カイジのシリーズ構成・高屋敷英夫さんの軌跡

アニメカイジのシリーズ構成・高屋敷英夫さんに興味を持って調べてみたら、膨大な量の担当作があることがわかりましたので、出来る限り同氏担当作を追跡しています。ツイッターアカウントは@makimogpfbです。

オヨネコぶーにゃん14B話脚本:点と点を結ぶ話作り

アニメ『オヨネコぶーにゃん』は、市川みさこ氏の漫画をアニメ化した作品。
ゆでた家に押しかけた、ふてぶてしい猫・オヨヨ(ぶーにゃん)を中心にしたギャグが繰り広げられる。
総監督:笹川ひろし氏、監督:葛岡博氏、シリーズ構成:金子裕氏。

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本記事を含む、当ブログの、オヨネコぶーにゃんに関する記事一覧:

https://makimogpfb2.hatenablog.com/archive/category/%23%E3%82%AA%E3%83%A8%E3%83%8D%E3%82%B3%E3%81%B6%E3%83%BC%E3%81%AB%E3%82%83%E3%82%93

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  • 今回の話:

サブタイトル:「プールで初泳ぎ」
コンテ/演出:野田作樹氏、脚本:高屋敷英夫氏。

原作にもあるエピソード。
プールに遊びに行った、たまご(オヨヨの飼い主)達に勝手についてきたオヨヨは、監視員に目をつけられる。

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たまご(オヨヨの飼い主)と、うずら(たまごの弟)は、近所にオープンしたプールに行く準備をする。原作はプールの場面から始まるが、アニメでは順序立てている。高屋敷氏は、情報をアニメオリジナルで補完するのが上手い。

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たまご、うずら、たまごの同級生のモンブランひなぎく、そして無理矢理ついて着たオヨヨは、プールに到着。太陽の「間」があるが、こういった「間」はよくある。らんま1/2(脚本)、まんが世界昔ばなし・元祖天才バカボン(演出/コンテ)と比較。

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ひなぎくモンブランは、きちんと準備運動をする(アニメオリジナル)。子供のためのフォローや、教育的要素は、マイメロディ赤ずきんアンパンマン・怪物くん(脚本)などで時折見られる。

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オヨヨは女装し、猫だとバレないようにする。だが監視員は、オヨヨを見て怪しむ。原作通りだが、ルパン三世2nd(演出/コンテ/脚本参加)やアンパンマン(脚本)ほか、高屋敷氏は変装ネタに縁がある。

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結局女装はバレて、監視員達はオヨヨを探す。それを嘲笑うかのように、オヨヨは監視員の背後に隠れる。原作通りだが(台詞は色々足されている)、人をおちょくるキャラは、元祖天才バカボン(演出/コンテ)やアンパンマン(脚本)でも印象深い。

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水中に監視員達を誘い込んだオヨヨは、カエルをけしかける(アニメオリジナル)。カエルといえば、高屋敷氏は、ど根性ガエル(演出)や新ど根性ガエル(脚本)のスタッフ。

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たまごは、オヨヨを匿うため、オヨヨの体に空気を入れて膨らまし、ボールにカモフラージュさせる。原作ではボコボコに殴って丸くするのだが、ここも高屋敷氏なりの理屈と配慮が見られる。

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ボール状になったオヨヨは彼方に飛ばされ、色々とぶつかり、さらに練習中の空手家に飛ばされる(アニメオリジナル)。空手家といえば、高屋敷氏は空手バカ一代(演出/コンテ参加)のスタッフ。

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一周回って再びプールに戻ったオヨヨは、監視員に抵抗して、プールの栓を掴む。すると栓が抜け、結果、オヨヨと監視員は海に流されるのだった(アニメオリジナル)。漂流ネタは、ガンバの冒険(脚本)にもあり、それと重なってくる。

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  • まとめ

 相変わらず、色々な物事の理屈づけ・順序づけが上手く、情報が整理されている。あしたのジョー2(高屋敷氏脚本陣)でも、原作の点と点を結ぶような、アニメオリジナルの補完が多いが、それを彷彿とさせる。

 上からの指示かもしれないが、原作の暴力要素が極力排除されている。原作だと、監視員達が銃火器を持ち出すが、それもうまくカットされている。というか高屋敷氏は、理屈に合わないギャグを好まない傾向があるのかもしれない。

 今回も、原作が短すぎるため、アニメオリジナルで話を膨らます必要がある。原作は、オヨヨがボールに擬態させられて終わりだが、アニメでは、その続きが描かれている。多段オチは、コボちゃんあんみつ姫(高屋敷氏脚本陣)でも、よく使われている。

 ギャグは作り手の心身を削るとよく言われるが、その分、作り手の素の部分が出やすいのかもしれない。本作の高屋敷氏脚本回を見ていくと、過度の暴力や理不尽なギャグを好まない、同氏の癖みたいなものが見えてきて面白い。

 これを踏まえると、ギャグでもシリアスでも、高屋敷氏は、理屈をとことんまで突き詰め、理屈に合わないことには理屈を作り出さずにはいられないのではないかと思う。

 そう思うと、アカギ・カイジワンナウツ のシリーズ構成・脚本を高屋敷氏が務めたのは運命的。これらの作品は、それこそ物語の細かい「理」が必要で、徹底した情報管理が求められる。まさに適任だと思う。

 本作の1エピソードは7分弱と短いのだが、そこに詰め込まれたものは大きい。特に、ギャグに対する各スタッフの姿勢を通じて、それぞれの作家性を窺い知ることができるのは、大きな収穫だと感じた。