カイジのシリーズ構成・高屋敷英夫さんの軌跡

カイジおよび福本作品、そのアニメが好きで、シリーズ構成の高屋敷英夫さんが、子供の頃からアニメのクレジットで凄くよく見る名前なので調べてみたものの膨大すぎてまとめきれなくなってきたので、自分のブログよりここに切り離してまとめることにしました。ツイッターアカウントは@makimogpfbです

1980年版鉄腕アトム13話脚本:「悪い心」の欠如

Togetterのバックアップです。修正や追加などで再構成しています。)

1980年版鉄腕アトムは、白黒の初代の後、1980年に制作された第二作目。
監督は、後にマクロス監督となる石黒昇氏。

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ロボット展覧会の目玉であるロボット・電光は、偏光で照らさない限り、透明で姿が見えない仕様の美しいロボット。
高屋敷氏特徴・「意思を持つ“物”が人知れず様々な事象を見ている」にマッチした設定。 

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そんな電光を、スカンクが狙う。煙草演出が渋い(特徴)。カイジ2期脚本と比較。色々な作品で、煙草が原作より目立つ。今回のはアニオリ。

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スカンクは、電光を盗むことに成功する。

そしてスカンクは電光に次々と悪事をさせる。原作では悪事の描写が長いが、映像で見せることで大幅に短縮。文字演出も使い、大胆に省略している。ジョー1脚本疑惑・アカギ・カイジ2期脚本と比較。

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更にスカンクは、ヒゲオヤジに電話をかけ挑発。そこで、ヒゲオヤジはスカンクを挑発し返す(特徴:知略)。逆上したスカンクは、電光を見せると言ってヒゲオヤジと待ち合わせの約束をする。煽りの上手いカイジ(脚本)に重なる。 

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ヒゲオヤジはスカンクとの待ち合わせ場所周辺に警官隊を配置。そこへスカンク一味と電光がやってくる。だが、作戦を知らないアトムが直情的にスカンク一味を攻撃し、作戦は台無し。直情的な義憤では勝てない…というメッセージは高屋敷氏の作品に多く出る。

作戦を台無しにしてヒゲオヤジに叱られたアトムは、自室にて落ち込む。そこへ、電光が訪ねてくる。先程戦った時に、アトムが人間と違うことに気付いたためだ。

アトムは、電光を街へ連れ出し、善悪の区別を教えようとする。街がクリスマス仕様なのはアニオリ。

電光は、アトムの指示で善行をする。帽子を拾ってかけ直すのは、ジョー1脚本疑惑・赤ルパン脚本に、男にしつこく絡まれる女性を助けるのは、ど根性ガエル演出に出てくる。この善行内容はアニオリ。
悲しいことに、人々は電光が透明なので恐がる。

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それでもアトムは電光をクリスマスパーティーに誘う。
パーティーに来た電光にアトムは、位置を確認するためのパーティーハットをあげる(特徴:その人に必要な贈り物)。監督作忍者マン一平でも、仲間を救う為に髪を失った一平にサンタが帽子をくれる。

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アトムから、電光がパーティーに来ることを聞いていたヒゲオヤジは、サンタに扮して発信機入りのペンダントをプレゼントし、電光にカラースプレーをかけ、何とか足だけは視認できるようにする(特徴:知略)。発信機作戦はルパン脚本にも出る。

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スプレーを嫌がった電光は逃走、スカンクの元へ戻る。
スカンクは、視認できるようになった電光を用無しと判断。時限爆弾を持たせ、ヒゲオヤジの元に向かえと命令する。爆弾を気に入った電光は爆弾を人に渡すのを嫌がるが、結局命令に従う(特徴:無邪気)。

一方、発信機によりスカンクのアジトを突き止めたアトム達は、スカンク一味を捕らえる。
その直後、お茶の水博士から、電光が爆弾を持ってアトム宅に現れたが逃走したという連絡が入る。
発信機はスカンクにより外されてしまったため、捜索は難航。

大々的な捜索の末、電光は筑波山麓にいると判明。
吹雪の中さまよう電光の姿が、家なき子演出や、じゃりん子チエ・MASTERキートン脚本と重なる。

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電光の進行方向には病院があり、このままでは大惨事を招くとして、警官隊はやむを得ず電光を電磁分解砲で破壊する。

電光は、雪山の中死んでしまうが、MASTERキートン脚本では、雪山の中、狙撃されたセミョーノフが生き残っている。

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アトムは「誰も恨みません…」と言うも、せっかく友達になれたのに…と悲しむ。
そして夜空に星が輝くのだった(特徴:一キャラクターとしての“天“。また、ここはアニオリ)。元祖天才バカボン演出と比較。

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  • まとめ

高屋敷氏特徴である、「無邪気さ」が、今回は悲劇を招く。
また、善悪の判断がつかない電光は、原作通りの設定ながら、同氏のテーマの一つ「善悪の区別は単純ではない」を色濃く押し出しやすいキャラクターとなっている。

元祖天才バカボンにおける高屋敷氏の演出や脚本では、パパの無邪気さが大惨事を招くことが多い。元祖天才バカボンはギャグで済むが、今回は深刻で、最悪の結果を招いてしまう。
無邪気さとは何なのかも考えさせられる作りになっている。

また、同氏がよく作品に込めるメッセージである「直情的な義憤だけでは勝てない。理も必要」が、今回も、アトムの義憤がヒゲオヤジの作戦を台無しにしてしまうという流れを印象づける事により出ている。

ヒゲオヤジがサンタに扮して電光に発信機をつけ、足に塗料を付着させる場面はアニオリ。
原作では、スカンクのアジトを見つけるのも、電光の足に塗料を塗るのもアトム。
アニメではヒゲオヤジにこれをさせる事で、大人と子供の差別化を図っている。

ヒゲオヤジは今回、挑発や煽り、知略、騙しテクニックなど、大人かつ人間ならではの策を使う。
対して、子供の心を持つアトムにはそれができない…ということが招く悲劇とも取れるように、今回の話は設計されているのではないだろうか。

勝負に勝つには義憤だけでなく知略や悪知恵も必要…という高屋敷氏のテーマは、ど根性ガエル演出、まんが世界昔ばなし脚本「きつねのさいばん」からアカギ・ワンナウツカイジ脚本&シリ構まで強く発せられているが、アトムには備わっていない機能。

原作序盤でも、スカンクが「アトムは完全じゃないぜ。なぜなら、わるい心を持たねえからな」と言っている。
高屋敷氏はこれを話の焦点にしているように見える。上記のスカンクの台詞は、アニメには無いが、話全体でそれが解る作り。

人間的な悪知恵や知略を使う事をヒゲオヤジに担当させる事により、アトムに備わっていないもの…すなわち「わるい心」が浮き彫りになっている。
そして、「人間とロボット」「大人と子供」の差が淡々と描かれている。どちらが悪いとも言わず…。

それを受けての、アトムの終盤台詞「誰も恨みません…」なのではないだろうか。原作通りだが、直後のお茶の水博士の台詞、「スカンクが悪いと思いたまえ」がアニメには無い。これにより、「善悪の区別は単純ではない」という高屋敷氏のテーマを出せている。

