カイジのシリーズ構成・高屋敷英夫さんの軌跡

カイジおよび福本作品、そのアニメが好きで、シリーズ構成の高屋敷英夫さんが、子供の頃からアニメのクレジットで凄くよく見る名前なので調べてみたものの膨大すぎてまとめきれなくなってきたので、自分のブログよりここに切り離してまとめることにしました。ツイッターアカウントは@makimogpfbです

MASTERキートン14話脚本:孤独を癒し、命を救う「歌」

Togetterのバックアップです。修正や追加などで再構成しています。)

MASTERキートンは、かつて英国特殊部隊SASで活躍したキートンが、ある時は保険調査員として、またある時は考古学者として世界を周り、様々な事件に遭うドラマ。

今回の舞台はドイツ。
冒頭、キートンの依頼人であるシュレイダーの娘・クララと、ベビーシッターのハンナが人形遊びをしており、高屋敷氏特徴である「魂があるような物のアップ」が早速出ている。
今回、ベルばらコンテ、ルパン2期演出、カイジ脚本と比較。

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シュレイダーの依頼は、冷戦時に東ドイツから西ドイツに亡命した際、身重のため置いていかざるを得なかった妻・ルイーゼと、その子供を探して欲しいというもの。
ルイーゼは強制収容所に収容されたが、そこで子供を産んだことが、冷戦後に判明したためである。

ルイーゼは出産を待たずに死亡したという、東ドイツの情報をシュレイダーは真に受けていたため、その知らせを受けた10年後、一緒に亡命した助手・テレサと結婚。娘のクララを授かった。
一見幸せそうだが、テレサは「彼の心の壁は残ったままだ(特徴:心の病)」と言う。

依頼を受けたキートンは、シュレイダーと共に収容所の元看守・コールに話を聞くことに。
コールによれば、残念ながらルイーゼは収容所で亡くなったとの事。だが、出産した娘・ローザは生きているらしい。

ルイーゼは、よくローザのためにオルゴール(特徴:魂のこもる物)を聞かせ、歌っていたという。
愛あふれる母の描写は、同氏作品によく出てくる。ど根性ガエル演出、ベルばらコンテ、はだしのゲン2脚本と比較。

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オルゴールも歌も、かつてシュレイダーがルイーゼに贈ったものだった。歌を覚えていたコールと共に、シュレイダーは歌を口ずさむ。
話を通して「歌」が活躍する所は、元祖天才バカボン演出と、はだしのゲン2脚本の「東京ブギウギ」の替え歌が思い出される。 

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ルイーゼの死後、ローザは笑顔を見せなくなり(特徴:心の病)、やがて収容所から消えたとコールは証言。
その後のローザの消息を追うため、キートン達は収容所の元所長、クラウゼ宅を訪ねる。
だが、キートン達はクラウゼから門前払い同然の扱いを受ける。

そんな折、クラウゼの運転手であるゴットロープは、収容所から強制的に養子に出された子供達のリストをくれる。同氏特徴である、味のあるおじいさんと、魂を持つ紙がまた出た。
エースをねらえ!演出と比較。 

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ゴットロープは、息子を収容所で亡くしており、シュレイダーに同情する。
やさしい運転手といえば、めぞん一刻の、明日菜の運転手が思い出される。どちらの声優も名演。また、高屋敷氏特徴の優秀モブでもある。

リストのお陰で、キートン達はローザの養父母を突き止める。
だが、ローザの引き取り先の家は売りに出されていた。
近所の婦人によれば、ローザはいつも一人ぼっちで、笑顔を見せない子供だったという。
同氏特徴の、ぼっち描写。ど根性ガエル演出と比較。

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婦人の証言は更に続き、それによると、ローザは思春期に養父に怪我を追わせ、養父母の家から出て行ってしまったという。
意気消沈するシュレイダーだが、キートンは調査を続け、ローザが最近まで付き合っていた友人を見つけだす。シュレイダーは早速、キートンと合流。

ローザの友人・ライザは不良っぽいが、割と面倒見がよさそうな性格。めぞん一刻脚本の朱美を彷彿とさせる。

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ライザは、ローザがくれた(母の形見の)オルゴールを見せる。ライザの前から姿を消す前にくれた、との事(特徴:贈り物)。

ライザによれば、シュレイダーが載った新聞を見た際、ローザは珍しく笑みを浮かべたという。

ローザは、シュレイダーが自分達母子を見捨てたと思い込み、シュレイダーを恨んでいた。
邪な笑みということで、カイジ2期脚本の班長と比較。

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ライザはローザの写真をキートン達に見せる。ローザはなんと、クララのベビーシッターであるハンナだった。
キートン達は、シュレイダー宅へ急ぐ。
キートン達が危惧した通り、ローザはクララに殺意を抱いていた。同氏特徴の豹変。カイジ2期脚本と比較。 

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ローザは、クララの首を絞めようと、ままごとに使うネクタイを手にとる。
ここもネクタイのアップになり、ネクタイが、養父に性的に虐待されそうになったローザの記憶を呼び起こす(特徴:意思を持つ物)。意思を持つ物ということで、ルパン3期脚本と比較。

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だが間一髪か、何も知らないクララは、シュレイダーから教わった歌を無邪気に歌い出す。
クララは、この歌は「パパが、一番大切な人に贈ったもの」だとローザに言う(特徴:“人ではないもの”の活躍)。
それを聞いたローザは、母や自分が父から愛されていた事を知り、殺意が消える。

そしてローザも、その歌を口ずさむ。
急いで帰ってきたシュレイダーとキートンに向かって、ローザは振り向く。その目には涙が浮かんでいた。
かくして、親子の再会は果たされたのだった。
指定時まで顔を映さない…は、結構同氏作品で出てくる。カイジ脚本と比較。

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  • まとめ

今回もまた、オルゴールや歌といった、“人ではないもの“が活躍。
オルゴールが人から人へ伝わっていくのは、多くの人間の手に渡りながらも、カイジにより正しく使われた(石田さんを助けた)「星」を彷彿とさせる。
偶然にも、今回の歌も「星」の歌 。

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今回の「キーキャラクター」である「歌」は、なんと人の命を救う程の活躍を見せる。
歌は、人の思いがこもるため、同氏が動かす「人ではないもの」の中でも魂が強い傾向にある。
はだしのゲン2脚本でも、歌が、子供達に元気をつける役割をしていた。

また、手がかりとなる書類をキートン達に渡してくれるゴットロープという老人も、強烈な印象を残している。
めぞん一刻最終回脚本にて感動的だった惣一郎の父もだが、同氏は老人を強く印象づける話作りや演出がうまく、挙げればキリがない。

はだしのゲン2脚本の構成では、「おんぶ」と「子供達を見守る原爆ドーム」が柱となっている。今回の柱は、「オルゴール」と「歌」。なので、クライマックスもラストも、台詞ではなく「歌」で〆る。
ラストにローザが涙声で歌う歌は、非常に胸を打つ。

