カイジのシリーズ構成・高屋敷英夫さんの軌跡

アニメカイジのシリーズ構成・高屋敷英夫さんに興味を持って調べてみたら、膨大な量の担当作があることがわかりましたので、出来る限り同氏担当作を追跡しています。discordアカウントは、まきも#3872 です。

忍者戦士飛影 5話脚本:黙っていても手や目が「語る」想いが友情を生む

Togetterのバックアップです。修正や追加などで再構成しています。)

まず、同氏脚本・シリーズ構成のアカギやカイジで何故鷲巣や班長が分身するのか?ということに前から興味を持っていて、この飛影に元ネタがあるのではないかと、大分前から目星をつけていた。実際見てみるとビンゴだった上、ほかにも飛影ネタが同氏の未来・過去作に色々入っている。

高屋敷氏は飛影に複数いる脚本陣の一人で、シリーズ構成はエルガイムのシリーズ構成やイデオンザブングルの脚本を多数書いた、渡邉由自氏。監督は案納正美氏。珍しい、ぴえろ制作のロボットアニメ。なので高屋敷氏はスポット参戦かなと思いきや、結構大事な回も担当しており、思い入れも強かった模様。

カイジ1期副題のUltimate Surviver、まさかとは思うが飛影OPのLoveサバイバーから来てるかも疑惑に加え、飛影OP・EDとカイジ脚本・シリ構のこのシンクロ。ネタからガチパロらしき物まで多数。

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上記の中でガチパロっぽいのは飛影EDとカイジ2期7・25話の宇宙と、班長分身(分身はまたの機会に)。奇跡シンクロとしてはこんなのも。飛影OPと高屋敷氏脚本のカイジ2期5
話。あくまでネタ。

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あと、同氏脚本アカギ26話でアカギが妖鳥に変身するイメージの元ネタらしきものも。飛影のは、飛影とメインロボの鳳雷凰が合体した姿。

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オリジナルロボアニメは、監督とメインライターが寄り集まり色々アイディアを出すそうなので(ガンダム脚本陣の荒木芳久氏の手記より)、高屋敷氏もかなり思い入れがあったのかもしれない。だが不幸にも打ち切り。見ていると、総集編が何回もあり、それも打ち切りに関係がありそう。

話は、他星系にてザ・ブームに侵略されたラドリオ星のロミナ姫が戦艦と共に火星に逃れ、火星で暮らす地球人のジョウ・レニー・マイクと出会う。この3人はラドリオ人のロボを動かす力があり(ラドリオ人は不可)、彼ら対ザ・ブームと火星政府連合との戦いが描かれる。

5話は、敵に人質にされたジョウの父とレニーの両親を救出後、ロミナから、母星の危機に現れるという伝説の忍者を探していると聞いたジョウ達が、とうにいない忍者の手がかりを、植民第一世代から成る極冠の一族なら知っているのでは…と目星をつけて極冠に向かう所から。

極冠に暮らす住民は、先住民やゲリラと呼ばれ、火星政府軍と敵対している。彼らに接触しようとするもジョウ達は敵の襲撃を受け、母艦エル・シャンクの無線が壊れてしまう。

ジョウは極冠族に直接会いに行くも、彼らの襲撃に遭う。ゲリラ描写が同氏脚本のルパン三世3期6話に似ている。

一人で直接交渉に向かうというジョウに、ロミナ姫が一緒に行くという場面、ジョウが爆笑する。こういった可愛い笑顔や幼い顔が同氏の演出や脚本によく出る。画像は今回、ベルばらコンテ、ジョー2・カイジワンナウツ脚本。

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極冠族の襲撃で、ジョウは手練の戦士・ダミアンと出会う(この時点で名は知らない)。格闘の最中、二人は崖から落ちるも、ジョウは咄嗟にダミアンの手を掴み助ける(特徴:手を握れば友情が生まれる)。また、「勘違いするなよ」 など、会話や雰囲気がbl天然燃料(特徴)。

というわけで、また増えた、手から手へ想いを伝えるシリーズ。新しい仲間・ダミアンとの友情の始まり。また、襲われたのに助けてしまうお人好しはカイジにも通じる。

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下記は以前集めた、手から手へ想いを伝える場面集。忍者マン一平監督、ど根性ガエル演出、ジョー2脚本、カイジシリーズ構成、ワンナウツ脚本。

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結局ジョウは極冠族に捕まり、牢に入れられる。そこで族長に会うが、これがまた、カイジの会長ぽい。杖ついてるし。裏切られ続けたから簡単には人を信用できないと、言うことも兵藤と似通う。ただし族長は、根はいい人。

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一方敵軍は極冠へ攻撃をかけてくる。最中、ダミアンはジョウを牢から出す。悪い人間には見えないから、との談。ただし族長の悪口は許さないと釘を刺す。その真剣な目を察してジョウもそれを理解(特徴:目と目で通じ合う) 。

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上記画像下段はルパン三世3期6話脚本。こちらも、黙っていても手や表情で通じ合う。その間、しばし間が発生する(特徴)。これはアイコンタクトや、黙って連携が必須なアカギ・カイジにも通じて行く。

ジョウとダミアンは戦火の最中に爆風を受け、その際ジョウをかばったダミアンは負傷(特徴:年上が体を張る)。

また増えた、年上負傷またはダウン→主人公が優しく介抱するシリーズ。画像は今回とカイジのシリーズ構成、ルパン3期脚本。

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ジョウとダミアンは母艦エル・シャンクに何とか辿り着き、ジョウは搭乗ロボである黒獅子に乗り戦う。ピンチになると、この時点は自律ロボである飛影が助けに来て無双(ノルマ)。おかげで敵は撤退。
ダミアンは幸い軽傷で、ジョウとダミアンは礼を言い合う(特徴:義理人情)。

一方、極冠族の族長はジョウ達エル・シャンク側への態度を軟化し、人手を貸すことを約束。しかし、修理後出ていってもらうと念押しする。だがダミアンとジョウの友情は深まり、互いに握手する(特徴)。一方ナレはブリザードが人の行く手を阻む…と告げる(特徴:自然=キャラ)。

  • まとめ

やはり「おっ」と思ったのは、手と手を握ることでジョウとダミアンに友情が芽生えるところ。ラスト直前も二人の握手のアップの間(特徴)。

あと、またしても何かキャラ達が幼く可愛くなるところ。もともと、ジョウ達3人は意外にコミカルだが、さらに可愛く幼くなった感じ。

最後のナレの、「人間の行く手を阻むようにブリザードは荒れ狂った」は、特徴である、自然=キャラである他に、同氏演出「家なき子」で何度もレミ達の行く手を阻んだ雪や吹雪を彷彿とさせる。また、雪中戦闘が未来作のXMEN脚本につながる。

飛影という作品は、戦闘中はとにかく台詞が少ない。また、ピンチになると主役3メカと飛影はアイコンタクトを取り、飛影は黙って合体してくれたり助けてくれたりする(中盤以降はジョウが飛影に搭乗)。もの言わぬ無機物をキャラとする高屋敷氏の作風とは相性がいいかも。

この話の肝は、仲間となるダミアンの初登場。何故ジョウとダミアンが仲良くなったかを、言葉でなく行動や目、手等が「語る」のが非常に高屋敷氏らしい。また、元祖バカボン演出や監督作の忍者マン一平など、シンプルなギャグものにシリアスドラマの元ネタがあるのも面白い。