ちなみに、電光の声は菅谷政子さんで、エースをねらえ!のマキや、家なき子のレミと同じ声。エースをねらえ!家なき子も、高屋敷氏演出参加作。それも手伝い、今回の話が「保護者がいない場合のレミ死亡ルート」にも見える。

1980年版アトムは、原作の長い話を、超圧縮して1話で完結させるスタイル。
今回、幸いな事に原作との比較ができたが、「どこを省略し、どこを強調させるか」が見えた。それにより、同氏の提示するテーマが益々見えた回だった。

MASTERキートン26話脚本:太陽が照らす愛

 (Togetterのバックアップです。修正や追加などで再構成しています。) 

MASTERキートンは、かつて英国特殊部隊SASで活躍したキートンが、ある時は保険調査員として、またある時は考古学者として世界を周り、様々な事件に遭うドラマ。
今回の舞台は冬のドイツ東部・ライプツィヒ(旧東ドイツ)。

冒頭にて、高屋敷氏の演出や脚本によく出る、窓やランプ、物の意味深なアップ・間がある(特徴:物や自然をキャラと捉え、無言で語らせる)。下記画像はRIDEBACK脚本との比較。

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下記画像はジョー2脚本との比較。

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東ドイツの水泳選手で五輪の金メダリスト・ノイマンは、とある事情でホームレスとなり、ユーゴ内戦から逃れた難民達と、廃屋の中で暮らしていた。
ノイマンは生きる気力を失い、死にたがっていた。
ゲン2脚本の、死にたくても死ねない老人を思わせる。

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一方難民達は、故郷を追われて苦しいはずなのに、笑顔が絶えない。ノイマンは、それを不思議に思っていた。
難民達の笑顔は、はだしのゲン2脚本にて、原爆被害にあっても、たくましく生き、笑い合うゲン達と重なる。

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難民の子供・イリアは、よくノイマンに接してくる(特徴:ぼっち救済)。そんなイリアに、ノイマンは金メダルをあげる(特徴:贈り物)。
ジョー2脚本で、孤独に佇むホセに対して丈が話しかけ、それに応えてホセが折れたコインを渡す場面が思い出される。 

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難民達があたっている焚き火のアップが入るが、同氏演出・脚本とも火のアップ・間はよく出る。ど根性ガエル演出と比較。
まんが世界昔ばなしでは「動物達と火」という、「なぜ人類が火を使うようになったか」という話の演出までしている。

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ある日、雪だるまを作っていたイリアに、極右のスキンヘッド達が因縁をつけてくる。スキンヘッド達はユーゴ難民を差別しており、嫌がらせをしたり、暴力をふるったりする。
はだしのゲン2脚本でも、原爆で負った火傷のせいで、かつ子が差別を受ける。 

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そこにノイマンが来て、自分を殺せとスキンヘッド達に言う。自殺願望キャラは、同氏の演出・脚本によく出て、強く描写される。これも興味深いところ。
だがスキンヘッド達は、ノイマンの異常さに圧倒され、退散。ちょっと、カイジがチンピラを撃退する場面と比較してみた。

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イリアの親はノイマンに感謝するも、ノイマンは内心、死ねなかったことを惜しむ。
その後、難民達はユーゴ名物の、豚の血入りソーセージを焼く(特徴:飯テロ)。ここも、はだしのゲン2脚本の、皆で餅を焼く場面と重なる。どちらも苦境の中での楽しみ。 

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そこへ、キートンがやってくる。キートンは持ち前の人懐さで、すぐ難民達と打ち解ける。そして、共に酒盛りを始める。
一方、イリアはノイマンにもソーセージをあげる。
特徴の、「皆で食べるご飯は美味しい」。ど根性ガエル演出、カイジ2期脚本と比較。

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そんな折、またもスキンヘッド達が嫌がらせをしに来る。
外に出ていたノイマンとイリアは、再びスキンヘッドと対峙。スキンヘッドのリーダーは、イリアが持っていた金メダルを見て、ノイマンの正体に気付く。ノイマンは、金メダルを獲るも、ドーピングをしていたのだった(コーチが本人に知らせてはいなかったが)。

そんなノイマンに対し、スキンヘッド達は暴行を加えるが、キートンが難民達と共に、つららを武器にした組織戦を展開。スキンヘッド達を撃退する(特徴:知略)。
キートンは、ノイマンに敗れた銀メダリストのヴェンナーの依頼で、ここに来たことを明かす。

ヴェンナーは、ドーピング云々より、ノイマンの泳法を高く評価しており、一緒に水泳関係の仕事をしようと誘うつもりだった。
だがノイマンは、自分の体は薬の副作用でボロボロだからと言い、固辞する。
それでもキートンはヴェンナーを連れてくる。

だがノイマンは、何処かへ姿を消していた。
人知れず去ろうとするノイマンを、イリアが止めようとするが、ノイマンは聞かなかった。
この場面、不思議なことに、出崎演出(特徴)ぽく船が横切っていく(アニオリ)。ジョー2脚本と比較。他作品でも多い。 

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ノイマンの決意の固さを理解したイリアは、もらった金メダルを返そうとする。その拍子に、イリアは川へ落ちてしまう。
ノイマンはすかさず川へ飛び込み、イリアを助ける(特徴:体を張る年上男性)。ルパン三世3期脚本と比較。

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ドーピングで体がボロボロであるノイマンは、イリアを助けた後、自身が川へ沈んでしまう。

ノイマン臨死体験をし、そこで光を見る。天国へ行けると思ったノイマンだったが、その光は太陽だった。特徴の、「全てを見守る太陽」。ジョー2脚本でも、太陽が「見ている」。 

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ノイマンは意識を取り戻す。ヴェンナーに助けられていたのだった。そして、自分が生きていることを、涙を流して喜ぶ難民達に気付く。
ノイマンは、彼等が「家族」なのだと悟る(特徴:疑似家族)。
ゲン2脚本にて、老人を家族として迎えるゲン達と比較。

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ノイマンは、「家と家族を見つけた」と、ヴェンナーの誘いを丁重に断り、難民達と生きていくことにする。
そして、イリアと共に作った雪だるまに、金メダルがかけられたのだった。

  • まとめ

背景に戦争があることもあり、はだしのゲン2脚本を思わせるものが多々ある。
特に、はだしのゲン2の、死にたくても死ねない老人と、今回のノイマンが重なっていくのは面白い。

死にたくても死ねない…は鬱の症状の一つだが、「そっとしておく」という周囲の適切な対処も、ゲン2脚本と同じ。原作通りなのだが、ここの強調具合に、はだしのゲン2と通じるものがある。つくづく、はだしのゲン2脚本の、鬱病対処描写には驚かされる。

自殺願望者の描写は、ど根性ガエル演出、元祖天才バカボン演出時代にも、よく出てくる。以前書いたが、カイジ2期(脚本・シリ構)の、おっちゃんも自殺同然のことをする。
そして、それを止めるキャラクター達も印象的に描かれている。

