カイジのシリーズ構成・高屋敷英夫さんの軌跡

アニメカイジのシリーズ構成・高屋敷英夫さんに興味を持って調べてみたら、膨大な量の担当作があることがわかりましたので、出来る限り同氏担当作を追跡しています。discordアカウントは、まきも#3872 です。

元祖天才バカボン10話B演出コンテ:人情を照らすランプ

Togetterのバックアップです。修正や追加などで再構成しています。)

脚本は山崎晴哉氏。冒頭から飯テロのケーキ(特徴)。
友達から、ケーキのおこぼれを貰う遊びをするバカボン
画像はケーキ集。今回、怪物くん脚本、家なき子演出、めぞん一刻脚本。ケーキだけに景気がいい、というダジャレはめぞん一刻にも出てきた。 

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あまりにバカボンが貧乏くさい役割の遊びなので、パパが紙飛行機を飛ばしてツッコミ。
紙飛行機も、同氏作品によく出てくる。画像は今回、エースをねらえ!演出、ジョー2脚本。 

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バカボンの友達は、父親のボーナスでケーキを買ってもらったという。
会社員ではないパパはボーナスとは何かわからず行動し、町の人達を混乱させる。その間、色々ダジャレが出てくる(特徴:ダジャレ好き)。ママの説明で、パパはボーナスの意味を漸く理解。

その後パパは、刈田という男から、ボーナスを預かってくれと頼まれる。ツケの支払いを迫る人達から逃げるためである。刈田とパパは逃げる事に成功。刈田はお礼に、パパに豪華な食事(特徴・飯テロ)を奢る。画像は今回とカイジコボちゃん・チエ2期脚本。 

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だが刈田がボーナスで支払いをしようとすると、パパは、ボーナスを守れと言われたから渡さない(特徴:頓知)と言いトンズラする。刈田はお代の代わりに身ぐるみはがされる(特徴:脱衣演出)。

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散々な目にあった刈田は、パパを見つけて追いかけまわす。

その頃本官は、山口百恵等身大パネル相手に結婚ごっこをしていた(特徴:物言わぬ像もキャラ)。そして、刈田とパパの追いかけっこを見た本官は、刈田をボーナス泥棒と勘違いし確保する。
画像は物言わぬ像達。今回、カイジ脚本、ルパン三世2演出。

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刈田に対する取り調べ中にも、山口百恵パネルの意味深なアップがあり、特徴が出ている。これは未来作の「脚本」でも出てくる特徴なのが毎回不思議。

さらに本官が「百恵ちゃんも微笑みかけてくれている」と言い、同氏の特徴を後押し。

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刈田は頭にきて百恵パネルに八つ当たりし、更に本官を怒らせてしまう。
そこへパパとバカボンが来て、ボーナスなら刈田の家に届けたと言う(特徴:義理人情)。かくして刈田は無罪放免となる。刈田の家族は、初めてボーナス全額を得て感謝する。

そこへ、ツケの支払いを求める人達が刈田宅にやってくる。パパは、刈田は死んだとホラを吹き、香典代をせしめる。パパは香典代を刈田に渡そうとするが、刈田は無欲(特徴)で金をパパに譲る。それを、温かなランプ(特徴)が見守る。

状況や感情に連動し、事象を「見ている」ランプは同氏演出・コンテ・脚本・監督すべてで頻出する特徴。挙げればキリがない。画像は今回、ど根性ガエル演出、ジョー2脚本。もちろん、アカギ・カイジ脚本にも出てくる。

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パパはせしめた香典で、家族に沢山のおでんをふるまう。香典→おでんのダジャレで〆。
皆で食事をすることは良いこと、というのも同氏特徴。画像は今回、新ど根性ガエルめぞん一刻脚本。めぞん一刻では、皆で食事をするのは楽しい、という直球台詞あり。 

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  • まとめ

まず冒頭の紙飛行機。エースをねらえ!演出の紙飛行機は、想いを伝えるキャラとして活躍しており、名シーンとなっている。ジョー2脚本の紙飛行機も、「沈黙を破るもの」という役割が与えられている。今回も、悪趣味な遊びを止める役割がある。

そしてランプ。人の温かさを表現することが多く、演出時代は、画像のように光の円が描かれることが多い。

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また、不吉な場合は光が灯っていなかったりする。緊迫した状況だと、アップになり、数秒の間がある。間に関しては、脚本の方が殺気がある。

同氏演出・脚本に頻出する像(今回はパネルだが)についても、この話では、物言わぬとはいえ、全てを見ていて、感情もあるキャラであると、直球で描かれている。
これがシリアスものだと、非常に殺気のある間を形成する。カイジ脚本然り。

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元祖天才バカボン家なき子は、山崎晴哉氏脚本・高屋敷氏演出の回が多く、相性はバッチリだと思う。双方とも人情話を得意としている?
山崎氏が鬼籍なのが悔やまれる。
高屋敷氏が脚本にまわる時、山崎氏の影響を受けることがあったかもしれない。

このように、今回の収穫は、紙飛行機・ものいわぬ像の役割・人情を照らすランプ、の特徴や意図が直球で出てきたこと。元祖天才バカボンはつくづく、同氏の作家性を深く探求できる貴重な作品であると思う。

