カイジのシリーズ構成・高屋敷英夫さんの軌跡

カイジおよび福本作品、そのアニメが好きで、シリーズ構成の高屋敷英夫さんが、子供の頃からアニメのクレジットで凄くよく見る名前なので調べてみたものの膨大すぎてまとめきれなくなってきたので、自分のブログよりここに切り離してまとめることにしました。ツイッターアカウントは@makimogpfbです

元祖天才バカボン19話B演出コンテ:知略を上回る知略でリベンジを

(Togetterのバックアップです。修正や追加などで再構成しています。)

脚本は山崎晴哉氏。
パパの大学時代の後輩、七百太郎がハワイからやってきた。パパに貸した700円を返してもらうためである。
パラシュート降下する場面がやけに凝っている。同氏演出コンテ、まんが世界昔ばなしの「ジャックと豆の木」(下段)に似ている。

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今回は原画に川尻善昭氏がクレジットされている。高屋敷氏演出コンテ「ジャックと豆の木」は川尻善昭氏の一人原画。もしかして先のパラシュート降下場面は川尻善昭氏が描いたかもしれない?いずれにせよ高屋敷氏のコンテ癖が2作とも反映されているのは確か。

パパから700円返してもらえるかどうか自信が無い七百は、居合わせた大工さんに、パパとの会話の予行演習をお願いする。
七百が話しかける前、大工さんは、逆立ちをして自分の作品を見て自画自賛していた。同氏特徴の、あらゆる視点から物事を見る姿勢。監督作忍者マン一平にも、何でも逆さまにする忍者が出てくる。

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ちなみに七百の予行演習は、大工さんの癖のせいで、七百がトンカチで殴られてばかりの結果に終わる。
だが七百は、太陽を背に決意を新たにする。キャラとしての太陽が、背中を押す特徴が出ている。ゲン2脚本と比較。

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七百と対面したパパは、700円借りたことを忘れたと言う。そこから七百の回想に入り、二人とも青春時代に思いを馳せ、ハグして(特徴)踊る(特徴:幼い)。ちなみに借金の理由は(将来の)ママとのデート代。

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パパは逆に、七百がシャックリ病で死に直面した時、ショック療法(偶然だが)で治してやったことを蒸し返し、恩を着せる。
この回想で、七百が最期の晩餐としてラーメンを食べている。特徴の、飯テロかつ食=精神の安定。画像は今回とチエ2期・ジョー2脚本。

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パパは、命の恩人から金を取るのか、と七百を言いくるめる。言い返せず、七百は退散する。落ち込む七百だが、飛行機を見て(特徴:無機物もキャラ)、ハワイでの母との誓いを思い出す。ジョー2脚本のハワイと色々被り、ここでも太陽が誓いを見届けるキャラとなっている。

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奮起した七百は、再度パパを訪ねる。だが今度のパパは、金をばらまいた部屋に七百を通し、わざと席を外す。七百は誘惑に負け金を拾うが、パパは金の配置を記録した地図を持っており、金を拾ったことはすぐにバレる。特徴の知略。あと地図も頻出。

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さらにパパは、もう一部屋、金をばらまいた部屋に七百を通し、本官も動員してのトラップをしかける(特徴:知略)。結局、七百は拾った金を返す。
ところで畳のローアングルが奇跡的にカイジ2期脚本と似ている。カイジ2期は川尻善昭氏コンテが多いせいかも。

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パパは、今度は集金に来た果物屋を利用し、更に700円を七百からガメる。
知略で金を引き出して行く展開と、レジのイメージがワンナウツ脚本と被っていく。

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失意の七百はハワイに帰るが、全ては七百とまた遊びたい故の、パパの悪知恵だったオチ。 

  • まとめ

パパの、知略を使った意地悪が相当酷い話だが、善悪問わず、知略を使った者が勝者…という話は、同氏作品によく出てくる。顕著なのが、まんが世界昔ばなしの脚本「きつねのさいばん」で、悪虐非道だが知略に長けた狐が天下を取る話を書いている。

「きつねのさいばん」脚本ではラストに「本当にこれでいいの?」というナレが入り、今回もラストにパパが「これでいいの…か?」と言う。つまり大義名分を通し勝ちたいなら、相手を上回る知略を使えということ。これはカイジやアカギ脚本に通じていく。

今回のパパのように、相手が可哀想になるくらい意地悪な知略を使い勝つのが、アカギやワンナウツ(ともに脚本・シリーズ構成)、一旦意地悪な知略に泣かされるも諦めず、相手を上回る知略を閃くのがカイジ(脚本・シリーズ構成)とも取れる。

善悪を問わず知略に長けた者が勝者…は、忍者戦士飛影の脚本にも出ており、悪徳長官ハザードが悪知恵を巡らせ実質勝つ話がある。
こういった特徴は、勝つ、ということが全てであるギャンブルものであるカイジやアカギなどに存分に生きている。

今回にしろ「狐の裁判」脚本にしろ、「これでいいの?」という問いかけがあり、善側が悪側を上回る知略を持ってリベンジをするよう促している。
カイジ2期テーマの一つは「勝つ」こと。知略で立ち向かうカイジは、待たれたヒーローの姿かもしれない。