じゃりん子チエにて、おバァはんが「寒くてひもじいと死にたくなるから、ご飯は食べよう」と言う名シーンがある回も、奇しくも高屋敷氏脚本回。今回、極寒の中で難民達がソウルフードを食べ、笑い合う事にも通じるものがある。

そして、あらゆる作品で出る「孤独は万病の源」が、今回も描かれている。そして、「孤独にさせない」ことが大切だと今回も説く。
ノイマンも終盤、自分が一人ではなく、家族同然の人々に囲まれていたことに気付く。

こういった、精神疾患と、その対処について強く描かれているのが高屋敷氏の作品の魅力だと感じるわけだが、やはりルーツは、脚本参加の、あしたのジョー(無記名の1も含む)における力石の死であるのでは?と考えている。丈も悩み苦しむが、一人ではない事に徐々に気付き、ジョー2最終回手前(高屋敷氏脚本)では、泪橋の皆が自分の心にしっかりといる事を自覚している。

また、今回「太陽」が活躍している。まんが世界昔ばなし「幸福の王子」演出では、王子と燕の魂が太陽に回収される。今回も、意識を取り戻したノイマンが目にしたのが太陽。原作より目立っている。
そして太陽が照らしたのは、ノイマンの「家族」である難民達。

監督作忍者マン一平EDでは、顔のついた太陽が出てきて、最終的に太陽の中に仲間達の顔が映る。
これを見るに、高屋敷氏にとって太陽がいかに重要なキャラクターであるかがわかる。また、太陽は万事を見て、時に真実を照らす、というメッセージも感じられる。

今回のサブタイは原作通りで、ズバリ「家族」。MASTERキートンは全話、原作と同じサブタイなのだが、疑似家族と、その家族愛を描いて来た高屋敷氏にはうってつけのサブタイと話になっている。

毎度、奇跡的に同氏が得意な要素が入っている原作が回ってくるような感じを受けるが、奇跡で片付けずに考えると、強調したい箇所やテーマが共通しているのだろう。
今回も、自殺防止や精神疾患に対する鋭いテーマが出て驚かされる回だった。

MASTERキートン18話脚本:善悪を併せ持つ、人間の複雑さ

Togetterのバックアップです。修正や追加などで再構成しています。)

MASTERキートンは、かつて英国特殊部隊SASで活躍したキートンが、ある時は保険調査員として、またある時は考古学者として世界を周り、様々な事件に遭うドラマ。
今回の舞台はイギリス。

大学教授のベニントンは、ある夜、車でトラヴィスという男をはねてしまう。
治療はトラヴィスの友人で医者のギャラードが引き受けることに。だがそれは巧妙な詐欺だった。
画像は騙された人と騙す人。今回、元祖天才バカボン脚本、ベルばらコンテ。

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ラヴィスは一流の当たり屋で、骨折の如何までコントロールして当たる事ができる。
騙すといえば、ルパン三世2nd脚本にて、病弱な老人を演じ、ルパンを(途中まで)騙した役者が思い出される。

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ラヴィス達は、ベニントンが大学の学長選挙に出る事を調査で知っており、それを見越してカモにする事にしたのだった。

祝杯をあげるトラヴィスギャラードが、アカギ脚本の仰木・安岡に被る。どちらも腹黒いが渋い。

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そんな折、キートンがベニントンの勤める大学を訪れる。
ベニントンはキートンの恩師で、一見冴えないが、学者としては一流。そして教育熱心な良い教授。
どこか抜けているが良い先生である、ど根性ガエル演出の町田先生と比較。

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キートンは、ベニントンから学長選挙の事を聞く。ベニントンの対立候補は、学長の娘婿であるステファン教授。ステファンは腹黒く、他の教授に金をばらまいているという。
水に浮かぶ木葉が、同氏特徴的(自然もキャラクター)。めぞん一刻脚本と比較。 

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また、ステファンはキャンパスを売ろうともしていた。
大学や生徒を愛するベニントンは、若い教授達の後押しで出馬を決意したのだった(特徴:建物も大事なキャラクターとして捉える)。
そしてベニントンはキートンに、事故のことを打ち明ける。

キートンはベニントンと共に、トラヴィスの見舞いに行く。
ギャラードは巧妙に怪我について説明し、トラヴィスも嘘話で5万ポンドをベニントンに要求する(特徴:イカサマ)。
だがベニントンは、一度に支払える財力が無い事が判明する。

ベニントン達が帰った後、トラヴィスギャラード、そして情報屋のウェッブは作戦を練り直す。
画像は一攫千金を狙う3人組シリーズ。今回、ルパン三世2nd・キャッツアイ・カイジ2期脚本。

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情報担当のウェッブによれば、ベニントンは最近、超高額だが学術的に価値のある文庫を買ってしまったため、示談金を支払う財力が無くなってしまったという。

それならば、ベニントンを学長選挙に勝たせで学長にしてしまえばいいと、3人は結論づける。

一方、ベニントンの対立候補・ステファンは、あの手この手で味方を増やし、ベニントンを窮地に追いやる。この腹黒さはどこか、ワンナウツ脚本のオーナーに通じるものがある。

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そんな中、キートンはトラヴィスを見舞う。その最中、キートンは紅茶をトラヴィスの手にこぼしてしまう。
ラヴィスは熱さをこらえ、手が麻痺している振りをする。
キートンはそれを見て、何かを察する。
自分の血を見て何かを閃いた、カイジ脚本と比較。

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キートンが去ったあと、今度はステファンがトラヴィスを訪ねてくる。ステファンは、金をやるから事故の事を公表しろとトラヴィスに迫る。
ラヴィスは事故そのものを否定し、金の受け取りを拒否。
ラヴィスは、あくまでベニントンを当選させる事にこだわる。

ラヴィス達3人は大学に行き、密かにベニントンの様子を窺う。
3人は、ベニントンのお人好しさ・ドジさに呆れる。ここも、ど根性ガエル演出の町田先生を思わせる。

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ベニントンに呆れながらも、3人はステファンの悪事を告発する手紙を学長宛に匿名で送る。

学長は、ステファンの悪い噂も前から聞いていたため、ベニントンを推すことにする。
ラヴィス達は、ベニントンの当選を確信するが、そこへ、学長が心臓発作で倒れたとの報が入る。
ラヴィスは、ステファンを怪しむ。

キートンとベニントンは、学長宅へ駆け付ける。
キートンは、学長が飲んでいた薬を発見。匂いから、誰かが薬をすり替えたことを見抜く(特徴:物が“語る”)。

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ベニントンは逆上してステファンに食ってかかり、選挙に不利な状況を作ってしまう。

勝利を確信したステファンは、高笑いしながら帰路につく。だがその最中、車椅子に乗った男を車ではねてしまう。その正体はトラヴィスだった。逃げようとするステファンを、ウェッブがカメラで激写。それを見て狼狽したステファンは、車を街灯の支柱に激突させてしまう。

ラヴィスは、今度は本当に怪我する。
ど根性ガエル演出にて、町田先生が子供を助けるために名誉の負傷をするが、トラヴィスの怪我も、ある意味ベニントンを助けた、名誉の負傷。同氏特徴である義理人情も、じわりと描写される。

