カイジのシリーズ構成・高屋敷英夫さんの軌跡

カイジおよび福本作品、そのアニメが好きで、シリーズ構成の高屋敷英夫さんが、子供の頃からアニメのクレジットで凄くよく見る名前なので調べてみたものの膨大すぎてまとめきれなくなってきたので、自分のブログよりここに切り離してまとめることにしました。ツイッターアカウントは@makimogpfbです

めぞん一刻96話(最終回)脚本:愛ある限り「生きている」一刻館

Togetterのバックアップです。修正や追加などで再構成しています。)

めぞん一刻は、アパート一刻館管理人の未亡人・響子と、一刻館住人・五代のラブストーリー。

前回まで:

才能を生かし保育士となった五代は、響子にプロポーズ。少しでもいいから自分より長生きしてほしい、という条件で響子はプロポーズを受ける。

結婚後しばらくは、一刻館の管理人室に住むことにした五代と響子は、荷物の整理をする。その最中、響子は亡き夫・総一郎の遺品を見つめる。ここも高屋敷氏特徴の、意思を持つような物のアップがある。遺品つながりで、ルパン三世3期脚本と比較。  

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響子は、けじめをつけるために遺品を惣一郎の実家(音無家)に返すことにする。その報告をしに、響子は惣一郎の墓に行く。
だがそこには、墓に線香をあげる五代の姿があった。響子はこっそり様子を窺う。

五代は、惣一郎の墓に語りかける。心の中に惣一郎がいる響子を好きになったのだから、「あなたもひっくるめて、響子さんをもらいます」と。
その言葉に胸を打たれた響子は、「この人に出会えたこと、喜んでくれるわよね」と、惣一郎に心で語りかける。

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すると響子に応えるように、惣一郎の墓のアップになり、線香の煙が立ち昇る。高屋敷氏特徴の、「魂をもつもの」の真骨頂。監督作・忍者マン一平でも墓石が生き物のように動く場面がある。風に舞う桜も、特徴が出ている(自然もキャラクター)。

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響子は五代の前に姿を現して五代の手を握り、「あなたに会えて、本当によかった」と言う。
画像は、同氏の大きな特徴である、手から手に想いを伝える場面集。今回、あしたのジョー2脚本、ルパン三世3期脚本、カイジ脚本・シリ構、ワンナウツ脚本。

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桜の花びらが舞い、天に昇っていく。ここも、同氏特徴で、桜や風をキャラクターとして捉えている。
画像は今回、ベルばらコンテ、らんま脚本。 

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結婚式当日、美しい花嫁衣装に身を包んだ響子は、惣一郎の父から「うんと幸せになりなさい」と祝福を受ける。同氏特徴の、優しいおじいさん。
味のあるおじいさんは、同氏作品によく出る。画像は今回、はだしのゲン2脚本、DAYS脚本。

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そして結婚式が始まる。あしたのジョー2にて、高屋敷氏は西と紀ちゃんの結婚回の脚本を担当しているが、それを彷彿とさせる。

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結婚式後、スナック・茶々丸(皆のたまり場)にて二次会が催され、二人に関わった人達が一同に会する。ここも、祝福する人達の温かさに、同氏特徴が出ている(仲間愛・優秀モブ)。画像は今回、あしたのジョー2脚本、カイジ2期脚本。 

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五代は皆に感謝し、「響子と二人で一生懸命生きて行きます」とスピーチする。
ここも同氏テーマの一つである「みんながいるから自分がいる」が出ている。
あしたのジョー2脚本でも、泪橋の皆が自分の心にしっかりといる、と丈が語る場面がある。

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二次会後、響子と五代は、ホテルではなく一刻館に泊まることに。住人達は歓迎。

住人達は口々に「ただいま」と言って一刻館に入り、一刻館に明かりが灯る。ここも、一刻館が魂を持つかのように描写され、特徴が出ている。はだしのゲン2脚本の、子供達を見守る原爆ドームと比較。 

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それから月日は流れ、皆の近況が五代のナレーションで語られる(特徴:ナレも重要キャラ)。
こずえは名古屋で新婚生活。
三鷹夫婦は双子を授かる。
八神は女子大生に。
朱美は茶々丸のマスターから求婚され、同居中。

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そしてまた、桜の季節がやって来て… 

五代と響子の間に娘(春香)が生まれる。生まれたばかりの春香を連れ、五代と響子は「ただいま」と一刻館に帰ってくる。住人達は歓迎し、祝福する。
試練を乗り越えて仲間に歓迎されるカイジ2期最終回と比較。 

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響子は春香に、「お家に帰ってきたのよ。ここはね…パパとママが初めて会った場所なの」と語りかける。
そしてタイトル「めぞん一刻」が真っ白な画面に浮かびあがり、桜の花びらが一枚、舞い降りてくる。花びらが着地したところで「完」。

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  • まとめ

まずサブタイトルの「この愛ある限り!一刻館は永遠に…!!」だが、あしたのジョー2サブタイ法則、「必ず“…”を入れる」を適用している。
これはカイジ2期でも適用されていて、カイジ2期最終回サブタイは「未来は僕らの…」である。

この最終回では全編にわたり「桜」が大活躍しており、ラストシーンまで活躍。自然や物をキャラクターとして扱う高屋敷氏らしさが非常に強く出ている。はだしのゲン2脚本やRIDEBACK脚本と比較。あらゆる事象を「見守っている」迫力がある。 

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また、驚いたのは、まるで生きているような一刻館の描写。
はだしのゲン2脚本の、「子供達を育て、見守る」原爆ドームや、他作品から見るに、この最終シリーズ構成では「一刻館」をキーキャラクターとしているのでは?と私は推察していたが、大当たりだった。

「生き物のような建物」といえば、一刻館のほかに、前述はだしのゲン2脚本の原爆ドームワンナウツ脚本の、イカサマだらけの「トリックスタジアム」、カイジ脚本の「スターサイドホテル」、「カジノビル」などがあり、どれも迫真。

あと、最終シリーズ構成方針として、「男としての五代の成長」も強く描写されていた。
「無邪気で幼い“男の子”から、大人の“男”への豹変」を描写していくのは、高屋敷氏の大きな特徴。画像は豹変集。本作、カイジ脚本・シリ構、DAYS脚本、家なき子演出。

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家なき子最終回演出や、ジョー2最終回、カイジ2期最終回については、「未来に向けての男の旅立ち」が示唆されているが、五代は一刻館に留まる。(子供が生まれたら引っ越す予定だったが、四谷曰く“居着いた”)。
だが五代は、次世代を作るという偉業を成す。

あしたのジョー2脚本にて、丈は“旅に出ても必ず泪橋に帰ってくる”と言っているが、今回脚本では、各キャラが一刻館に「ただいま」と言って帰ってくる。
あしたのジョー2の西夫妻も、本作の五代夫妻も、「皆が帰ってくる場所を作る人達」なのではないだろうか。

そしてサブタイ通り、一刻館は「この愛ある限り永遠に」、生き続ける。
本作のタイトルが、何故「めぞん一刻」なのか…と考えた時、アニメスタッフは「一刻館は生きている」という答えに到ったのではないだろうか。そしてそれは高屋敷氏の得意分野である。

まるで生きているように一刻館に明かりが灯るシーンは、アニメ版めぞん一刻の名場面だと思ったし、非常に高屋敷氏らしさが出ていて戦慄した。 そして今回も「脚本」なのに、桜や建物など「物いわぬもの」の活躍が目立ち、同氏特徴が炸裂していた最終回だった。