カイジのシリーズ構成・高屋敷英夫さんの軌跡

カイジおよび福本作品、そのアニメが好きで、シリーズ構成の高屋敷英夫さんが、子供の頃からアニメのクレジットで凄くよく見る名前なので調べてみたものの膨大すぎてまとめきれなくなってきたので、自分のブログよりここに切り離してまとめることにしました。ツイッターアカウントは@makimogpfbです

MASTERキートン11話脚本:強い「役割」を持つ食べ物

Togetterのバックアップです。修正や追加などで再構成しています。)

MASTERキートンは、かつて英国特殊部隊SASで活躍したキートンが、ある時は保険調査員として、またある時は考古学者として世界を周り、様々な事件に遭うドラマ。

舞台はロンドン。
不思議だが、演出時代からの特徴である「物」のアップから始まる。監督作(&コンテ疑惑)の忍者マン一平と比較。

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キートンは、相棒・ダニエルを連れ、ロンドン中華街一美味しいとキートンが太鼓判を押す中華料理店・金蓮でランチする。

キートンの言う通り、料理は絶品。

店主の伯修は、今日(11/12)は特別な日だからと、キートン達に豚肉の唐揚げを奢ってくれる(特徴:贈り物)。
これが格別に美味しく、キートン達は感動する。同氏の大きな特徴である飯テロ。カイジ2期脚本と比較。 

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伯修もまた、同氏作品に頻出する、味のある中高年。画像はおっさん集。今回、ど根性ガエル演出・チエちゃん奮戦記・カイジ脚本。

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伯修は、「イギリス人には本物の中華料理は作れない」が持論。伯修の見習いであるイギリス人・ラディは、それを聞き落ち込む。

さらに伯修は、許可なく料理を作ったとして、ラディをクビにする。

キートンとダニエルは、パブにてラディを発見、事情を聞く(特徴:ぼっち救済)。元祖天才バカボン演出と比較。

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下記画像は、パブのシーンのビールテロ。ミラクル☆ガールズカイジ2期脚本と比較。他も多数ある。 

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伯修の娘であり、ラディの恋人でもある宋麗は、キートン達に、ラディの料理を食べてみてくれと頼み込む。

ラディの料理は美味しく、キートン達は感心する。ここでも特徴の飯テロ。挙げればキリがないが、チエちゃん奮戦記・カイジ2期脚本と比較。 

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ラディは、香港に住んでいた幼少期に、友達の家で食べた本場の中華料理に衝撃を受け、中華料理人を目指していると言う。
だが、フレンチのコックである父は反対し、家を出た事情があった。
下記画像はビンタシリーズ。今回、ベルばらコンテ、カイジ2期脚本。 

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ラディが金蓮にこだわるのは、子供の頃食べた本物の中華料理の味を、伯修が正しく伝え、広めているからだった。
そんな話を聞き、キートン達は、ラディと伯修の仲を修復しようと動く(特徴:義理人情)。

キートンは、伯修が出した豚肉の唐揚げの味に覚えがあったことを思い出し、日本にいる父・太助に電話をかける。
太助によれば、それは横浜中華街の大嘗閣という店の唐揚げだという。だが店主は亡くなり、店もなくなったとの事だった。

太助は、キートンの電話のせいで、無性に豚肉の唐揚げが食べたくなり、百合子(キートンの娘)を連れて横浜中華街に行くことにする(特徴:食いしん坊)。
一方キートン達は、ロンドン中華街の生き字引・趙老人に、金蓮の歴史を聞くことにする。

趙老人もまた、同氏作品によく出る、味のある老人。画像は今回、監督作忍者マン一平めぞん一刻カイジ脚本。

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趙老人によれば、かつて金蓮には、孫文が滞在しており、よく料理をしていたという。キートンはそれをヒントに、作戦を練る。

