カイジのシリーズ構成・高屋敷英夫さんの軌跡

カイジおよび福本作品、そのアニメが好きで、シリーズ構成の高屋敷英夫さんが、子供の頃からアニメのクレジットで凄くよく見る名前なので調べてみたものの膨大すぎてまとめきれなくなってきたので、自分のブログよりここに切り離してまとめることにしました。ツイッターアカウントは@makimogpfbです

めぞん一刻92話脚本:素直な心でぶつかれ

Togetterのバックアップです。修正や追加などで再構成しています。)

 めぞん一刻は、アパート一刻館管理人の未亡人・響子と、一刻館住人・五代のラブストーリー。

前回まで:
五代がこずえ(五代の女友達)にプロポーズしたと誤解した響子は実家にこもるが、後に誤解は解ける。響子は一刻館に戻ることにするが、そんな折、こずえと偶然会い…

こずえから、五代と朱美(一刻館住人)がホテルから出て来た所を見たと聞いた響子はショックを受ける(実際は、朱美とその彼氏とのホテル代を立て替えてくれと呼び出されただけ)。

真偽を確かめるため、響子は朱美の勤務先のスナックを訪ねる。

朱美は、五代とホテルから出てきたのは本当だ、と紛らわしい答え方をする。それを聞いた響子は固まってしまう。
朱美と響子の会話の間、高屋敷氏特徴である、無機物のアップ・間が続く(物や自然をキャラとして捉える)。画像は今回と、ジョー2・カイジ2期脚本。

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そこへ、朱美から電話で呼び出された五代と一ノ瀬(一刻館住人)がやって来る。朱美から事態を聞いた五代は、朱美とは何も無かったと必死に弁明する。だが響子は五代を激しく罵倒。五代は堪らず手を上げそうになるが、ポンと頬に手を置く程度に留める。

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五代はいつになく真剣な表情で(特徴:豹変)、「話くらい聞いてください」と言う。

響子は涙を流しながら「嫌いよ」と言い、出ていこうとする。
状況は全然違うが、頬をさするなど一連の場面がカイジ2期脚本とオーバーラップ。

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出て行こうとする響子を、朱美が制止する。朱美曰く「ろくに手も握らせない男のことで、泣くわ喚くわどうなってんの」「あんたみたいな面倒くさい女から男取るほど、あたし物好きじゃないわよ。バカ」。

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ここは原作もアニメも名場面・名台詞。

それでも響子は出ていく。

朱美は五代に、(響子が忘れていった)コートを届けてやれ、と言って背中を押す。一連の煽りも、朱美なりの世話の焼き方だった(特徴:義理人情)。
そして、やけくそで走る響子を制止するように風が吹く(特徴:自然もキャラクター)。画像は今回と、ベルばらコンテ。 

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五代は響子に追い付き、コートをかけてやる(特徴:優しい手つき)。ゲン2脚本と比較。

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五代は、二人で話をしようと、響子を公園に連れ出す。ここも、特徴であるランプのアップ・間が発生。ワンナウツ脚本と比較。

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五代は響子に、好きだと真摯に言う。そして「僕の目の中にはあなたしかいないんです」と訴えかける。“「目」の中に”を強調し、目を別個の生命体と捉える所に高屋敷氏らしさが出ている。実際、監督作の忍者マン一平は、目玉が別個の生命体。

五代の真摯な告白を受けた後、響子は一人、一刻館の自室(管理人室)に帰る。響子は、「もっと素直になりたいのに」と呟き、暗い部屋に佇む。鏡が響子を映す(特徴)。画像は、真実や状況を映す鏡演出集。今回、ジョー2脚本、元祖天才バカボン演出、じゃりん子チエ脚本。 

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一方こずえは、偶然会った四谷(一刻館住人)から、ホテルの件は完全な誤解だと知らされる。

こずえは五代のバイト先を訪ね、誤解が解けた事を告げる。だが五代は、好きな人(響子)がいるから、あらためて、こずえとの曖昧な関係を絶とうと決心する。

話をしに外に出た五代とこずえは、月がきれいだという話をする。月や太陽=重要キャラであり、全事象を見ているという、高屋敷氏の特徴が出ている。ジョー2脚本と比較。ジョー2の場合は強烈で、自分はパンチドランカーではないと嘘をつく丈を、太陽がじっと見ている。 

