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カイジのシリーズ構成・高屋敷英夫さんの軌跡

カイジおよび福本作品、そのアニメが好きで、シリーズ構成の高屋敷英夫さんが、子供の頃からアニメのクレジットで凄くよく見る名前なので調べてみたものの膨大すぎてまとめきれなくなってきたので、自分のブログよりここに切り離してまとめることにしました。ツイッターアカウントは@makimogpfbです

ルパン三世PARTⅢ 6話脚本:寡黙な次元の想いを表す「無言の間」

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ルパン三世PARTⅢ6話脚本。(Togetterのバックアップです。修正や追加などで再構成しています。モバイルだと、クリックしても画像が大きくなりませんが、urlをクリックするとtwitterの大きい画面で見れます。)

 

まずルパン三世PART3という作品。赤ルパン三世(2期)の後の、80年代中期の作品。なので当時流行りのテカテカ塗りメカとかの特徴があり、シリーズ構成が飯岡順一氏になったりもあり、赤ルパンの何でもあり世界から一転、全編ハードボイルドな男の世界になっている。

高屋敷氏の演出や脚本世界は、幼く可愛い男の子の友情・義理人情が多いが、もう一方の側面として、少年から男への豹変(家なき子最終回演出が突出)、男の義理人情がある。ルパン3期は、作品世界に合わせ後者を使っている。演出はシティハンター監督等の、こだま兼嗣氏。

こだま氏は、高屋敷氏監督作の忍者マン一平でもコンテをしたり、元祖バカボンや赤ルパンなど参加作も共通する。そのせいか、また高屋敷怪現象、脚本からなのに過去・未来作と画が似る現象が出ている。特に家なき子に似た画面。美術監督家なき子参加の石垣氏なのもある。

話は、ゲリラ・ゲリラに加担する傭兵部隊と国防軍の戦いが続く国で、ルパン達がその地に眠る古代文明の財宝を狙う。ゲリラの指揮を任される敏腕傭兵、ギャランコと次元は旧知の仲で、過去に同じ戦場で戦ったこともある。物語は、次元とギャランコが再会する所から。

ところでこの次元の旧友のギャランコという名、高屋敷氏が沢山脚本を書いた、じゃりん子チエの「じゃりん子」のもじりだと思う(特徴:ダジャレ好き)。サブタイ「ルパンが戦車でやってきた」は同氏大好き確定山田洋次監督の「馬鹿が戦車でやってくる」からと思われる。

冒頭、次元がギャランコのいる酒場を訪ねる場面、次元は酒が切れたギャランコに新しい酒瓶を滑り渡す。これも同氏特徴「その人のための贈り物」。これは監督作忍者マン一平12話で分かりやすく描写されている。 https://t.co/8ikEi69KRC

 

忍者マン一平で明確に描かれた「本当の贈り物」についてはこちら→ 

makimogpfb2.hatenablog.com

 

今回も酒のほか、次元のためにルパンが戦車を贈り、次元が財宝をゲリラに贈る。

 

また、ギャランコと次元の再会シーンは渋いが、高屋敷氏シリーズ構成・直接脚本アカギ14話の、安岡さんと仰木の再会シーンに通じる渋さがある。このアカギ14話のドッシリした安岡さんと仰木の渋さは異常。 https://t.co/agcGHfQYJY

 

また、高屋敷氏特徴のランプ。ランプが揺れてゲリラと国防軍の戦闘が始まったことを知らせる。同氏脚本カイジ2期7話も、カイジが班長のイカサマを捉えた瞬間をランプが祝福し揺れる。これも同氏特徴、物=キャラ。 https://t.co/OmfexZcYv0

 

戦闘が始まると、ルパンと五右衛門のパートになり、ルパン達の目的がわかる。ところで「あーあ どこほっつき歩いてんだまったく!」が、カイジ2期最終回のやさしいおじさんの言い回しと似てる。ポーズまでw https://t.co/y0SKVRGukN

次に銭形、敵のレプトル将軍、不二子が順に登場し、キャラごとの別行動が描かれ、最後に合流する(チエ脚本あたりから特に出てきた特徴)。あと、身分証明を失っても刑事である銭形の本分が描かれる(特徴:脱衣演出) 。https://t.co/b5HQ1WboKj

 

話が進むと、ギャランコが国防軍にゲリラの情報を売っていたことが発覚(伏線大量)。次元が真っ先に気付き、ギャランコと次元は決闘に。次元はギャランコの銃を弾き飛ばし「こいつが手にしっくり馴染むよう教えてくれたのはあんただ」と言う(特徴:物=キャラ)。