元祖天才バカボン8話A演出コンテ:自殺を的確に止めるキャラ達

Togetterのバックアップです。修正や追加などで再構成しています。)

脚本は山崎晴哉氏。家なき子などでよくある組合わせ。

開幕から特徴全開、太陽どアップ。今回は演出コンテだから解るが、らんま「脚本」でもこの特徴が出ているのが怪(画像)。また、パパ達が、お天道さまに感謝する直球描写(特徴:天道さま主義)。

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天気がよいのでホラをつきたくなる日だし、(釣りの)浮きが2つでウキウキするということで(特徴:物もキャラ)、パパとバカボンは釣りに行くことに。ここでバカボンが東京ブキウギの替え歌を歌うが、ゲン2「脚本」でも、東京ブキウギの替え歌が出てくる。 

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バカボンとパパは、まず医者にちょっかいを出して困惑させる。とにかく、演出でも脚本でも、医者がよく出てくる特徴がある。画像は一歩3期脚本と比較。

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パパ達はは釣りを開始。パパは、通りがかった男性二人に、川で鳥や猫が釣れるとふっかけ、本当に釣れたら金をもらうという賭けをふっかける。カイジとコンビニ店長の賭けに似てる。パパは事前に仕掛けを作っておいたので、賭けに勝つ(特徴:博打とイカサマ) 。

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パパは、男性二人は賭けに負けたが、スリルと興奮を味わったから、これでいいのだと言う。これもカイジっぽい。

更に猟師にも、川で鳥が釣れるとホラを吹く。猟師はそれを信じ川に入る。パパは、信じる人は神様が見捨てないから、これでいいのだと言う(特徴:純粋)。

賭けに負けた男性二人のやり取りにて、家なき子演出と同じような画が出てくる。これは、どちらも演出だから納得。

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男性二人は、仕返しに(特徴:不屈・復讐)鳥の格好をしてパパ達を驚かせようと川に入る。だが、水中で待ち伏せしていた猟師から発砲され退散。

パパ達は、今度は服と、自殺未遂をした半裸の男性を釣りあげる(脱衣演出)。大事な金をひったくられたとのこと。

パパは、死んでお詫び…を受け「死んでもアワビにならないのだ」と説教(特徴:上手い自殺防止)。だが励ましの勢いがあまって、再び男性を池に落とす。

池に再び落ちた男性は、水中にて、なくしたお金(鞄)を見つける。パパは、生きていたから見つけられたのだ、と言い、男性も、「諦めなくてよかった」と言う。諦めない精神も、同氏作品によく出る。カイジ脚本の、諦めてしまった石田さんと比較。 

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男性は、お礼をしたいと申し出るが、パパは、「礼はもうしてる」と金を受け取らない(特徴:お人好し、義理人情)。3人は笑い合う。
一方、賭けに負けた男性二人と猟師は和解し、おでん屋(特徴:飯テロ)で酒を飲み交わす。 

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お代を気にする3人に対し店主は、お代はパパから受け取ったと言う(賭けでせしめた金を返した)。これも特徴の義理人情。3人は笑い合う。
夜、パパは、今度はどんなホラを吹こうか、と浮きを握りながら(特徴:物のアップ)眠るのだった。カイジ脚本と比較。

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  • まとめ

山崎晴哉氏脚本との組合わせだと、ほっこりする話が多い。
そして、またしても、うまい自殺防止の話が出た。ど根性ガエル演出でも、自殺しようとするひろしを、美人の女性が止めてくれたり、仲間が止めようと走って来たりする。他も多数出てくる。

じゃりん子チエ1、2期脚本も、孤独は万病の源(死にたくなる)というポリシーが出てくるし、ゲン2脚本でも、死にたくても死ねない老人を、ゲン達が家族として迎える。カイジ脚本でも、自殺同然のおっちゃんを、カイジが止めに来てくれる。

この、精神疾患描写や自殺防止のうまさは、どうして多く描写されるのか謎である。
だが、カイジ2期13話の脚本における、駆けつけたカイジとおっちゃんのやり取りが強調されていることに感動したから、このように同氏の作品を好きな私がいる。

あと、同氏演出や脚本のキャラは、今回含め、やはり幼く可愛く描写されている。そして今回、特徴である連呼が頻出。これは脚本の方が顕著だが、演出では、時間の埋め合わせ調整ぽい。だがテンポは脚本と同じ。演出と脚本、やる事が同じなのが毎回不思議。

あと驚いたのは、今回・ゲン2脚本とも、同じ東京ブキウギの替え歌が出てきたこと。声優のアドリブだと今まで思っていたが、これを見るに何らかの指示がある?
あと、ギャグ作品なので、特徴である、物のアップが丸ワイプで強調されているのも直球。

監督作である忍者マン一平に、「気の病にかからぬこと」という教えが出る。
また、元祖天才バカボン中盤の脚本作にて、自殺をするフリをする詐欺師に対しパパが本気で怒る描写が出る。自殺とその防止について多くの作品で強いメッセージを発している。

この自殺防止ポリシーについて、原因は謎だが、同氏の描写は非常に時代先取りで的確。
また、そういった暗い兆候の人に対し、主人公達はギャグや義理人情や優しさで対応する。そういったヒーローであってほしい、という願いも見受けられる回だった。