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そんなトラヴィスを、キートンが見舞う。キートンは、彼が詐欺師であることを、紅茶をこぼした時に察していた。手が麻痺していても、付随筋が反応するはずだからだ(トラヴィスは無反応を装ってしまった)。
キートンは、ベニントンが学長になった事をトラヴィスに伝える。
彼はそれを聞き満足し、ターゲットをステファンに変える事にすると宣言。キートンは苦笑するのだった。 

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  • まとめ

同氏特徴である、イカサマ、義理人情、知略による痛快な逆転劇が描かれる。
また、色々な作品で出てくる、「善悪の区別は単純ではない」というテーマも表れている。
最初はお人好しを騙す悪党だったトラヴィス達が、逆にお人好しになってしまう。

カイジ(シリ構・脚本)においても、カイジ達は違法な事を色々やったが、2期最後は義理人情を強く打ち出している。
また、ルパン三世の脚本や演出でも、義理人情が光る回がある。
まんが世界昔ばなしの演出や脚本でも、狼の苦労等が描かれる。

知略を使った痛快な逆転劇についてだが、ど根性ガエル19話B演出においても強く描かれている。
また、今回トラヴィスが文字通り体を張るが、義理人情のために体を張るキャラは同氏作品に多い。カイジでも様々な自己犠牲が描かれている。

同氏特徴の義理人情や自己犠牲のルーツを辿ると、デビュー作であるジョー1脚本(無記名)に行き着くが、それとは別に、山田洋次監督の「男はつらいよ」からも来ているのではないだろうか。同氏の山田洋次監督好きは、色々な箇所に見受けられる。

男はつらいよ」の寅さんは、義理人情に厚い人間であり、また、惚れた女性の幸せを考えて身を引くことを繰り返す、自己犠牲精神も持っている。
そして旅好き。
高屋敷氏の作品にも、旅が好きなキャラは沢山出てくる。

あと、同氏特徴「善悪の区別は単純にはつかない」について話を戻すが、カイジもまた、1期1話(同氏脚本)にて、車にイタズラをする、どうしようもない一面が描かれる。
だが、色々な経験を繰り返すうち、カイジは天使レベルの優しさを出すようになる。

また、悪党は悪党なりの、しっかりしたポリシーがあることも描かれる。カイジの会長然り。今回も、結果的にステファンが悪役を一手に引き受ける体になっているが、トラヴィスはステファンを「企業の社長の器」と評価している。

こうした、善悪の区別の複雑さを、子供向けである元祖天才バカボン演出・脚本や、まんが世界昔ばなし演出・脚本においても、同氏はしっかり描いている。特に、今回同様、詐欺師が出てくる元祖天才バカボン35話B脚本は、大人でも唸るテーマが沢山出る。

そう思うと、同氏作風は、深夜の大人向けアニメと相性がいいのかもしれない。
あと今回は全体的に、ほっこりとするイイ話。悪意が複雑に絡み合いながらも、じわり義理人情が押し出される話運びが胸を打つ回だった。

MASTERキートン14話脚本:孤独を癒し、命を救う「歌」

Togetterのバックアップです。修正や追加などで再構成しています。)

MASTERキートンは、かつて英国特殊部隊SASで活躍したキートンが、ある時は保険調査員として、またある時は考古学者として世界を周り、様々な事件に遭うドラマ。

今回の舞台はドイツ。
冒頭、キートンの依頼人であるシュレイダーの娘・クララと、ベビーシッターのハンナが人形遊びをしており、高屋敷氏特徴である「魂があるような物のアップ」が早速出ている。
今回、ベルばらコンテ、ルパン2期演出、カイジ脚本と比較。

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シュレイダーの依頼は、冷戦時に東ドイツから西ドイツに亡命した際、身重のため置いていかざるを得なかった妻・ルイーゼと、その子供を探して欲しいというもの。
ルイーゼは強制収容所に収容されたが、そこで子供を産んだことが、冷戦後に判明したためである。

ルイーゼは出産を待たずに死亡したという、東ドイツの情報をシュレイダーは真に受けていたため、その知らせを受けた10年後、一緒に亡命した助手・テレサと結婚。娘のクララを授かった。
一見幸せそうだが、テレサは「彼の心の壁は残ったままだ(特徴:心の病)」と言う。

依頼を受けたキートンは、シュレイダーと共に収容所の元看守・コールに話を聞くことに。
コールによれば、残念ながらルイーゼは収容所で亡くなったとの事。だが、出産した娘・ローザは生きているらしい。

ルイーゼは、よくローザのためにオルゴール(特徴:魂のこもる物)を聞かせ、歌っていたという。
愛あふれる母の描写は、同氏作品によく出てくる。ど根性ガエル演出、ベルばらコンテ、はだしのゲン2脚本と比較。

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オルゴールも歌も、かつてシュレイダーがルイーゼに贈ったものだった。歌を覚えていたコールと共に、シュレイダーは歌を口ずさむ。
話を通して「歌」が活躍する所は、元祖天才バカボン演出と、はだしのゲン2脚本の「東京ブギウギ」の替え歌が思い出される。 

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ルイーゼの死後、ローザは笑顔を見せなくなり(特徴:心の病)、やがて収容所から消えたとコールは証言。
その後のローザの消息を追うため、キートン達は収容所の元所長、クラウゼ宅を訪ねる。
だが、キートン達はクラウゼから門前払い同然の扱いを受ける。

そんな折、クラウゼの運転手であるゴットロープは、収容所から強制的に養子に出された子供達のリストをくれる。同氏特徴である、味のあるおじいさんと、魂を持つ紙がまた出た。
エースをねらえ!演出と比較。 

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ゴットロープは、息子を収容所で亡くしており、シュレイダーに同情する。
やさしい運転手といえば、めぞん一刻の、明日菜の運転手が思い出される。どちらの声優も名演。また、高屋敷氏特徴の優秀モブでもある。

リストのお陰で、キートン達はローザの養父母を突き止める。
だが、ローザの引き取り先の家は売りに出されていた。
近所の婦人によれば、ローザはいつも一人ぼっちで、笑顔を見せない子供だったという。
同氏特徴の、ぼっち描写。ど根性ガエル演出と比較。

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婦人の証言は更に続き、それによると、ローザは思春期に養父に怪我を追わせ、養父母の家から出て行ってしまったという。
意気消沈するシュレイダーだが、キートンは調査を続け、ローザが最近まで付き合っていた友人を見つけだす。シュレイダーは早速、キートンと合流。

ローザの友人・ライザは不良っぽいが、割と面倒見がよさそうな性格。めぞん一刻脚本の朱美を彷彿とさせる。

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ライザは、ローザがくれた(母の形見の)オルゴールを見せる。ライザの前から姿を消す前にくれた、との事(特徴:贈り物)。

