しているのを目撃。しかもパパが女性にネックレスを贈る(特徴:贈り物)のを見てしまう。これもコボちゃん脚本と被る。どちらも誤解を生むきっかけになっている。 

f:id:makimogpfb:20161227220342j:image

ともみは、みかげにパパと若い女性のことを話す。二人は、これが切欠でパパとママが離婚してしまうのでは、と心配する。
その頃、パパは、その若い女性と飲んでいた。ここでビールテロ。コボちゃんカイジ2期脚本と比較。

f:id:makimogpfb:20161227220422j:image

帰宅したパパに対し、姉妹は、一時帰国した目的について問い詰める。パパは、頼み事のため&ママに大事な話があるから、と答える。これが益々誤解を生む。
翌日、呑気なパパは朝食を作るが姉妹に無視されてしまう。再び飯テロ。コボちゃん脚本と比較。

f:id:makimogpfb:20161227220454j:image

学校にて姉妹は、いよいよ両親が離婚するかも、と不安を募らせる。帰宅すると、パパからの手紙(特徴)とお土産(特徴)が置いてあった。手紙&贈り物ということで、カイジコボちゃん脚本と比較。どれも心がこもっている。 

f:id:makimogpfb:20161227220535j:image

手紙の内容は、ローマに戻るから、仕事の打ち合わせのため帝都ホテルに泊まるというものだった。その事を伝えようとママの仕事先に電話すると、ママは帝都ホテルに出かけたと言われる。ホテルで離婚の話をするのかと不安になった二人は、帝都ホテルにテレポート。
ホテルにテレポートした二人は、パパやママ、愛人と疑っている女性の動向を探るため、テレパシーで会話する。これはガチテレパシーだが、アカギやカイジの脚本にて、まるでテレパシーで会話しているかのような場面があり、それと被る。

f:id:makimogpfb:20161227220626j:image

パパ、ママ、愛人の修羅場が始まると勘違いした姉妹はあたふたし、みかげは幼児なみにガン泣きしてしまう(特徴:幼い)。ガチ幼児のコボちゃん脚本と比較。カイジなどもよく泣く。

f:id:makimogpfb:20161227220707j:image

結局愛人どうこうは姉妹の誤解で、パパは同僚の女性と婚約者の仲人を頼まれただけだった。そしてママも事情を知っていた。ネックレスは婚約祝いだった。
これもコボちゃん脚本と被る。コボちゃん脚本でも、コボ父の部下の婚約を、コボの両親が祝う話がある。 

f:id:makimogpfb:20161227220751j:image

誤解が解けて姉妹は安堵。ママに大事な話がある、というのも、パリへの異動の話があり、決まったらママを呼ぶつもりだった、という話だった。それも、事情が変わり無くなったのだった。ママは気持ちだけでも嬉しいと言い、パパにネクタイピンを贈る(特徴) 。

f:id:makimogpfb:20161227220847j:image

プレゼントを渡すママを見て、姉妹は、今日がパパの誕生日だったことを思い出す。
翌日、姉妹は空港にパパを見送りに来て、1日遅れのプレゼントと手紙を渡す(特徴)。パパは喜び、再びローマへ旅立つ。 

