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カイジのシリーズ構成・高屋敷英夫さんの軌跡

カイジおよび福本作品、そのアニメが好きで、シリーズ構成の高屋敷英夫さんが、子供の頃からアニメのクレジットで凄くよく見る名前なので調べてみたものの膨大すぎてまとめきれなくなってきたので、自分のブログよりここに切り離してまとめることにしました。ツイッターアカウントは@makimogpfbです

コボちゃん24話B脚本:鳥は希望や絶望を運ぶ重要キャラ

高屋敷英夫 コボちゃん はだしのゲン じゃりん子チエ めぞん一刻 カイジ アニメ ルパン三世 元祖天才バカボン 家なき子 忍者マン一平 あしたのジョー #コボちゃん まんが世界昔ばなし

今回は、鳥の話。

 冒頭もカナリアのアップ。同氏作品の冒頭は、言葉を喋らない物・者のアップから入ることが多い。これも物言わぬ自然・無機物・動物が重要なキャラであるという、同氏ポリシーが出ている。

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 コボは、鳥を飼っている友達を羨ましがって、鳥を飼いたいと言い出す。

 おじいちゃん(岩夫)は、じゃあ巣箱を作ろうと折衷案を出し、二人は巣箱を作って公園に設置する。
 ここでも、喜ぶ姿が幼く可愛い特徴が出ている。演出時代から得意分野っぽいが、脚本でも、絵の管理ができないのに、ほぼ同じ演技が行われていることが毎回怖い。下記は今回と怪物くん「脚本」。
 怪物くんは、ど根性ガエル、柔道賛歌、元祖天才バカボンなど、福富博監督と馴染みなのもあるが…とにかく過去~現在まで頻出する特徴の一つ。

 巣箱設置直後、コボは怪我をした鳥(四十雀)を発見する(特徴:ぼっち救済)。

コボと岩夫は四十雀を家で介抱することにする。

 家族の温かい手当てや世話(特徴:疑似家族・義理人情)で、鳥は順調に回復。
回復したので、コボは友達に自慢しようとし、友達を自宅に招くことにする。

 一方その頃、エサをやるため岩夫が籠の扉を開けた隙に、鳥は逃げ出してしまう。

 コボ帰宅後、鳥が逃げてしまったことを言い出せない岩夫は、毛布を被ってガクブルする(特徴:かわいいおじさん・おじいさん)。
 しかもこのシーン、同氏怪物くん脚本と超絶シンクロ。脚本なのにここまでシンクロするのが恐ろしい。 f:id:makimogpfb:20160722191843j:image

  結局、早苗(母)がコボに、鳥が逃げたことを知らせる。
鳥を見にきた友達もコボも失望。ここも、鳥が逃げた鳥篭の意味深な間がある(特徴)。
  失意のコボは食事も喉を通らず、部屋にひきこもる。
 そんなコボを見かねて、父の耕二はバードウォッチングにコボを誘う。
 しかし、目的地の野山は開発により失われていた。仕方なく耕二はコボを養鶏場に連れて行き、バードウォッチング(?)は終了。
 浮かない顔で二人は帰路につくが、夕陽が見守る(特徴)。
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 この夕陽は伏線で、ジョー2同氏脚本のように、願いを聞き届けるキャラとなっている。ここからの展開は、非常に高屋敷氏的。

 最寄り駅に帰ったコボ達に、岩夫が、鳥が見つかったことを知らせにくる。巣箱を設置した公園にいるという。
 コボは公園へと走り、それを夕陽が見ているようなシーンが続く(特徴)。
 公園に着くと、確かに鳥がいた。足に、とれかかった絆創膏がついており、コボは、自分が拾った鳥だと気づく。
 喜ぶコボは夕陽が見守る中(特徴)、鳥と戯れる。夕陽に同氏特徴の、意味深な間があり、夕陽が意思を持つキャラとわかる。 f:id:makimogpfb:20160722195828j:plain

 つまりこの話では、失意のコボを見た太陽が、鳥とコボの再会を演出した。
 同氏がシリーズ構成・脚本を担当した蒼天航路1話脚本でも、月が曹操夏侯惇の再会を演出した。その直前の場面でも、許褚(キョチョ)が「お月さまは15個ある」と、月に個性や意思があることを述べていた。
 はじめの一歩3期脚本では、月が、孤独だった沢村のもとに、よきライバル(一歩や千堂)を連れてくる。そして一歩も沢村も同じ月を見上げる。いや、月が一歩や沢村を見ている。
 監督作忍者マン一平では、太陽や月に顔がついていて、様々な表情をするので、演出意図がわかりやすくなっている。

 このように、過去~現在に至るまで、同氏作品では、演出・コンテ・監督・脚本問わず、太陽や月、自然が意思を持つ重要キャラクターとなっている。特に太陽と月は、状況やキャラクターの言動・行動を全て見ているような殺気がある。