ライザによれば、シュレイダーが載った新聞を見た際、ローザは珍しく笑みを浮かべたという。

ローザは、シュレイダーが自分達母子を見捨てたと思い込み、シュレイダーを恨んでいた。
邪な笑みということで、カイジ2期脚本の班長と比較。

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ライザはローザの写真をキートン達に見せる。ローザはなんと、クララのベビーシッターであるハンナだった。
キートン達は、シュレイダー宅へ急ぐ。
キートン達が危惧した通り、ローザはクララに殺意を抱いていた。同氏特徴の豹変。カイジ2期脚本と比較。 

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ローザは、クララの首を絞めようと、ままごとに使うネクタイを手にとる。
ここもネクタイのアップになり、ネクタイが、養父に性的に虐待されそうになったローザの記憶を呼び起こす(特徴:意思を持つ物)。意思を持つ物ということで、ルパン3期脚本と比較。

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だが間一髪か、何も知らないクララは、シュレイダーから教わった歌を無邪気に歌い出す。
クララは、この歌は「パパが、一番大切な人に贈ったもの」だとローザに言う(特徴:“人ではないもの”の活躍)。
それを聞いたローザは、母や自分が父から愛されていた事を知り、殺意が消える。

そしてローザも、その歌を口ずさむ。
急いで帰ってきたシュレイダーとキートンに向かって、ローザは振り向く。その目には涙が浮かんでいた。
かくして、親子の再会は果たされたのだった。
指定時まで顔を映さない…は、結構同氏作品で出てくる。カイジ脚本と比較。

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  • まとめ

今回もまた、オルゴールや歌といった、“人ではないもの“が活躍。
オルゴールが人から人へ伝わっていくのは、多くの人間の手に渡りながらも、カイジにより正しく使われた(石田さんを助けた)「星」を彷彿とさせる。
偶然にも、今回の歌も「星」の歌 。

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今回の「キーキャラクター」である「歌」は、なんと人の命を救う程の活躍を見せる。
歌は、人の思いがこもるため、同氏が動かす「人ではないもの」の中でも魂が強い傾向にある。
はだしのゲン2脚本でも、歌が、子供達に元気をつける役割をしていた。

また、手がかりとなる書類をキートン達に渡してくれるゴットロープという老人も、強烈な印象を残している。
めぞん一刻最終回脚本にて感動的だった惣一郎の父もだが、同氏は老人を強く印象づける話作りや演出がうまく、挙げればキリがない。

はだしのゲン2脚本の構成では、「おんぶ」と「子供達を見守る原爆ドーム」が柱となっている。今回の柱は、「オルゴール」と「歌」。なので、クライマックスもラストも、台詞ではなく「歌」で〆る。
ラストにローザが涙声で歌う歌は、非常に胸を打つ。

毎度のことながら、脚本という立場になっても、台詞に頼らない話作りが同氏の強い個性になっている。
しかも演出時代より脚本の方が、それが出来ているのが非常に謎。
そして原作つきでも、同氏が出力するテーマは似通う。

もともと私が高屋敷氏に注目し始めたのも、同氏が多く演出を手がけた「家なき子」の再放送がきっかけ。その時も、「カイジのルーツ的なもの」を強く感じた。
それだけ、同氏が出力したいテーマには共通性がある。

高屋敷氏のテーマの中でも強烈な物の一つが、「ぼっち・ぼっち救済」。
今回も、母に死なれ、父に捨てられたと思い込んだローザの孤独が描かれ、ついには殺人を犯す寸前まで行ってしまっている。
だが、間一髪で彼女の孤独は救済された。

一方で、ぼっち救済失敗の悲劇も多々ある。監督作忍者マン一平の、海辺に住む孤独な怪物は、人間達を砂像にしてしまった罪のため一平達に退治される。
また、XMEN脚本でも、息子のために一人で頑張りすぎた女性科学者が悪者に手を貸してしまう。

カイジ脚本・シリ構でも「孤独」はしっかり描かれており、原作通りだが、全人類の抱える孤独について触れている。そして孤独を救うのは「人と人の通信」であり「人間が希望そのもの」とカイジは悟る。
高屋敷氏が強調したいものと非常に相性がいい。

ただ、相性の良し悪しは、脚本家や演出家が選べる領分ではない(Pや監督が絡む)。
その中で、自分の強調したいテーマを押し出す技に、高屋敷氏は長けているのだと感じてきた。だから、参加作の映像から受ける印象が似通うのだと感じた回だった。

MASTERキートン11話脚本:強い「役割」を持つ食べ物

Togetterのバックアップです。修正や追加などで再構成しています。)

MASTERキートンは、かつて英国特殊部隊SASで活躍したキートンが、ある時は保険調査員として、またある時は考古学者として世界を周り、様々な事件に遭うドラマ。

舞台はロンドン。
不思議だが、演出時代からの特徴である「物」のアップから始まる。監督作(&コンテ疑惑)の忍者マン一平と比較。

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キートンは、相棒・ダニエルを連れ、ロンドン中華街一美味しいとキートンが太鼓判を押す中華料理店・金蓮でランチする。

キートンの言う通り、料理は絶品。

店主の伯修は、今日(11/12)は特別な日だからと、キートン達に豚肉の唐揚げを奢ってくれる(特徴:贈り物)。
これが格別に美味しく、キートン達は感動する。同氏の大きな特徴である飯テロ。カイジ2期脚本と比較。 

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伯修もまた、同氏作品に頻出する、味のある中高年。画像はおっさん集。今回、ど根性ガエル演出・チエちゃん奮戦記・カイジ脚本。

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伯修は、「イギリス人には本物の中華料理は作れない」が持論。伯修の見習いであるイギリス人・ラディは、それを聞き落ち込む。

さらに伯修は、許可なく料理を作ったとして、ラディをクビにする。

キートンとダニエルは、パブにてラディを発見、事情を聞く(特徴:ぼっち救済)。元祖天才バカボン演出と比較。

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下記画像は、パブのシーンのビールテロ。ミラクル☆ガールズカイジ2期脚本と比較。他も多数ある。 

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伯修の娘であり、ラディの恋人でもある宋麗は、キートン達に、ラディの料理を食べてみてくれと頼み込む。

ラディの料理は美味しく、キートン達は感心する。ここでも特徴の飯テロ。挙げればキリがないが、チエちゃん奮戦記・カイジ2期脚本と比較。 

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ラディは、香港に住んでいた幼少期に、友達の家で食べた本場の中華料理に衝撃を受け、中華料理人を目指していると言う。
だが、フレンチのコックである父は反対し、家を出た事情があった。
下記画像はビンタシリーズ。今回、ベルばらコンテ、カイジ2期脚本。 

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ラディが金蓮にこだわるのは、子供の頃食べた本物の中華料理の味を、伯修が正しく伝え、広めているからだった。
そんな話を聞き、キートン達は、ラディと伯修の仲を修復しようと動く(特徴:義理人情)。

キートンは、伯修が出した豚肉の唐揚げの味に覚えがあったことを思い出し、日本にいる父・太助に電話をかける。
太助によれば、それは横浜中華街の大嘗閣という店の唐揚げだという。だが店主は亡くなり、店もなくなったとの事だった。

