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カイジのシリーズ構成・高屋敷英夫さんの軌跡

カイジおよび福本作品、そのアニメが好きで、シリーズ構成の高屋敷英夫さんが、子供の頃からアニメのクレジットで凄くよく見る名前なので調べてみたものの膨大すぎてまとめきれなくなってきたので、自分のブログよりここに切り離してまとめることにしました。ツイッターアカウントは@makimogpfbです

チエちゃん奮戦記31話脚本:全てを「見て」いる猫の目

#チエちゃん奮戦記 じゃりん子チエ カイジ 元祖天才バカボン 高屋敷英夫 チエちゃん奮戦記

Togetterのバックアップです。修正や追加などで再構成しています。)

3部作の2話目。
直前30話概要:
チエとヒラメが保護した迷い猫は、東京のヤクザ組長の飼い猫だった。テツがその猫をペットショップに売ったのを知った組長は激怒(猫は無事に飼い主の元に戻った)。

いつもヤクザをどついてるテツは、それを聞き大喜び。襲撃に来るであろうヤクザ達を歓迎する準備をする。

  • ここから31話:

テツは、駅から百合根のお好み焼き屋までヤクザを誘導する張り紙を町中に貼り、お好み焼き屋の2階でヤクザを待つ。のっけから同氏特徴の紙&文字ギャグが沢山出てくる。紙ネタは挙げればキリがないが、黎明期の、ど根性ガエル演出と比較。

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貼り紙を見たおバァはん・チエは互いに慌てる。おバァはんと反対方向からチエが来て、二人が合流するのだが、この演出、エースをねらえ!演出や、元祖天才バカボン脚本でも使われている。たまに効果的に使われる。

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おバァはんとチエは、テツが貼った貼り紙を逆順に回収してまわる。貼り紙の始点は、駅だった。貼り紙にて、ヤクザを挑発する文にテツのイメージがオーバーラップする。これもよくある特徴。カイジ2期脚本と比較。 

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一通り貼り紙を回収したチエとおバァはんは、アイスを食べて一休み。キンキンに冷えたアイスをまず味わうチエと、キンキンに冷えたかき氷をまず味わうカイジ(脚本)がシンクロ。奇跡か、あるいは、そういう食べ方が好き?
いずれにせよ、特徴の飯テロ。 

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そこへ百合根がやって来て、今日1日、お好み焼き屋をテツに提供してテツを隔離するつもりだと言う。ヤクザが来なければ、テツは夜くらいには帰るだろうという算段。
その頃、お好み焼き屋で待ちぼうけのテツは長くて早口・名調子(特徴)の独り言を言っていた。

テツは貼り紙がはがされたのではないかと気付き、外に出る。そこでマルタ(ヒラメ兄)と鉢合わせ。迷い猫を保護したせいで、ヒラメ家は結果的にヤクザと電話連絡を取れる場所になってしまっていた。マルタはヤクザから電話があったと怖がり、テツにベタベタする(特徴) 。

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マルタがテツにベタベタすがるのは、1期からの特徴。他の人の演出や脚本回でもそうなのだが、高屋敷氏脚本回では特にそれが出ている。マルタをテツが鍛える回の脚本を、高屋敷氏が1期で担当しているからかもしれない。好きな組み合わせなのかも。

テツはマルタの家でヤクザからの電話を待ち、お好み焼き屋の場所を伝えることに成功。待ちわびるテツは、ふとんカバーに「かんげえ東京ヤクザ様」と書き、お好み焼き屋の2回から垂らす(特徴・文字ギャグ)。それを見たモブ達のコメントが秀逸(特徴・優秀モブ) 。

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テツの書いた垂れ幕を見たミツルは心配してチエ家を訪ねるが、おバァはんとチエは、テツが待ちぼうけをくらうはずだと、気楽に構えており、チエは上機嫌でホルモンを焼いていた。高屋敷氏脚本回では、チエが子供らしく陽気にホルモンを焼く場面が多いのが特徴。 

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そこへジュニアがやってきて、小鉄に、ヤクザがお好み焼き屋に向かっていると報告。 一方小鉄はチエ家で百合根の酒の相手をしていた。

ジュニアは色々呆れて、一人で様子を見に戻る。

ここのチエ・小鉄・ジュニアのやりとりが興味深い。

チエは、ジュニアと小鉄に対し、男のくせにグダグダ喋るなと言う。するとジュニアは、「女のくせに、言うたら怒るくせに」と文句を言う。元祖天才バカボンの高屋敷氏演出回で、妻が夫を虐待する話があり、どちらも男性の受ける被害が描写されていて、時代先取り。

一方、東京ヤクザ一行はテツの待つお好み焼き屋に到着。

テツの垂らした垂れ幕について、組長と手下がボケ・ツッコミのやりとりをするが、高屋敷氏特徴の、連呼が入っている。また、組長はツッコミ時に黄金のパターを振り回すが、カイジ会長の杖とシンクロ。 

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東京ヤクザ組長(以下・菊蔵)は、お好み焼き屋2階にてテツと対峙。対峙画面がカイジ2期脚本とシンクロ気味。

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テツは菊蔵達を煽りに煽り、花札(カブ)勝負に持ち込む。先に疲れて寝たら、勝ちが帳消しになるルール。ジュニアはその様子を見て呆れる。 

夜、百合根は自宅(お好み焼き屋)の様子を見に行くと言う。チエはもしもの時のために、小鉄に酒を持たせる(百合根は酒を1升以上飲むと最強になる)。思いを伝える物=酒瓶が同氏特徴。

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だが百合根と小鉄はその晩、帰ってこなかった。ここで今回は〆られ次回へ。

ちなみに次の32話では、菊蔵の親戚が出てきて、菊蔵の代わりにテツと勝負。死闘になるもダブルKOとなり、勝負の間、お好み焼きを焼きまくった百合根が儲かるオチとなり完結。

  • まとめ

特徴である紙&文字ギャグが山ほど出てくる。

あと気になるのは、一旦キンキンに冷えた状態を楽しむアイスの食べ方。これがカイジに引き継がれているのが奇跡。チエちゃん奮戦記1話脚本でも、うなぎ弁当の食べ方が出て来たり、かなり食べるのが好きそう。

興味深いのは、ジュニアのジェンダー?論。「男or女のくせに」という言葉の暴力に抗議している所を強調している。

男性も「男のくせに」という言葉に傷つくというのが今でこそよく論じられているが、時代先取り。元祖天才バカボン演出の逆DV描写然り。

また、ジュニアのもう一つの台詞も強調されている。「ちょっと(店が)繁盛したら、もうテツを放し飼いにしてること忘れてるやんけ」。

物語上、テツが成長したり変わったりする事は許されておらず、高屋敷氏脚本回だと、1期含め、それを憂う描写が多い。

今回にしても、シリーズ全体にしても、テツの放し飼い&飼い殺しが行われている。だから話が動く、というのもあるが…

高屋敷氏脚本回は、それを憂う描写が多い気がする。1期のボクサー編や、2期の、関取を倒した話など、テツの可能性を提示する話が多い。

今回、ジュニアの台詞の強調具合に、同氏の作家性が出ている。また、話全体をジュニアが客観的に見ており、そして呆れている。高屋敷氏の演出や脚本は、もの言わぬ自然や物が「見て」いる描写が多いが、今回は猫であるジュニアが「見て」いる回だった。

チエちゃん奮戦記26話脚本:年下に背中を押される、無邪気な中高年

#チエちゃん奮戦記 チエちゃん奮戦記 じゃりん子チエ カイジ 高屋敷英夫

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2部作の前半。興業師となった地獄組ボス(1期で活躍。名はレイモンド飛田)が再登場。
今度はコケザル(テツの鑑別所時代の友人の息子)の誘いで、お化け屋敷を企画。
冒頭、入道雲のアップ・間がある(特徴:自然=キャラ)。
年の差コンビが夢を語るのが、カイジ2期脚本とシンクロ。 https://t.co/Iwpg46g0aZ

