カイジのシリーズ構成・高屋敷英夫さんの軌跡

カイジおよび福本作品、そのアニメが好きで、シリーズ構成の高屋敷英夫さんが、子供の頃からアニメのクレジットで凄くよく見る名前なので調べてみたものの膨大すぎてまとめきれなくなってきたので、自分のブログよりここに切り離してまとめることにしました。ツイッターアカウントは@makimogpfbです

元祖天才バカボン23話B演出コンテ:感情を持つ月や太陽の舞台裏

Togetterのバックアップです。修正や追加などで再構成しています。)

冒頭、特徴の開幕太陽アップ・間。レレレおじさんが空想するパリの街なので、ベルばらコンテと特に被る。

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美術監督の水谷氏は、ベルばらの美監でもあるから、更にシンクロ。今回もベルばらコンテも、躍りが可愛い(特徴) 。

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レレレおじさんの空想は、バカボンが来たため中断される。

だが本編のフランスっぽさは抜けず、バカボンは、貧しいバイオリン弾き(と相棒の猫)に出会う。ところで高屋敷氏演出の家なき子も、レミ達は貧しい大道芸人だったので、何やらシンクロ気味。

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バイオリン弾きは、ご飯を何日も食べてないと言う。同情したバカボンはお使い代300円のうち100円をあげる(特徴:義理人情)。だがバイオリン弾きは変装をしてはバカボンの前に現れ(特徴:脱衣演出)、バカボンは結局300円払う羽目に。

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騙されたこと(特徴:イカサマ)に気が付いたバカボンは泣き、そこへパパが来る。事情を聞いたパパは、金よりもバイオリンを欲し、バイオリン弾きからバイオリンを強奪する。
パパのバイオリンは下手で、怪音波を発する。画像は怪音波に苦しむ人達。今回、忍者マン一平監督、カイジシリーズ構成。

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あちこちでパパがバイオリンを弾く度に、人々は苦しむ。空地に出たパパは、そこでもバイオリンを弾き始めるが、それを聞いた月が震え、吐き気を催して落ちる。特徴の、月や太陽のキャラ化。監督作の忍者マン一平(下段)では、表情がつき、更に演出意図が明確になっている。

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パパは、聞く人がいないとつまらない、とクラシックコンサートに乱入。怪音波のせいで、指揮者のカツラが取れる。特徴の脱衣演出(アイデンティティの着脱)。パパは、本官のいる交番でもバイオリンを弾き、取り調べ中の泥棒を苦しめて真実を吐かせる。 

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パパを心配したママ達は、パパを探す。パパは空地で星にバイオリンを聞かせていた。パパは以前、流れ星にお願い事をしたが叶えてくれなかったので、星をこらしめていると言う。その願いとは、太陽と月の衝突。ちなみに監督作の忍者マン一平では、その願いは実現している。

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パパのバイオリンを聞いた星は「オエー」と言い落ちる(特徴:自然や物のキャラ化)。
パパが「嘘つきにはバイオリンでゲゲゲのゲなのだ」と言って〆。
画像は今回と、監督作の忍者マン一平。どちらも、天体をキャラとして数え感情を持たせている。

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  • まとめ

なんといっても、月や太陽、星が感情を持っているという高屋敷氏ポリシーが前面に出ている。シリアスものの脚本や演出において、太陽や月に不気味な間が発生する特徴の種明かし。監督作の忍者マン一平では、顔がついていて更にわかりやすい。

もともとシリアスものに出てくる太陽や月の不気味な間について私は興味を持っていたのだが、ルーツを辿って行くと、こういった子供向けギャグに解答が出ている。
更にルーツを辿れば、デビューまわりのジョー1脚本(無記名)に行き着く。

今回のように、元祖天才バカボンで太陽や月などの天体が喋るのは稀で、同氏のこだわりが感じられる。
また、中盤に出る脚本作で更に色濃く出てくるが、今回のバイオリン弾きのように、人の善意につけこむ詐欺に対する怒りのようなものも感じられる。

パパのバイオリン怪音波は大迷惑だが、嘘つきをこらしめる役割も持たされている。大体の同氏作品にて、太陽や月やランプは出来事を全て見ている不気味さがあり、時に天罰も下す。今回は、バイオリンという「物」が嘘つきから真実を吐かせている。

自然や物が感情を持ち、時に罰を下すコンセプトは、アカギやカイジでも生かされている。アカギもカイジも牌やカードといった「物」を使って運命を決し、魂を持つかのような描写が強い。思えばジョー2脚本についてもグローブに魂がこもっている。

ジョー2最終回脚本では、丈と別れたグローブがくったりして死んでいくかのような描かれ方をしており、相当に強い描写。アカギの一筒牌、カイジ1期最終回の、兵藤の当たり籤なども魂がこもっており、物語の骨子とも言える役割が与えられている。

物や自然に重要な役割を与える同氏の特徴を踏まえた上で、作品を見ていくと面白い。特にシリーズ構成作品は、シリーズ全体を通して活躍する「物いわぬ物」(例:アカギの一筒牌)の存在が見えて興味深い。今回はその舞台裏が見れた貴重な回だった。