太助は、キートンの電話のせいで、無性に豚肉の唐揚げが食べたくなり、百合子(キートンの娘)を連れて横浜中華街に行くことにする(特徴:食いしん坊)。
一方キートン達は、ロンドン中華街の生き字引・趙老人に、金蓮の歴史を聞くことにする。

趙老人もまた、同氏作品によく出る、味のある老人。画像は今回、監督作忍者マン一平めぞん一刻カイジ脚本。

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趙老人によれば、かつて金蓮には、孫文が滞在しており、よく料理をしていたという。キートンはそれをヒントに、作戦を練る。

そんな折、百合子から電話がかかって来る。横浜の中華街からだった。幸運にも大嘗閣の店主の息子の店を見つけ、唐揚げの隠し味も教えてもらえたという。

更に、面白い話も仕入れたらしい。
電話を聞こうとするダニエルが可愛い(特徴)。ジョー2脚本と比較。

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後日キートン達は、日本料理を振る舞うと偽り、日本料理店に伯修を招く。
そして、キートンはラディの作った豚肉の唐揚げを伯修に食べさせる。
疑心暗鬼の伯修だったが、唐揚げの再現度に驚く(特徴:飯テロ)。
隠し味は、ウイスキーだった。

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更にキートンは、月餅を出す。これも、伯修の祖父や父が作った月餅の味が再現されていた。
月餅の隠し味は干し柿
ここでも特徴である菓子テロ。元祖天才バカボン演出と比較。

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キートンは、この特殊な唐揚げも月餅も、孫文が日本と英国に伝えたものだ、と説明する。

伯修は、キートン達に唐揚げを奢った「特別な日」である11/12は、孫文の誕生日であることを告げる。
そしてキートンは、ヒントは与えたものの、唐揚げも月餅もラディが作った、と念押し。
伯修は、素直ではないものの、ラディのクビを取り消す。

ラディと宋麗は、キートン達に深々と礼をし、伯修と共に店の仕込みに行く。
画像は、温かい義理人情に、お礼をする人達。
今回、元祖天才バカボン演出、めぞん一刻カイジ脚本。

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キートンとダニエルは、パブにて、金蓮の人々と孫文に捧げる乾杯をする。
特徴のビールテロ。
今回、めぞん一刻カイジ2期脚本。

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ラストに、月餅のアップが映る(特徴:意思を持つ物)。チエ2期脚本も、食べ物のアップで〆る回があり、それと被る。 

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  • まとめ

とにかく飯・ビール・菓子テロの嵐。高屋敷氏に非常に合ったエピソード。
高屋敷氏の作品で出る飲食物は、美味しそうなだけでなく、何らかの「役割」を持っている。
これもまた、「自然や物=キャラクター」という高屋敷氏のポリシーが感じられる。

ジョー2脚本では、無茶な減量をしようとする丈を止めるため、段平が、あの手この手の飯テロを行う回がある。これも、食べ物が丈を誘惑する役割を担っている。
カイジ2期脚本のビールと焼き鳥も、禁欲生活を送っていたカイジを激しく誘惑するもの。

一方で、ど根性ガエル演出や、元祖天才バカボン演出では、「皆で食べるご飯は美味しい」というメッセージを発している。つまり、食べ物が皆をつなげる「役割」をしている。
今回も、孫文と日英、伯修とラディをつなぐ役を、食べ物が担っている。

また今回、お人好し・義理人情も光っている。そして今回も、キートンがグルメであること、博識であることなどが問題解決のキーとなっており、人助けの為の具体的手段が描かれる。
カイジでも、人助けをする具体的手段が描かれる(特に石田さん関連)。

そして、そんな主人公の為に、天が少しだけアシストする展開も強調される。
今回の場合は、大嘗閣の主人の息子が見つかったことなど。
カイジの場合は、地盤や、沼(パチンコ台)の偶発的トラブルなど。

高屋敷氏の作品によくある、美味しそうな食べ物の描写については、ルーツは謎。よっぽどの食いしん坊かと推測したりはするが…。
ただ、単なる食べ物ではなく、「意思」や「役割」があるのは確か。食べ物は、否応なく人の意思がこもるからかもしれない。

自然や物、食べ物にしても、高屋敷氏の表現する「もの言わぬもの」は、「なぜそこに出す必要があるか」の理由付けがハッキリしていて、単なる場つなぎではない「意思を持つ物」である迫力がある。
毎度、演出でも脚本でも同じ事ができるのが謎だが…。

ちなみに今回出てきた「ウイスキーが隠し味の豚肉の唐揚げ」、「キートン 唐揚げ」で検索すると、再現を試みる人達のブログやサイトが多く出て来る。プロの業なので再現は難しいとは思うが、気になる人には検索をオススメする。

MASTERキートン8話脚本:「義」を貫くには「理」を

Togetterのバックアップです。修正や追加などで再構成しています。)

MASTERキートンは、かつて英国特殊部隊SASで活躍したキートンが、ある時は保険会社調査員として、またある時は考古学者として世界を周り、様々な事件に遭うドラマ。

舞台はイギリスのウェールズ
日本企業・ヤザワエレクトリック社のウェールズ工場長・滝田修二と、その運転手ギアが誘拐される事件が発生。
誘拐話は、元祖天才バカボン演出回にもある。また、カイジ2期脚本も、拉致まがいの方法でカイジが地下に落とされる。 

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事件は、イギリス警視庁のコスナー警視と、誘拐犯罪担当のダグラス警視が取り仕切ることに。
キートンも、保険会社からの交渉人として派遣される。一見柔和な凡人のキートンだが、すぐに有能ぶりを発揮(特徴:豹変)。カイジ脚本と比較。 

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今後、修二の夫人・ダグラス警視・コスナー警視(とその部下)・キートン・孝三(修二の父)・久山(ヤザワ英国支社長)が一同に会し、犯人との交渉にあたることに。犯人との唯一のつながりは電話。ジョー2脚本の、葉子が丈に電話しまくる回が思い出される。 

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キートンは、犯人と電話で話す役を、夫人に振る。
だが犯人と話した夫人は、すっかり怯えてしまう。カイジ2期脚本と比較。どちらも、電話相手が冷酷無比な人間。

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コスナー警視は、キートンの判断に疑問を持つが、ダグラス警視はキートンを称賛。近親者が相手をする方が、人質の生存率が上がるという統計があるためだ。ダグラス警視は、キートンがプロ中のプロだと見抜く。煙草を吸う姿が渋い(特徴)。カイジ2期脚本と比較。

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ただ、犯人が提示する身代金は2500万ポンドと、法外。
キートン達は、何とか相場の300万ポンドまで下げるよう交渉しなければならない。
カイジ(シリーズ構成・脚本)での、“命の値段”を彷彿とさせる。

キートンは、最初の判断通り、犯人からの電話を全て夫人が取るよう指示。怖がる夫人だったが、キートンの説得に応じ、その役を引き受ける。
その後もキートンは的確な指示を出し、交渉は進む。画像は覚醒する人達。元祖天才バカボン演出、カイジ脚本と比較。