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地獄組ボスが夢を語る場面が、何か情緒ある。散々夢をテツや西萩連中に潰された地獄組ボスだが、コケザルのお化け屋敷企画で元気を取り戻す。
カイジの沼攻略企画で再び中高年が奮起する、カイジ2期脚本と通じるものがある。
石を池に投げる場面がベルばらコンテとシンクロ。 https://t.co/DmCeHoYfuA

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コケザルはマサルを誘い、表向きの、お化け屋敷企画者にする。
マサル主催という事で張り切るマサル母の強引な誘いを断れず、チエやヒラメも、お化け屋敷に参加することに。二人は、かき氷を食べながら、その事を愚痴る。特徴の飯テロ。カイジ2期脚本と比較。 https://t.co/mXnQtV3Xn5

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猛暑ということで、おバァはんが、チエ家に扇風機やスイカを持って来る(特徴:贈り物)。
特徴である、物のアップ・間が出て来る。
また、スイカを落としてしまっても、おいしく食べる食いしん坊なのも特徴。 https://t.co/SD1efrhhx3

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一方、地獄組ボス達とコケザルは、喫茶店で、お化け屋敷の計画を語りあう。ここも、カイジ2期脚本13話とシンクロ気味。

今回のコケザルの計画は、お化け屋敷を通り抜け出来たら賞金を出すという条件でヤクザを集め、テツを使って絶対にヤクザを通り抜けさせず、参加費だけをせしめるというもの。カイジの沼も、スケールが違うが今回と同じく大金獲得計画。 https://t.co/8gwZSNpYsQ

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お化け屋敷でヤクザから大金を巻き上げる陰謀を語る場面、カイジ2期脚本で班長達が陰謀を語る場面とシンクロ。

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コケザルの後を追ったチエは、裏に地獄組ボスがいることを把握する。また、お化け屋敷をテツが嫌がるので、チエは怪しむ。過去に何かあるようだ(これは次回に持ち越し)。

コケザル達の計画にはテツの協力が必要なので、コケザルがミルク金時を持って、テツとの交渉にあたる。

またしても飯テロ。カイジ2期脚本と比較。ちなみにチエ1期でも、高屋敷氏脚本にて、かき氷を美味しそうに食べる場面がある。 https://t.co/fU9SO4pFe2

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何としてもお化け屋敷に行きたくないテツは、ヤクザを脅かす役を引き受ける。かき氷屋の間(特徴)が、カイジ2期脚本とシンクロ。

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テツはお化け屋敷のバイトの事を伏せ、就職したと嘘をつき家を出るが、拳骨は、テツが手の込んだ嘘をついたことに感心する。ここで次回へ。 https://t.co/6Pfu6zSM59

 

  • まとめ

今回はカイジ2期13話脚本とのシンクロが多く、比べると面白い。
地獄組ボスも、カイジのおっちゃん(坂崎)も、何度も夢破れているが、親子ほど年の離れた少年・青年から、具体的な勝算のある野望を聞き、再び奮起する。
真夏の入道雲が見守るのも同じ。冒頭、地獄組ボスが夢を語るが、コケザルが「まだ便所の豆電球一つ買うてない」とつっこむ。これも、具体的な勝算がある野望を持つコケザルと、漠然とした野望を持つ地獄組ボスの差。具体的な野望を持つカイジと、ヤケクソ競馬でオカルトに頼ったおっちゃんに通じる。

地獄組ボスは、フランク・シナトラのディナーショーをプロデュースしたいなどとも夢を語るが、コケザルに、「目の前の金儲けの事を考えんと」と言われる。そんなコケザルを、地獄組ボスは「クールなミラクルボーイ」と評する。この場面も、何か渋い。

年下が年上に生きる気力を与える話も、高屋敷氏の作品には多い。ルパン3期・はだしのゲン2・カイジ脚本など。
監督作忍者マン一平でも、一平の優しさに触れた魔法使いの老人が、一年生から再出発する話がある。また、こういった所に、生きる=生き甲斐を描く同氏の特徴が出ている。

高屋敷氏は、少年や青年の成長を描く一方で、少年・青年から背中を押される中高年の再起も、よく描いている。これもデビューまわりの、ジョー1脚本の段平・丈がルーツなのかもしれない。ジョー1脚本は無記名だが、記名のジョー2脚本でも、それは色濃い。

地獄組ボスは、チエ1期の高屋敷氏脚本でも大活躍した。特に、竹本家や西萩の人々の異様さを説いた大演説は名場面。
ジョー2脚本の経験からか、テツをボクサーにしようとした地獄組ボスに愛着があるのかも。今回も、地獄組ボスの不屈の精神が描かれている。

中高年の奮起といえば、ワンナウツ脚本でも、オーナーの犬であることを捨て、奮起する監督の話がある(結局、渡久地の犬になるが)。
高屋敷氏の作品には、演出・脚本とも可愛いおっさんがよく出る。夢を諦めない姿が無邪気だから可愛いのかもしれない。とにかく地獄組ボスが可愛い回だった。

  • 追記

この続きの27話について。以下ネタバレ

小鉄・ジュニア、拳骨の妨害によりテツが参ったため、地獄組ボス・コケザルの野望は潰える。
テツは過去に、ヨシエとのお化け屋敷デートでヨシエにプロポーズしていたので、お化け屋敷を嫌がっていたのだった。
拳骨は、テツのプロポーズ話をチエに伝える。
照れ臭くていたたまれないヨシエとテツは偶然街で鉢合わせし、思い出の喫茶店でお茶する。ヨシエが財布を忘れたため、テツが奢るハメになる事が予想できるオチ。

チエちゃん奮戦記24話脚本:時系列操作やナレとのかけあいが光る脚本技術

#チエちゃん奮戦記 じゃりん子チエ カイジ 忍者マン一平 チエちゃん奮戦記 高屋敷英夫

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23話との二部作。

23話概要:

テツが、おバァはんにお灸をすえられ丸坊主に。 一方チエは、普段と違うことをする、という春休みの宿題のため、現金をちらつかせて、テツに店をやらせる。そしてヒラメが1日店員を体験。そこへヤクザ客が来るが、テツは我慢し通す。そして翌日から、テツは何かを企む。

ここから今回の話へ。

テツは、23話でやりたい放題したヤクザが再度来店するまで店をやり続ける。

2週間後、待ちに待ったヤクザが来る。
場面は転じて朝。マサルは、テツが店をやっていた2週間、探偵の格好をして張り込んでいたとチエに報告。探偵コスのマサルが幼く可愛い(特徴)。

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マサルによると、ヤクザ二人組は店に入ったきり出て来なかったという。

そこへチャイムが鳴り、マサルの推理は中断。

裾が長い探偵コスのせいで散々転んだマサルは、体育を休み見学。その際マサルは学校の講堂へ向かうテツを目撃。

体育授業中のヒラメやチエが幼く可愛い(特徴)。

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マサルは、テツの監視を続行することにする。

一方テツは、お好み焼き屋にて、自分は人間が変わったと豪語し、散歩へ。

見送る百合根は、最近刑事のフリしたヤクザが来て、消えたヤクザ2人を探していたとカルメラに話す。その頃ニセ刑事がマサルと接触。再び探偵コスのマサル可愛い(特徴)。

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時間は飛び、マサルは偽刑事との接触をタカシに話す。マサルの回想という形でニセ刑事とテツの邂逅が描かれる。高屋敷氏特徴の時系列操作。カイジ2期脚本においても巧みに使われている。
時間はマサル・タカシの会話地点に戻り、マサルは刑事が消えたと話す。

