カイジのシリーズ構成・高屋敷英夫さんの軌跡

アニメカイジのシリーズ構成・高屋敷英夫さんに興味を持って調べてみたら、膨大な量の担当作があることがわかりましたので、出来る限り同氏担当作を追跡しています。ツイッターアカウントは@makimogpfbです。

コボちゃん15A話脚本:キャラを肉付けする手段

アニメ『コボちゃん』は、植田まさし氏の4コマ漫画をアニメ化した作品で、幼児のコボを中心にしたファミリーコメディ。
監督:森田浩光氏、シリーズ構成:城山昇氏。

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本記事を含む、当ブログの、コボちゃんに関する記事一覧:

https://makimogpfb2.hatenablog.com/archive/category/%23%E3%82%B3%E3%83%9C%E3%81%A1%E3%82%83%E3%82%93

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  • 今回の話:

サブタイトル:「受験生4泊5日」
コンテ/演出:小林孝志氏、脚本:高屋敷英夫氏。

親戚の末男が、大学受験のためコボの家に泊まりに来る。

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四国にいる親戚の末男が、大学受験のため、コボの家に泊まりに来ることに。末男の勉強には、コボの部屋が使われることになり、コボは迷惑顔。
ここは展開がスムーズ。高屋敷氏の、テンポ良い話運びが見られる。

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受験のための体力をつけるため、ミネ(コボの祖母)は末男にステーキを出し、コボは羨ましがる。飯テロは実に多い。カイジ2期(脚本)、元祖天才バカボン(演出/コンテ)、はじめの一歩3期・グラゼニ(脚本)と比較。

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末男は3校しか受験しないことがわかり、皆は心配する。
末男のためにケーキが出されているが、ここも定番の飯テロ。RIDEBACKアンパンマン・怪物くん・おにいさまへ…(脚本)と比較。

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1校目の受験日当日、末男を送り出した後、緊張が解けた早苗(コボの母)はだらける。
おにいさまへ…(脚本)、エースをねらえ!(演出)、ストロベリーパニック怪物王女(脚本)ほか、高屋敷氏は女性の素の部分の描写が上手い。

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末男は、遅くに帰ってきて、試験の出来が悪かったので原宿に寄ったと言ってお土産を出し、コボにもロボットのおもちゃをあげる。
ちなみに高屋敷氏は、忍者戦士飛影・太陽の使者鉄人28号RIDEBACK・1980年版鉄腕アトム(脚本)などのロボットアニメに参加している。

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岩夫(コボの祖父)らは、末男の土産のクッキーをつまみながら、末男を心配する。ここも飯テロ。マイメロディ赤ずきんストロベリーパニックおにいさまへ…(脚本)、ガイキング(演出)ほか、クッキー描写は多い。

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末男は、気分転換が必要だとして、コボと楽しく遊ぶ。
めぞん一刻(脚本)、ガイキング(演出)、じゃりン子チエあしたのジョー2(脚本)ほか、子供との交流が上手いキャラの描写は結構印象に残る。

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末男の2校目の受験日、クレヨンを探して(末男に貸している)机の引き出しを開けたコボは、首都圏のガイドブックを大量に発見。ミネらは訝しむ。
ここも流れるように話が進み、作りが上手い。

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末男はまたも遅く帰ってきて、今度も試験の出来が悪く、横浜に行ってきたと話す。
早苗は呆れ、腹を立てながら皿洗いをする。皿洗いと心情をリンクさせるのは、めぞん一刻おにいさまへ…(脚本)ほか結構見られる。

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末男の3校目の受験日、岩夫は、変装し末男を尾行。すると、末男は試験に向かわず、友達と合流し観光しようとしていた。怒った岩夫は、持っていた新聞を握る。
おにいさまへ…RIDEBACKストロベリーパニックワンナウツ(脚本)ほか、手による感情表現は頻出。

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岩夫は末男を叱る。末男は大学に行く気がなく、親の手前適当に受験したと白状。それをミネ・早苗・コボも立ち聞き。クッキーを食べるコボを、早苗は諌める。元祖天才バカボン(演出/コンテ)、めぞん一刻番外編・アンパンマンガンバの冒険(脚本)ほか、食いしん坊描写は多い。

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そして、末男が四国に帰る日になる。末男は、帰りは友達と大阪観光する予定だと、悪びれもせずに言う。
今回はコメディだが、めぞん一刻おにいさまへ…(脚本)ほか、別れの場面は印象的に描写される。

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後日、末男からの手紙が岩夫に届く。それによると、東京に魅了されたので、来年は本腰を入れて受験するから、来年も厄介になるとのこと。コボだけが喜ぶのだった。
めぞん一刻カイジ2期・F-エフ-(脚本)、宝島(演出)ほか、手紙は重要アイテムとして扱われる。

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  • まとめ

 なんともクズ行動をする末男だが、カイジ(高屋敷氏シリーズ構成・脚本)や元祖天才バカボン(同氏演出/コンテ/脚本参加)ほか、高屋敷氏は、いわゆる“クズ”描写に秀でるところがある。作品によっては、そこから成長や変身をするときのギャップの見せ方も上手い。

 また、末男のクズな面だけでなく、コボの遊び相手になるのが上手い面なども強調され、どこか憎めないようになっている。カイジ(高屋敷氏シリーズ構成・脚本)や宝島(同氏演出陣)などもそうだが、高屋敷氏は、人間の色々な面を描くのが上手い。

 あと、ところどころの飯テロが、やはりなんとも(食にこだわる)高屋敷氏らしい。そんな中、末男の土産のクッキー(口止め料の意味がある)を食べるなと、早苗がコボを諌めるのは、単なる食いしん坊ではないというプライドが感じられる。

 ところで、末男のクズな面と、子供の扱いが上手い面、クズ行動を悪びれもしない面、これがまんま当てはまるのが、じゃりン子チエ(高屋敷氏脚本陣)のテツ(チエの父)である。
高屋敷氏は、テツについても憎めないキャラとして「魅せて」おり、その手腕は凄い。

 趣向は少々違うが、グラゼニ(高屋敷氏シリーズ構成・全話脚本)においても、高屋敷氏は、三枚目であり、性格もそんなに聖人ではない夏之介(主人公)の魅力を十分に引き出す構成をしている。こちらの妙技も流石。

 F-エフ-(高屋敷氏シリーズ構成・全話脚本)でも、作中で「サイテー男」と言われる事が多い滅茶苦茶な主人公・軍馬を、魅力的に見せていく高屋敷氏の構成が凄い。こちらも、同氏の技術と才能が遺憾なく発揮されている。

 高屋敷氏の担当作を追っていると、つくづく同氏は、演出や脚本からの“キャラクターメイキング”が上手いと思う。アニメは作画が命といえど、作画以外の面(演出や脚本)から、キャラを肉付けするのも非常に重要だと気付かされる。

 総合芸術であるアニメにおいては、各セクションの技量の如何で、作品が大きく左右される。高屋敷氏の「作画以外から」キャラを形成していく技術を見ていると、アニメは作画「だけ」良くても駄目なのでは、という思いを強くするのである。