毎度のことながら、脚本という立場になっても、台詞に頼らない話作りが同氏の強い個性になっている。
しかも演出時代より脚本の方が、それが出来ているのが非常に謎。
そして原作つきでも、同氏が出力するテーマは似通う。

もともと私が高屋敷氏に注目し始めたのも、同氏が多く演出を手がけた「家なき子」の再放送がきっかけ。その時も、「カイジのルーツ的なもの」を強く感じた。
それだけ、同氏が出力したいテーマには共通性がある。

高屋敷氏のテーマの中でも強烈な物の一つが、「ぼっち・ぼっち救済」。
今回も、母に死なれ、父に捨てられたと思い込んだローザの孤独が描かれ、ついには殺人を犯す寸前まで行ってしまっている。
だが、間一髪で彼女の孤独は救済された。

一方で、ぼっち救済失敗の悲劇も多々ある。監督作忍者マン一平の、海辺に住む孤独な怪物は、人間達を砂像にしてしまった罪のため一平達に退治される。
また、XMEN脚本でも、息子のために一人で頑張りすぎた女性科学者が悪者に手を貸してしまう。

カイジ脚本・シリ構でも「孤独」はしっかり描かれており、原作通りだが、全人類の抱える孤独について触れている。そして孤独を救うのは「人と人の通信」であり「人間が希望そのもの」とカイジは悟る。
高屋敷氏が強調したいものと非常に相性がいい。

ただ、相性の良し悪しは、脚本家や演出家が選べる領分ではない(Pや監督が絡む)。
その中で、自分の強調したいテーマを押し出す技に、高屋敷氏は長けているのだと感じてきた。だから、参加作の映像から受ける印象が似通うのだと感じた回だった。

MASTERキートン11話脚本:強い「役割」を持つ食べ物

Togetterのバックアップです。修正や追加などで再構成しています。)

MASTERキートンは、かつて英国特殊部隊SASで活躍したキートンが、ある時は保険調査員として、またある時は考古学者として世界を周り、様々な事件に遭うドラマ。

舞台はロンドン。
不思議だが、演出時代からの特徴である「物」のアップから始まる。監督作(&コンテ疑惑)の忍者マン一平と比較。

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キートンは、相棒・ダニエルを連れ、ロンドン中華街一美味しいとキートンが太鼓判を押す中華料理店・金蓮でランチする。

キートンの言う通り、料理は絶品。

店主の伯修は、今日(11/12)は特別な日だからと、キートン達に豚肉の唐揚げを奢ってくれる(特徴:贈り物)。
これが格別に美味しく、キートン達は感動する。同氏の大きな特徴である飯テロ。カイジ2期脚本と比較。 

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伯修もまた、同氏作品に頻出する、味のある中高年。画像はおっさん集。今回、ど根性ガエル演出・チエちゃん奮戦記・カイジ脚本。

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伯修は、「イギリス人には本物の中華料理は作れない」が持論。伯修の見習いであるイギリス人・ラディは、それを聞き落ち込む。

さらに伯修は、許可なく料理を作ったとして、ラディをクビにする。

キートンとダニエルは、パブにてラディを発見、事情を聞く(特徴:ぼっち救済)。元祖天才バカボン演出と比較。

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下記画像は、パブのシーンのビールテロ。ミラクル☆ガールズカイジ2期脚本と比較。他も多数ある。 

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伯修の娘であり、ラディの恋人でもある宋麗は、キートン達に、ラディの料理を食べてみてくれと頼み込む。

ラディの料理は美味しく、キートン達は感心する。ここでも特徴の飯テロ。挙げればキリがないが、チエちゃん奮戦記・カイジ2期脚本と比較。 

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ラディは、香港に住んでいた幼少期に、友達の家で食べた本場の中華料理に衝撃を受け、中華料理人を目指していると言う。
だが、フレンチのコックである父は反対し、家を出た事情があった。
下記画像はビンタシリーズ。今回、ベルばらコンテ、カイジ2期脚本。 

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ラディが金蓮にこだわるのは、子供の頃食べた本物の中華料理の味を、伯修が正しく伝え、広めているからだった。
そんな話を聞き、キートン達は、ラディと伯修の仲を修復しようと動く(特徴:義理人情)。

キートンは、伯修が出した豚肉の唐揚げの味に覚えがあったことを思い出し、日本にいる父・太助に電話をかける。
太助によれば、それは横浜中華街の大嘗閣という店の唐揚げだという。だが店主は亡くなり、店もなくなったとの事だった。

太助は、キートンの電話のせいで、無性に豚肉の唐揚げが食べたくなり、百合子(キートンの娘)を連れて横浜中華街に行くことにする(特徴:食いしん坊)。
一方キートン達は、ロンドン中華街の生き字引・趙老人に、金蓮の歴史を聞くことにする。

趙老人もまた、同氏作品によく出る、味のある老人。画像は今回、監督作忍者マン一平めぞん一刻カイジ脚本。

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趙老人によれば、かつて金蓮には、孫文が滞在しており、よく料理をしていたという。キートンはそれをヒントに、作戦を練る。

そんな折、百合子から電話がかかって来る。横浜の中華街からだった。幸運にも大嘗閣の店主の息子の店を見つけ、唐揚げの隠し味も教えてもらえたという。

更に、面白い話も仕入れたらしい。
電話を聞こうとするダニエルが可愛い(特徴)。ジョー2脚本と比較。

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後日キートン達は、日本料理を振る舞うと偽り、日本料理店に伯修を招く。
そして、キートンはラディの作った豚肉の唐揚げを伯修に食べさせる。
疑心暗鬼の伯修だったが、唐揚げの再現度に驚く(特徴:飯テロ)。
隠し味は、ウイスキーだった。

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更にキートンは、月餅を出す。これも、伯修の祖父や父が作った月餅の味が再現されていた。
月餅の隠し味は干し柿
ここでも特徴である菓子テロ。元祖天才バカボン演出と比較。

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キートンは、この特殊な唐揚げも月餅も、孫文が日本と英国に伝えたものだ、と説明する。

伯修は、キートン達に唐揚げを奢った「特別な日」である11/12は、孫文の誕生日であることを告げる。
そしてキートンは、ヒントは与えたものの、唐揚げも月餅もラディが作った、と念押し。
伯修は、素直ではないものの、ラディのクビを取り消す。

ラディと宋麗は、キートン達に深々と礼をし、伯修と共に店の仕込みに行く。
画像は、温かい義理人情に、お礼をする人達。
今回、元祖天才バカボン演出、めぞん一刻カイジ脚本。

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キートンとダニエルは、パブにて、金蓮の人々と孫文に捧げる乾杯をする。
特徴のビールテロ。
今回、めぞん一刻カイジ2期脚本。

