カイジのシリーズ構成・高屋敷英夫さんの軌跡

アニメカイジのシリーズ構成・高屋敷英夫さんに興味を持って調べてみたら、膨大な量の担当作があることがわかりましたので、出来る限り同氏担当作を追跡しています。ツイッターアカウントは@makimogpfbです。

ワンナウツ17話脚本:キャラの人間味

アニメ・ONE OUTS(ワンナウツ)は、甲斐谷忍氏原作の漫画をアニメ化した作品。謎めいたピッチャー・渡久地東亜の活躍を描く。監督は佐藤雄三氏(カイジ監督)で、シリーズ構成が高屋敷英夫氏。
今回のコンテは横山彰利氏で、演出が佐々木奈々子氏。そして脚本が高屋敷氏。

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  • 今回の話:

巨砲・ロドリゴや、強力なリリーフ投手のウィリアムスを擁する球団・ブルーマーズに大逆転され、リカオンズ(謎めいた投手・渡久地が属する球団)は3連戦の初戦を落とす。渡久地は、ブルーマーズが行っているイカサマを見抜いていき、リカオンズの皆に発破をかける。

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ブルーマーズ(球団名)に追い付かれたリカオンズ(謎めいた投手・渡久地の属する球団)は、敵軍の抑えの切り札・ウィリアムスのナックルに翻弄され、今井(リカオンズ遊撃手)も三振。今井は原作より目立ち、モノローグがアニメオリジナルで追加されている。高屋敷氏は脇役やモブを引き立たせる傾向があり、それはF-エフ-・ガンバの冒険(脚本)にも見られる。

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児島(リカオンズのベテラン天才打者)は、次に来るウィリアムスの球種を読むが、それでもナックルがえぐく、打てずに終わる。それを見て、出口(リカオンズ捕手)や今井は戦慄する。ここでも、アニメオリジナルで今井(下記画像の奥側)の台詞が追加されており、原作より少し目立っている。

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試合は同点のまま9回裏に。三原(リカオンズ監督)は、延長戦になれば、渡久地を温存している自軍が有利だと考える。三原のモノローグはアレンジされており、愛嬌が付加されている。可愛い中高年キャラは、宝島(演出)やルパン三世2nd(脚本)ほか、多くの作品で目立つ。

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出口の熟考虚しく、ブルーマーズはヒットを重ねて無死1・2塁とする。この3連戦を負け越したら年俸50%カットだと彩川(リカオンズオーナー)から言われている三原は、「下位だぞ?抑えろよ~抑えてくれ~頼む!」と焦る(アニメオリジナル)。似たような、連呼を絡めた言い回しは他作品にも見られるので、高屋敷氏の癖かもしれない。

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そしてブルーマーズは、まるで出口のサインを読んだかのようなヒットでサヨナラ勝ちする。三原はショックで「あっちょんぶりけ」(手塚治虫氏漫画のリアクション)と叫ぶ(アニメオリジナル)。同じようなリアクションはグラゼニ(脚本)にもアニメオリジナルで入っており、気になるところ。

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試合後、リカオンズの面々は意気消沈する。渡久地が使っている灰皿が映るが、状況と連動する煙草の「間」はよく使われる。F-エフ-・めぞん一刻・アカギ(脚本)と比較。

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渡久地は、ウィリアムスのナックルはインチキなので誰でも投げられると言い、今井と藤田(三塁手)は驚く。二人の台詞がアニメオリジナルで追加されており、愛嬌がある。おにいさまへ…グラゼニ(脚本)でも、色々と脇役に味がある。

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渡久地は、インチキナックルの実践をするから外に出るよう、皆を促す。
ここでも、煙草を握りつぶす手と、灰皿の「間」がある。とにかく煙草を使う表現は多い。あしたのジョー2・カイジ2期・めぞん一刻(脚本)と比較。

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「俺が見せてやる。奴の魔球の正体をよ」と渡久地は宣言。この台詞は、原作ではもう少し後。アニメでは、Aパートを綺麗に終わらせるために、前倒しでこれを持ってきた上、少しアレンジしている。高屋敷氏は、パート区切りや次回へのヒキが上手い。

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外に出た皆の前で、渡久地は「インチキナックル」を投げてみせ、そしてウィリアムスの投球の不自然さを解説する。
それを聞く児島は悔しさを滲ませながら拳を握り、渡久地はそれを見る(アニメオリジナル)。児島と渡久地の関係は、アニメのシリーズ構成上、非常に重視されている。

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渡久地は、釘が刺しこまれた球を見せ、重心がずれた球なら揺れると話す。今井と藤田は、こんな球は試合に使えないだろうと呑気に反論するが、児島に一喝される。
今井と藤田の台詞はアニメオリジナルで、ここでも二人が目立つ。おにいさまへ…(脚本)でも、脇キャラが目立っていた。