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五代は意を決して、好きな人がいるから、これ以上付き合えないことを告げる。一方こずえは、それを聞いて「ホッとしちゃった」と意外な返答をする。こずえはこずえで、別の男性と結婚することを、五代に告げに来たのだった。こずえと五代は「おあいこ」だと言い別れる。

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こずえは、「好きな人ってどんな人?」と五代に尋ねるが、「やっぱり、いい」と笑顔で去る。

帰りの電車の中で五代は、「俺の好きな人は、ヤキモチ焼きで、早とちりで、泣いたり怒ったりだけど…その人が笑うと、俺、最高に幸せなんだ」と響子の事を想うのだった。

本当に響子が好きだと言う五代の想いを、電車の窓が映す。ここも、特徴の「真実や状況を映す鏡演出」。
画像は今回、カイジ1・2期シリ構・脚本、ど根性ガエル演出。どれも「己や現実と向き合う」場面。

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  • まとめ

原作では五代と響子のベッドシーン(そして失敗)があった回。アニメではベッドシーンが無くなり、五代の真っ直ぐな告白を受けた響子が、自分も素直にならなければ、と一人呟く場面が強調された。これは賛否あれど非常に高屋敷氏らしい展開と感じた。男の純粋さ(特徴)を描いている。

響子が呟く「もっと素直になりたいのに。もっと素直に…」は、以前、ゆかり婆ちゃん(五代の祖母)が五代に助言した「人間、素直が一番」を受けたものと思われる。この言葉が出た回も、高屋敷氏脚本回。婆ちゃんの出番が原作より多いのも、高屋敷氏的(特徴:お年寄りに優しい)。

また、原作の「あなたしか抱きたくないんです」がカットされ、「僕の目の中にはあなたしかいないんです」が強調された。
放映時間を考慮したのだろうが、前述の通り、「目」を別の生命体と捉えている、非常に高屋敷氏らしいものになっている。

このように、最終シリーズ構成として、高屋敷氏が「男の純粋さや成長」を描くことにこだわっている姿勢が見えてくる。
前にも書いたが、深夜帯だったとしても、ベッドシーンがあったかどうか怪しい(特徴:男の純潔を守る)。それくらいのこだわりが感じられる。

特徴である「真実や状況を映す鏡演出」も活躍している。演出を多数担当したエースをねらえ!でも、ひろみが鏡に映った自分によく語りかけていた。そこらへんや、デビューまわりのジョー1脚本がルーツと思われる。
ベッドシーンの替わりに鏡が活躍したのも面白い。

一方で朱美の格好よさや、四谷の心遣いが染みる話にもなっていて、同氏が押し出したい義理人情や疑似家族愛なども見える。
そして、「人を信じられるかどうか」という問題にも切り込んでいる。その回答が、「純粋で、素直でいるべき」なのかもしれない。

思えば、カイジ1期で「俺はお前らを信じる。お前らも俺を信じろ」とカイジが言う回も高屋敷氏直接脚本であり、その直前の場面も鏡が活躍している。
その後カイジは、どんなに裏切られても信じることは止めない傾向にあり、それを有効利用して利根川を討っている。

そう思うと、恋愛でも、その他でも、真っ直ぐ素直な気持ちで当たれ、というメッセージが感じられる。鏡は、それを手助けするキャラクターとも取れる。
今回は原作と大きく異なる要素があり、最終シリーズ構成としての、同氏のテーマが一層濃くなった回だった。

めぞん一刻91話脚本:物語を盛り立てる「キャラクター」としての煙草や木の葉

Togetterのバックアップです。修正や追加などで再構成しています。)

めぞん一刻は、アパート一刻館管理人の未亡人・響子と、一刻館住人・五代のラブストーリー。

前回まで:

五代がこずえ(五代のガールフレンド)にプロポーズしたと勘違いした響子は、管理人業務を放棄し実家にこもってしまう。五代は何度も説得に行くが響子は戻らず…

響子の父のお節介もあり、一刻館オーナー(響子の亡き夫の父)は管理人代行を五代に依頼。代行者が五代であることを知らない響子は、代行者が決まったことに狼狽する。このあたりで、高屋敷氏特徴である無機物のアップが続き、物がキャラとして活躍している。

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心配になった響子は一刻館を覗きに行く。だが入りづらく、まずスナック茶々丸(一刻館住人のたまり場で、住人・朱美の勤務先)に立ち寄る。だがそこには、五代を除く一刻館住人が先客として来ていた。四谷(一刻館住人)がその場をとりなし、響子を着席させる。