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ラストに、月餅のアップが映る(特徴:意思を持つ物)。チエ2期脚本も、食べ物のアップで〆る回があり、それと被る。 

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  • まとめ

とにかく飯・ビール・菓子テロの嵐。高屋敷氏に非常に合ったエピソード。
高屋敷氏の作品で出る飲食物は、美味しそうなだけでなく、何らかの「役割」を持っている。
これもまた、「自然や物=キャラクター」という高屋敷氏のポリシーが感じられる。

ジョー2脚本では、無茶な減量をしようとする丈を止めるため、段平が、あの手この手の飯テロを行う回がある。これも、食べ物が丈を誘惑する役割を担っている。
カイジ2期脚本のビールと焼き鳥も、禁欲生活を送っていたカイジを激しく誘惑するもの。

一方で、ど根性ガエル演出や、元祖天才バカボン演出では、「皆で食べるご飯は美味しい」というメッセージを発している。つまり、食べ物が皆をつなげる「役割」をしている。
今回も、孫文と日英、伯修とラディをつなぐ役を、食べ物が担っている。

また今回、お人好し・義理人情も光っている。そして今回も、キートンがグルメであること、博識であることなどが問題解決のキーとなっており、人助けの為の具体的手段が描かれる。
カイジでも、人助けをする具体的手段が描かれる(特に石田さん関連)。

そして、そんな主人公の為に、天が少しだけアシストする展開も強調される。
今回の場合は、大嘗閣の主人の息子が見つかったことなど。
カイジの場合は、地盤や、沼(パチンコ台)の偶発的トラブルなど。

高屋敷氏の作品によくある、美味しそうな食べ物の描写については、ルーツは謎。よっぽどの食いしん坊かと推測したりはするが…。
ただ、単なる食べ物ではなく、「意思」や「役割」があるのは確か。食べ物は、否応なく人の意思がこもるからかもしれない。

自然や物、食べ物にしても、高屋敷氏の表現する「もの言わぬもの」は、「なぜそこに出す必要があるか」の理由付けがハッキリしていて、単なる場つなぎではない「意思を持つ物」である迫力がある。
毎度、演出でも脚本でも同じ事ができるのが謎だが…。

ちなみに今回出てきた「ウイスキーが隠し味の豚肉の唐揚げ」、「キートン 唐揚げ」で検索すると、再現を試みる人達のブログやサイトが多く出て来る。プロの業なので再現は難しいとは思うが、気になる人には検索をオススメする。

MASTERキートン8話脚本:「義」を貫くには「理」を

Togetterのバックアップです。修正や追加などで再構成しています。)

MASTERキートンは、かつて英国特殊部隊SASで活躍したキートンが、ある時は保険会社調査員として、またある時は考古学者として世界を周り、様々な事件に遭うドラマ。

舞台はイギリスのウェールズ
日本企業・ヤザワエレクトリック社のウェールズ工場長・滝田修二と、その運転手ギアが誘拐される事件が発生。
誘拐話は、元祖天才バカボン演出回にもある。また、カイジ2期脚本も、拉致まがいの方法でカイジが地下に落とされる。 

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事件は、イギリス警視庁のコスナー警視と、誘拐犯罪担当のダグラス警視が取り仕切ることに。
キートンも、保険会社からの交渉人として派遣される。一見柔和な凡人のキートンだが、すぐに有能ぶりを発揮(特徴:豹変)。カイジ脚本と比較。 

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今後、修二の夫人・ダグラス警視・コスナー警視(とその部下)・キートン・孝三(修二の父)・久山(ヤザワ英国支社長)が一同に会し、犯人との交渉にあたることに。犯人との唯一のつながりは電話。ジョー2脚本の、葉子が丈に電話しまくる回が思い出される。 

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キートンは、犯人と電話で話す役を、夫人に振る。
だが犯人と話した夫人は、すっかり怯えてしまう。カイジ2期脚本と比較。どちらも、電話相手が冷酷無比な人間。

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コスナー警視は、キートンの判断に疑問を持つが、ダグラス警視はキートンを称賛。近親者が相手をする方が、人質の生存率が上がるという統計があるためだ。ダグラス警視は、キートンがプロ中のプロだと見抜く。煙草を吸う姿が渋い(特徴)。カイジ2期脚本と比較。

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ただ、犯人が提示する身代金は2500万ポンドと、法外。
キートン達は、何とか相場の300万ポンドまで下げるよう交渉しなければならない。
カイジ(シリーズ構成・脚本)での、“命の値段”を彷彿とさせる。

キートンは、最初の判断通り、犯人からの電話を全て夫人が取るよう指示。怖がる夫人だったが、キートンの説得に応じ、その役を引き受ける。
その後もキートンは的確な指示を出し、交渉は進む。画像は覚醒する人達。元祖天才バカボン演出、カイジ脚本と比較。

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犯人との会話で、修二の生存が確認される。また、犯人がアキレスとアポロの伝説内容を知っていたことから、犯人に教養がある事が判明。
だが、身代金の値下げ交渉は難航。しかも、もう一人の人質である運転手は殺されてしまう。

それでもキートンは、犯人との信頼関係を築く事が大事だと、皆を落ち着かせる。カイジ(シリーズ構成)の「オレは(利根川を)信頼したんだ」が思い出される。
だがしかし、保険会社は誘拐保険金の支払を拒否。誘拐前日に修二が辞表を出していたためである。

そのため、キートンがいる意味が無くなってしまう。孝三は、どうか残ってほしい、とキートンにすがりつく。
キートンは、そんな孝三の手を握って落ち着かせる(特徴:手から手へ思いを伝える)。
ジョー2・めぞん一刻カイジ2期脚本と比較。 

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キートンは居残りを決意。まず、憔悴しきった夫人の面倒を見る。
夫人は、次々と駐在員が帰国したことや、夫が多忙すぎることで、孤独感を覚えたと吐露(特徴:孤独は万病の元)。夫の誕生日にケーキを用意しても、夫の帰宅が早朝だった事などを話す。

その時夫人は、我慢の限界に達し、夫に誕生日ケーキを投げつけてしまったという。
誕生日ケーキが台無しになってしまう場面は、元祖天才バカボンの演出回にもある。

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それでも夫を助けて欲しい、と夫人はキートンに懇願。キートンはそれを快諾。 

キートンは、保険会社の半分の日当で、個人として交渉業務を続行する(特徴:義理人情)。
しかし、身代金の値下げ交渉は、またも難航し、犯人は「人質の指を切った」と宣言、写真を送りつける。だがその写真がインチキであることを、キートンはすぐに見抜く。

キートンは、犯人が手詰まりになってパフォーマンスに打って出ている現況を利用し、自陣もパフォーマンスをしようと提案(特徴:知略)。
そこでヤザワ社の労組リーダー・キャロルに、大規模なストを行って欲しいと頼む。
キャロルは作戦を理解し、ストを実行。