マサルは、ヤクザ二人と刑事がテツに殺されてホルモンにされたと想像し卒倒。

その頃百合根は、テツが最近お好み焼きを3枚持ち帰るので、テツがどこかにヤクザを飼っていると推理。

一方テツは、窓に映る自分を見て、髪型が戻りつつあるのを実感(特徴:鏡演出)。画像は今回とルパン三世2期脚本。ここでの鏡演出は、テツの髪型が戻る=自分を取り戻しつつある、という現状把握。

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そこへ、1期最終回でテツ達とバトルした、大学の応援団団長(先の23話で頭を丸めて再登場)が声をかける。二人はうどん屋へ。特徴の飯テロ。画像は今回とジョー2脚本。

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団長は自分の未熟さに悩み、泣く。ヤクザは好きかとテツに問われた団長は、ヤクザが大嫌いと回答。するとテツが、お前ええ奴やと言い、どこかへ連れていく。落ちる涙のアップがカイジ脚本とシンクロ。

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一方拳骨はテツの異変をチエから聞き、危険な兆候だと警告。

拳骨曰く、テツは我慢しすぎると、ある日たまったガスのように爆発するから危険とのこと。話し方がカイジ脚本の船井と似てたから並べてみたw

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そこへミツルが、組員3人の捜索願がヤクザ組から出されたと知らせに来る。拳骨はテツが3人を囲っていると確信。

テツが学校の講堂に向かうのを見たという情報がある事をチエから聞き、拳骨とミツルは慌てる。

その頃、テツは団長を伴い講堂に向かっていた。テツはここにヤクザを囲っており、ヤクザが大嫌いだという団長に、一緒にヤクザをどつこうと提案。

一方拳骨・ミツル・チエも学校へ。拳骨とミツルは、テツの悪行の拠点が講堂だと知っていた。

学校に向かう際、拳骨とミツルはテツの過去の悪行について話す。拳骨の台詞が長く、かつ名調子早口。これも高屋敷氏の特徴。ジョー1、2の脚本で実況台詞を数多く練った経験から培われたものかもしれない。
学校に着いた3人が塀を登る姿が可愛い(特徴)。

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その頃テツも、過去に拳骨(当時のテツの先生)に怒られたことを思い出し、腹いせにヤクザをどつきに行く。取り残された団長は戸惑う。
一方拳骨達も講堂に到着。ランプのアップ(特徴)が入る。上げればキリがないが、カイジ破戒録脚本と比較。

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拳骨達は、テツがヤクザをどつこうとした現場を押さえる。

時は飛び(特徴:時系列操作)、チエ家にてヒラメの1日店員体験記を読み上げる拳骨の場面になる。ヒラメのナレ→読み手の拳骨の声にうまくスイッチするのも同氏特徴。カイジ2期脚本でも使われている。

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純粋なヒラメは、23話にて嫌な客(ヤクザ)に対し我慢を続けたテツを見て感銘を受け、その事を作文を書いていた。チエやおバァはヒラメの純粋さに心打たれる。一方テツは天井裏で縛られていた。ランプや物が事柄を見ているのが同氏特徴だが、今回はテツが見聞きしているオチ。

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  • まとめ

今回は、脚本手腕から判る同氏特徴が多め。ナレとのかけあい、時系列操作、文章の読み手のスイッチ、複数平行エピの取りまとめの上手さなど。どれもカイジ脚本においても使われている技術。
それにしてもチエ1、2期とも脚本の密度が濃い。

言い回しの特徴である、早口長台詞名調子も、存分に発揮されている。拳骨・ミツルの声優さんも見事。
全体の話は相当サイコだが、アイデンティティの着脱としての、同氏特徴「脱衣演出」が出ている(マサルの探偵コスや、テツの丸坊主からの復活)。

時系列操作の上手さは、カイジだと2期7・20・26話脚本で特に発揮されている。
ナレとの掛け合いはカイジ全編に及ぶ。ナレを重要キャラとするポリシーは、監督作の忍者マン一平で、ナレーター役の学校仮面を活躍させている事を見ても明らか。

チエ1期にて、ナレーション(小鉄)が初めて入ったのは高屋敷氏脚本回。それだけ、同氏作品においてナレーターの存在は重要。ナレーションが無い場合は、太陽やランプなど、全てを見渡せる物の「無言の間」が代わりを務めているのではないだろうか。

高屋敷氏は、演出と脚本とで、やることが同じなのだが、今回の凝った脚本技術を見るに、脚本に絞って行った理由が解るような気がする。また、「脚本」からでも毎度映像に表れる可愛さも、不思議な特徴。同氏脚本の不思議な能力を感じる回だった。

チエちゃん奮戦記20~21話脚本:食べ物が象徴する、義理人情の温かさ

高屋敷英夫 チエちゃん奮戦記 カイジ コボちゃん DAYS じゃりん子チエ あしたのジョー 家なき子 元祖天才バカボン #チエちゃん奮戦記

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  • 20話

冒頭、いつものごとくテツがおバァはんにどつかれているのだが、あんまどつきすぎると(テツの)頭のゼンマイがきれるで、とチエが言う場面のイメージが、同氏演出の元祖バカボンとシンクロ。どちらもバカを通り越して超発想の頭だからか?

pic.twitter.com/4KqltHf1qh

posted at 20:24:26

そんなチエ家のもとに、速達が届く。宛先に「竹本テツ先生」と書いてある奇妙なもので、内容はヤクザの組開きパーティーにテツを招待するものだった。というわけで、同氏作によく出る紙がまた出た。画像は手紙シリーズ。今回・チエ1期・カイジ脚本、家なき子演出。 pic.twitter.com/Qr8D5eP7mQ

posted at 20:30:33

普段ヤクザをどついているテツは、ヤクザと聞いて喜び回転するが、同氏が敬愛しているらしき、出崎哲氏の回転演出ぽい。高屋敷氏の監督作や演出作でもよく出るほか、脚本作でも何故か怪現象?でよく出る。画像は今回、忍者マン一平監督、チエ1期脚本。カイジでもカードや賽子が回転する。 pic.twitter.com/pe0CznHogK

posted at 20:37:04

招待状について、チエは拳骨に相談。拳骨は、これは何かの手違いで、担当者は慌てているのでは?と推察。推察は大当たりで、招待状を送ったヤクザが、百合根の店に相談に来ていた。相談料代わりの、お好み焼き10枚が、DAYS脚本の11本の煙草とシンクロ。 pic.twitter.com/cCPD6jXdbI

posted at 20:44:46

いつものごとくお好み焼きが美味しそう(特徴・飯テロ)。

また、DAYS脚本も今回も、食べ物やタバコのアップに意味がある。さらに、状況を表す、火のアップ。これも同氏特徴で頻出。下記画像はコボちゃん脚本との比較。 pic.twitter.com/7J5GZ1bBfX

posted at 20:51:43

百合根はヤクザの相談に乗る。そのヤクザは新米で、手違い・勘違いで招待状を送ってしまったのだった。新米ヤクザは田舎から大阪に就職しに来たが、どの仕事もブラックで辞め、ついにはヤクザになってしまったという。時代先取りなブラック労働による精神疾患がまた出た。 pic.twitter.com/XWcWGeFNss

posted at 21:00:26

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今回のミスで組長を怒らせた新米ヤクザは、テツと刺し違えて来いと放り出されてしまったのだった。話を聞いた百合根は対策を考えると共に、何故面識が無いのにこの店がわかったのか聞く。すると新米ヤクザは、組に出回っているテツの相関図を渡す(特徴・紙ネタ) 。pic.twitter.com/zXlS5YbDG6

posted at 21:07:35

新米ヤクザのくれた、組で出回っているテツ相関図を、チエ・拳骨・おバァはんも見る。これも特徴の、破壊力のある文による紙ネタ。画像は同氏特徴の紙ネタ集。今回、ど根性ガエル演出、チエ1期脚本、元祖バカボン演出、カイジ脚本。 pic.twitter.com/XxHUSIXhJi