茶々丸のマスターは、絶妙なタイミングで響子にコーヒーを出してくれる。ここもコーヒーのアップが入り、特徴的。また、同氏ポリシー「相手の事を考えた贈り物」が見える。ジョー2脚本にて、サチ子が葉子にカイロをくれる場面と比較。

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朱美は響子に、逃げ続けていると五代とこずえが接近するかも、とか、(朱美自身が)五代を誘惑するかも、と響子を煽る。五代とやっちゃうよ、とも言う。ここの朱美の、煙草演出が渋い。煙草をキャラとして扱う、同氏特徴が出ている。カイジ・DAYS脚本と比較。

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響子は意地をはり、「そうなったらそれまで」だと言い、茶々丸を出ていく。
響子が出て行ったあと朱美は、「あれくらい言わなきゃ戻ってこない」「厄介な女」と言う。「厄介な女」と言う所で煙草の吸い殻のアップになる所に、同氏特徴が出ている。 

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響子は朱美の言葉を気にしつつも、一刻館に向かう。響子がこっそり一刻館を覗くと、五代が管理人代行を四苦八苦しながらやっていた。
五代のレアな管理人姿と、チエちゃん奮戦記脚本の、労働するテツのレアなエプロン姿が被る(奮戦記は、めぞん一刻の後年)。

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管理人代行が五代だとわかった響子は安堵し、立ち去る。

その夜、バイト中の五代に朱美から電話がかかってくる。朱美から指定された場所に行くと、そこはラブホテルだった。酔って寝ているうちに男が帰ってしまったので、ホテル代を立て替えて欲しい、という用件だった。

用件を済ませてラブホテルから出てきた五代と朱美は、こずえと、その友達にバッタリ会う。こずえはショックを受けるも、他人のフリをしてその場を去る。
翌日、五代はそれを気に病みながら一刻館の掃除をする。葉っぱの意味深アップが同氏特徴的。 

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こずえと決着がついたのだから感謝しろ、と朱美から言われるも、五代は別れ方がマズイと思い、こずえに電話をかける。しかし、電話を切られる。

朱美と一之瀬(一刻館住人)は、こずえの胸の中で自分がキレイなままでいたいと思うのは虫がよすぎる、と五代を非難する。

一之瀬は響子の実家を訪ね、こずえと五代は完全に別れたと報告。また、五代がこずえにプロポーズしたというのも響子の完全なる誤解だと説明する。ここも、一之瀬の喫煙仕草が渋く、特徴が出ている。

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一之瀬の説得を受け、響子は一刻館に戻ることにする。

一之瀬は、一刻館の皆に響子が戻ってくると報告し、五代達は喜ぶ。五代は皆にいいようにからかわれるが、宴は盛り上がる。皆の様子が和やかで疑似家族的(特徴)。翌朝、賢太郎(一之瀬の息子)と五代は響子が戻ってくる事を楽しみにする。五代の喜び方が幼い(特徴)。

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一刻館に向かう響子は、偶然こずえと会う。踏切の雑踏の中邂逅する二人が、横断歩道で邂逅するカイジと遠藤さんに被る(カイジ2期1話脚本)。しかもカイジ2期はアニオリ。同氏の好きなシチュエーションかも。ちなみに踏切演出は、同氏師匠の出崎統氏がよく使う。 

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こずえと響子は、喫茶店に入る。こずえは、五代に好きな人がいた、と響子に話す。響子は、五代が自分の事をこずえに話したのだと思い込み、そのまま会話が進む。だがこずえの言う「五代が好きな人」とは、朱美の事だった。ソーダや手のアップが、同氏特徴的。 

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更にこずえは、朱美と五代がホテルから出てくる所を見たと言ってしまう。
その頃、一刻館の皆は響子を待ちわびていた。風で舞う木の葉が、今後の波乱を告げる(特徴)。画像は、今回、ベルばらコンテ、監督作忍者マン一平、らんま脚本。葉や風をキャラとして扱っている。

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  • まとめ

今回は朱美がかっこいい役回り(次回は更にかっこいい)。アニメでそれを際立たせているのは、高屋敷氏特徴でもある煙草演出。勿論、作画や演出も半端ない。めぞん一刻の他の同氏脚本回でも、煙草演出が原作より色濃く、煙草がキャラとして様々な活躍をしている。