ギャランコは「真っ先に心臓をぶちぬけと教えたはずだ」と次元に言い返すが、次元は、腕がなまっちまった、また一から教えてくれと返す。戦場に疲れていたためゲリラを裏切っていたギャランコに、次元は生きがいを再び与えようとした(特徴:生きる=生きがい)。

そんな次元の優しさをギャランコが感じ取った刹那、国防軍がギャランコを襲い、ギャランコは次元をかばい死亡(特徴:年上が体を張る)。ギャランコは最期に、勝ち目は湖にあると言い残す。その後、ギャランコの亡骸を見つめる次元の長い間がある(特徴)。

特徴の長い間は、同氏デビューまわりのジョー1脚本での苦し紛れの?超長い間や台詞無しシーンの連続などが、怪我の功名で長所化したものと思われる(もう1つの特徴、スーパー連呼タイムもそう)。一方、ルパン、銭形、不二子、五右衛門の活躍も描かれる。

ハードボイルドの一方、特徴であるコミカルさ、可愛さも入っている。悪の将軍、レプトルだが、メガス王朝の財宝を掘り当てるのが子供の頃からの夢(特徴:可愛いおっさん)。銭形とルパン、ルパン一味のコミカルさもある(上段)。一方、シリアスな年上の死も描かれる(下段)。これは家なき子(演出)のビタリスや、カイジ(シリ構・脚本)での石田さんや佐原達の死と通じる。 https://t.co/ZZt2mWaRbX

静かに国防軍に怒りを燃やす次元のもとに、ルパンが戦車に乗ってやってくる。ルパン曰く「戦車のおみやげ」(特徴:贈り物)。次元はギャランコの遺言である湖へ、ルパンらと共に戦車で急ぎ、火山湖を火薬と砲弾で決壊させ、国防軍の戦車隊と将軍を一網打尽にする。

この湖の決壊も、同氏特徴の「自然のキャラ化」。蒼天航路1話脚本(天候)、ワンナウツ脚本(雨)、カイジ脚本(地盤)と、どれも自然が重要キャラとして主人公をアシストする。この話も、湖ほか自然が意味深(特徴) 。https://t.co/pC0Gkv1pJi

湖の水が引くと、メガス王朝の財宝が現れる。喜び財宝に駆け寄ろうとするルパンの手を、次元が掴んで止め、この財宝があればゲリラが国防軍を巻き返せるんだ、とルパンを見つめる(特徴:手から手へ想いを伝える)。ルパンは全てを察してお宝から手を引き、不二子をなだめる。

この「手から手へつなぐ想い」は高屋敷氏の真骨頂。これも監督作忍者マン一平で明確に描かれている(https://t.co/floe4HZ8GQ)。画像はベルばらコンテ、カイジシリ構や脚本、ワンナウツ脚本。 https://t.co/0WHgr7jGIr

 

ラスト、次元はギャランコが巻いていたバンダナと銃を墓に立て、別れを告げる。これもキャラの身に付けた物のキャラ化。カイジ脚本やシリ構でも、死んだ石田さんや佐原の象徴としてのチケットや紙幣が何度も描かれる。 https://t.co/5QHXRuNlDF

 

  • シンクロ集。

今回とベルばらコンテ、ど根性ガエルコンテ疑惑、新ど根性ガエル脚本、家なき子演出、忍者マン一平監督、チエ脚本、カイジ2期脚本・シリ構。どこかしら出崎兄弟要素が脚本から入るのも戦慄。 https://t.co/YJpJamuQ5a

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  • まとめ

ジョー2、チエ、キャッツアイ、今作脚本と、ここらから同氏が脚本へ絞っていく過渡期になるが、今回びっくりしたのは、異色とも言うべきハードボイルドさ。死を乗り越える話はカイジ含め多々あるものの、台詞まわしのハードボイルドさはいつもと違う新鮮さがある。

間違いなく演出経験の豊富さから来ている、自然や物の無言の名演技も、脚本で、いや脚本になってからの方が凄みが増している。また、無言・無表情なのに、相手の心情を察する義理人情が、今回も非常に特徴的。寡黙な次元回であることもそれを加速させている。

ルパン三世3期のコンセプトとはいえ、ここまで渋いハードボイルド話は高屋敷氏作品の中でも異彩を放つ。ただそういった「男の世界」は高屋敷氏が長く関わった出崎統監督作品で培われていたと思われ、その経験が思う存分発揮されたのかもしれない。とにかく異色な作品だった。