夫人は、犯人に対し「ストで会社が傾き、金が無い」と話す。そして「既に夫は死んでいるのでしょう」と号泣(演技)。犯人は、人質が生きていることを伝え、また連絡する事を確約。再度電話をかけて来た犯人は、交渉の末、身代金を292万ポンドにする事を了承する。

犯人は、修二の解放を約束。丁度、その日は夫人の誕生日。犯人によれば、「プレゼントは自分の身一つで我慢してくれ(特徴:贈り物)」と修二が言っているという。
夫人は、夫に愛されている事、自分が夫を愛している事に気付き、身代金を置く役を買って出る。
ジョー2脚本と比較。葉子も、丈を愛している事に気付き始める。

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久山は、そんな夫人の手を握り、身代金の入ったアタッシュケースを渡す。
ここも特徴の、手から手へ思いを伝える場面。ど根性ガエル演出と比較。

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その後、修二自身から電話がかかって来て、彼が無事に解放された事が確認できた。

交渉チームは喜び、孝三はキートンに礼を言おうとするが、既にキートンは何処かへ消えていた。そしてキートンの座っていた椅子が映り、間が発生する(特徴:魂のこもった物)。
家なき子演出と比較。 

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ダグラス警視は、誘拐交渉人というキートンの立場を理解する。交渉人は、犯人との直接交渉や身代金運びなどはやらない。そして自分の正体を隠すものなのだと…
そして、これからが(犯人捜索など)警察の仕事。

車が巻き起こす風のせいで、一旦キートンは足を止める。めぞん一刻脚本と比較。どちらも、「風」が引き止めるように吹き(上段)、「天」が事象を見守っている(下段)。

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キートンは少し振り向いて微笑むも、また歩を進めるのだった。

  • まとめ

まず、キーキャラとして「電話」が活躍する(特徴)。
そして殆どの場面が、犯人と電話で話す部屋なのだが、緊迫感が持続する構成になっている。
カイジ2期脚本7話の、班長が実質3回サイコロを振るだけなのに緊迫感が凄い回を思わせる。

そして、またまた「お年寄りに優しい」という同氏のポリシーが出ている。やはりこれも、はだしのゲン2脚本の、孤独なお爺さんをゲン達が救う話と比較したい。

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とにかく、優しい中高年・または主人公に優しくされる中高年は、挙げればキリが無いほど出てくる。

あと、「孤独は万病の元」というポリシー。どんどん一人ぼっちになっていく夫人の過去話も、その一つ。下記画像でも、夫人が一人で食事をしているが、「皆で食べるご飯は美味しい」という同氏のポリシーと逆の状況で、夫人の孤独感を強く表現している。

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また、「身代金」という「命の値段」。身代金相場は1億円を超えているが、カイジ(脚本・シリ構)の鉄骨編では、一人頭1000万。会長編では、指4本+2千万と、1億円を賭けての勝負となる。
更に利根川曰く「金は命より重い」。
中々正解は見えない。

これもまた、同氏特徴である「単純ではない善悪の判断。
(参照: )

キートンカイジも、「その時設定された値段」に、ある程度従う。特にカイジは、命の値段が変動しても、助ける行動に出ている。

だがキートンカイジも、「根拠のある論理」に基づき行動して知略を巡らす。ただただ正義論をわめく行動には出ない。しかしカイジは会長戦ではこれを忘れ、激しく悔やむ。
元祖天才バカボン演出・脚本でも、善悪問わず、知略に長けた者が勝つ展開が多い。

元祖天才バカボン演出や脚本は、誰が一番悪いのかを断定しない話が多い(1980年版アトム脚本も、その傾向があるようだ)。
アカギも、ある程度は相手に敬意を払う。カイジは、利根川の焼き土下座を見て涙を流す。
これも、対戦相手が絶対悪ではない、あしたのジョーの脚本の経験が生きている。

今回キートンは、犯人と信頼関係を築き交渉を成功させる努力を、具体的な手段を駆使して行った。
カイジの場合、「勝つってことは、具体的な勝算の彼方にある現実だ」と言い、具体的な作戦を立てる。
一見、全然違う二人に共通項があるのが面白い。

一方、温かい義理人情も特徴の一つ。キートンは半額の日当で、カイジは全てを失って、人を救う。
だがそういった義理人情も、具体的な手段を行ってこそ達成できるもの。つまり、義を貫くには理が必要ということ。
そういったシビアさも感じた回だった。

MASTERキートン7話脚本:「もの言わぬもの」の声を聞け

Togetterのバックアップです。修正や追加などで再構成しています。)

MASTERキートンは、かつて英国特殊部隊SASで活躍したキートンが、ある時は保険調査員として、またある時は考古学者として世界を周り、様々な事件に遭うドラマ。

今回の舞台は日本の田舎。
冒頭からして、同氏特徴である自然(今回は入道雲)のアップ・間が出る(自然をキャラと捉える)。
入道雲のアップから始まるのは、チエちゃん奮戦記脚本にもあり、ほぼ同じで驚いた。
画像は今回と、チエちゃん奮戦記・めぞん一刻脚本。

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夏休み、キートンと百合子(娘)は、キートンが幼少期を過ごした田舎の家に遊びに来ていた。また、百合子の誘いで、キートンの父・太平もやって来る。太平は女好きであるが可愛いお爺さん(特徴)で、キートンとのやり取りが幼い(特徴)。ワンナウツ脚本と比較。

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キートンと太平は、ともに離婚した身。百合子は、この機会を利用し、女心がわかっていない事への反省を二人に促す。
そして百合子は、隣家の新庄さんの家を訪ねるが、そこで村田さんというお婆ちゃんと出会う(特徴:味のあるお年寄り)。めぞん一刻脚本と比較。

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百合子は、村田さんと話し込む。
村田さんは昔、太平の妻だったパトリシアが、森の中で寂しそうに佇んでいる所を見たという(特徴:ぼっち)。そしてその後すぐに、パトリシアは故郷に帰ってしまったそうだ。
ちなみにパトリシアは健在で、実業家としてロンドンで活躍している。

一方、キートンと太平は、パトリシアが作ってくれた料理の中で、どれが美味しかったかという話をする(特徴:食いしん坊、飯テロ)。太平の場合は、新鮮なわさびと共に食べる手打ち蕎麦で、キートンはサマープディング。
二人は早速、それらを作り始める。

サマープディングを作ってみたキートンだったが、何かの香りが足りないことに気付く。
そこで、パトリシアが昔書いたメモを探すことに。
捜索の末、キートンは彼女のノートを発見する(特徴:魂のこもった紙)。

魂を持つ紙(ノートや本、手紙)は、同氏作品で多く見られる。
画像は今回と、監督作忍者マン一平エースをねらえ!演出、チエちゃん奮戦記脚本。
特にエースをねらえ!音羽さんのノートは、色々な思いが込められている。 