また、木の葉も今回活躍している。
こずえに誤解された翌朝、五代が一刻館玄関にて木の葉を掃除しているが、木の葉の意味深なアップが、「関係の清算」を示唆しているし、ラストも、舞い上がる木の葉が波乱を予告する。五代も、それに気付くような表情をする。

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この段階になると、ライバルの三鷹は見合い相手の明日菜とくっついて退場しており、残るは、こずえとの決着を残すのみとなる。そして朱美が色々、手荒いが五代や響子に恋のアシストをしてくれる。朱美や一之瀬、四谷の仲間愛が染みる感じに、同氏特徴が出ている。

驚いたのは、この段階になっても五代に幼さが残っていること。特に、「ブーン」と飛行機の真似をする五代が幼すぎる。同氏が演出や脚本を手がけた、元祖天才バカボンぽくもある。最終シリーズ構成として、男の成長を描きつつ、幼さも残したい同氏の意向が見える。

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序盤や中盤に、男の幼さ・可愛さ(容姿年齢問わず)を描き、クライマックスでガラッと成長する姿を見せ、それでもなお、ラストで幼さを残すという扱い方が、同氏の演出・脚本・構成には多い。カイジ2期でも、あれだけ覚醒したカイジが、ラストシーンでは幼い。

同氏家なき子最終回演出も、「男はいつか一人で生きていくもの」と、男の顔に豹変したレミが、ラストではマチヤと無邪気にジャンケンしている。
思うに、成長してほしい所とは別に、「変わらないでいてほしいもの」としての幼さは残しているのではないだろうか。

めぞん一刻のアニメ化で難航したのは、20歳前後の五代の恋にまつわる、性的描写。時間帯的にも、五代が性風俗店に行ってしまう描写はアニメではカットされたが、高屋敷氏が代わりに描写したのは、酔った五代と坂本(五代の親友)の、無邪気で仲睦まじい姿。

また、カイジ2期1話脚本においても、カイジの「売春」発言をカットした。賛否分かれるとは思うが、同氏は男の純潔を守る傾向がある。アニメ版めぞん一刻の議論の一つである、ベッドシーンのカットも、放送コードとは別に、高屋敷氏らしさが出ている。

深夜帯のカイジでも男の純潔を守ったということは、もし、めぞん一刻が深夜アニメだったとしても、ベッドシーンがあったかどうか怪しい。今回ラブホテル描写があったが、五代には弟的可愛さがあった。この終盤に来て、同氏の描く「男の幼さ」が興味深い回だった。

めぞん一刻86話脚本:人生の岐路に立つ「男」の物語

Togetterのバックアップです。修正や追加などで再構成しています。)

めぞん一刻は、アパート一刻館管理人で未亡人・響子と、一刻館住人・五代のラブストーリー。

前回:
保父を目指す五代は卒業試験を控えていたが、ライバル・三鷹と対峙。だが成り行きで、二人で酒を飲みまくる結果に。駅で待ち構えていた響子は、そんな五代を殴る。

五代をビンタした響子は、雨の中、自分の感情をぶつける。何がどうあれ、自分で決めたことを一生懸命やることが(五代にとって)一番いいことだと思っていた、真面目に自分の将来を考えろ、と言って走り去る。

自分の決めた道に生きよ…は高屋敷氏の取り扱うテーマの一つ。

雨の中の響子の感情的な台詞は、相当なクライマックス。
雨の中の熱いドラマも、高屋敷氏の作品に多く、雨自体をキャラクターとして扱っている(特徴)。
画像は、今回、ジョー2脚本、ワンナウツ脚本。ジョー2の「See you again」は有名な場面。

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響子が走り去ったあとに残された傘の意味深アップも、同氏の大きな特徴。こちらも、物をキャラクターと捉えている。
挙げればキリがないが、ワンナウツ脚本と比較。

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一方三鷹は、五代と酒を飲んだせいで泥酔し、自宅前で潰れていた。そこには、結納について確認するため、三鷹宅に来た明日菜もいた。

明日菜は、三鷹響子への想いを知り、結納をやめようと提案。涙ながらに走り去るも、愛犬のサラダを置いてきた事に気付き戻る。

明日菜が三鷹の所に戻ると、三鷹が玄関で寝入ってしまっていた。介抱しようとした明日菜は転び、はずみで三鷹とキスしてしまう。一方、サラダと、三鷹の愛犬・マッケンローにもフラグが発生。この犬達の描写が、家なき子演出における犬達を彷彿とさせる。 