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犯人との会話で、修二の生存が確認される。また、犯人がアキレスとアポロの伝説内容を知っていたことから、犯人に教養がある事が判明。
だが、身代金の値下げ交渉は難航。しかも、もう一人の人質である運転手は殺されてしまう。

それでもキートンは、犯人との信頼関係を築く事が大事だと、皆を落ち着かせる。カイジ(シリーズ構成)の「オレは(利根川を)信頼したんだ」が思い出される。
だがしかし、保険会社は誘拐保険金の支払を拒否。誘拐前日に修二が辞表を出していたためである。

そのため、キートンがいる意味が無くなってしまう。孝三は、どうか残ってほしい、とキートンにすがりつく。
キートンは、そんな孝三の手を握って落ち着かせる(特徴:手から手へ思いを伝える)。
ジョー2・めぞん一刻カイジ2期脚本と比較。 

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キートンは居残りを決意。まず、憔悴しきった夫人の面倒を見る。
夫人は、次々と駐在員が帰国したことや、夫が多忙すぎることで、孤独感を覚えたと吐露(特徴:孤独は万病の元)。夫の誕生日にケーキを用意しても、夫の帰宅が早朝だった事などを話す。

その時夫人は、我慢の限界に達し、夫に誕生日ケーキを投げつけてしまったという。
誕生日ケーキが台無しになってしまう場面は、元祖天才バカボンの演出回にもある。

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それでも夫を助けて欲しい、と夫人はキートンに懇願。キートンはそれを快諾。 

キートンは、保険会社の半分の日当で、個人として交渉業務を続行する(特徴:義理人情)。
しかし、身代金の値下げ交渉は、またも難航し、犯人は「人質の指を切った」と宣言、写真を送りつける。だがその写真がインチキであることを、キートンはすぐに見抜く。

キートンは、犯人が手詰まりになってパフォーマンスに打って出ている現況を利用し、自陣もパフォーマンスをしようと提案(特徴:知略)。
そこでヤザワ社の労組リーダー・キャロルに、大規模なストを行って欲しいと頼む。
キャロルは作戦を理解し、ストを実行。

夫人は、犯人に対し「ストで会社が傾き、金が無い」と話す。そして「既に夫は死んでいるのでしょう」と号泣(演技)。犯人は、人質が生きていることを伝え、また連絡する事を確約。再度電話をかけて来た犯人は、交渉の末、身代金を292万ポンドにする事を了承する。

犯人は、修二の解放を約束。丁度、その日は夫人の誕生日。犯人によれば、「プレゼントは自分の身一つで我慢してくれ(特徴:贈り物)」と修二が言っているという。
夫人は、夫に愛されている事、自分が夫を愛している事に気付き、身代金を置く役を買って出る。
ジョー2脚本と比較。葉子も、丈を愛している事に気付き始める。

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久山は、そんな夫人の手を握り、身代金の入ったアタッシュケースを渡す。
ここも特徴の、手から手へ思いを伝える場面。ど根性ガエル演出と比較。

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その後、修二自身から電話がかかって来て、彼が無事に解放された事が確認できた。

交渉チームは喜び、孝三はキートンに礼を言おうとするが、既にキートンは何処かへ消えていた。そしてキートンの座っていた椅子が映り、間が発生する(特徴:魂のこもった物)。
家なき子演出と比較。 

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ダグラス警視は、誘拐交渉人というキートンの立場を理解する。交渉人は、犯人との直接交渉や身代金運びなどはやらない。そして自分の正体を隠すものなのだと…
そして、これからが(犯人捜索など)警察の仕事。

車が巻き起こす風のせいで、一旦キートンは足を止める。めぞん一刻脚本と比較。どちらも、「風」が引き止めるように吹き(上段)、「天」が事象を見守っている(下段)。

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キートンは少し振り向いて微笑むも、また歩を進めるのだった。

  • まとめ

まず、キーキャラとして「電話」が活躍する(特徴)。
そして殆どの場面が、犯人と電話で話す部屋なのだが、緊迫感が持続する構成になっている。
カイジ2期脚本7話の、班長が実質3回サイコロを振るだけなのに緊迫感が凄い回を思わせる。

そして、またまた「お年寄りに優しい」という同氏のポリシーが出ている。やはりこれも、はだしのゲン2脚本の、孤独なお爺さんをゲン達が救う話と比較したい。

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とにかく、優しい中高年・または主人公に優しくされる中高年は、挙げればキリが無いほど出てくる。

あと、「孤独は万病の元」というポリシー。どんどん一人ぼっちになっていく夫人の過去話も、その一つ。下記画像でも、夫人が一人で食事をしているが、「皆で食べるご飯は美味しい」という同氏のポリシーと逆の状況で、夫人の孤独感を強く表現している。

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また、「身代金」という「命の値段」。身代金相場は1億円を超えているが、カイジ(脚本・シリ構)の鉄骨編では、一人頭1000万。会長編では、指4本+2千万と、1億円を賭けての勝負となる。
更に利根川曰く「金は命より重い」。
中々正解は見えない。

これもまた、同氏特徴である「単純ではない善悪の判断。
(参照: )

キートンカイジも、「その時設定された値段」に、ある程度従う。特にカイジは、命の値段が変動しても、助ける行動に出ている。

だがキートンカイジも、「根拠のある論理」に基づき行動して知略を巡らす。ただただ正義論をわめく行動には出ない。しかしカイジは会長戦ではこれを忘れ、激しく悔やむ。
元祖天才バカボン演出・脚本でも、善悪問わず、知略に長けた者が勝つ展開が多い。

元祖天才バカボン演出や脚本は、誰が一番悪いのかを断定しない話が多い(1980年版アトム脚本も、その傾向があるようだ)。
アカギも、ある程度は相手に敬意を払う。カイジは、利根川の焼き土下座を見て涙を流す。
これも、対戦相手が絶対悪ではない、あしたのジョーの脚本の経験が生きている。

今回キートンは、犯人と信頼関係を築き交渉を成功させる努力を、具体的な手段を駆使して行った。
カイジの場合、「勝つってことは、具体的な勝算の彼方にある現実だ」と言い、具体的な作戦を立てる。
一見、全然違う二人に共通項があるのが面白い。

一方、温かい義理人情も特徴の一つ。キートンは半額の日当で、カイジは全てを失って、人を救う。
だがそういった義理人情も、具体的な手段を行ってこそ達成できるもの。つまり、義を貫くには理が必要ということ。
そういったシビアさも感じた回だった。

MASTERキートン7話脚本:「もの言わぬもの」の声を聞け

Togetterのバックアップです。修正や追加などで再構成しています。)

MASTERキートンは、かつて英国特殊部隊SASで活躍したキートンが、ある時は保険調査員として、またある時は考古学者として世界を周り、様々な事件に遭うドラマ。

今回の舞台は日本の田舎。
冒頭からして、同氏特徴である自然(今回は入道雲)のアップ・間が出る(自然をキャラと捉える)。
入道雲のアップから始まるのは、チエちゃん奮戦記脚本にもあり、ほぼ同じで驚いた。
画像は今回と、チエちゃん奮戦記・めぞん一刻脚本。