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ノートを手にしたキートンは、幼少の頃を思い出す。母は、サマープディングの香りを「妖精の香り」と言っていた。
それは、女神プロセルピナが、妖精ミンスを草に変えてしまったという話が元ネタ。
画像は菓子テロ集。今回、怪物くん脚本、元祖天才バカボン演出。 

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神話から、香りの元がミントであることが判明するが、それはただのミントではなかった。
キートンは、ノートに挟まっていた葉から、それがペニロイヤルミントである事を突き止める。
ここでも、葉をキャラとして扱う同氏の特徴が出ている。めぞん一刻脚本と比較。

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ペニロイヤルミントは、パトリシアの故郷・コーンウォールのもの。
キートンは、太平の愛犬・太助の力を借り、パトリシアが植えたペニロイヤルミントの畑を発見する。
犬の描写がめぞん一刻脚本を思わせる。 

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そこに太平も来て、二人でパトリシアのノートを見る。

ノートには、故郷のペニロイヤルミントを植えた、と書かれていた。
ここも、同氏特徴の、「紙に書かれた思い」が出ている。エースをねらえ!演出と比較。

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だが畑は、水が来なくて干上がりかけていた。そこで太平と太助は、寝食を忘れる勢いで、畑に水を引く装置を作り始める(二人とも工作が得意)。
後に装置は完成、起動の日を迎える。
特徴であるランプのアップ・間が出てくる。カイジめぞん一刻脚本と比較。 

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装置は、発動機と風車、ホースなどを組み合わせたもの。まるで生き物のような描写に、同氏特徴が出ている(物もキャラクター)。
また、ピタゴラスイッチ的描写も、同氏作品によく出る。ルパン三世2期演出と比較。 

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装置は見事に水を運び、畑は生き返る。
二人の技術に村人も盛り上がり、百合子は父と祖父を見直す。
風車ということで、カイジ2期脚本と比較。家なき子演出にも、よく出ていた。
これもまた、生きているかのような「間」が発生している。

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生き返った畑を見つめ、キートンは太平に、ミントの神話の別説を紹介する。

別説によれば、プロセルピナは、ミンスが運ぶ故郷の香りが辛くてミンスを草に変えたが、それでも故郷が忘れられず、遂には故郷に帰ってしまったという。
また、ミントには、思い出を保つ働きがあると言われる。
ペニロイヤルミントによって望郷の念にかられたため、パトリシアは故郷に帰ってしまったのではないか…とキートンは説く。
画像は、父子(今回)と疑似父子(カイジ脚本)。どちらも距離を縮める。

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その後、旧友と会うため、太平は先に東京に帰る。
キートンと百合子は親子水入らずで、ペニロイヤルミント入りのサマープディングを作るのだった。ラストも、二人を見守るかのようなペニロイヤルミントのアップ・間がある(特徴)。チエちゃん奮戦記脚本と比較。

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  • まとめ

自然が豊かな田舎が舞台になっているため、同氏の「自然をキャラとして扱う」ポリシーが、ふんだんに発揮されている。
おまけに機械も出て来て、こちらも「生きているような物」の描写が強く出ている。
更に飯テロ。
同氏特徴の宝庫になっている。

「ぼっち」が悲劇を招いたり、果ては世界の危機に発展する話は、同氏作品によく出る。
パトリシアは孤独ではなかったが、ふるさとを離れた寂しさには勝てなかった。
そういう寂しさは本人にしかわからず、孤独な悩みとも言える。

また、ミントが元は妖精だったという神話は、自然をキャラと捉える同氏にうってつけ。植物であるミントに「魂」があることの裏付けになっている。
神話のプロセルピナも、今回のパトリシアも、ミントによって「故郷へ誘われた」とも取れる。

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そしてキートンと太平は、故郷を想うパトリシアの寂しさを、料理やノートといった「物」に「導かれて」知ることとなる。

これも、同氏特徴である「意思を持つ物の活躍」が出ている。

こういった、「意思を持つ自然・物の活躍」が、あらゆる同氏作品に出て来るのが毎度不思議(特に脚本)。
思えば、めぞん一刻(脚本・最終シリ構)でも、自然の描写がアニオリでよく出ていた。画像は今回と、めぞん一刻脚本との比較。 

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枯れかかったミント畑に関しても、まるでキートンに助けを求めていたかのようにも取れる。
アカギ1話脚本でも、南郷に切られようとした牌を助けるように、アカギが南郷を止める。その結果、南郷は生き残る。

アカギもカイジも、ワンナウツの渡久地も(いずれも脚本・シリ構)、物の声を聞き、自然の助けを借りる術を知っている。特に渡久地が雨を利用したり、カイジが地盤を利用したりする場面によく出ている。
今回のキートン然り。

元祖天才バカボン演出では、物を粗末にしたパパに恐ろしい罰が下される回がある。
そこから考えるに、アカギ・カイジ・渡久地らには、自然や物の声を聞ける主人公であってほしい…という願いが込められているのかもしれない。

ちなみにサマープディングの作り方は、ネットで検索すると出てくる。食パンを容器に敷き詰めて、そこへ果汁と果肉を煮詰めたものを流し込み、冷やし固めたものらしい。今回のは、焼く工程があるので、ちょっと普通と異なり、難しそう。

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MASTERキートン5話脚本:学問にも適用される「不屈の精神」

Togetterのバックアップです。修正や追加などで再構成しています。)

MASTERキートンは、かつて英国特殊部隊SASで活躍したキートンが、ある時は保険会社調査員として、またある時は考古学者として世界を周り、様々な事件に遭うドラマ。

今回の舞台はフランス・パリ。キートンはシモンズ社会人学校にて考古学の講師をしていた。
授業内容は、ヨーロッパ文明の起源について。
授業は活気があり、ど根性ガエル演出の町田先生の授業風景と重なる。 

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生徒もキートンも、ヨーロッパ文明の起源はエジプトだけではないのではないか…という論で盛り上がる。
優秀モブは、高屋敷氏の作品で頻出。
授業風景ということで、ど根性ガエル演出・はだしのゲン2脚本と比較。

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キートンは生徒達に人気があり、理事長も満足している。
だが、学校は廃校が決まっており、著名な画家の壁画以外は取り壊される運命。
めぞん一刻脚本の一刻館や、はだしのゲン2脚本の原爆ドームはじめ、建物=キャラと捉える高屋敷氏のポリシーに合った話と言える。

様々な思いを抱えてキートンが自宅に帰ると、そこには娘の百合子が来ていた(妻とは離婚)。
お転婆な百合子は、アパートの屋根に上る。
風景が綺麗ということで、キートンも上り、二人は屋根の上でランチ。特徴の飯テロ。ロックフォールチーズ等美味しそう。

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キートンは今の勤め先が廃校になることを嘆くが、「弱気なお父さんなんて大きらい」と百合子に叱られる。
めぞん一刻脚本で、自分の将来を真面目に考えろ、と五代を叱った響子が思い出される。