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翌朝、明日菜は密かに三鷹宅を出る。
目覚めた三鷹は、朝食が用意されていることに気付く(特徴・飯テロ)。また、その事を知らせるかのように、炊飯器が鳴る。ここも、炊飯器をキャラとして扱っている。ジョー2脚本の、感情に連動する錘と比較。

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その頃五代は、一刻館住人に送り出され、卒業試験に挑む。一刻館の皆は、響子が五代を思いきりビンタした事を響子から聞き、五代の卒業試験は失敗するかもしれない、と諦めの境地に。響子と一刻館の皆のやりとりが疑似家族的で、アットホーム(特徴)。

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試験後、五代は一刻館には帰らず、子守り係のバイトをしているキャバレーに行く。子供達と戯れる五代が幼く可愛い(特徴)。また、感情を隠すお面のアップが意味深なのも特徴。響子の言葉を胸に刻み、五代は、卒業して保父になる事をあらためて決意する。 

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翌日、一刻館に帰った五代だが、試験中はキャバレーに泊まると宣言。上京中の五代の祖母・ゆかりは、そんな五代に「人間、素直が一番」「無理はするな」とアドバイスを贈る(特徴:優しいお年寄り)。DAYS脚本でも、水樹の祖父が人生について助言する場面がある。

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一方三鷹は、明日菜宅を訪ねるが、明日菜は伊豆の別荘にこもっていると知らされる。置き手紙には、結納を延期したいとの旨が書かれていた。カイジ脚本の置き手紙と比較。

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三鷹は、明日菜の運転手から、明日菜は優しい人だと諭される(特徴:優しいおじさん)。

五代の方は、キャバレーにてバイト先の先輩・飯岡と話し込む。五代は、誰かのために将来を決めるのではなく、自分自身のために将来を決める決意を語る。「一人でやることができなければ、他人を支えられそうにもない」との弁。ここも高屋敷氏の扱うテーマが感じられる。

そんな五代に飯岡は、「男と女は、追いかけた方が負け」「追いかけて来なかったら、全速力で駆け戻って土下座」とアドバイス(特徴:年上男性の助言)。

その頃三鷹はまさに、明日菜を追いかけて伊豆に来ていた。ぼっちの所に誰かが来る、ぼっち救済の特徴も出ている。

明日菜は三鷹に、あの夜あったことは、女として忘れることはできないが、それで結婚を迫ったりしないし、ここまで来てくれた事で充分だと言う。
カイジ脚本でも、理由は大分違うが、カイジがおっちゃんを北海道まで追いかけて来てくれる。 

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そして五代は、バイト仲間に見守られるなか、勉強疲れで眠りこけていた。寝顔が幼く可愛い(特徴)。カイジ脚本と比較。ちなみに五代の声=カイジのおっちゃん(坂崎)なので笑う。

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五代は決意こそ立派なものの、寝言で「響子さん」と呟くのだった。

  • まとめ

今回は、人生に対する数々の言葉が出る。響子の叱咤(自身の問題を真面目に考えろ)、ゆかり婆ちゃんの助言(素直が一番、無理はいけない)、五代の決意(一人でできなければ誰かを支えることができない)等。どれも高屋敷氏の出したいテーマが感じられる。

特に、一人でできなければ誰かを支えることができない、という五代の言葉は、同氏演出の家なき子最終回を思い出す。レミも、「男はいつか一人で生きていくもの。誰にも頼らず自分の力で精一杯生きていく」という、ビタリスの教えを噛みしめ、大人になっていく。

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レミも五代も、人生の岐路にあり、自分の道を自分で決めようという境地に到る。カイジ脚本でも、人生の岐路に立ったとき、進む道を自分で決めなかった事をカイジが激しく悔やみ泣く場面がある。そんなカイジもまた、物語の中で成長し、自分自身で決断し歩むようになる。

忍者戦士飛影脚本においても、自分で決めたなら自分自身の道を歩め、というメッセージをロミナやジョウの父の台詞に込めている。特にジョウの父の台詞(次回予告台詞)は、非常にメッセージ性が高い。
めぞん一刻でも、このテーマが出てきた事に驚いた。

見ているうちに予想した通り、最終シリーズ構成方針としての、「男の生きざま」「青年から(誰かを支えることのできる)男への成長」が顔を出している。これは原作と大分異なる男臭さで、ジョー2脚本や家なき子演出に見られるような世界が展開されている。

