カイジのシリーズ構成・高屋敷英夫さんの軌跡

アニメカイジのシリーズ構成・高屋敷英夫さんに興味を持って調べてみたら、膨大な量の担当作があることがわかりましたので、出来る限り同氏担当作を追跡しています。discordアカウントは、まきも#3872 です。

じゃりん子チエ27話脚本:天や物達が見守るからこそ、無邪気に生きられる?

じゃりん子チエ27話脚本について。以前のツイートと追記で再構成しています。
 
 26話に引き続いて27話も高屋敷氏脚本。シリーズ全体が、実は数珠つなぎになっているので、ライターは2~3話を連続して担当する場合が多い。
前回26話:


 今回は、ヒラメの破壊的音痴により、遠足の送迎バス内が大パニック、チエとヒラメ以外全滅になる話。チエが何故無事だったかといえば、遠足当日以前にヒラメの破壊的音痴を聞いてしまった小鉄が、チエのために耳栓を作って、渡してくれたため(特徴:贈り物)。

  • 初回検証時のツイート集

 まず検証どうこうより爆笑した。やはりヒラメちゃん回はずれなし。

posted at 00:49:37

 今回は、高屋敷氏の演出、脚本で頻出するアドリブ歌が最大限に生かされた回。ヒラメちゃんの音痴で大惨事になる。
 また、紙、やさしい手つき、優秀モブ、高速回想、時系列操作、台詞リレー、ナレとのかけあい、母子愛、情感ある間、可愛いおっさん等の特徴も沢山出ている。

posted at 02:22:01

 恐ろしいことに、(絵に関与できない脚本なのに)自身コンテ特徴の像ごし構図が出た上、師匠かつ長く一緒に仕事した、出崎統氏的4パン、出崎構図、出崎統的水面反転がまた出た。
 あと、後に大惨事となるが、オリジナルの歌なら上手く歌えるだろうと、テツがヒラメのために作詞作曲してあげるし、頭を撫でるのが優しい。先生やチエも優しい(特徴:擬似家族愛・仲間愛)。

posted at 02:27:51

 実況スレ住人も気付いたが、前回(高屋敷氏脚本初出)から、子供達や猫がかわいくなっている。マサルまでお母ちゃん子で可愛い。成人の五代やカイジまで幼く可愛くなる高屋敷現象が出てる。
 過去作を思わせるネタとしては、日雇い(ジョー)、遠足(ど根性ガエル脚本疑惑の遠出回)、木彫り(赤ルパン脚本)が出てきた。

posted at 02:34:34

 また、よく同氏作品で出る、雷ネタと煙草ネタが出てきた。ヒラメちゃんの破壊的絶唱にて、「お空が割れて雷」「煙草千本」などのフレーズが聞きとれる。

 今までの話の引き継ぎとしては、相撲大会の話題、小鉄とJrすっかり仲直りしている、ヨシエがお弁当を作ってくれるようになる、テツ、ヨシエ、チエが3人揃って住んでる、などがある。

posted at 02:40:59

 高屋敷氏が26話から脚本参加したのは、ヨシエが帰り、テツ、ヨシエ、チエが一つ屋根の下で暮らし始めたことで、チエが子供らしくなっていくからではないかと感じる。
 あと、憎たらしい割に、マサル・タカシのコンビ愛が結構強いことも描かれる。
 前回の同氏脚本(26話)から始まった小鉄ナレも、チエの義父目線(特徴の疑似家族愛)なのかも。

posted at 02:47:44

 演出は、高屋敷氏と同じく、ど根性ガエルの演出陣だった三家本氏なので、ど根性ガエル的カーアクションが復活。高屋敷氏脚本だとクラスメイトの台詞が多く、よく動く(特徴:優秀モブ)。
 三家本氏の演出特徴もあり、非常にど根性ガエル的。
 何より大爆笑できるし、4段オチくらいある。凄いコンビネーション。