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百合子と話すうち、キートンは大学時代を思い出していく。

ヨーロッパ文明の起源は、エジプトだけでなく、ドナウ川周辺にもあるのではないか…という論は、キートンが大学時代から考えていたもので、今でもライフワーク。

キートンは、その説を授業で発表する。
ここで、同氏作品頻出の地図が出る。ジョー2脚本と比較。

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授業は盛り上がるが、壁画の調査のために来た役人のせいで邪魔されてしまう。残り時間が僅かなこともあり、キートンは渋々授業を終えるが、百合子は憤慨。
キートンは、考古学に対する思いを、百合子に話す。ベルばらコンテと比較。どちらも夕暮れのパリ。

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キートンは、一生考古学を続けたいと言う。そのきっかけの一つが、大学の恩師・ユーリー先生だった。
先生は、新婚で忙しかったキートンが卒論で赤点を取った時も、「夜学べばいい」と書庫の鍵を渡してくれたりした。
これも、同氏特徴の、心のこもった贈り物。

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キートンはユーリー先生を尊敬し、百合子の名前も先生の名前から取った。
だがしかし、キートンより前に、ヨーロッパ文明の起源=ドナウ説を唱えていた先生は、説を発表した後辞職してしまう。この論が異端であるためだ。
置き手紙がカイジ2期脚本とシンクロ。

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先生の置き手紙には、学ぶことを続けなさい、立派な学者になったならまた会おう、と綴られていた(特徴:主人公に人生の何たるかを教える中高年)。
百合子は、会いに行けばいい、とキートンに提案するが、年齢を考えればもう亡くなっている筈との事だった。

だが、先生との思い出を話すうち、キートンは、最後の授業で先生の話をしようと思い立つ。
そして最後の授業の日。キートンが先生の話をしようとした時、再び役人達が邪魔しに来る。キートンは、今回は「静かにしなさい」と彼等を一喝する(特徴:豹変)。

キートンは、ユーリー先生の過去の話を紹介する。先生は、第二次大戦中にドイツ軍の爆撃を受け瓦礫と化した校舎でも、授業を続けたという。向上心を削がれたら、それこそ敵の思う壺だ、と。
はだしのゲン2脚本にて、穴だらけのボロ校舎で授業をしていた先生と比較。 

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ユーリー先生は、人間の愚かな性を学び、またそれを克服することこそ人間の使命だと説いた。
キートンは生徒達にそれを伝え、学ぶことを止めないように伝える。
生徒達は拍手し、かつてヨーロッパ文明=ドナウ起源説を説いた講師がもう一人いたことを伝える。

キートンはすぐに、それがユーリー先生だと悟った。
後日、生徒達は、キートンにお礼がしたいと、パーティーに誘う。そこには、年老いた(90代)ユーリー先生がいた。
味のある中高年ということで、ど根性ガエル演出・めぞん一刻脚本と比較。

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ユーリー先生は、キートンを「立派になったな」と褒める。キートンは目を潤ませるのだった。
温かく見守るモブ達が、めぞん一刻脚本と重なる。

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  • まとめ

まず、今回も「キャラとしての建物」が出てきた。はだしのゲン2脚本の原爆ドームは、子供達や次世代の動物達(鳥)を育て見守り、めぞん一刻脚本(+最終シリ構)では、一刻館は「皆が帰ってくる場所」として存在している。 
だが今回の校舎は取り壊される。

めぞん一刻脚本・最終回のサブタイは「この愛ある限り!一刻館は永遠に…!!」。 
愛ある限り永遠に一刻館は「生きる」わけだが、今回の校舎も、取り壊されはしたが「皆の学ぶ心がある限り」、皆の胸で「生きている」。

一刻館の「愛」も今回の校舎の「学」も、人間の営みという点では同じ。
また、第二次大戦中のユーリー先生は、校舎どころか街そのものが死にかけた状態でも「学ぶ心」を忘れなかった。

今回はユーリー先生という、学問でも人生でも師と言える年上男性が出て来るわけだが、高屋敷氏の演出・脚本作とも、こういった存在が非常に多く出る。また、そういった存在を「強調する」同氏の手腕が見えてくる。

また、戦時下でも学ぶ事を忘れないユーリー先生は、不屈の精神の持ち主でもある。
こういった「不屈の精神」も同氏の作品にはよく出て、カイジでも出てくる。カイジ9話脚本では、「絶対に諦めねえ…!最後まで…!」という台詞を、かなり強調している。

こういった「不屈の精神」ポリシーのルーツも、あしたのジョー1、2脚本(1は無記名)にある気がする。
丈も、倒れても倒れても起き上がる。
今回の「学問」でも、それが適用されている。

今回のラストでは、ユーリー先生とキートンは再会を果たす。
ど根性ガエル演出では、見舞いに来てくれたひろしを抱きしめて「教師生活25年、町田は報われた」と泣く町田先生の話があり、それが思い出された。ユーリー先生も多いに報われている。

MASTERキートンは1998年制作なので、高屋敷氏の引き出しも大分豊富な状態。
あしたのジョーど根性ガエルはだしのゲン2、ベルばら、めぞん一刻など、担当して来た作品の要素がどんどん出てくる。その引き出しの豊富さにも驚かされた回だった。

MASTERキートン4話脚本:「天」が招く縁

Togetterのバックアップです。修正や追加などで再構成しています。)

MASTERキートンは、かつて英国特殊部隊SASで活躍したキートンが、ある時は保険会社調査員として、またある時は考古学の大学講師として世界を周り、様々な事件に遭うドラマ。

舞台は極寒のポーランド東部。
冒頭からして、高屋敷氏の特徴である自然(雪)の静かな間がある。監督作の忍者マン一平と比較(コンテ疑惑もある)。こちらも、冒頭から雪の崖の「間」がある。 

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雪の中、車を走らせていたキートンは、危うく老人を轢きそうになる。
幸い老人は無事。
老人は、自分は不死身だと豪語する。
彼もまた、高屋敷氏作品によく出る、味のある老人。忍者戦士飛影めぞん一刻・DAYS脚本と比較。

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キートンは老人を車に乗せる。老人はセミョーノフという名の在米ロシア人。
寒さをしのぐため、キートンはブランデーをセミョーノフにあげる。
これも特徴の、「相手を思いやる贈り物」。ルパン三世3期脚本と比較。

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セミョーノフは、スリルの無い人生などつまらない、と語る。スリル=人生のスパイス的なテーマは、元祖天才バカボン高屋敷氏演出・山崎晴哉氏脚本の話によく出てきた。アカギやカイジでも出てくるテーマ。

セミョーノフはロシアンマフィアに追われる身で、キートン達はロシアンマフィアの襲撃を受ける。
しかしセミョーノフの手荒な機転と知略で、二人は危機を脱する。特徴である火+煙草(葉巻)演出が、カイジ2期脚本とシンクロ。 