posted at 21:13:39

テツ相関図の人物紹介プロフィール文は、小鉄の名調子ナレで読み上げられる(特徴)。人物紹介映像→止め絵→プロフィール読み上げ、の演出が、シリ構・脚本の「二舎六房の七人」(戦後少年院の話)と重なる。止め絵演出が、師匠かつ長年仕事した出崎統氏的でもある。

pic.twitter.com/HVrrX3bh34
posted at 21:25:44

相関図のプロフィール文に怒るおバァはんだが、チエはマサルに普段言われているから慣れっこだと言う。チエ1期同氏脚本に、マサルが、「遺伝は怖い」という内容の手紙をチエに送りつける話があり、その時の演出法も今回と重なる。演出も1期演出陣の佐藤博暉氏。

 pic.twitter.com/vhSCXsaI3v

posted at 21:34:16

一方、新米ヤクザを救う方法を百合根は考えつく(特徴・義理人情)。その方法は、テツに金を払い、テツ+相関図に載っている人達と一緒に記念写真を撮ること。写真を組に送れば、びびって新米ヤクザに手は出さないだろうという算段。仲間が集まるのも同氏特徴。

 pic.twitter.com/sfpVr4wHhH

posted at 21:44:03

新米ヤクザは足を洗い、郷里に帰ることにする。見送りに来た百合根は、写真を現像したら、組に送っておくと言い、フィルムを見せる。これも同氏特徴の、想いを込めたものを持つ、手のアップ。画像は今回とジョー2脚本。今回は百合根の義理人情が格好いい。

pic.twitter.com/l67OZoZ616

posted at 21:49:26

新米ヤクザは百合根に感謝し、落ち着いたら手紙を書くと言うが、百合根は「ええねん」と返す。

百合根に感謝しつつホームに向かう新米ヤクザは、ヨシエを偶然見かけ、ヨシエのプロフィール文を思い出し、慌てて逃げ出すのだった。ヨシエのプロフィール文でend。 pic.twitter.com/Maaee1wt9y

posted at 21:56:41

  • 21話

前回のあらすじのまとめが上手く、名調子(特徴)。同氏は、カイジ破戒録1話でも、1期の内容をアバンでまとめてしまうほどのまとめ上手。これは、「がんばれタブチくん」で他の人達が書いた脚本を劇場版用に構成するなどの経験が生きてそう。
posted at 22:04:06

冒頭、組開きパーティーでウケる服が欲しいテツが、ミツルや百合根に服を貸せとねだる。結局、百合根の羽織を借りることに(特徴・脱衣演出)。元祖バカボン同氏演出に、本官さんの制服を着たパパが散々な目に合う話があり、それを彷彿とさせる。 pic.twitter.com/5lhSJqx2cm
posted at 22:10:53

更にテツは、カルメラ兄弟もパーティーに付き合えと強要。一方ヨシエは、前回出た、自分を含めたテツ相関図を読み上げる。読み手のヨシエに合わせ、登場人物の過去映像が次々出され、プチ総集編ぽい(特徴・総集編が上手い)。これも1期の同氏脚本と同じノリ。 pic.twitter.com/TzoAdsVZdH

posted at 22:18:53

ヨシエはテツを心配するが、チエはヤクザ組を心配する。その頃、ヤクザ組は、チエの店に行ってチエ達を人質にとり、テツを大人しくさせようという作戦を立て、チエの店に向かっていた。状況を表す月が出る(特徴・自然もキャラ)。赤い月がヤクザの不幸を予言。

pic.twitter.com/VoHanL3oD6

posted at 22:24:15

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一方、客が来ないのを憂いていたチエは、やって来たヤクザ組を団体客として不気味な笑顔で歓迎。ヤクザ組はビビりつつ、ナイフでチエを脅そうとするが、料理途中だったヨシエが出刃包丁を持って出てきたので逆に怖がる。刃物が語るようなアップが同氏特徴。画像は今回とカイジ脚本。 pic.twitter.com/Pix3oHTJWK

posted at 22:32:01

ビビりながらホルモンを食べるヤクザ組のもとへ、百合根、拳骨、おバァはんが偶然にも来る。ヤクザ組はまたも、この面子のプロフィール文を思い出し怖がる。何となく事情を察した百合根達は店を閉めきりにする。ヤクザ組は恐ろしい思いをして退散するのだった。

posted at 22:38:24

その頃テツはカルメラ兄弟を伴って、もぬけの殻の宴会会場から鯛や酒などを持ち出し、売りさばいていた。そして大量の酒についてはチエの店で売ることに。酒を運ぶ途中、テツはヤクザ組と鉢合わせする。テツに怒鳴りつけられたヤクザ組は逃げ出す。こうして、また一つ組が消えた。
posted at 22:50:09

後日、テツは酒をちまちま売りながら利益を実感し喜ぶ。テツは算盤が上手いという設定は、1期からの継承。テツは、ケチって酒を水でうすめようとした所をチエに見つかり、下駄でKOされる。同氏脚本参加ジョー2のKO場面ぽい。同氏特徴の無機物アップでend pic.twitter.com/fEaFriWLMH
posted at 22:56:53

  • まとめ

とにかく同氏の真骨頂は、20話の、百合根と新米ヤクザの義理人情話。「ええねん」と恩を売らない百合根が渋い。また、ブラック労働の不幸も時代先取りで興味深い。カイジの帝愛もブラック。同氏演出・脚本とも、過労などによる精神疾患がよく出る。
posted at 23:05:20

百合根のお人好しぶりについては、ヤクザ組の書いたプロフィール文にも「アホなアホなお人好し」と書いてある。この「アホなお人好し」のフレーズは、話の中で何回も強調され、同氏が百合根の優しさを前面に出したい意図が見て取れる。
posted at 23:15:37

思えばカイジも「アホなアホなお人好し」であり、それがアニメでも強調されている。こういった、無償の愛や博愛については、まんが世界昔ばなしの「幸福の王子」演出はじめ、同氏作品によく出てきて、メインテーマの一つになっている。
posted at 23:21:10

あと1期の継承として、テツに関わるとヤクザ組が壊滅する・ヨシエは誰からも恐れられている、が使われていて、スタッフ全体が1期をよく把握しているのが感じ取れる。関西でしか放映されなかったにしては、正当な続編として機能している。
posted at 23:27:22

お好み焼き屋=コミュニケーションの場、といえば、ど根性ガエルの同氏演出においても、梅さんの寿司屋が、よくその役割を果たしていた。両者ともにお人好し。そういった温かさが、寿司・お好み焼きが美味しそうに見える一因かもしれない。
posted at 23:37:14

同氏特徴の、物や食べ物、月や太陽のアップにしても、一つ一つ意味があり、キャラクターとしての役割がある。それらがテーマを強調するため機能しており、何故出てくるか理由がある。今回は、お好み焼き、フィルム、紙、文字が活躍した回だった。
posted at 23:45:19

ちなみに、お好み焼きは余程チエで気に入ったのか、コボちゃん脚本でも、お好み焼きが出る。こちらも、義理人情と家族愛を象徴して出てくる。やはり食べ物は重要な役割を担っており、そのメッセージ性の高さから、見ている側も食べたくなるのだろう。 pic.twitter.com/FJ7fRkqNiZ
posted at 23:52:00

チエちゃん奮戦記16~17話脚本:インチキオカルトに対する怒り再燃。そして「文字」というキャラが持つ威力

#チエちゃん奮戦記 じゃりん子チエ カイジ チエちゃん奮戦記 高屋敷英夫 元祖天才バカボン

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15~17話の3部作。

  • 15話概要:

インチキ厄除屋が、おジィはんに判子を10万で売り付ける。その後、厄除屋はテツに捕まり、10万はテツの手に。 テツは厄除け商売を、ジュニアのノイローゼに悩む百合根に仕掛けようとするが、そこには酒乱モードの百合根がいた。