posted at 02:56:47

 スタッフとしては、高屋敷氏後半シリ構のめぞん一刻でも原画した、阿部卓司氏が動画にいる。あと原画に、飯田つとむ氏(故人)。ラピュタ心臓部のアイデアを出したそうだ。 ja.m.wikipedia.org/wiki/%E9%A3%AF…
 高坂季太郎氏ほか、宮崎作品のアニメーターが多め。

posted at 03:02:57

  それぞれの回ごとに演出や脚本が打ち出したいテーマが原作つきでもあるのは前に気付いたが、じゃりん子チエの場合、各ライターで以下のような特徴がみられる:

篠崎好氏:男より強い上に、男の扱いが上手い女性陣の話

城山昇氏:大人が活躍し、子供も大人っぽい話

高屋敷氏:子供も大人も可愛くて、皆家族のような仲良しな話

posted at 03:16:27

 高屋敷氏演出・脚本において、時にBL系への超無自覚天然燃料投下的な要素があるのは、友情が厚く可愛く幼く熱いからだろう。
 つまり、友情描写が丁寧なのだ。
 それは同性、異性、年齢差コンビであろうと変わらない。
 チエ同氏脚本回のチエ・ヒラメについても、「夫婦みたい」という実況レスあった。

posted at 03:29:12

  高屋敷氏脚本だと幼くなるっていえば、カイジ破戒録1話でカイジが犬みたいに遠藤さんに駆け寄るのもだし、ほぼ原作通りの「今度は自信ある」も言い方が幼い。

 あと今回、「そんなこと言うヤツうち大嫌いや」という台詞があり、同氏脚本カイジ破戒録3話の「そんな奴等は大嫌いだ。(原作は「大嫌いなんだっ…!」)」という台詞とのシンクロがあった。こういった癖を見つけて行くのも面白い。

posted at 03:45:24

 

  • 追記

  ヒラメは音痴がコンプレックスだが、チエの場合、以前の遠足の弁当のおかずが、自分で用意した沢庵(こうこ)と卵焼きで、それをマサルに「まっきっき」だとバカにされていた。

 今回はヨシエに余裕ができたので、色どり豊かな弁当を作ってもらうことができた。その弁当を嬉しそうに眺めるチエが子供らしく可愛い。そして特徴の飯テロw


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  • 画像

 可愛く幼いシリーズ。ナデナデが可愛い。テツはいつも子供より子供っぽいけど、高屋敷氏脚本だと、特にそうなる。あと、スキンシップ多めが特徴。


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・特徴の、その人のことを考えた贈り物。
今回、ジョー2脚本、コボちゃん脚本。小鉄のくれた手作りの耳栓はガチにチエを守ったw
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この、 贈り物については下記記事参照:

・像がよく出る特徴。

今回、ルパン2期演出コンテ、ベルばらコンテ、カイジ1期脚本。

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 これ、同氏ポリシー「物や自然=キャラ」から考えると、「像が見ている・意思を持っている」という意図ではないだろうか。

 特に、まんが世界昔ばなし演出「幸福の王子」は意思を持ち人々を見ている王子像が主人公で、ポリシーがよく出ている。

 
そして、全てを見守る、意味深な月のアップと間(特徴)。
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猫も見守る。言葉が通じなくても、心配する父兄達に、小鉄が話しかけ、なだめている。

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  • まとめ
 このように、猫・天・物・自然が意思を持ち、チエ達を見守っているという高屋敷氏的概念が見てとれる。
 本編中、Jr.も「俺、神さんて信じてへんけど、チエちゃんの遠足の日に、こうええ天気になると、神さんがどっかで恵まれん子を見てるような気がするわ」と、遠足当日が晴天だったことについて述べている。
 色々なものや人、猫などが見守っているから、チエ達がたくましく無邪気に生きている、というテーマを、高屋敷氏は本作品に込めているのではないだろうか。