カイジやアカギ(脚本・シリ構)でも、人生に関する箴言が数々出てくるわけだが、今回のめぞん一刻箴言ラッシュ。こんな所に共通点があるとは思わなかった。あと、明日菜の運転手役として、立木文彦氏(カイジのナレ)が名演技を見せているのも、縁を感じる。

今回は、めぞん一刻における高屋敷氏の最終シリーズ構成方針が、一気に噴出した感じだ(予兆は色濃かった)。
原作に忠実でありながら、女性である高橋留美子先生の原作に、こうまで男の世界や高屋敷氏のポリシーを上乗せしてきたことに驚かされた回だった。

めぞん一刻85話脚本:年齢問わず表現される「“男の子”の世界」

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めぞん一刻は、アパート一刻館管理人の未亡人・響子と、一刻館住人・五代を巡るラブストーリー。

前回まで:

五代のライバル・三鷹は、自分の両親と、響子の両親との顔合わせを成功させる。
一方、保育士を目指す五代は、大学の卒業試験を控えていた。

五代は以前、諸事情によりバイト先の同僚・かすみの子供達を預かって世話をしていた。その後かすみは良い再婚相手を見つけ、子供達と共に幸せに暮らすことに。それを報せる手紙を読んだ五代と一刻館の皆は喜ぶ。特徴の、心のこもった手紙。ミラクル・ガールズ脚本と比較。

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卒業試験を明後日に控える五代だが、いつもの如く、一刻館住人の飲み会が五代の部屋で開催される。

一方三鷹は、本人ぬきで見合い相手・明日菜との縁談がどんどん進み、結納の日取りまで決まってしまう。明日菜から、結納の話を初めて聞いた三鷹は狼狽。

明日菜は、三鷹響子の両親同士が会った事をテニスクラブで聞いたので困惑。明日菜は、偶然居合わせた五代にその事を相談する。五代は彼女を励ますも、三鷹響子を諦めていない事に気付き、三鷹と対峙する。対決姿勢が男臭い(特徴)。カイジ2期脚本と比較。

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対立した三鷹と五代は、拳で決着をつけることに。だが決闘場所は中々見つからず、おまけに警官に目をつけられ追いかけ回される。
拳で決着…はジョー2脚本(上段右)を思わせるので比較。だが、決闘はことごとく邪魔され、コミカルになる二人は幼く可愛い(特徴)。

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警官に追いかけ回されている間、五代は鞄を置き忘れてしまうが、警官は五代を追いかけ、鞄を届けてくれる。特徴の優しいおじさん・義理人情。自転車シーンが、ど根性ガエル演出を思わせるので比較。 

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結局、決闘どころではなくなった三鷹と五代は、自販機でビールを買い、飲みまくる。特徴のビールテロ。おなじみのカイジ2期脚本と比較。

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五代が卒業試験を控えていると聞いた三鷹は、落第を自分のせいにされちゃ堪らんと、五代を帰らせる(特徴:男同士の友情)。

泥酔して帰宅した三鷹だが、そこには明日菜がいた。結納について確認するためである。
一方、駅に着いた五代は、雨の中待ち続けていた響子と対面する(一緒に夕飯を食べる約束をしていた)。ジョー2脚本にて、雨の中、丈を待ち続けた葉子を思わせる。 

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五代が飲んで来たと知った響子は、五代を思いきりビンタするのだった。
画像はビンタ集。今回、ど根性ガエル演出、ベルばらコンテ、カイジ2期脚本。どれも母性を感じさせるのも特徴。

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  • まとめ

三鷹と五代の対決に、同氏の特徴が沢山出ている。
拳で決着をつけようとする二人を描写するにあたり、ジョー2脚本の経験が生きている。落ちる葉を捕まえる、ボクシング定番ネタもある。葉を人に例えて会話するのも、物=キャラの特徴が出ている。 

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特徴である、幼く可愛い「男の世界」も、大きく出ている。三鷹も五代も、とても成人男性とは思えない子供っぽさ。

これはカイジでも存分に発揮されている。特に2期24話脚本の、ボロボロになった一条とカイジの子供っぽいどつき合いに出ている。 

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五代と三鷹の対立が、いちいちカイジと一条を思わせ面白い。
一条と三鷹がキザなイケメンなのも共通。
取り合っているものは違えど、人生を賭けているのも共通。また、闘ってるうちに互いを思い合ってしまうのは、ジョー2脚本にも通じる。