  • 16話

酒乱モードの百合根は厄除屋とテツを、ジュニアのノイローゼが治るまで帰さないと息巻き、家に閉じ込め厄除けさせていた。だがインチキなので効果はなく、二日も経過。百合根の回転瓶攻撃と、ワンナウツ(シリ構・脚本)渡久地のバット回転攻撃がシンクロ。https://t.co/wvGcBhG2Mz

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本当はジュニアのノイローゼは治っていたが、ジュニアは治っていないフリをして面白がっていた。

百合根はジュニアが治らないと言って怒り、厄除師の教祖を連れて来いとテツに命令、テツをパン一にし(特徴:脱衣演出)、 連れて来るまで服を返さないと凄む。

f:id:makimogpfb:20161014150035j:image服を返さないのと逆で、元祖バカボン同氏演出では、自分の服を取り返すまで家に帰ってくるなと、パパがママに放り出される場面がある。

どちらもアイデンティティーの喪失による危機。テツの場合、この事が更に状況の悪化を招くこととなる。

一方、テツ達が百合根の家に居ることを、なんとかチエに説明した小鉄は、チエと共に百合根宅に向かう。途中、パン一のテツを見かけるが、なんとか他人のふり。

チエが百合根宅に着くと、泣き上戸になった百合根が、店名が悪いからジュニアが治らない、とチエに泣きついてきた。泣く百合根が幼い(特徴)。

百合根は、店名を変えたいから暖簾屋に新店名を発注してくれと、チエに紙(特徴)を渡す。これも同氏特徴で、紙や字がキャラとして相当の殺気を放つよう構成されている。店名はこの話のオチで判明する。

百合根の迫力に押され、チエは暖簾屋に暖簾を発注しに行く。

https://t.co/b5QqkMTal6

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一方小鉄は、ジュニアのノイローゼが治っていることに気づき呆れる。それをよそに、ジュニアはイタズラ心でノイローゼのフリを続ける。一方テツはミツルの派出所で、二日間ろくに寝てないからと、布団を被り寝ていた。

毎度だが高屋敷氏脚本回は、テツとミツルの仲が微笑ましい(特徴)。https://t.co/zPh6v8hn52

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その頃チエは、おバァはんを伴い百合根家に向かう。厄除屋から判子代10万を取り返すためである。

だが、酒乱モードの百合根の迫力に押され、チエ達は厄除屋の祈祷に付き合わされる。同氏ルパン脚本にもインチキ教祖が出るが、その信徒の場面とシンクロ気味。

https://t.co/e9cQqKtjLP

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見かねた小鉄はチエに、ジュニアは既に治っていると告げ口。チエの一喝で、百合根はジュニアが治っている事に気付く。

百合根は厄除よりチエの方が効果がある、と厄除屋をボコる。その隙に、チエ達はテツのズボンのポケットから、おジィはんが騙し取られた10万を見つける。

おバァはんとチエは、金を取り戻したから、もう用は無いと、百合根達の修羅場をよそに立ち去る。その後小鉄はナレで「ドライな女性陣」と嘆く(特徴:ナレは重要キャラ)。

その夜、テツは厄除屋の本拠地の前に、シーツをまとった姿で立っていた。その姿を月が見ているような間がある(特徴:月=重要キャラ)。  

https://t.co/Ex4tGEFS7u

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その日を境に、テツは帰らず。

チエは、おジィはんの詐欺被害やジュニアの病が解決したことでスッキリして、テツがいないことに気付かなかった。

ヨシエは、そんなチエをたしなめるが、家庭の崩壊より妻って夫が大事なのかしら、とヨシエに聞こえるように呟き、毒舌。

その後、暖簾屋が暖簾を届けに来る。百合根が苦手だから、チエから暖簾を渡して欲しいと頼みに来たのだった。暖簾を見ながら、チエは「センス悪い」と呟く。

その頃、素面に戻った百合根は、カルメラ兄弟が開業するラーメン屋の店名のセンスが悪いと指摘していた。

カルメラのラーメン屋の店名(仮)はカルメラ亭。

百合根の「かたぎや」、カルメラの「カルメラ亭」、どちらも元がカタギでない事をばらしてると、3人は口論に。

そこにチエが暖簾を届けに来る。案の定、百合根は覚えていないが、チエは強烈なセンスだと暖簾を酷評する。

百合根が暖簾屋に発注した店名は「ヨシ江ちゃん」。酔っていた時の百合根の談によれば、不幸に強い名前らしい。恐れ多い名だと言いカルメラは逃げ、百合根は顔面蒼白。これも同氏特徴、物や文字が強烈なキャラであることの表れ。DAYS脚本も背番号のアップの間に迫力がある。 

https://t.co/mWuxO9xWuT

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ここで17話に続くのだが、同氏バカボン演出、ルパン脚本、そして今回と、インチキオカルト屋が出てくる。元祖バカボンは拝金坊主、ルパンは泥棒教団、今回はインチキ厄除け屋。どれもインチキオカルトに対する、同氏の怒りのようなものが窺える。  https://t.co/6dNu6DPPCx

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  • 17話

姿をくらましたテツは、厄除け屋を乗っ取り金儲けに精を出していた。この厄除屋の文字の迫力と存在感も、いかにもな同氏特徴。物や自然がキャラなのは同氏特徴だが、その中でも文字は格別に存在感のあるキャラなのかもしれない。画像は今回、カイジ脚本、ジョー1脚本疑惑。

https://t.co/Jy3FLTdrgY

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厄除屋本店がやっていたインチキ商法は、まず部下が客の話を聞き、その会話を教祖が盗聴。その後教祖が現れ、客の悩みを言い当てまくるというもの。なにやらカイジっぽいイカサマ。また、ルパン同氏脚本のインチキ教団もギミックやトリックを使う。

https://t.co/53R7htJewx

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それもこれも、百合根がテツのアイデンティティーである服を剥ぎ取ったことから、ややこしいことになっているのである。 元祖バカボン同氏演出でも、パパがオカルトにハマり、頭を丸めて坊主の格好になってしまっている。(特徴:脱衣演出) https://t.co/Oif0ZnhxM4

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テツが昼寝してる間、店名の事で悩むカルメラ兄弟が厄除け屋の前を通りかかる。すると店から客が出てきて、めっちゃ当たると言って去っていく。この人、騙されやすい所がカイジの石田さんぽい。画像は今回とカイジ脚本。二人とも悩みは借金。

https://t.co/TNpWxLSRp2

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先客に影響されたカルメラ兄弟は入店。

イカサマにひっかかったカルメラは、店名が不吉だと、教祖から指摘を受ける。

この時教祖は、「炎が見抜く」のだと言う(特徴)。歴代同氏作品で、炎が特別なキャラであることは確か。画像は今回、ベルばらコンテ、カイジ脚本。他も多数 https://t.co/bmjwNlYv6W

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教祖は新しい店名を思い付く限り書けと、カルメラに促す。カルメラは知り合い達の名前を書く。それを教祖は短冊状に切ってばらまき、うち一つをキャッチする。引き当てた店名は「ヨシ江ちゃん」。それが幸運の店名ということになる。

ところで紙ビリビリシリーズまた増えた。今回、エースをねらえ演出、チエ1期脚本・カイジシリ構。https://t.co/X1bON480Du

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昼寝から目覚めたテツは、教祖が捨てた紙に書いてある家族や知人の名前に気付き、事の顛末を知る。カルメラの店名が自分の妻の名になる状況にテツは慌て、教祖とその部下をどつく。高速ビンタが後に本家一歩のデンプシーに、奇跡的につながる。画像は今回、ルパン・一歩3脚本。https://t.co/gDd33bjmeB

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一方百合根は、カルメラ兄弟が「ヨシ江ちゃん」の暖簾を引き取ったので喜んでいたが、チエやおバァはんは、ヨシエが本気で怒ったら恐ろしい事を知っているので憂鬱に。ヨシエが怒ると最強なのは、一期最終回の継承。