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ブルーマーズは、実際は注射器などで球に細工し、非常に巧妙にイカサマをしているのだろう…という渡久地の話を聞き、出口達はウィリアムスをぶん殴ってでもイカサマを吐かせる…と怒りをあらわにする。ここも今井・藤田(画像下段)が原作より目立つ。

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暴力に訴えても、こちらが不利になるだけだと渡久地は出口達を制す。今井は怯み、藤田は、お前だって腹立つだろう…と渡久地に言う。やはりここでも、今井と藤田が原作より目立つ。

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どちらかといえば、いいように騙されたリカオンズ側に腹が立つ…と渡久地は冷ややかに言い放ち、イカサマだろうがなんだろうが、一旦通ってしまえば正義なのだと説く。原作通りだが、このあたりは長年、善悪は明確に区別できない事を強調してきた高屋敷氏のポリシーとマッチ。

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「いい加減目を覚まさねーか」と、渡久地は皆を一喝する。背中を見せるのはアニメオリジナル(原作は表情を見せている)。意味深に背中を見せる描写は、要所要所にある。グラゼニ(脚本)、宝島(演出)、おにいさまへ…(脚本)と比較。

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舐められているから、イカサマをやられるのだ…と渡久地は皆に発破をかける(その証拠に、優れた動体視力を持つマリナーズの高見には、このイカサマは敢行されない)。飛行機が飛ぶ描写があるが、出崎統氏がよく使った演出で、高屋敷氏担当作にも見られる。ガンバの冒険おにいさまへ…あしたのジョー2(脚本)と比較。比較対象は、いずれも出崎統監督作品。

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出口は、自分達もブルーマーズに(騙し合いで)一泡ふかせたいと心情を吐露し、渡久地は煙草に火をつける。原作通りだが、ここも煙草表現の強調。RAINBOW-二舎六房の七人-・F-エフ-・めぞん一刻(脚本)と比較。

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騙し合いとは、相手の心に剣を突き立てることであり、勝つには気を緩めないこと、隙を作らないことが肝心だと渡久地は説く。それができれば自分がブルーマーズに「剣を突き立てる」と宣言するのだった。
集団が決起する瞬間は、カイジ・RAINBOW-二舎六房の七人-(脚本)など、色々な作品で印象に残る。

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  • まとめ

まず重要なのは、悔しさをにじませる児島を見る渡久地…というアニメオリジナル場面。
前回16話の、バーでの児島と渡久地の会話に引き続き、シリーズ全体の軸となる二人の関係を引き立たせている。

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児島は、渡久地をプロ野球に引き込んだ張本人である。一方渡久地は、児島との勝負の結果を厳粛に受け止め、一貫して(児島が渡久地に頼んだ)リカオンズ優勝を現実にするべく動いている。
アニメでは、ここを視聴者が忘れないように構成されている。

こういった主軸キャラをしっかり立たせた上で、今井や藤田といった脇キャラを原作より目立たせている。高屋敷氏の、モブや脇役に対する愛は相当深いのではないか?と、同氏担当作を見る度に思う。

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何故脇キャラを引き立たせるのかといえば、やはり高屋敷氏の野球経験(野球経験者であり、高校野球部の監督も務めた)に依るところが大きいと考えられる。野球は一人ではできないし、各々の役目がはっきりしているからである。

そう考えると、ガンバの冒険(脚本)やRAINBOW-二舎六房の七人-(シリーズ構成・脚本)で見せた、集団の中での個性を捌ききる能力も、野球経験に起因するものなのかもしれないと思えてきた。

野球アニメである本作やグラゼニ(シリーズ構成・全話脚本)は、高屋敷氏の才能の要である「キャラの掘り下げ」を大いに活かせる作品であると言える。実際、本作は直接脚本数が多く、グラゼニに至っては全話脚本である。同氏の意気込みが感じられる。

また、今井や藤田といった脇役だけでなく、レギュラーキャラである出口の掘り下げもぬかりがない。怒ったり、悔しがったり、心情を吐露したりと、色々な面を目立たせ、強調することで、人間としての彼に深みを持たせている。

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キャラの色々な側面を効果的に見せていく技術は、グラゼニ(シリーズ構成・全話脚本)でも使われていて、主人公である夏之介が怒ったり泣いたりする場面を非常に効果的に使っている。今回の場合は、渡久地が(珍しく)皆に熱く発破をかける場面を強調している。

グラゼニ(シリーズ構成・全話脚本)にしろ、本作にしろ、キャラの意外かつ多様な面を見せて「人間味」を持たせていく構成が、高屋敷氏は非常に巧み。感情を爆発させるキャラが多い(渡久地含む)今回は、それが強く表れていた。