 下記は夕陽が見守るシリーズ。最上段が今回、他は家なき子演出、ベルばらコンテ、じゃりん子チエ脚本。これに限らず、数えきれないくらい頻出する。そして、どれもが、意思を持つかのような存在感や間がある。
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  これを見るに、高屋敷氏は、師匠かつ長年一緒に仕事した出崎兄弟の巨大夕陽演出に、キャラクター性を持たせたのではないだろうか。

 話を戻すが、鳥は、コボ達が設置した公園の巣箱に、つがいで住み着き、産卵の準備をしていたのだった。コボは、今後は巣箱を見に行くことを楽しみにする。

 すっかり元気を取り戻したコボは食欲も復活(特徴:飯テロ)。一方、岩夫と耕二は喜びにかこつけて泥酔(特徴)。鳥と千鳥足のダジャレでシメ。

 今回の話の軸である「鳥」、これも同氏作品によく出てくる。脚本上からでも、よく出崎鳥を飛ばすし、鳥が希望や絶望を象徴するキャラとなっている。
非常に戦慄したが、シリーズ構成であるので画に手が出せないはずの二舎六房、カイジ破戒録ともに、OPで、希望の象徴である光の鳥が出てくる。

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 監督は二舎六房が神志那氏、カイジ佐藤雄三氏である。なのに出てくる。OPやEDにもストーリーがあるコンセプトも同じ。監督との意思疏通がうまくて、映像になると似てくるのだろうか?
 ちなみにカイジ1期1話(直接脚本回)冒頭にも、不吉を告げる鳥が出るし、2期冒頭の1期おさらいでも、この鳥の映像から始まる。

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 これらについても、出崎鳥にヒントを得て、鳥にキャラクター性を持たせたのではないだろうか。

 ルパン2期同氏演出コンテでも、鳩が活躍する話がある。
 鳩はもともと不二子が使っていたが、ルパンが餌付けする(特徴で手つきが優しい)。これが伏線となり、終盤には、裏切ろうとする不二子やゲストキャラのもとへ、鳩がルパンを連れて行ってくれる。

  おかげでルパンは不二子に、彼女の企みが失敗したことを知らせることができた。(不二子対策を行ったこともあり、結果ルパンは大量のお宝をゲットした。)

 これも今回のコボちゃんと同じく、鳩に個性づけが成されており、ルパンをアシストする。
 また、不二子達に見捨てられ気絶した鳩をルパンが優しく抱き上げたり、五右衛門が、鳩を見捨てた天罰だと不二子に言ったりと、皆、鳥に優しい。

 もっと過去を遡れば、まんが世界昔ばなしで同氏が演出コンテした「幸福の王子」に辿り着く。

 これも一人ぼっち(特徴)かつ動けない王子の、唯一無二の友達がツバメ。
 原作通り、ツバメは力つきて死んでしまい、王子も親友のツバメが死んだ途端、「心にぽっかりと穴が開いて」絶命。ツバメと王子の魂は太陽に回収され、両者は太陽となって人々を見守る。
 この話におけるツバメ・王子・太陽が、今回の四十雀・コボ・太陽、ルパン二期の鳩に反映されているのかもしれない。コボちゃん・ルパンともに、鳥は死なない。

 

  • 画像
 今回と、ルパン演出回の鳩。どちらも個性づけが成されている。そして今回のコボ一家と同じく、ルパンも鳥に優しい。
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 色々な作品の鳥。
今回、ルパン演出、ベルばらコンテ、家なき子演出、カイジ脚本・シリーズ構成。
 
f:id:makimogpfb:20160722220128j:plain 上記以外にも、数えきれないほどある。どれも個性があったり、キャラクターや状況を表したりする。希望や自由、時には不吉を運ぶ、重要なキャラクターであることがわかる。

 そして、「家や建物が意思を持ってキャラクターを見守り、育てる」特徴。
今回と、はだしのゲン2脚本、元祖天才バカボン演出。他も、めぞん一刻(最終シリーズ構成・脚本)など多数。  今回、コボ達が作った巣箱が鳥の住処となり、次世代を育てることになる。
 元祖バカボン演出では、ウナギ犬のための小屋として、家全体が改造された。そして、顔がついているので演出意図がわかりやすい。
 はだしのゲン2脚本では、なんと原爆ドームが鳥に住処を提供し、その卵が、ゲンや隆太の空腹を満たす。そしてドームは最後まで、ゲンや子供達を見守り、育てる温かいキャラとなっている。しかもエンディング直前では、逞しく育っていくゲンの後ろに原爆ドームと太陽が映っている。 同氏が最終シリーズ構成を務めた、めそん一刻も、アパートである一刻館が住人達を見守り、五代と響子を引き合わせる。(最終的に五代と響子は結婚し、次世代が育っていくことになる。)
 
  • まとめ
 とにかく戦慄したのは、意思があるかのような夕陽の間。ギャグアニメなら月や太陽に顔をつけたりできるが、それが不可な作品世界でも、間をとることで感情表現ができている。 また、鳥についても、出崎鳥からヒントを得て、個性やストーリーをつけるようになったことが見えてきた回だった。 話も、鳥との再会シーンが感動的。そこで終わらず、もう一段オチをつけるところも同氏らしい(多い時で二、三段以上オチをつける時がある)。
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