小鉄とジュニアは状況を打破すべく奔走することに。

小鉄達がカルメラの店に行くと、カルメラは暖簾を出せずにいた。覗きに来た厄除屋部下は、暖簾がまだ未完成だと勘違いし、テツに報告しに行く。それを聞いたテツは対策を考え始める。全てを見た小鉄達は、それをチエ達に知らせるべく動く。ところで出崎4パン出た。

https://t.co/0UvZ6KnV9W

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小鉄達に導かれ、チエ、おバァはん、百合根は厄除け屋に行く。様子をこっそり窺ったチエはテツの企みを知り、返り討ちにする作戦を立てるべく帰る。

そのため、チエは百合根、おバァはんの他に拳骨とヨシエを呼び、カルメラの店のラーメンを食べに行こうと言い出す。

その頃、開店日だというのに、カルメラの店には一人も客が来ていなかった。「本日開店」の張り紙に異様な間を取ることで殺気が出ている(特徴)。大体が、アップで2~3秒あたりの間。これで、物や文字に殺気が出てくる。これは2016年のDAYS脚本でも健在。

https://t.co/NgkuJBZHaY

ヤケクソになったカルメラは、ついに暖簾をかける。そこへチエ一行がやってくる。戸惑うヨシエも、おバァに導かれ入る。閑古鳥の店に皆が来る展開は、同氏ど根性ガエルにもある。 画像は今回と、ど根性ガエル演出。https://t.co/s5oba2gtIe

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一方、テツは厄除け屋達を伴い、カルメラの店へ向かう。カルメラが名前を変えるのに抵抗したら店に突撃する算段だった。

だが、暖簾が既にかかっており、店から拳骨とヨシエが顔を出したため、テツは驚く。

その拍子にテツは教祖の持っていた木槌に偶然当たり卒倒。

厄除け屋はこれにびびって夜逃げの準備に行く。かくしてチエのテツ返り討ち作戦は成功した。これも、チエが中々の知略を使っている(特徴)。また、紆余曲折あったが、仲間の店が開店する日に、皆が駆けつけてくれる義理人情話でもある(特徴)。

  • まとめ

同氏作品によく出る、インチキオカルト撃退話である。カイジの兵藤会長の「神になる」「王である」も、インチキやイカサマをうまく利用したオカルト的な所がある。画像は今回、元祖バカボン演出、ルパン三世2期・カイジ脚本。歴代インチキオカルト師https://t.co/KJ0sWxiNbM

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そして、紙や文字の持つ力が、ことさらに強調された回だった。「ヨシ江ちゃん」の字面、厄除け屋やカルメラの店の張り紙など。なにしろ監督作の忍者マン一平でも、古本が妖怪化した者が出るほど 。相当に紙や文字にこだわってる。

https://t.co/QlcCH7yADI

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1期のころから、ジュニアの季節性ノイローゼは、生きてる実感(面白さなど)を感じると治る。精神疾患には笑いが効く、とはよく言われるが、これも先見の明。1期でも同氏は、ジュニアのノイローゼがテツへのイタズラ成功で治る脚本を書いている。

あとは、あらゆる作品で出る「脱衣演出」。今回、テツは服を取られたらアイデンティティーを保てず、インチキ厄除師になってしまった。ただし、妻に弱かったり、力が強かったり、がめつい所など、根っこは変わってない。そこはテツの強さかもしれない。

そして1期からチエ脚本全部に言えることだが、とにかく平行エピソードの多さとその合流地点の設置が緻密で見事。1期の高畑勲監督は頭がよく、その類の計算力が高そう。そういったコンセプトは2期でも生きていて、まさに脚本家の虎の穴と感じる作品。

ついでに、元祖バカボン同氏演出回の、イカサマ拝金坊主についての話は下記。比較すると面白い。

togetter.com

 

チエちゃん奮戦記13話脚本:人の人生観が変わる瞬間を「見ている」入道雲

カイジ #チエちゃん奮戦記 DAYS チエちゃん奮戦記 忍者マン一平 高屋敷英夫 じゃりん子チエ

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のっけから特徴の自然=キャラが出てくる。夏の入道雲が町を「見ている」。

また、舞うパラソルやアイスクリーム屋の、情緒ある「間」も特徴。画像は今回、家なき子演出、忍者マン一平監督(コンテも)。 https://t.co/nSqthq4eSp

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冒頭、マサルは夏休みに避暑旅行に行く事を、チエに自慢しに来るが、不幸にもテツが応対、しかも暑いからパンイチ(特徴:脱衣演出)。後から来たマサル母は驚いて退散。そしてテツは、事情をチエ・ヒラメにチクる。テツはマサル母子がマサル父を置き去りにしたと邪推。

アイスを食べるテツ達3人が可愛い&飯テロ(特徴)。Days脚本でもアイステロ。マサル母子がマサル父を置き去りにしたというテツの邪推は、高屋敷氏特徴の、ぼっち=万病の素というポリシーからかも。 https://t.co/oxObpG6JRZ

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テツは、本当にマサル父が置き去りにされたかどうか、ヒラメの描いたマサル父の似顔絵を元にマサル家を除きに行く。だがそこには怪しい人物がいて、テツが捕まえるが、その人物はマサルの母方の叔父だった。誤解のお詫びに、テツはマサル叔父と遊び(?)に行くことに。はっきり言ってデートにしか見えない。

テツとマサル叔父の町散歩は、子供の散歩かデート(特徴:幼い・天然BL)のような様相。マサル叔父は内気なコミュ障で、テツのような豪放な人間に惚れやすいタイプ。1期の渉(拳骨息子) に似ている。かき氷食べるの可愛い。画像は今回と1期。 

https://t.co/e2sOfL9yYB

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マサル叔父の趣味は読書で、特に拳骨(作家・研究者でもある)のファンだという。それを聞いたテツは、本物のトンデモ人間の拳骨を見せたる、とマサル叔父を拳骨のもとに連れていく。カイジ脚本と同じく入道雲が印象的で、年の離れた男達の人生を雲が見ている。https://t.co/9pbneDfMnK

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数日後マサルが、マサル叔父からテツへの贈り物(テツの好物・かりんとう)を届けにくる。また、マサルもチエのために、解答済みの宿題のプリントを貸す(特徴:相手の事を考えた贈り物)。マサルがそっぽを向きながら渡すのは、1期(下段)からの継承。

https://t.co/QmPavZBqBF

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テツへの贈り物であるかりんとうには手紙が添えられており、テツとの会話や拳骨との面会でマサル叔父の人生観が変わったことが書いてあった。彼は仕事が合わなかったり、生き方に悩んでいたが、テツの一言でスッキリしたとの事。結果マサル叔父は辞職したらしい。

それを聞いたテツの言葉は中々深い。
「仕事が馴染めんのやない。仕事が嫌いな奴やねん。アイツわかりきったことばかりグチャグチャ言うてたんや。おもろないから仕事や言うねん。おもろなりたかったら仕事やめんかい!」

画像は心のこもった贈り物集。今回とコボちゃん脚本。

https://t.co/mHUbGA7Uwm

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そして下記画像は手紙集。どれも心からの手紙。他にも多数。ルーツは脚本または脚本手伝い疑惑のジョー1だと思われる。今回、カイジ脚本、家なき子演出、ジョー1脚本または手伝い疑惑。

https://t.co/JQYVFEWiHi

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マサルは一流企業に就職した叔父を尊敬していたので、叔父の辞職を知り泣きながらチエ家を責めるが、すぐに舞い戻って来て前言撤回する。なんとマサル叔父は花井拳骨論で新人文学賞を受賞したのだった。画像は特徴の紙ネタ。ど根性ガエル演出と今回。 

https://t.co/vGet4CtZKC

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それを聞いたテツは「続・花井拳骨論」を執筆し始める。だがチエによれば拳骨との過去を書けば書くほどテツの恥エピソードが晒されていく内容で面白いとの事。一方マサルは、いい事ばかり続きすぎて母がおかしくなっている事に頭を悩ませていた(特徴:精神疾患)。