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マフィアを撃退するために車を犠牲にしたキートン達は、雪の中を歩くしかなくなる。だが天候は悪くなり、吹雪に。強がっていたセミョーノフは倒れてしまう。演出参加した家なき子にてビタリスが凍死した場面を思い出す。
また、チエ脚本ともシンクロ。

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セミョーノフが目を覚ますと、そこはキートンの作ったカマクラの中だった。
たき火場面は、演出でも脚本でもよく出てくる。家なき子演出でもよく出ていた。
画像はジョー1制作進行(脚本または演出手伝い疑惑あり)、ジョー2・チエ脚本。 

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キートンはセミョーノフに、コートに残っていた、たった一つのチョコレートを差し出す。これも特徴の、「手から手へ想いを伝える」場面。カイジ脚本・シリーズ構成と比較(他も多数)。キートンと同じく、カイジも自己犠牲の精神で石田さんを助ける(1期9話脚本)。 

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セミョーノフは、チョコレートのお礼に、ロシアの秘宝伝説キートンに聞かせる。
キートンは、父の話を聞く息子のような顔になって、その話を面白がる(特徴:疑似父子)。
チエ脚本でも、ジュニアが小鉄の昔話に聞き入る回がある。 

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伝説は、ロシア革命の折、皇帝の命を受けたニキータ卿が、大量の金塊を英国へ運ぶことになった…という話。だが道中、鯨をUボートと勘違いして大きく迂回した折、船は氷山に激突。金塊もろとも船は沈没したとのこと。
あらゆる作品で頻出の地図が出てくる。チエ脚本と比較。 

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ニキータ卿は命からがら生き残るも、息子に航海日誌を遺し亡くなる。だがニキータ卿の妻も革命の折に亡くなり、孤児となった息子はアメリカに渡ったという。
セミョーノフの話が、早口長台詞名調子(特徴)。セミョーノフ役の大塚周夫氏も名演。

なんとか吹雪を乗り切ったキートン達は、朝を迎える。ここでも、特徴である「全てを見ているような太陽」の間が発生する。
家なき子演出と比較。 

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キートン達は、再びマフィアの襲撃を受ける。マフィア達によれば、金塊伝説に乗せられ、セミョーノフに10万ドルだまし取られたとのこと。
セミョーノフは、キートンをかばうも、狙撃されてしまう。
体を張る年上男性はよく出る。忍者戦士飛影ルパン三世3期脚本と比較。 

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キートンは、昨夜の話は楽しかったのに…とセミョーノフを抱き上げ、悲しむ。
だがセミョーノフは、胸ポケットに入れていた日記に助けられ生きていた。これも特徴である「魂を持つもの」の活躍。監督作忍者マン一平でも、本が人の姿に変化する話がある。

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日記は、金塊を運んだという、ニキータ卿のものだった。セミョーノフは、本当にニキータ卿の息子なのかもしれない。
セミョーノフは、「スリルが無くて何が人生か」と言い、キートンと二人で街を目指すのだった。
雪原を行く二人が、家なき子演出とシンクロ。 

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  • まとめ

まず、演出参加作の家なき子とのシンクロが激しい。まるで、家なき子のビタリスの生存ルートのようだ。
ビタリスもセミョーノフも、主人公に人生の何たるかを教える役割を持つ老人。
暗黒ではあるが、カイジ(シリ構・脚本)の兵藤会長も該当する。

あと、「スリルが無いと人生は面白くない」というテーマ。
元祖天才バカボンの演出でも出てきたテーマだが、アカギやカイジでも、よく取り上げられている。予想だが、レースに命を賭けるF-エフ-(シリ構・脚本)でも出てくるのではないだろうか。

この「スリルのある人生こそ面白い」というテーマは、長年一緒に仕事した出崎統氏の作風がルーツかもしれない。
そして、一つしかないチョコレートを差し出すキートンの「無償の愛」は間違いなくカイジにも息づいている要素。

高屋敷氏の作品では、可愛かったり、優しかったりする中高年がよく出てくるが、今回のセミョーノフも、歌を歌ったり、茶目っ気があったりして可愛い老人。
シリ構・脚本のワンナウツも、可愛かったり大人気なかったりする中高年男性の宝庫である。

また、自然=キャラの一人、としての描写も今回大きい(特に雪)。セミョーノフは「いまいましい雪」と言うが、演出参加の家なき子も同様の台詞が出てくる。
雪は、キートン達を危機に陥れるが、キートンとセミョーノフが仲良くなる切欠も作っている。

めぞん一刻脚本では、雪の降る日に五代と響子が結ばれ、雪が丁寧に描写された。
今回は、雪がセミョーノフとキートンを引き合わせる。そして(カマクラで)二人の命を守り、仲を深める役を担った。
然るに、雪は重要なキーキャラクターと言える。

カイジでも、物語冒頭、カラスが鳴く曇天の日が不吉を予感させる。また、会長戦時には外が嵐になっている。
アカギは更に明確で、「嵐」がアカギと麻雀を引き合わせる。また、この「嵐」が無ければアカギは南郷や安岡と会っていない。

このように、太陽・月・天候等「天」が重要キャラであることが今回も描写された。
今回は、全編が雪景色であり、メインキャラはセミョーノフとキートンしかいない。だが「雪」という、もう1つのキャラがいた。ここに同氏の大きな特徴が出ていた回だった。

らんま1/2 13話脚本:性別問わず発揮される「男の美学」

Togetterのバックアップです。修正や追加などで再構成しています。)

らんま1/2は、高橋留美子原作の格闘ラブコメ。高校生の格闘家・早乙女乱馬は、修行中の事故が原因で、水をかぶると女に、お湯をかぶると男に戻る体質になってしまった。
あらゆる格闘勝負をこなす乱馬は今回、女の姿で九能小太刀と格闘新体操対決をする。

のっけから特徴である、太陽やランプの意味深アップ・間が発生(天やランプは、全てを“見ている”重要キャラ)。
下記画像は今回、ジョー2脚本、元祖天才バカボン演出、ワンナウツ脚本。

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下記画像は今回、RIDEBACKカイジ2期・ジョー2脚本。

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前回、小太刀に隙を突かれて、子ブタのPちゃん(乱馬のライバル・良牙の変身した姿。湯をかけると元に戻る)と鎖で繋がれてしまった女らんまは、苦戦を強いられる。だが、その鎖を回転させ、らんまは様々な攻撃をする。ど根性ガエル演出(出崎哲氏コンテ)と比較。 

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小太刀は男乱馬に惚れているが、目の前にいる女らんまが乱馬と同一人物とは知らない。
更に小太刀は、らんまが男乱馬を好いていると誤解。奇妙な体勢でらんまを煽る。一歩3期脚本・DAYS脚本と比較。 