あとは、ラストのビンタ。前述の比較作品に並び、ジョー2脚本にて、減量中の西が密かにうどんを食べているのを丈に見つかり、殴られる場面にも重なる。丈も響子も色々な感情を込めて殴っている。
殴ることによる意思の伝達も、今回とジョー2で共通。

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また、今回も、雨や葉、傘などが話を盛り上げるキャラクターとして活躍している。

台詞ではなく映像に個性が出てくる「脚本」は相変わらず怪だが面白い。
そして「男の幼さ・可愛さ」が三鷹と五代に沢山適用されている事に、同氏のこだわりを感じさせる回だった。

めぞん一刻82話脚本:原作を踏襲しつつ表現される、高屋敷氏独自の「愛」

Togetterのバックアップです。修正や追加などで再構成しています。)

めぞん一刻は、アパート一刻館の管理人で未亡人・響子と、一刻館住人である青年・五代のラブストーリー。

前回まで:
保育士を目指す五代は、バイト先のキャバレーで子守係をしている。そんな折、ホステス・かすみが子供達を五代に預け何処かへ消えてしまい…

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五代は、かすみの子供達・太郎と花子を連れ、とりあえず一刻館に帰る。
響子と対面した太郎は、響子にキャラメルをくれる。同氏特徴の、心のこもった贈り物。ジョー2脚本でも、サチ子が葉子を気遣い、カイロをくれる。

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五代から事情を聞いた響子は、子供達を歓迎し、母親が見つかるまで一刻館で保護する事を許可する。同氏特徴の疑似家族愛。画像は今回・ど根性ガエル演出(ひろしの夢想)・家なき子演出。家なき子では、血の繋がらないマチヤをレミの兄弟として迎え入れようとする。

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夜更け、月や物の意味深なアップが入る(特徴:自然や物をキャラとして捉える)。家なき子演出・元祖天才バカボン演出コンテと比較。
元祖天才バカボンでは、月が震えたり、気分を悪くして落ちたりする。監督作の忍者マン一平では、月や太陽に顔があったりして明確。

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太郎と花子の面倒をみる響子と五代は、いい雰囲気に。五代を父・響子を母とした、疑似家族愛を前回脚本(81話)に引き続き前面に押し出している。カイジのシリーズ構成でも同氏は、カイジとおっちゃんの疑似父子愛を前面に押し出している。

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とりあえず五代がバイトに行っている間、響子・一ノ瀬・五代の祖母(上京中)が太郎や花子の面倒を見る。洗濯をする響子は、子供用の靴下を見つめ、今回のトラブルは「五代さんらしい」と呟く。同氏特徴の、キャラとしての「物」のアップ。カイジ脚本と比較。 

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太郎と花子の母・かすみの行方を探す五代は、客とデキる度にかすみが駆け落ちを繰り返すという情報を、他のホステスから得る。ホステスの存在感が原作より強い(特徴:優秀モブ)。更にバイト先の先輩(飯岡)が、かすみのアパートの場所を教えてくれる。
この先輩も、存在感が強め。

一方、五代のライバル・三鷹は、見合い相手の明日菜とは別の人(響子)と結婚したいと、父母に打ち明けていた。三鷹の両親は、それをあっさり受けとめる。ここのやりとりも、三鷹が原作より幼い(特徴)。三鷹響子の結婚を望む響子の母は、三鷹と結託し、両家の会食を計画する。

五代の方は、かすみのアパートを訪ねる。覗き魔と勘違いされた五代は、かすみからシャワーをかけられ濡れ鼠になり、半裸に(特徴:脱衣演出)。
かすみは子供達の父になってくれる男を探し回っており、今度の彼氏は有望なので1週間時間をくれと、五代に懇願する。

かすみは、必ず一週間で戻ると言い残し逃げる。五代は半裸のままかすみを追いかけ、散々な目に。チエ2期脚本でも、テツが半裸で走り回る回あり。とにかく同氏作品は、脱ぐ機会が多く、大抵はアイデンティティの如何を問うことが多い。別室カイジの全裸描写然り。

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五代達は、かすみが帰るまで、そのまま子供達を預かることにする。
一方響子の母は、三鷹親子が来る事を伏せて響子を食事に誘い、響子は承諾する。それを響子の母から聞いた三鷹は愛犬と共に大喜び(特徴:幼い)。エースをねらえ!演出と比較。 

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太郎と銭湯に出かけた五代は、帰り道にて太郎と語り合う。かすみは一週間で帰ってくると、お星様と約束したから寂しくない、と太郎は無邪気に言う。「お星様と約束」を強調し、星をキャラとして捉えるのが同氏特徴。元祖天才バカボン演出コンテと比較。 