マサル母は一種の躁状態。そして、もうすぐマサルの誕生日。さらに母の気がおかしくなると、マサルは憂鬱に。マサルの雰囲気がおかしいので、奇襲でも喰らうのかと考えたチエは小鉄を用心棒にする。小鉄は疑問を抱き、マサルの様子を見に行く。

そして小鉄が目撃したのは、完全に躁状態のマサル母だった。1期からの継承で、小鉄はジュニアの季節性鬱に毎回付き合っているため、この手の病には詳しい。だがチエには通じず。しかしマサル母がチエ宅に来訪、ヨシエとハイテンションな会話をして去っていく。

https://t.co/KDiASVhSTJ

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マサル母は、チエとヒラメをマサルの誕生会に招待する。彼等は全員、顔面蒼白に。一方マサルは誕生会までに肺炎にかかろうと、タカシを伴い毎日半裸でランニングするが、却って体力がついただけだった。ランニングがDays脚本とシンクロ。 

https://t.co/wwCIk74ATx

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その頃テツは続・花井拳骨論の執筆に忙しく、今の気持ち悪いマサルをどうにかしてくれという、チエのお願いを聞いてくれない。おねだりチエが可愛い。足をジタバタさせるのは高屋敷氏の演出時代によくあった特徴で、脚本なのにまたしても何故か出る怪。 

https://t.co/scCUqtmkxw

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結局マサルの誕生会の日がやって来る。切羽詰まったマサルは家出を決行。だが、続・花井拳骨論を書き上げ、マサル叔父の住所を聞きに来たテツに見つかり、追いかけられる。だが日々のランニングで鍛えられたマサルは、中々つかまらず。だが結局つかまる。

テツはマサルの、家出という気概には感心し、頭をはたく。するとマサルの髪が抜けていく。なんとマサルはストレスで脱毛症(特徴:精神疾患)まで発病していた。テツはドン引きして逃走。その頃、憂鬱な顔のチエとヒラメがすぐ近くまで来ていた。

毛が抜ける話は、高屋敷氏監督作の忍者マン一平にもある。忍法髪の毛ミサイルのリスクであり、皆を助ける為に使ったので、本物のサンタから帽子をもらう。一方マサルのは深刻なストレス・精神疾患で悲惨。画像は今回と忍者マン一平監督。

https://t.co/NrRyvU2YNd

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ラスト、誕生会がどうなったかは具体的には語られないが、ケーキが「語る」(同氏特徴)。一本しかないロウソクが倒れ、火が消える。サブタイは「地獄のバースデイ」。まさにその通り。

https://t.co/scjqmSRAjZ

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  • まとめ

またしても精神疾患話である。原作のはるき先生も中々詳しいのだろうが、高屋敷氏の作品に、多数存在するのは本当に興味深い。また、前半は、ほっといたら過労死か自殺しそうな青年に、テツが人生を変える助言を与え救済する話なのに、後半のマサルは悲惨。

しかしながら、子供の精神疾患は、逃げ場がなく、親が原因であることが生々しく描かれている。結局マサルは家出しか打開策を見出だせなかった。これもリアル。ギャグだから1話で済むが…。

テツがマサル叔父を開眼させ人生観を変えさせた一方で、カイジ脚本では、若いカイジが、おっちゃんに名言を吐き開眼させる。この逆の関係が面白い。テツは豪放で割と面倒見がよく、カイジは諦めない力があり、優しい。両者とも子供みたいに幼いのも同じ。

ところで高屋敷氏の作品で舞台が夏だと、美しい入道雲がキャラとして「見ている」のも特徴。 画像は今回、チエ1期、カイジ脚本。特にカイジは感動的だし、今回もテツとマサル叔父のシーンは美しい。 https://t.co/3VZfnNGcIR

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そして脚本で絵に手が出せなくなっても演出時代と同じような画面が出る怪。よく、出崎哲氏が使う遠景左向き走り・歩き。はだしのゲン2(脚本)にもよく出ていた。画像は今回と家なき子演出。

https://t.co/JibS0tPLTJ

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今回驚いたのは、鬱(躁鬱かも)・躁・脱毛症と、深刻かつリアルな精神疾患がラッシュで出て来たこと。そして、ほっといたら自殺しそうな青年(マサル叔父)の命をテツが自覚無しに救っているのを見るにつけ、テツの存在の重さを感じた回だった。

めぞん一刻70話脚本:ラブコメにも適用される「不屈の精神」

#めぞん一刻 あしたのジョー DAYS めぞん一刻 カイジ ルパン三世 出崎 ど根性ガエル 高屋敷英夫

めぞん一刻は、アパート「一刻館」に住む青年・五代と、一刻館管理人で未亡人・響子との、山あり谷ありのラブコメ(原作・高橋留美子先生)。高屋敷氏は最終シリーズ構成と脚本を担当している。監督(最終シリーズ)は吉永尚之氏。

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五代の就活の様子を見に上京した、五代の祖母・ゆかり婆ちゃんが田舎に帰る日がやって来た。

別れを惜しむ響子に、ゆかり婆ちゃんは、もうすぐ亡き夫のお盆だから、と理由を告げる。「(亡き)爺ちゃんが寂しがる」というフレーズに、高屋敷氏の、ぼっち救済ポリシーが出ている。また、この話全体で、ゆかり婆ちゃんが響子にとっては「未亡人の先輩」であること、「未亡人でも女を捨てない」ことが強調されている。冒頭でも、ゆかり婆ちゃんが着物を直す仕草が丁寧に描写されている。

響子は、ゆかり婆ちゃんへのプレゼント(特徴:贈り物)を買うため、五代を買い物に誘う。五代も、今日の就活の会社回りは1社しかないので快諾。

五代が出かけた後、ゆかり婆ちゃんは昼寝をする。その間、木々などの自然を描写する間が長く発生する(特徴)。こういった、物いわぬもの達の意味深な間は、同氏の演出・脚本で、視覚的に目立つ個性。しかも脚本での方が意図が緻密で迫力がある。これも不思議な特徴の一つ。下記は今回とカイジ脚本。

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カイジの方も、カイジが目覚めるまでの、意味深な間が発生している。今回も、自然や虫の描写をじっくりした後、ゆかり婆ちゃんが昼寝から目覚める。

この、自然や無機物などをキャラクターと捉えて、まるで何かを言っているような間は、どんなに尺が短くても入ることがある。下記は今回と、新ど根性ガエル脚本(コンテ演出疑惑もあり)。新ど根性ガエルは30分2話構成なのに、じっくり入れているのが凄い。

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ゆかり婆ちゃんが昼寝から目覚めた頃、五代と響子は約束通り、ゆかり婆ちゃんへのプレゼントや、五代の実家への土産を買いにデパートでショッピング。響子がプレゼントを選んでいる間、五代は指輪売場に目が行く。ここも、指輪が五代を誘うような間やアップがある(特徴)。

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また、案内する売り子が存在感がある(特徴:優秀モブ)。勿論、今は買えない値段なので、逃げるように五代は立ち去る。

喫茶店にて、五代は響子の手を見ながら、売り子の言葉を思い出す。ここも手のアップ・高速回想の特徴が出ている。

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手のアップについては、元祖天才バカボン演出の、手が喋る回などで演出意図の解答が見れる。高屋敷氏は、手や足なども別個のキャラとして見ている。これは近年のDAYS脚本でも健在で、「足を別個の生命体と見ろ」という直球台詞がある。

婚約指輪も買えない自分に溜め息が出る五代は、なんとしても就職してみせますから、と響子に宣言する。響子は戸惑いながらも、笑顔を見せる。

昼下がり、ゆかり婆ちゃんは外で自家製梅酒を楽しむ。ここでも特徴の、西日や風の間がじっくり描写される。また、一人ぽつんとしている、ゆかり婆ちゃんの相手をするように惣一郎(犬)が絡んできて(特徴:ぼっち救済)、ゆかり婆ちゃんと惣一郎(犬)は一緒に梅酒を飲む。

