カイジのシリーズ構成・高屋敷英夫さんの軌跡

アニメカイジのシリーズ構成・高屋敷英夫さんに興味を持って調べてみたら、膨大な量の担当作があることがわかりましたので、出来る限り同氏担当作を追跡しています。ツイッターアカウントは@makimogpfbです。

コボちゃん9B話脚本:訴える力

アニメ『コボちゃん』は、植田まさし氏の4コマ漫画をアニメ化した作品で、幼児のコボを中心にしたファミリーコメディ。
監督:森田浩光氏、シリーズ構成:城山昇氏。

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本記事を含む、当ブログの、コボちゃんに関する記事一覧:

https://makimogpfb2.hatenablog.com/archive/category/%23%E3%82%B3%E3%83%9C%E3%81%A1%E3%82%83%E3%82%93

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  • 今回の話:

サブタイトル:「火の用心パレード」
コンテ/演出:新田義方氏、脚本:高屋敷英夫氏。

寒さが厳しくなるなか、コボが初めての夜回りに挑戦する。

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火事のニュースを見て、火事に気をつけたいと言う岩夫(コボの祖父)であったが、自分が煙草の不始末を起こしてしまう。煙草の「間」があるが、煙草の意味深描写は多い。グラゼニカイジ2期・ワンナウツめぞん一刻(脚本)と比較。

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夜、岩夫と耕二(コボの父)は晩酌を楽しむ。美味しそうな飲酒シーンは数多くの作品に出てくる。チエちゃん奮戦記・カイジ2期・アカギ・グラゼニ(脚本)と比較。

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すると、夜回りの声が聞こえてくる。耕二は、子供の頃、雪の中夜回りをしたことを話す。高屋敷氏は岩手県出身のためか、あしたのジョー2・ハローキティのおやゆびひめ・じゃりン子チエ(脚本)、まんが世界昔ばなし(演出/コンテ)ほか、冬の厳しさを強調する。

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コボは夜回りをしたがるが、まだ早いと皆に言われる。
翌日コボは、羊羹を使い夜回りごっこする。そんな中、床屋の大芝が、夜回りの代打を探していることを知り、岩夫は(コボ含め)それに志願する。ここは、じゃりン子チエ(脚本)のようにテンポがいい。

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そして当日、コボ・耕二・岩夫・竹男(コボの親戚。コボ一家と同居中)は夜回りを開始する。墓場を通りかかった一行は、物陰にびびるが、正体は猫。猫が話のスパイスになるのは、RIDEBACK(脚本)や、ど根性ガエル(演出)ほか結構印象に残るものが多い。

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次にコボ達は、おでん屋台の前を、欲望をこらえながら通過。おでん屋は、高屋敷氏が初めてクレジットされた(制作進行)、あしたのジョー1の53話をはじめ、新ど根性ガエル(脚本)や、元祖天才バカボン(演出/コンテ)などにも出る。

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夜回りするコボの声を聞き、コボの友達が続々と夜回りに参加。仲間達が集って温かい雰囲気になるのは、ど根性ガエル(演出)、元祖天才バカボン(演出/コンテ)ほか、数々の作品で強調されている。

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早苗(コボの母)とミネ(コボの祖母)は、夜回りを続けるコボ達と外で話している間に、作っていた甘酒を吹きこぼしてしまう。高屋敷氏といえば飯テロだが、あしたのジョー2(脚本)や元祖天才バカボン(演出/コンテ)など、飲食物が台無しになる場面も丁寧。

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コボの友達を送っていたため、すっかり遅くなったコボ達は、(失敗した甘酒の代わりに)一家で屋台のラーメンを食べることに。飯テロは実に多い。
グラゼニ・F-エフ-(脚本)、元祖天才バカボン(演出/コンテ)、じゃりン子チエ(脚本)と比較。

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熱々のラーメンを口にし、口の中が火事だと騒ぐコボに、皆は「火の用心」と言うのだった。アンパンマングラゼニおにいさまへ…カイジ2期(脚本)などなど、食べ方や台詞で飯テロを強める描写も頻出。

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  • まとめ

 とにかく飯テロである。高屋敷氏は本当に「食」にこだわるが、「なぜ美味しそうに感じるのか」の組み立ても凄い。特にアンパンマン(脚本)では、「食」を中心にした話が多く、同氏の剥き出しのこだわりが出ている。

 また、おでんに対する思い入れも感じられる。やはり、あしたのジョー1で、初めてクレジットされた回(制作進行)の思い出が強いのではないだろうか。そこから思うに、高屋敷氏は自身の仕事をしっかり覚えているタイプと考えられる。

 「食」が生きとし生けるものにとって非常に重要であり、皆で食べれば絆が深まるというメッセージは、ありとあらゆる高屋敷氏の担当作に込められている。何度か書いているが、もうこれは同氏のライフワークと言える。

 今回は、言ってしまえば、コボが夜回りに挑戦するというシンプルな筋立てなのだが、寒い思いをした後に温かい食べ物(ラーメン)を食べるのは格別だというのが伝わってくる。本当に高屋敷氏は、「食」を中心に話を構成するのが上手い。

 あと、気になってきたのは、高屋敷氏の「冬」に対する姿勢である。北国(岩手県)出身の同氏は、冬の厳しさ、美しさ、恐ろしさなどを訴えたい思いがありそうだ。また、同氏のインタビュー記事などから、郷土愛の強さも窺える。

 本作の原作は4コマ漫画なので、当然、アニメにするには肉付けが必要になり、そのあたりに脚本家の技量や個性を観測することができる。案の定というか、高屋敷氏の場合は「食」に対する思いが前面に出ていて面白い。

 自身の訴えたいものをどのように伝えていくかは人それぞれだが、高屋敷氏は、綿密に計算して構成していくタイプ。思いは熱く強烈だが、それを出していく手法は冷静で、そのあたりも職人技だと、つくづく思う。

 食へのこだわりということで、以前書いたこちらも紹介:

アンパンマン高屋敷氏脚本回に関するブログ記事一覧↓

https://makimogpfb2.hatenablog.com/archive/category/%23%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%83%91%E3%83%B3%E3%83%9E%E3%83%B3