そんな折、百合子から電話がかかって来る。横浜の中華街からだった。幸運にも大嘗閣の店主の息子の店を見つけ、唐揚げの隠し味も教えてもらえたという。

更に、面白い話も仕入れたらしい。
電話を聞こうとするダニエルが可愛い(特徴)。ジョー2脚本と比較。

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後日キートン達は、日本料理を振る舞うと偽り、日本料理店に伯修を招く。
そして、キートンはラディの作った豚肉の唐揚げを伯修に食べさせる。
疑心暗鬼の伯修だったが、唐揚げの再現度に驚く(特徴:飯テロ)。
隠し味は、ウイスキーだった。

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更にキートンは、月餅を出す。これも、伯修の祖父や父が作った月餅の味が再現されていた。
月餅の隠し味は干し柿
ここでも特徴である菓子テロ。元祖天才バカボン演出と比較。

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キートンは、この特殊な唐揚げも月餅も、孫文が日本と英国に伝えたものだ、と説明する。

伯修は、キートン達に唐揚げを奢った「特別な日」である11/12は、孫文の誕生日であることを告げる。
そしてキートンは、ヒントは与えたものの、唐揚げも月餅もラディが作った、と念押し。
伯修は、素直ではないものの、ラディのクビを取り消す。

ラディと宋麗は、キートン達に深々と礼をし、伯修と共に店の仕込みに行く。
画像は、温かい義理人情に、お礼をする人達。
今回、元祖天才バカボン演出、めぞん一刻カイジ脚本。

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キートンとダニエルは、パブにて、金蓮の人々と孫文に捧げる乾杯をする。
特徴のビールテロ。
今回、めぞん一刻カイジ2期脚本。

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ラストに、月餅のアップが映る(特徴:意思を持つ物)。チエ2期脚本も、食べ物のアップで〆る回があり、それと被る。 

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  • まとめ

とにかく飯・ビール・菓子テロの嵐。高屋敷氏に非常に合ったエピソード。
高屋敷氏の作品で出る飲食物は、美味しそうなだけでなく、何らかの「役割」を持っている。
これもまた、「自然や物=キャラクター」という高屋敷氏のポリシーが感じられる。

ジョー2脚本では、無茶な減量をしようとする丈を止めるため、段平が、あの手この手の飯テロを行う回がある。これも、食べ物が丈を誘惑する役割を担っている。
カイジ2期脚本のビールと焼き鳥も、禁欲生活を送っていたカイジを激しく誘惑するもの。

一方で、ど根性ガエル演出や、元祖天才バカボン演出では、「皆で食べるご飯は美味しい」というメッセージを発している。つまり、食べ物が皆をつなげる「役割」をしている。
今回も、孫文と日英、伯修とラディをつなぐ役を、食べ物が担っている。

また今回、お人好し・義理人情も光っている。そして今回も、キートンがグルメであること、博識であることなどが問題解決のキーとなっており、人助けの為の具体的手段が描かれる。
カイジでも、人助けをする具体的手段が描かれる(特に石田さん関連)。

そして、そんな主人公の為に、天が少しだけアシストする展開も強調される。
今回の場合は、大嘗閣の主人の息子が見つかったことなど。
カイジの場合は、地盤や、沼(パチンコ台)の偶発的トラブルなど。

高屋敷氏の作品によくある、美味しそうな食べ物の描写については、ルーツは謎。よっぽどの食いしん坊かと推測したりはするが…。
ただ、単なる食べ物ではなく、「意思」や「役割」があるのは確か。食べ物は、否応なく人の意思がこもるからかもしれない。

自然や物、食べ物にしても、高屋敷氏の表現する「もの言わぬもの」は、「なぜそこに出す必要があるか」の理由付けがハッキリしていて、単なる場つなぎではない「意思を持つ物」である迫力がある。
毎度、演出でも脚本でも同じ事ができるのが謎だが…。

ちなみに今回出てきた「ウイスキーが隠し味の豚肉の唐揚げ」、「キートン 唐揚げ」で検索すると、再現を試みる人達のブログやサイトが多く出て来る。プロの業なので再現は難しいとは思うが、気になる人には検索をオススメする。