帰路につく五代と響子は、二人きりで買い物できた事を互いに喜び、いい雰囲気に。しかし、雨が降りそうな雲行きになって来たため、一刻館へと急ぐ。

二人が一刻館に着くと、ゆかり婆ちゃんと一刻館住人が玄関で梅酒を飲んで盛り上がっていた。ここも特徴の疑似家族愛が出ていて微笑ましい。しかも、最初は一人で飲んでいたゆかり婆ちゃんを救うように、ほぼ全員で飲んでおり、特徴である、ぼっち救済が出ている。

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惣一郎(犬)は、すっかり酔っており、響子に執拗に絡む。五代は惣一郎(犬)を止めようとした際、響子の服の裾を破ってしまう。そこへ雷と雨が来て、その後の惨劇?を演出する。ここも、雷と雨がキャラとして活躍する。また、向日葵のアップ・間が発生する。下記は今回と家なき子演出。

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事故とはいえ響子の服の裾を破ってしまった五代は、響子から咄嗟のビンタをくらってふてくされるが、ほどなくして両者は仲直り。その後、ゆかり婆ちゃんの送別会が催される。

ゆかり婆ちゃんへ贈る言葉を言う際、響子は祖父母を幼い頃亡くした事を語り、「お婆ちゃんて、こういうものだったんだなあって…」と大真面目に言う。ここも、血のつながらない疑似家族愛の特徴が出ている。ゆかり婆ちゃんは、後に響子にとって重要な人物になるので、伏線にもなっている。

ここで響子は、ゆかり婆ちゃんへプレゼントを渡す(中身はバッグ)。これも高屋敷氏特徴の、心がこもった贈り物。下記は今回とコボちゃん脚本。

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ゆかり婆ちゃんは喜び、「管理人さんは、ええ人ら」とお礼を言う。

宴もたけなわとなった頃、雷のせいで停電となる。ここも、雷が宴を盛り上げるキャラとして「出演」している。下記は今回と、怪物くん脚本。

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暗闇で、響子が抱きついたと勘違いした五代は喜ぶが、明かりがつくと、抱きついていたのは惣一郎(犬)と判明。雨のせいか、屋内に入りこんでいたのだ。惣一郎(犬)と五代はドタバタするが、ゆかり婆ちゃんの梅酒で惣一郎(犬)は大人しくなる。その際、ゆかり婆ちゃんは「犬だって一人は寂しいもんな」と言う。ここも、高屋敷氏のポリシーが直球で出ている。あと、優しくナデナデしたり、手つきが優しいのも、色々な作品でよく出てくる特徴。

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すっかり酔った惣一郎(犬)は響子に甘えまくり、五代はそれが気に食わなくて飲みまくる。一刻館住人が、惣一郎(犬)と響子が、まるで夫婦だと囃し立てるため、酔った五代は惣一郎(犬)から惣一郎(響子の亡き夫)を連想・妄想し、惣一郎(犬)と同レベルでいがみ合うのだった(特徴:幼い)。

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翌日、ゆかり婆ちゃんは旅支度をするのだが、鏡(特徴)を見て口紅を塗る仕草が丁寧に描写されており、同氏ルパン三世2期演出を連想させる。こちらも口紅描写が丁寧。

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また、演出・脚本問わず頻出する鏡描写。挙げればキリがないが、じゃりん子チエ脚本と比較。
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チエの場合、テツとチエが似ている箇所があると鏡が告げる。ゆかり婆ちゃんの場合、まだまだ女を捨てていない姿を鏡が映し出している。どちらも、キャラとして鏡が活躍。

こういった鏡描写、初期では、ど根性ガエル演出で出ている。

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こちらも、鏡を見たマリヤ(ひろしの飼い猫)が、食べ過ぎて太ってしまったことにショックを受ける。これをはじめ、鏡が現状を映し出すキャラとなっているケースが多数存在する。

話を戻すと、ゆかり婆ちゃんは二日酔いの五代を叩き起こし、荷物持ちをさせる。一刻館の皆も、見送りに行くことに。ここも、特徴の疑似家族愛が出ている。

新幹線のホームで別れる際、ゆかり婆ちゃんは五代の手を握る。これも頻出する特徴。ど根性ガエル演出と比較。

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見送りは、そのまま進行するはずだったが新幹線が遅延し、復旧するまで時間がかかることに。時間をつぶすため、またも一刻館住人とゆかり婆ちゃんは酒盛りを始める。

酒の匂いのせいで、五代の二日酔いがひどくなり、響子はそれを心配する。五代はいつもああやって甘える手口を使う、と四谷は、ゆかり婆ちゃんに耳打ちする。それを受け、ゆかり婆ちゃんは持っていた巾着袋を五代の頭にクリーンヒットさせる。ここも、何故か脚本なのに、出崎哲氏ゆずりの回転演出が出てくる。出崎哲氏コンテ・高屋敷氏演出のど根性ガエルと比較。

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また、出崎兄弟ゆずりの指パッチンも出てくる。

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その後も酒盛りは続き、その間に新幹線のダイヤは復旧。新幹線は出発してしまう。結局、次の新幹線が来るまで酒盛りは続いたのだった。

色々あったが、無事に実家に着いたゆかり婆ちゃんは、電話にて、響子は五代にはもったいないが、絶対に諦めるな、と五代に発破をかける(特徴:不屈の精神)。カイジ脚本でも、「絶対に諦めねえ…!最後まで…!」という台詞があり、話全体で「諦めない」事が大事であると、かなり強調されている。

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諦めない精神は、同氏の作品によく出てくるポリシー。出崎兄弟直系の「男の世界」が、ラブコメである本作でも顔を出している。 

ちなみに、奇跡的にカイジ脚本と似た構図が出る怪現象発生。茫然としている状況が似ているせいだろうか。

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ゆかり婆ちゃんは、五代の事をよろしく頼む、と一刻館の皆に酒代を渡していた。それを聞いた五代が急いで部屋に戻ると、すでに一刻館の皆は酒盛りを始めていた。またも二日酔いが悪化した五代は、(介抱しようとした)響子の部屋に行けるチャンスを得るも、それどころではなくトイレに駆け込むのだった。

  • まとめ

今回も出て来た、自然や無機物の間。特に、ゆかり婆ちゃんが昼寝をしている際の自然や虫の作り出す「間」は長く、それを見ていると、何故か「お年寄りに優しくしなきゃなあ」という気分になる。脚本なのに、こういった沈黙の間が「語る」のが毎回凄いと思う。それでいて話の密度は濃く、かなり圧縮されている。

そして、毎回出てくる特徴である、キャラ(特に五代)の幼さ。ついに犬と同レベルに。原作より強調される五代の幼さ・可愛さは、響子の母性本能を刺激するよう設定されているのではないか、と前に書いたが、今回も、甘えるのが五代のいつもの手口…と四谷が言うので、さらに裏付けが取れた。

その一方で、やはり出てきたのが「男なら諦めるな」的な「男の世界・美学」。以前も書いたが、高橋留美子原作作品にこういった男の世界を組み込むのは興味深い。

また、ゆかり婆ちゃんは夫に先立たれ、老いてもなお女であることを忘れていないことが、着物を直したり、口紅を丁寧に塗ったりする描写にて強調されている。いわば、未亡人である響子に、女を諦めないよう、先輩として手本を示している。こちらも、「諦めるな」が強調されている。

こういった不屈の精神を強調するポリシーのルーツは、やはりデビューまわりの「あしたのジョー1」の脚本経験(無記名)から来ていると思われる。丈も、何回打たれても諦めず立ち向かうファイトスタイル。その姿勢が、ラブコメにも適用されているのが面白い回だった。