カイジのシリーズ構成・高屋敷英夫さんの軌跡

カイジおよび福本作品、そのアニメが好きで、シリーズ構成の高屋敷英夫さんが、子供の頃からアニメのクレジットで凄くよく見る名前なので調べてみたものの膨大すぎてまとめきれなくなってきたので、自分のブログよりここに切り離してまとめることにしました。ツイッターアカウントは@makimogpfbです

元祖天才バカボン3話A演出コンテ:試練に打ち勝ち、己を保て

Togetterのバックアップです。修正や追加などで再構成しています。)

同氏演出の初出。脚本は吉田喜昭氏。
掃除の為に出しておいた古新聞を、新しい新聞と勘違いしたパパは、今日がエイプリルフールと思い込む。同氏特徴の紙ネタ。
新聞をよく見ると「アニメーター急募」「お粗末な子供番組」などネタが書いてある。 

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エイプリルフールと勘違いしたままのパパは、腕が取れるトリックを使いママ達を騙す(人形の手を使った)。うまく騙すトリックやイカサマは同氏特徴。カイジ脚本では、ガチで耳や指が欠損してしまうが。元祖天才バカボンの他の同氏演出回でも欠損ネタあり。

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騙されたままのバカボン達は医者を呼ぶ。3年ぶりの患者のため、医者は内心大喜び。同氏作品には医者が多く出てくるが、この医者も味がある。

医者の眉・髭・髪が怖いと駄々をこねるパパの為に、医者はそれらを全部剃る(特徴:アイデンティティ消失の危機)。

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ここで、パパはネタばらし。更にパパは、医者の顔に落書きする。

ここで鏡が出て来るが、真実を映すキャラとして、同氏作品で鏡はよく登場する。画像は今回と、ど根性ガエル演出、めぞん一刻脚本。

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激怒した医者はパパを追いかけるが、結局捕まえられず病院へ帰る。だが人相の変わった医者を、看護婦は別人と思い込んで叩き出す。医者は、「ワシはワシだからワシなんだ」と事情を話し、看護婦は納得。これも同氏特徴の、アイデンティティの消失からの自己認識。

夜、パパはママから説教を食らうが、まだまだ今日がエイプリルフールと勘違いしているパパは反省せず、騙された方が悪いと開き直る(特徴:善悪問わず知略に長けた者が勝つ)。その後煙草を買いに外へ出たパパは、トラックにはね飛ばされる。

はね飛ばされたパパが落下したのは、パパが騙した医者がいる病院だった。ガチに怪我したパパを手術できると、医者は喜ぶ。また、医者から今日がエイプリルフールでないことを教えられる。パパはガチで怖い思いをするのだった。

ここで、出崎兄弟がよく使う穴ごし構図が出てくる。影響下にある高屋敷氏の演出でもよく出る。怪現象だが脚本でもよく出てくる。画像は今回、忍者マン一平(監督)、カイジ脚本。他も多数、脚本でも不思議だが多数。

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  • まとめ

同氏演出の初出回だが、最初から特徴がよく出ている。医者は、アイデンティティを形成するものである眉・髭・髪を失うが、医者である自分を見失わない。「ワシはワシだからワシなんだ」は、結構深いかもしれない。

また、腕が取れるトリックについてだが、手足も別個の魂を持つキャラと捉える高屋敷氏の姿勢が出ているのかもしれない。DAYS脚本でも、「足を別個の生命体と考えろ」という直球台詞がある。元祖天才バカボン中盤演出回でも、手が喋る回あり。

パパのイカサマやトリックで泣きを見るゲストキャラは多い。諦めずに立ち向かう者もいれば、泣きを見たままの者もいる。また、今回のように、天がパパに罰を与える回もある。今回の場合は、自分を見失わなかった医者に対する、天のご褒美かもしれない。

髪などを失いアイデンティティ消失の危機に陥る話は、同氏の作品に多い。チエちゃん奮戦記脚本では、テツが丸坊主になる話があり、忍者マン一平(監督)では、一平が忍術発動と引き替えに髪を全て失う。アカギ脚本では血を失い、カイジ脚本では耳・指を失う。

アカギ(血)にしてもカイジ(耳と指)にしても、今回の医者と同じく、自己を形成するものを失うわけだが、アカギもカイジも最終的に自分を見失わない。カイジにも「オレだ、オレなんだ」や「信じるべきはオレの力」等、自分を強く認識する台詞がある。

そういった、自己を見失わない強い意志を持つ者には、今回のように、天が味方してくれることがある。カイジでも、「天」という台詞が強調されている。思えば、船井に騙された時のカイジは、船井に流され、自分を見失った状態だった。

一方、服や耳を失っても強固な自己意志を持つ覚醒カイジには、天が力を貸す。
今回も、天からパパが降ってきて、医者はパパに復讐することができた。
今回は、試練に打ち勝ち自己を保つ事が大事という同氏ポリシーを、シンプルながらも感じる回だった。