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ワンナウツ16話脚本:構成の肝

アニメ・ONE OUTS(ワンナウツ)は、甲斐谷忍氏原作の漫画をアニメ化した作品。謎めいたピッチャー・渡久地東亜の活躍を描く。監督は佐藤雄三氏(カイジ監督)で、シリーズ構成が高屋敷英夫氏。
今回のコンテは坂田純一氏で、演出が矢嶋哲生氏。そして脚本が高屋敷氏。

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本記事を含めた、当ブログのワンナウツ関連記事一覧:

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  • 今回の話:

渡久地(謎めいた投手)は、今度対戦するブルーマーズ(球団名)がイカサマを巧妙かつ組織的に行っていることを見抜き、対戦を楽しみにする。
そしてリカオンズ(渡久地の属する球団)対ブルーマーズの3連戦が始まる…。

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バガブーズ(知将・城丘率いる球団)に勝利したリカオンズ(謎めいた投手・渡久地の属する球団)の面々は、酒を飲みつつ試合を振り返る。地味に今井(リカオンズ遊撃手)が目立つ。
高屋敷氏は脇役を目立たせる。らんま1/2(脚本)でも強烈だった。

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渡久地は、根本的にジョンソン(バガブーズの超俊足野手)には弱点があったと解説し、世界最速の陸上選手・ケリガンについて調べた事を語る。原作ではケリガン自身の長い解説が入るが、アニメではナレーションで上手くまとめられている。まとめの巧みさは、高屋敷氏の長所の一つ。

ケリガンについての解説が終わると、渡久地はグラスを置く。グラスはじめ、こういった「物」の「間」は数多い。おにいさまへ…グラゼニ・RAINBOW-二舎六房の七人-(脚本)と比較。

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つまり渡久地は、ジョンソンが筋肉を使う度に速度が落ちるのを上手く使ったのだった。

その後、リカオンズの面々は深酒をして眠りこける。原作通りだが、高屋敷氏の担当作には、キャラが無邪気に眠りこける場面が多々ある。ど根性ガエル(演出)、ワンダービートS・F-エフ-(脚本)と比較。

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児島(リカオンズの天才ベテラン打者)は渡久地と話し込む。渡久地は児島に、勝負というものと本気で向き合っているのかと問い、そんな程度ではぬるい、ペナントを獲れないと主張する。この会話は原作から改変され、シリーズ構成上、非常に重要なものになっている。高屋敷氏の構成の緻密さが窺える。

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後日、ホームでのリカオンズ対フィンガース(球団名)との2試合は雨で流れ、その間に三原(リカオンズ監督)は、指示を無視したことで彩川(リカオンズオーナー)から叱咤される。三原は、指をもじもじさせる。こういった仕草は度々見られる。カイジ2期(脚本)、宝島・エースをねらえ!(演出)と比較。

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彩川は三原に、今度のブルーマーズ(球団名)との3連戦では自由に采配していいが、勝ち越しできない場合は年俸を50%カットすると宣言する。
原作では、この場面はずっと後に回想として出てくる(アニメでは時間順)。器用な時系列操作は高屋敷氏の十八番。

一方、ブルーマーズとバガブーズの試合では、ジョンソンが負傷。それをテレビで見ていた渡久地と児島は、ブルーマーズが故意にジョンソンを潰したのだと悟り、気分が高揚した渡久地は缶を握り潰す。
手による感情表現は頻出。グラゼニおにいさまへ…(脚本)と比較。

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彩川は、とある人物と会食し、渡久地潰しを画策する。ここは、原作では大分後で、状況設定も異なる。これも高屋敷氏が得意とする、大胆な時系列操作。
ここでも、意味深にグラスが映る。RAINBOW-二舎六房の七人-・F-エフ-・忍者戦士飛影(脚本)と比較。

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そしてリカオンズの面々は、ブルーマーズとの試合に備えてミーティングをする。
色々と、リカオンズの選手達の無邪気さと幼さが強調されている。高屋敷氏は、キャラの幼さを引き出す。これは初期の、ど根性ガエル(演出)から見られる。

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ミーティングにて、ブルーマーズの天堂監督についての解説があるが、新聞記事を絡めるのは、しばしば見られる。エースをねらえ!(演出)、1980年版鉄腕アトムグラゼニ(脚本)と比較。

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ナックルを得意とするブルーマーズ投手・ウィリアムスの情報を受けて、今井と出口(リカオンズ捕手)はナックルの打ちにくさを渡久地に説明する。ここも幼さの強調が見られる。これは、じゃりン子チエはだしのゲン2(脚本)でも目を引く。つまり年齢問わず子供っぽくなる。

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渡久地は居残り、ブルーマーズの動画を見て研究する。原作通りなのだが、映像やスライドを見て研究や説明を行う場面は、他の担当作にもあり、重なるものがある。エースをねらえ!(演出)、ルパン三世2nd(演出/コンテ)と比較。