f:id:makimogpfb:20161227220921j:image

機内にて、パパは、姉妹の心がこもった手紙(特徴)を読む。パパを見送った姉妹は、学校へテレポートし、授業へと急ぐのだった。

心がこもった手紙は、高屋敷氏の作品で頻出するが、カイジ脚本と比較。カイジ脚本の方も、色々な意味で心がこもっているw

f:id:makimogpfb:20161227221002j:image

  • まとめ

年代が近い(90年代初頭)せいか、コボちゃん脚本と被る。違うのは、主人公の性別と年齢だが、みかげが幼児なみのガン泣きをする所が、なんとも高屋敷氏らしい。この幼さが、ワンナウツカイジ脚本などで、大人にも適用されているのが毎度面白い。
あと、私的に爆笑したのは、姉妹のテレパシー会話と、アカギ・カイジにおける、テレパシーのような会話とのシンクロ。どちらも心が通じあっているからできる技w。
ルーツは、ジョー1脚本においての、段平と丈のアイコンタクト等からと思われる。
今回は、ともみのボーイフレンド・野田やパパが、年頃の乙女心がわからず戸惑う。
めぞん一刻脚本の五代や三鷹ど根性ガエル(新含む)演出・脚本のひろし等も、女心がわからず戸惑う。どれも「わかんねーな」と素直に言う所が共通。
高屋敷氏の脚本は、複数の平行エピソードをさばいて、最後にそれらを合流させる特徴がある。今作は姉妹がテレポートを使えるので、その特徴にはうってつけ。今回の演出コンテの大地氏も、監督作の「こどものおもちゃ」等を見るに、複雑なすれ違い表現がうまい。
大地氏は、マサルさんを監督するにあたり、Pの出崎哲氏と深く関わり、高屋敷氏は、ベルばらや、ど根性ガエルなどで、出崎哲氏と関わりが深い。高屋敷氏と大地氏の接点に出崎哲氏が出てくるのも面白い。
また、今作のメイン制作は亜細亜堂で、社長の岡村雅裕氏は、ど根性ガエルの制作進行だった。ど根性ガエルネットワークの広さが凄い。
大地氏と高屋敷氏の組み合わせは、これ一本きりなので、見れてよかった。キッズステーションに感謝。

チエちゃん奮戦記31話脚本:全てを「見て」いる猫の目

Togetterのバックアップです。修正や追加などで再構成しています。)

3部作の2話目。
直前30話概要:
チエとヒラメが保護した迷い猫は、東京のヤクザ組長の飼い猫だった。テツがその猫をペットショップに売ったのを知った組長は激怒(猫は無事に飼い主の元に戻った)。

いつもヤクザをどついてるテツは、それを聞き大喜び。襲撃に来るであろうヤクザ達を歓迎する準備をする。

  • ここから31話:

テツは、駅から百合根のお好み焼き屋までヤクザを誘導する張り紙を町中に貼り、お好み焼き屋の2階でヤクザを待つ。のっけから同氏特徴の紙&文字ギャグが沢山出てくる。紙ネタは挙げればキリがないが、黎明期の、ど根性ガエル演出と比較。

f:id:makimogpfb:20170116235317j:image

貼り紙を見たおバァはん・チエは互いに慌てる。おバァはんと反対方向からチエが来て、二人が合流するのだが、この演出、エースをねらえ!演出や、元祖天才バカボン脚本でも使われている。たまに効果的に使われる。

f:id:makimogpfb:20170116235357j:image

おバァはんとチエは、テツが貼った貼り紙を逆順に回収してまわる。貼り紙の始点は、駅だった。貼り紙にて、ヤクザを挑発する文にテツのイメージがオーバーラップする。これもよくある特徴。カイジ2期脚本と比較。 

f:id:makimogpfb:20170116235433j:image

一通り貼り紙を回収したチエとおバァはんは、アイスを食べて一休み。キンキンに冷えたアイスをまず味わうチエと、キンキンに冷えたかき氷をまず味わうカイジ(脚本)がシンクロ。奇跡か、あるいは、そういう食べ方が好き?
いずれにせよ、特徴の飯テロ。 

f:id:makimogpfb:20170116235510j:image

そこへ百合根がやって来て、今日1日、お好み焼き屋をテツに提供してテツを隔離するつもりだと言う。ヤクザが来なければ、テツは夜くらいには帰るだろうという算段。
その頃、お好み焼き屋で待ちぼうけのテツは長くて早口・名調子(特徴)の独り言を言っていた。

テツは貼り紙がはがされたのではないかと気付き、外に出る。そこでマルタ(ヒラメ兄)と鉢合わせ。迷い猫を保護したせいで、ヒラメ家は結果的にヤクザと電話連絡を取れる場所になってしまっていた。マルタはヤクザから電話があったと怖がり、テツにベタベタする(特徴) 。

f:id:makimogpfb:20170116235734j:image

マルタがテツにベタベタすがるのは、1期からの特徴。他の人の演出や脚本回でもそうなのだが、高屋敷氏脚本回では特にそれが出ている。マルタをテツが鍛える回の脚本を、高屋敷氏が1期で担当しているからかもしれない。好きな組み合わせなのかも。

