カイジのシリーズ構成・高屋敷英夫さんの軌跡

アニメカイジのシリーズ構成・高屋敷英夫さんに興味を持って調べてみたら、膨大な量の担当作があることがわかりましたので、出来る限り同氏担当作を追跡しています。discordアカウントは、まきも#3872 です。

ルパン三世PARTⅢ 9話脚本:己は唯一無二!クローンに対するルパンのマジ怒り

Togetterのバックアップです。修正や追加などで再構成しています。モバイルだと、クリックしても画像が大きくならないですが、urlをクリックするとtwitterの大きい画面で見えます。

前回6話は、高屋敷氏作品の中では異彩を放つ次元のハードボイルド話だったが(http://makimogpfb2.hatenablog.com/entry/2016/11/14/105420)、急に絵柄も話もコミカルになった。他の担当者の回も同様。wikiにも回が進むにつれ、絵柄がコミカルになった、とある。確かに。

今回は、コミカルとシリアスが混じりあった話。原作にもある話らしい。

前半は、水虫に悩むルパンが、水虫の特効薬の原料になるという、古代エジプトのハスの種を盗もうとする話。

後半は、水虫を診た際にルパンの細胞を採取した科学者が、ルパンのクローンを作ろうとする話になる。

今回の演出コンテは橋本三郎氏。高屋敷氏監督作の忍者マン一平で何回も演出した。

また、ルパン3期のシリーズ構成の飯岡順一氏は忍者マン一平の文芸。飯岡氏は高屋敷氏が脚本を2つ書いたキャッツアイのシリーズ構成でもある。

またも馴染みだらけ。そのため忍者マン一平ぽい。

 

下記画像は、ルパンがノーベル賞権威の科学者に水虫を診てもらう場面のシンクロ集。今回、元祖天才バカボン演出、忍者マン一平監督。どれも菌が主人公を悩ませる。これもまた、高屋敷氏特徴の、もの言わぬもの=キャラの表れかもしれない。 https://t.co/foahllSEXY

舞台はマルセイユ。またも同氏特徴のご馳走アップや飯テロが出てくる。ルパンが水虫に苦しみ暴れても、次元はステーキを、五右衛門は湯豆腐を死守する食いしん坊。飯テロは数えきれないほどあるので、今回はカイジ脚本と比較。 https://t.co/B0GmtAA5Cg

後の伏線だが、ルパンは不二子から大量に靴下をもらっていた(特徴:贈り物)。水虫に苦しむルパンは、水虫特効薬のハスの種を盗みに行こうと次元を誘うが、次元は断り、水虫なんてマルセイユの太陽で焼けと言う。一方、日光を浴びた五右衛門は、靴下の秘密に気付く(特徴:太陽は重要キャラ)。

ルパンは一人でハスの種を盗みに行くが、水虫のせいで銭形に捕まる。序盤に出てきた博士(バドワール)が銭形に情報を売っていたのも、捕まった一因だった。

博士は情報を売った見返りに、ルパンの今までの情報をICPOから貰う。不二子も取引に絡んでいたが、念のため博士の部屋に盗聴機を仕掛ける(特徴:物が見聞きする)。

博士はルパンのクローンを作り、取り寄せたルパンの資料でクローンを一流の泥棒に育てることが目的。また、ルパンの資料(特徴:紙)について「夜の友だち」と読むのを楽しみにし、クローンで増やした2匹の猿と話す癖がある(特徴:ぼっち老人)。

博士が猿と話す癖があるせいで、不二子が仕掛けた盗聴機から、博士の野望が丸聞こえ。それをいつになくマジ顔で聞く不二子の間がある(特徴)。表情で、ルパンは彼女にとって唯一無二の存在であることがわかる。そして不二子は、ここからルパン側にまわることになる。

一方、次元・五右衛門は靴下の秘密に気付き、銭形に捕まったルパンを救出する。

不二子は、博士にルパンを売るため、靴下に足が痒くなる薬品を仕掛けていたのだった。

最初こそルパンを売ろうとした不二子だったが、博士のクローン計画には反対で、ルパン達に博士の野望についての情報を提供する。

不二子に続き、ルパンもクローンについての情報にマジ顔になる。

ルパンは「許せねえ」「気色悪い話だぜ」といつになくシリアスに怒る(特徴:豹変)。

ルパンは盗聴機を利用したギミックで博士の部屋の金庫を破り、「こんなもの絶対あっちゃならねえ」と培養中のルパンの細胞を破壊する。また、銭形も見事に出し抜いて去るEND。

  • 画像

同氏作品には医者や科学者がよく出る。役立たず医者が多いが名医もいる。画像は今回と、ジョー1脚本疑惑、ど根性ガエルコンテ疑惑、元祖天才バカボン演出、ベルばらコンテ、ゲン2・カイジ・XMEN・一歩3脚本 https://t.co/hUINuiC6RB

  • 画像2

シンクロ集。

1枚目は今回とカイジ脚本。ギミック描写(磁石など)やイメージ画が結構シンクロw

2枚目は今回と、キャッツアイ・ルパン2期脚本。 https://t.co/V6pTXo7cQe

  • まとめ

今回の目玉は、コミカル描写から一変、クローン計画を許さないルパンの、シリアスな怒り。不二子もいつになく深刻な顔になる。

神になろうとする人間(カイジの会長、ルパン2期のインチキ教祖など)に対する怒りは同氏のテーマの一つ?

一方で、人間の本質に迫り(同氏特徴:脱衣演出)、ものいわぬ体の声を聞ける(特徴:体の部位もキャラ)科学者や医者は大事なキャラだからよく出るのかも。

よい例はジョー2のキニスキー博士。ホセの身体の声を聞けるし、葉子の恋心も発見・診断した。

話の全体を見てみると、ギミックやアクションはコミカルでも、今回の話も6話と同じく、ルパン2期と差別化した、苦味走ったシリアスなものなのかもしれない。10話も見てみたが、やはりコミカルでありつつ政治的野望が絡む話だった。飯岡氏の構成方針は、シリーズを進めるにつれ少し変化するものの、根幹は不変かも。

下記画像はクローンに対しマジ顔怒りのルパンと不二子。倫理の逸脱への怒りもだが、不二子はルパンを、ルパンは自分を唯一無二と思っているからこそ怒る。また、細胞を取られたというのも、特徴の脱衣演出かも(今回の場合は、ルパンの本質)。 https://t.co/tAeFNKPrTQ

6話脚本のハードボイルド話との差に困惑したし、橋本三郎氏とのコンビもあり、忍者マン一平みたいで戸惑ったが、後半のクローンに対するルパンのマジ怒りで、コメディの中にある同氏のシリアスなテーマを再認識できる話だった。