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渡久地は児島に、ブルーマーズは組織的かつ巧妙なイカサマを行っていると語り、それを面白がる。児島のショットが色々あり、児島がシリーズ全体のキーキャラの一人で、渡久地との関係が強い事を印象づけている。このあたりも、高屋敷氏のシリーズ構成の妙を感じる。

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現在、渡久地とのワンナウツ契約(1アウト毎に渡久地に+500万円、1失点毎に渡久地が-5000万円)で42億円負け込んでいる彩川は、負けを消す方法のヒントが契約書にある…と及川(リカオンズ広報部長)に語る。ここも原作と場面配置が異なり、それが上手い。

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試合が始まり、進行のナレーションが入る。ボールを取るグローブのアップがあるのだが、グラゼニでも似たような場面がある。その他にも、グラゼニではグローブとボールを効果的に使っているのが目を引く。

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リカオンズは、3回の時点で9対2と大量リードし、リカオンズの面々は大喜び。
演出作のみならず、不思議だが(絵に関与できない)脚本作でも喜び方が幼く可愛くなる。怪物くん・1980年版鉄腕アトム(脚本)と比較。

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敵はイカサマをしてくるかもしれないから油断するなと児島は言うが、皆はそれが信じられず。児島は頭を抱える。原作通りだが強調されており、そして頭を抱える仕草は色々な作品に見られる。ワンダービートSあしたのジョー2・カイジ2期(脚本)と比較。

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児島の危惧が的中したのか、ブルーマーズは猛追撃を開始。
ロドリゴ(ブルーマーズ主砲)にHRを打たれて茫然とする出口の背中が映る。背中を印象付けるのは、要所要所に見られる。DAYS・グラゼニカイジ(脚本)と比較。

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そして8回裏、再びロドリゴの打席。序盤、出口はロドリゴを歩かせる方針だったが、B3-S1の時点で作戦変更し、内角高めでストライクを取ることにする。捕手の思考は、グラゼニ(脚本)でもじっくり描写された。

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だが、出口のサインを読んだかのように、ロドリゴは同点HRを放つ。
それを見た彩川は面白がり、三原は「やばい…やばい…やばいよ~」と動揺するのだった。この三原のモノローグはアニメオリジナル。
癖なのか、リズムを取るような連呼は、高屋敷氏担当作で多々確認できる。

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  • まとめ

今回、最も重要なのは渡久地と児島の会話。原作を大幅にアレンジして、アニメ版ラストへの伏線にしている。
本作は、序盤・中盤・終盤…と、「勝負」という言葉がキーになっており、シリーズ構成における、高屋敷氏の非常に緻密な計算が感じられる。

また、驚かされたのは時系列アレンジ。前述の通り、彩川と謎の人物の会話は、原作では大分後。こういった、原作では大分後に出る場面を前倒しで持ってくる技術は、RAINBOW-二舎六房の七人-やグラゼニのシリーズ構成でも炸裂していた。

この事から考えても、原作を単純に順序通りアニメ化すればいいわけではない事が見えてくる。高屋敷氏は、原作をアニメの尺に落とし込む事に長けるが、それは回ごとだけでなく、シリーズ全体にも言える。

つまり、アニメ全体で何を描いていくかの軸がしっかりしている。
児島の出番を原作より増やしたり、印象づけたりしているのは、その一環。このような「テーマに関する伏線」の設置も、実に上手い。

ワンナウツ」という作品は、原作もアニメも、金銭的・心理的駆け引きが楽しめるが、それだけではないウェットな部分がある。それが、原作ではじっくりと、アニメではしっかりとした計算に基づいて描かれている。決して「野球とカネ」だけの話ではない。

これはカイジグラゼニのシリーズ構成・脚本にも言えることで、カイジの場合は「カネとデスゲーム」だけの作品ではないし、グラゼニも「野球とカネ」だけを描いているわけではない。どちらも胸の奥底に響く、熱くウェットなものが根幹にある。

勿論、本作・カイジグラゼニの、テクニカルな側面は絶賛されるべきものだが、「それだけではない何か」があるからこそ名作たりえている。そこをアニメのシリーズ全体で引き出せるかどうかも肝なのではないだろうか。

恐ろしいことに、高屋敷氏はこういった「根幹にあるもの」を引き出すだけでなく、アニメのシリーズに収めるために「作り出す」ことがある。これはF-エフ-やグラゼニ(いずれもシリーズ構成・全話脚本)で顕著で、アニメ独自の最終回・テーマを出せている。

高屋敷氏は、原作の一番の肝をピックアップし(アニメ独自の追加や創出もある)、そのための構成を練ることに秀でていると言える。今回は、そういった「肝」の一部を見せている、非常に重要な回と言える。