カイジのシリーズ構成・高屋敷英夫さんの軌跡

アニメカイジのシリーズ構成・高屋敷英夫さんに興味を持って調べてみたら、膨大な量の担当作があることがわかりましたので、出来る限り同氏担当作を追跡しています。ツイッターアカウントは@makimogpfbです。

オヨネコぶーにゃん2A話脚本:金と罰

アニメ『オヨネコぶーにゃん』は、市川みさこ氏の漫画をアニメ化した作品。
ゆでた家に押しかけた、ふてぶてしい猫・オヨヨ(ぶーにゃん)を中心にしたギャグが繰り広げられる。
総監督:笹川ひろし氏、監督:葛岡博氏、シリーズ構成:金子裕氏。

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本記事を含む、当ブログの、オヨネコぶーにゃんに関する記事一覧:

https://makimogpfb2.hatenablog.com/archive/category/%23%E3%82%AA%E3%83%A8%E3%83%8D%E3%82%B3%E3%81%B6%E3%83%BC%E3%81%AB%E3%82%83%E3%82%93

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  • 今回の話:

サブタイトル:「追い出し作戦」

演出/コンテ:増田光昭氏、脚本:高屋敷英夫氏。

アニメオリジナルエピソード。数々のオヨヨの蛮行に辟易した、たまご(オヨヨの飼い主)と、うずら(たまごの弟)は、なんとかオヨヨを追い出そうとする。

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オヨヨは、たまご(オヨヨの飼い主)のベッドに勝手に入り込んだ上、おねしょしたため、たまごに叱られる。無邪気(?)に眠りこける場面は、ストロベリーパニックカイジ2期(脚本)ほか、しばしば見られる。

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さらにオヨヨは、たまごの歯ブラシで歯磨きをし、たまごを怒らせる。歯磨き場面は、じゃりン子チエグラゼニ忍者戦士飛影(脚本)ほか結構あり、高屋敷氏の癖が感じられる。

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そしてオヨヨは、炊飯器のご飯を食べつくし、たまご達は朝食にありつけず。
食いしん坊描写は、忍者マン一平(監督)、ルパン三世3期・あんみつ姫(脚本)ほか、実に多い。

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しまいにオヨヨは、たまご達のおやつ(ケーキ)を食べ尽くしてしまい、たまごを激怒させる。ここも、元祖天才バカボン(演出/コンテ)、あしたのジョー2・チエちゃん奮戦記(脚本)ほか頻出の、食いしん坊描写。

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このままでは食費が嵩むので、小遣いを減らすとママ(たまごの母)から言われた、たまご・うずら(たまごの弟)は、オヨヨを箱に入れ金持ちの家に投げ込む。二人は握手するが、握手するのは、ルパン三世2nd・MASTERキートン(脚本)ほか、色々な作品に見られる。

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その後、オヨヨはガラス修理業者と共に帰ってきて、ママは、金持ちの家のガラス修理代を払う羽目に。たまご・うずらは、更に小遣いを減らされる。
修理業者に味がある。あしたのジョー2・めぞん一刻カイジ2期(脚本)ほか、個性あるモブは多い。

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たまご・うずらは、今度はオヨヨを遊園地に置き去りにする。だが、オヨヨはタクシーで帰ってきて、ママはタクシー代を立て替える羽目になり、たまご・うずらの小遣いは更に差し引かれる。知略(?)のぶつかり合いは、ルパン三世2nd(脚本)やカイジ2期(脚本)的なテイストがある。

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たまご・うずらは、追い出し作戦なんて浅はかだったと反省。オヨヨは、和解の印とばかりに、たまご・うずらに焼き芋を分け与える。飯テロは本当に多くの作品に見られる。コボちゃんカイジ2期・グラゼニアンパンマン(脚本)と比較。

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和解に向かうかと思われたオヨヨと、たまご・うずらだったが、焼き芋代が、たまご・うずらの貯金箱から出されたことが判明。たまご・うずらは、オヨヨを追いかけ回すのだった。ワンナウツカイジ2期・グラゼニルパン三世2nd(脚本)ほか、金が絡む話は多い。

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  • まとめ

 本作は30分内3話構成なので、1エピソードの尺は7分弱しかない。なのに、話がまとまっていて短さを感じさせない。高屋敷氏含め、脚本陣の技術の高さが光る。

 たまご達がオヨヨを追い出そうと決意するのは、「食」の恨みが積み重なり、更には小遣いを減らされる危機に陥ったからであるが、高屋敷氏が「食」と「金」について長年取り組んでいることを考えると、面白いところ。

 どんな理由にせよ、ペットを捨てるのは犯罪なので、たまご達は、オヨヨを捨てようとする度にオヨヨの反撃にあい、小遣いを減らされる羽目になる。道徳的な「罰」が「金」というのも、高屋敷氏が、「金」について強調する事が多いのを思うと興味深い。

 一瞬だけだが、和解の印が「焼き芋」なのもまた、飯テロがライフワークと言ってもいい高屋敷氏の、腕の見せ所。「皆で(=孤独でない)」「おいしいものを食べる」ことで、「笑顔」が広がる──この大切さは、同氏が何十年と訴えてきたことなので、感慨深い。

 とはいえ、焼き芋の代金の出所が、たまご・うずらの貯金箱なのがわかると、結局ケンカになる。ちょっとシビアな余韻を残すのは、色々な高屋敷氏の担当作に見られるので、同氏らしい構成と言える。細かいことだが、多段オチも多い。

 それにしても、縁が縁を呼ぶのか、「金」にしろ「食べ物」にしろ、過去から現代に至るまで、それらが高屋敷氏の担当作に大きく絡んでいることに感銘を受ける。「人間」を追及するにあたり、同氏が重視していることなのかもしれない。

 あと、7分弱という短い尺を、きっちり使いきっているのも凄い。高屋敷氏の脚本やシリーズ構成は非常にシステマチックだが、その本領が発揮されている。

 システマチックといっても、決して冷たいテイストではないのもまた、高屋敷氏の特徴(シビアな所もあるが)。訴えたいものは熱いが、そのための技術は緻密で、決して感情的で一人よがりなものにはならない。そのあたりも、プロの妙技を感じさせるのである。