カイジのシリーズ構成・高屋敷英夫さんの軌跡

カイジおよび福本作品、そのアニメが好きで、シリーズ構成の高屋敷英夫さんが、子供の頃からアニメのクレジットで凄くよく見る名前なので調べてみたものの膨大すぎてまとめきれなくなってきたので、自分のブログよりここに切り離してまとめることにしました。ツイッターアカウントは@makimogpfbです

めぞん一刻86話脚本:人生の岐路に立つ「男」の物語

Togetterのバックアップです。修正や追加などで再構成しています。)

めぞん一刻は、アパート一刻館管理人で未亡人・響子と、一刻館住人・五代のラブストーリー。

前回:
保父を目指す五代は卒業試験を控えていたが、ライバル・三鷹と対峙。だが成り行きで、二人で酒を飲みまくる結果に。駅で待ち構えていた響子は、そんな五代を殴る。

五代をビンタした響子は、雨の中、自分の感情をぶつける。何がどうあれ、自分で決めたことを一生懸命やることが(五代にとって)一番いいことだと思っていた、真面目に自分の将来を考えろ、と言って走り去る。

自分の決めた道に生きよ…は高屋敷氏の取り扱うテーマの一つ。

雨の中の響子の感情的な台詞は、相当なクライマックス。
雨の中の熱いドラマも、高屋敷氏の作品に多く、雨自体をキャラクターとして扱っている(特徴)。
画像は、今回、ジョー2脚本、ワンナウツ脚本。ジョー2の「See you again」は有名な場面。

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響子が走り去ったあとに残された傘の意味深アップも、同氏の大きな特徴。こちらも、物をキャラクターと捉えている。
挙げればキリがないが、ワンナウツ脚本と比較。

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一方三鷹は、五代と酒を飲んだせいで泥酔し、自宅前で潰れていた。そこには、結納について確認するため、三鷹宅に来た明日菜もいた。

明日菜は、三鷹響子への想いを知り、結納をやめようと提案。涙ながらに走り去るも、愛犬のサラダを置いてきた事に気付き戻る。

明日菜が三鷹の所に戻ると、三鷹が玄関で寝入ってしまっていた。介抱しようとした明日菜は転び、はずみで三鷹とキスしてしまう。一方、サラダと、三鷹の愛犬・マッケンローにもフラグが発生。この犬達の描写が、家なき子演出における犬達を彷彿とさせる。 

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翌朝、明日菜は密かに三鷹宅を出る。
目覚めた三鷹は、朝食が用意されていることに気付く(特徴・飯テロ)。また、その事を知らせるかのように、炊飯器が鳴る。ここも、炊飯器をキャラとして扱っている。ジョー2脚本の、感情に連動する錘と比較。

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その頃五代は、一刻館住人に送り出され、卒業試験に挑む。一刻館の皆は、響子が五代を思いきりビンタした事を響子から聞き、五代の卒業試験は失敗するかもしれない、と諦めの境地に。響子と一刻館の皆のやりとりが疑似家族的で、アットホーム(特徴)。

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試験後、五代は一刻館には帰らず、子守り係のバイトをしているキャバレーに行く。子供達と戯れる五代が幼く可愛い(特徴)。また、感情を隠すお面のアップが意味深なのも特徴。響子の言葉を胸に刻み、五代は、卒業して保父になる事をあらためて決意する。 

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翌日、一刻館に帰った五代だが、試験中はキャバレーに泊まると宣言。上京中の五代の祖母・ゆかりは、そんな五代に「人間、素直が一番」「無理はするな」とアドバイスを贈る(特徴:優しいお年寄り)。DAYS脚本でも、水樹の祖父が人生について助言する場面がある。

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一方三鷹は、明日菜宅を訪ねるが、明日菜は伊豆の別荘にこもっていると知らされる。置き手紙には、結納を延期したいとの旨が書かれていた。カイジ脚本の置き手紙と比較。

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三鷹は、明日菜の運転手から、明日菜は優しい人だと諭される(特徴:優しいおじさん)。

五代の方は、キャバレーにてバイト先の先輩・飯岡と話し込む。五代は、誰かのために将来を決めるのではなく、自分自身のために将来を決める決意を語る。「一人でやることができなければ、他人を支えられそうにもない」との弁。ここも高屋敷氏の扱うテーマが感じられる。

そんな五代に飯岡は、「男と女は、追いかけた方が負け」「追いかけて来なかったら、全速力で駆け戻って土下座」とアドバイス(特徴:年上男性の助言)。

その頃三鷹はまさに、明日菜を追いかけて伊豆に来ていた。ぼっちの所に誰かが来る、ぼっち救済の特徴も出ている。

明日菜は三鷹に、あの夜あったことは、女として忘れることはできないが、それで結婚を迫ったりしないし、ここまで来てくれた事で充分だと言う。
カイジ脚本でも、理由は大分違うが、カイジがおっちゃんを北海道まで追いかけて来てくれる。 

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そして五代は、バイト仲間に見守られるなか、勉強疲れで眠りこけていた。寝顔が幼く可愛い(特徴)。カイジ脚本と比較。ちなみに五代の声=カイジのおっちゃん(坂崎)なので笑う。

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五代は決意こそ立派なものの、寝言で「響子さん」と呟くのだった。

  • まとめ

今回は、人生に対する数々の言葉が出る。響子の叱咤(自身の問題を真面目に考えろ)、ゆかり婆ちゃんの助言(素直が一番、無理はいけない)、五代の決意(一人でできなければ誰かを支えることができない)等。どれも高屋敷氏の出したいテーマが感じられる。

特に、一人でできなければ誰かを支えることができない、という五代の言葉は、同氏演出の家なき子最終回を思い出す。レミも、「男はいつか一人で生きていくもの。誰にも頼らず自分の力で精一杯生きていく」という、ビタリスの教えを噛みしめ、大人になっていく。

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レミも五代も、人生の岐路にあり、自分の道を自分で決めようという境地に到る。カイジ脚本でも、人生の岐路に立ったとき、進む道を自分で決めなかった事をカイジが激しく悔やみ泣く場面がある。そんなカイジもまた、物語の中で成長し、自分自身で決断し歩むようになる。

忍者戦士飛影脚本においても、自分で決めたなら自分自身の道を歩め、というメッセージをロミナやジョウの父の台詞に込めている。特にジョウの父の台詞(次回予告台詞)は、非常にメッセージ性が高い。
めぞん一刻でも、このテーマが出てきた事に驚いた。

見ているうちに予想した通り、最終シリーズ構成方針としての、「男の生きざま」「青年から(誰かを支えることのできる)男への成長」が顔を出している。これは原作と大分異なる男臭さで、ジョー2脚本や家なき子演出に見られるような世界が展開されている。

カイジやアカギ(脚本・シリ構)でも、人生に関する箴言が数々出てくるわけだが、今回のめぞん一刻箴言ラッシュ。こんな所に共通点があるとは思わなかった。あと、明日菜の運転手役として、立木文彦氏(カイジのナレ)が名演技を見せているのも、縁を感じる。

今回は、めぞん一刻における高屋敷氏の最終シリーズ構成方針が、一気に噴出した感じだ(予兆は色濃かった)。
原作に忠実でありながら、女性である高橋留美子先生の原作に、こうまで男の世界や高屋敷氏のポリシーを上乗せしてきたことに驚かされた回だった。