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小太刀の兄、九能帯刀(女らんまにベタ惚れ)も乱入し、事態はさらにややこしくなる。らんまは「俺と乱馬は一心同体なんだ」と意味深発言をし、誤解は加速。「一心同体」を強調するあたり、ど根性ガエルスタッフだった同氏の思い出が窺える。

互いの実力は拮抗し、試合は白熱する。格闘新体操は、道具を使って攻撃するのがルール。物=魂のあるキャラと捉える高屋敷氏のポリシーとマッチし、道具が生き物のように描写される。
また、実況は、どんな事があっても実況をやめない名実況。ジョー2脚本の実況と比較。 

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そして一旦、試合会場の外の様子が描写される。外からでもマイクで実況の声が聞こえ、これが早口長台詞名調子(特徴)。
驚いたことに、ここで出崎演出的な鳥の描写が出てくる(特徴:長年一緒に仕事した出崎氏の演出持ち込み)。家なき子演出、じゃりん子チエ・カイジ脚本と比較。

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らんまのしぶとさに業を煮やした小太刀は熱湯攻撃をしかける。
らんまは必死に逃げ回るが、ついにお湯をかけられ、一瞬男に戻ってしまう。しかし危機一髪、セコンドのあかね(乱馬の許嫁)がホースで放水し、女の姿を維持。
元祖天才バカボン演出、チエ・カイジ2期脚本と比較。

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らんまの根性により、試合は続行。
同氏の過去作・未来作と画像が似てくる怪現象が多発。脚本は絵を管理できないので毎回不思議。
下記は今回、ジョー2・カイジ脚本。

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下記は今回、カイジ2期脚本。

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下記は今回、ジョー2・一歩3期脚本。

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場面は転じ、リング下で待機する、小太刀の手下達が描写される。ここはアニオリで、モブ達が秀逸(特徴)。
画像は懐中電灯あそび集。今回、カイジ2期脚本、監督作忍者マン一平。 

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モブ達の会話が楽屋ネタ的。あくまで想像だが、下記のように推測(敬称略)。
ひろし:ど根性ガエルから=ど根性ガエル総作監で、らんま監督(途中降板)の芝山努
ミッチ:望月智充(らんま監督)
ジュンコ:アニメーター池田淳子
サチ子:ジョーから=高屋敷英夫
ユッコ:演出家の須田裕美子
松下:松下洋子P

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このモブ達が何故リング下にいるかというと、リングを動かして、小太刀をリングアウトさせないようにするため(特徴:仲間愛)。
リングアウトしそうになった小太刀はこの大技を使うが、らんまにばれて、マットが破壊される。モブ達は退散。ここもモブ描写が秀逸(特徴)。

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足場がなくなって、どちらかがコーナーポストから落ちれば負けの状態に。
熱くなったらんまは、小太刀を蹴落とそうとするが、これは道具を使っていないためルール違反。
画像は、錯乱して反則をしてしまう人達。今回、ジョー2・一歩3期・カイジ2期脚本。 

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そこでらんまは知略(特徴)を使い、小太刀の立っているポストを折る。道具を使ったと認められ、小太刀のリングアウト負けとなる。
死闘を制したらんまは満身創痍に。ジョー2脚本と比較。

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試合に負けたら、男乱馬への想いを絶つ約束だった小太刀は、約束を履行すると言うも、涙を流す。それを見たらんまは、女の子を泣かせてしまった…というような気まずい表情に(特徴:男の美学にこだわる)。 

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試合後、夕陽の間が発生する(特徴)。
下記は今回、家なき子演出、ベルばらコンテ、元祖天才バカボン演出。

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帰宅後、らんまとPちゃんは風呂に入り、男に戻る(特徴:脱衣演出としての裸)。DAYS脚本と比較 。

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夜、池の側に佇む乱馬は、男状態の時に九能帯刀から赤バラを、女状態の時に小太刀から黒バラを託される(特徴:贈り物)。それぞれの異性にあたる乱馬に花を渡してほしいとのこと。迷惑な贈り物ということで、監督作忍者マン一平と比較。 

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小太刀は、今までの乱馬への想いを諦め、新しい乱馬への想いに燃えることにしたのだった(特徴:不屈の精神)。
九能兄弟の想いを乗せ、赤バラ・黒バラの花びらが風に舞うのだった(特徴:自然もキャラと捉える)。めぞん一刻脚本、監督作忍者マン一平と比較。 

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  • まとめ

高屋敷氏のらんま脚本は、これ1回きりなのだが、特徴が満載の上、過去作・未来作とのシンクロ現象が起こりまくる。大分前に視聴済みだったのだが、見る度に戦慄。

特に冒頭の太陽やランプのアップ・間が、演出時代から変わらない特徴で驚く。

この、絵を管理できない「脚本」からでも、過去作・未来作と映像がシンクロしてくる怪現象について自分なりに推測すると、画を想像しやすい脚本なので、シチュエーションが合えば、完成映像が似てくる…ということなのかもしれない。

また、コンテや演出が同氏と縁が深い人達だと、更にシンクロ怪現象が多発する。切っても切れない縁の出崎兄弟や、今回の演出コンテの望月智充監督(もう一人の監督の芝山努氏は多忙のため降板)などは、同氏の好きな表現を熟知している感がある。

ちなみに高屋敷氏監督作の忍者マン一平にて、望月智充氏は演出を1回だけ務めている。
そして、ときめきトゥナイトの望月氏の演出回を見るに、結構出崎演出に影響を受けているように思えた。
そうなると、高屋敷氏と望月氏の想像する画はかなり共通したかもしれない。

あと今回、名演を披露した実況役の井上遥さんは、高屋敷氏監督作の忍者マン一平にて、主役の一平の声を務めている。なんというか、この1話内に色々と高屋敷氏の縁のある人達が集まっているのも奇跡。

話の内容では、高屋敷氏がこだわる「男の美学」が見えてくる。これは性別・容姿・年齢問わず発揮され、めぞん一刻脚本でも、女子高生の八神などが時折男らしさを発揮していた。
演出参加したエースをねらえ!も、出崎統監督のポリシーで、男メンタルの女子が多い。

らんまは女の姿ながら、小太刀を傷つけずに勝利したし、女の子を泣かせてしまった事を申し訳なく思うなど男らしく、それが強調されている。
エースをねらえ!では、男らしい女子キャラに当惑することが多かったが、らんまの体質なら自然に男らしさを発揮できる。

高屋敷氏の持つ「男の世界」「男の美学」はどんな作品に対しても適用されており、めぞん一刻脚本・最終シリーズ構成でも如何なく発揮されていた。
アカギやワンナウツカイジ(シリーズ構成・脚本)は男ばかりの世界なので、さらに相性が良いのかもしれない。

今回はリング上の勝負ということで、ジョー2脚本経験者の高屋敷氏が得意分野を生かせている。
そして今回も、台詞ではなく映像で魅せる脚本になっている。
多発するシンクロ怪現象も、同氏が常に映像を意識した脚本を心がけているからだと、あらためて思えた。