テツはマルタの家でヤクザからの電話を待ち、お好み焼き屋の場所を伝えることに成功。待ちわびるテツは、ふとんカバーに「かんげえ東京ヤクザ様」と書き、お好み焼き屋の2回から垂らす(特徴・文字ギャグ)。それを見たモブ達のコメントが秀逸(特徴・優秀モブ) 。

f:id:makimogpfb:20170116235843j:image

テツの書いた垂れ幕を見たミツルは心配してチエ家を訪ねるが、おバァはんとチエは、テツが待ちぼうけをくらうはずだと、気楽に構えており、チエは上機嫌でホルモンを焼いていた。高屋敷氏脚本回では、チエが子供らしく陽気にホルモンを焼く場面が多いのが特徴。 

f:id:makimogpfb:20170116235925j:image

そこへジュニアがやってきて、小鉄に、ヤクザがお好み焼き屋に向かっていると報告。 一方小鉄はチエ家で百合根の酒の相手をしていた。

ジュニアは色々呆れて、一人で様子を見に戻る。

ここのチエ・小鉄・ジュニアのやりとりが興味深い。

チエは、ジュニアと小鉄に対し、男のくせにグダグダ喋るなと言う。するとジュニアは、「女のくせに、言うたら怒るくせに」と文句を言う。元祖天才バカボンの高屋敷氏演出回で、妻が夫を虐待する話があり、どちらも男性の受ける被害が描写されていて、時代先取り。

一方、東京ヤクザ一行はテツの待つお好み焼き屋に到着。

テツの垂らした垂れ幕について、組長と手下がボケ・ツッコミのやりとりをするが、高屋敷氏特徴の、連呼が入っている。また、組長はツッコミ時に黄金のパターを振り回すが、カイジ会長の杖とシンクロ。 

f:id:makimogpfb:20170117000346j:image

東京ヤクザ組長(以下・菊蔵)は、お好み焼き屋2階にてテツと対峙。対峙画面がカイジ2期脚本とシンクロ気味。

f:id:makimogpfb:20170117000428j:image
テツは菊蔵達を煽りに煽り、花札(カブ)勝負に持ち込む。先に疲れて寝たら、勝ちが帳消しになるルール。ジュニアはその様子を見て呆れる。 

夜、百合根は自宅(お好み焼き屋)の様子を見に行くと言う。チエはもしもの時のために、小鉄に酒を持たせる(百合根は酒を1升以上飲むと最強になる)。思いを伝える物=酒瓶が同氏特徴。

f:id:makimogpfb:20170117000538j:image

だが百合根と小鉄はその晩、帰ってこなかった。ここで今回は〆られ次回へ。

ちなみに次の32話では、菊蔵の親戚が出てきて、菊蔵の代わりにテツと勝負。死闘になるもダブルKOとなり、勝負の間、お好み焼きを焼きまくった百合根が儲かるオチとなり完結。

  • まとめ

特徴である紙&文字ギャグが山ほど出てくる。

あと気になるのは、一旦キンキンに冷えた状態を楽しむアイスの食べ方。これがカイジに引き継がれているのが奇跡。チエちゃん奮戦記1話脚本でも、うなぎ弁当の食べ方が出て来たり、かなり食べるのが好きそう。

興味深いのは、ジュニアのジェンダー?論。「男or女のくせに」という言葉の暴力に抗議している所を強調している。

男性も「男のくせに」という言葉に傷つくというのが今でこそよく論じられているが、時代先取り。元祖天才バカボン演出の逆DV描写然り。

また、ジュニアのもう一つの台詞も強調されている。「ちょっと(店が)繁盛したら、もうテツを放し飼いにしてること忘れてるやんけ」。

物語上、テツが成長したり変わったりする事は許されておらず、高屋敷氏脚本回だと、1期含め、それを憂う描写が多い。

今回にしても、シリーズ全体にしても、テツの放し飼い&飼い殺しが行われている。だから話が動く、というのもあるが…

高屋敷氏脚本回は、それを憂う描写が多い気がする。1期のボクサー編や、2期の、関取を倒した話など、テツの可能性を提示する話が多い。

今回、ジュニアの台詞の強調具合に、同氏の作家性が出ている。また、話全体をジュニアが客観的に見ており、そして呆れている。高屋敷氏の演出や脚本は、もの言わぬ自然や物が「見て」いる描写が多いが、今回は猫であるジュニアが「見て」いる回だった。