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夏休み、キートンと百合子(娘)は、キートンが幼少期を過ごした田舎の家に遊びに来ていた。また、百合子の誘いで、キートンの父・太平もやって来る。太平は女好きであるが可愛いお爺さん(特徴)で、キートンとのやり取りが幼い(特徴)。ワンナウツ脚本と比較。

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キートンと太平は、ともに離婚した身。百合子は、この機会を利用し、女心がわかっていない事への反省を二人に促す。
そして百合子は、隣家の新庄さんの家を訪ねるが、そこで村田さんというお婆ちゃんと出会う(特徴:味のあるお年寄り)。めぞん一刻脚本と比較。

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百合子は、村田さんと話し込む。
村田さんは昔、太平の妻だったパトリシアが、森の中で寂しそうに佇んでいる所を見たという(特徴:ぼっち)。そしてその後すぐに、パトリシアは故郷に帰ってしまったそうだ。
ちなみにパトリシアは健在で、実業家としてロンドンで活躍している。

一方、キートンと太平は、パトリシアが作ってくれた料理の中で、どれが美味しかったかという話をする(特徴:食いしん坊、飯テロ)。太平の場合は、新鮮なわさびと共に食べる手打ち蕎麦で、キートンはサマープディング。
二人は早速、それらを作り始める。

サマープディングを作ってみたキートンだったが、何かの香りが足りないことに気付く。
そこで、パトリシアが昔書いたメモを探すことに。
捜索の末、キートンは彼女のノートを発見する(特徴:魂のこもった紙)。

魂を持つ紙(ノートや本、手紙)は、同氏作品で多く見られる。
画像は今回と、監督作忍者マン一平エースをねらえ!演出、チエちゃん奮戦記脚本。
特にエースをねらえ!音羽さんのノートは、色々な思いが込められている。 

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ノートを手にしたキートンは、幼少の頃を思い出す。母は、サマープディングの香りを「妖精の香り」と言っていた。
それは、女神プロセルピナが、妖精ミンスを草に変えてしまったという話が元ネタ。
画像は菓子テロ集。今回、怪物くん脚本、元祖天才バカボン演出。 

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神話から、香りの元がミントであることが判明するが、それはただのミントではなかった。
キートンは、ノートに挟まっていた葉から、それがペニロイヤルミントである事を突き止める。
ここでも、葉をキャラとして扱う同氏の特徴が出ている。めぞん一刻脚本と比較。

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ペニロイヤルミントは、パトリシアの故郷・コーンウォールのもの。
キートンは、太平の愛犬・太助の力を借り、パトリシアが植えたペニロイヤルミントの畑を発見する。
犬の描写がめぞん一刻脚本を思わせる。 

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そこに太平も来て、二人でパトリシアのノートを見る。

ノートには、故郷のペニロイヤルミントを植えた、と書かれていた。
ここも、同氏特徴の、「紙に書かれた思い」が出ている。エースをねらえ!演出と比較。

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だが畑は、水が来なくて干上がりかけていた。そこで太平と太助は、寝食を忘れる勢いで、畑に水を引く装置を作り始める(二人とも工作が得意)。
後に装置は完成、起動の日を迎える。
特徴であるランプのアップ・間が出てくる。カイジめぞん一刻脚本と比較。 

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装置は、発動機と風車、ホースなどを組み合わせたもの。まるで生き物のような描写に、同氏特徴が出ている(物もキャラクター)。
また、ピタゴラスイッチ的描写も、同氏作品によく出る。ルパン三世2期演出と比較。 

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装置は見事に水を運び、畑は生き返る。
二人の技術に村人も盛り上がり、百合子は父と祖父を見直す。
風車ということで、カイジ2期脚本と比較。家なき子演出にも、よく出ていた。
これもまた、生きているかのような「間」が発生している。

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生き返った畑を見つめ、キートンは太平に、ミントの神話の別説を紹介する。

別説によれば、プロセルピナは、ミンスが運ぶ故郷の香りが辛くてミンスを草に変えたが、それでも故郷が忘れられず、遂には故郷に帰ってしまったという。
また、ミントには、思い出を保つ働きがあると言われる。
ペニロイヤルミントによって望郷の念にかられたため、パトリシアは故郷に帰ってしまったのではないか…とキートンは説く。
画像は、父子(今回)と疑似父子(カイジ脚本)。どちらも距離を縮める。

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その後、旧友と会うため、太平は先に東京に帰る。
キートンと百合子は親子水入らずで、ペニロイヤルミント入りのサマープディングを作るのだった。ラストも、二人を見守るかのようなペニロイヤルミントのアップ・間がある(特徴)。チエちゃん奮戦記脚本と比較。

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  • まとめ

自然が豊かな田舎が舞台になっているため、同氏の「自然をキャラとして扱う」ポリシーが、ふんだんに発揮されている。
おまけに機械も出て来て、こちらも「生きているような物」の描写が強く出ている。
更に飯テロ。
同氏特徴の宝庫になっている。

「ぼっち」が悲劇を招いたり、果ては世界の危機に発展する話は、同氏作品によく出る。
パトリシアは孤独ではなかったが、ふるさとを離れた寂しさには勝てなかった。
そういう寂しさは本人にしかわからず、孤独な悩みとも言える。

また、ミントが元は妖精だったという神話は、自然をキャラと捉える同氏にうってつけ。植物であるミントに「魂」があることの裏付けになっている。
神話のプロセルピナも、今回のパトリシアも、ミントによって「故郷へ誘われた」とも取れる。

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そしてキートンと太平は、故郷を想うパトリシアの寂しさを、料理やノートといった「物」に「導かれて」知ることとなる。

これも、同氏特徴である「意思を持つ物の活躍」が出ている。

こういった、「意思を持つ自然・物の活躍」が、あらゆる同氏作品に出て来るのが毎度不思議(特に脚本)。
思えば、めぞん一刻(脚本・最終シリ構)でも、自然の描写がアニオリでよく出ていた。画像は今回と、めぞん一刻脚本との比較。 

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枯れかかったミント畑に関しても、まるでキートンに助けを求めていたかのようにも取れる。
アカギ1話脚本でも、南郷に切られようとした牌を助けるように、アカギが南郷を止める。その結果、南郷は生き残る。

アカギもカイジも、ワンナウツの渡久地も(いずれも脚本・シリ構)、物の声を聞き、自然の助けを借りる術を知っている。特に渡久地が雨を利用したり、カイジが地盤を利用したりする場面によく出ている。
今回のキートン然り。

元祖天才バカボン演出では、物を粗末にしたパパに恐ろしい罰が下される回がある。
そこから考えるに、アカギ・カイジ・渡久地らには、自然や物の声を聞ける主人公であってほしい…という願いが込められているのかもしれない。

ちなみにサマープディングの作り方は、ネットで検索すると出てくる。食パンを容器に敷き詰めて、そこへ果汁と果肉を煮詰めたものを流し込み、冷やし固めたものらしい。今回のは、焼く工程があるので、ちょっと普通と異なり、難しそう。

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