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かすみと子供達の間に、ちゃんと絆がある事を確認できた五代は安堵するも、その「お星様」が流れ星となり落ちてしまう。五代は更なる波乱を予感するのだった。ここでも、星をキャラとして捉える同氏特徴が出ている。元祖天才バカボン演出コンテでも、星が悲鳴をあげて落ちる。 

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  • まとめ

前回81話脚本に引き続き、疑似家族愛が前面に出ている。また、響子の母性も引き出されている。この「母性」を描くことも同氏特徴の一つ。「母性」は年齢性別問わず表され、カイジの脚本・シリーズ構成においてもカイジに「母性」がある事が表現されている。

カイジの持つ「母性」の強調は、例として挙げれば2期5話脚本、カイジが石田息子をビンタする場面。ど根性ガエル演出にて、ひろし母がひろしをビンタする場面や、ベルばらコンテにて、ジャンヌ母がジャンヌをビンタする場面と通じるものがある(母の厳しい愛)。

また、家なき子演出においては、レミの育ての母や実母が、血の繋がりを越えた愛を示している。
一方で、カイジとおっちゃんのような疑似父子愛の側面も、今回表れている。
ところで五代の声=カイジにおける、おっちゃんの声(二又一成氏)なので、色々面白い。

今回、花子がおもらしし、響子と五代が面倒をみるが、カイジでは、失禁したおっちゃんの面倒をカイジがみる。声優の二又氏の立場が逆になっていて笑った。
疑似父子愛については、ジョー1・2脚本における、段平と丈の関係がルーツと思われる。

高屋敷氏の本作最終シリーズ構成において、恋愛というより疑似家族愛が強調されていると以前書いたが、今回もそれが色濃くなっている。
あと、愛する家族(夫)と死別し独りとなった響子が、再び家族を得るという、ぼっち救済ポリシー(同氏特徴)も見受けられる。

じゃりん子チエ脚本で見せたような「原作通りでありながら個性を出す」技が、本作でも段々顔を出している。ジョー2脚本はオリジナル部分が多く、同氏の出したいテーマは明確だったが、本作やチエのように、原作の話に隠れた同氏のテーマを探るのも面白い。

めぞん一刻81話脚本:前面に押し出される擬似家族愛

(Togetterのバックアップです。修正や追加などで再構成しています。)

めぞん一刻は、高橋留美子先生原作のラブストーリー。アパート・一刻館の管理人で未亡人・響子と、一刻館住人の青年・五代の恋を描く。
下記ブログに他の回の記事あり

#めぞん一刻 カテゴリーの記事一覧 - カイジのシリーズ構成・高屋敷英夫さんの軌跡

前回まで:

五代の就職活動は大苦戦。その最中、保育園のバイトなどを経て、子守の才能に目覚める。五代はその才能を生かし、保育士になる夢を追うことになる。ただ、保育園のバイトは仕方のない事情のため辞めざるを得なくなり、もう一方のバイト先のキャバレーで子守係をすることに。

響子は、夢を追い頑張る五代のため、色々あったが弁当を作ってくれる(以前も作った)。
というわけで、のっけから特徴の飯テロ&心のこもった贈り物。画像は心のこもった食べ物集。今回、ど根性ガエル演出、家なき子演出。

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バイト先のキャバレーにて、五代は呼び込み係&ホステスの子供達の子守係を頑張る。

そこへ、用事で上京して来た五代の祖母・ゆかり婆ちゃんと、一刻館住人が遊びに来る。五代はゆかり婆ちゃんに、保育士になる決意を語り(特徴:男の意志)、婆ちゃんは背中を押す。

保育士になる決意を語る場面とはいえ、五代のモジモジ動作は幼く可愛い(特徴)。
画像はモジモジ集。今回、エースをねらえ演出、カイジ脚本。 

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婆ちゃんは気前よく遊び、そんな婆ちゃんを見て、バイト先の先輩は、婆ちゃんを大切にしろと言う(特徴:お年寄りに優しい)。

場面は転じて朝、五代の恋のライバルで金持ちイケメン・三鷹響子を、テニスクラブへ行くため迎えに来る(三鷹は、響子の通うテニスクラブのコーチ)。

三鷹と五代は、響子を巡って火花を散らすが、原作より対決描写が男臭い(特徴)。同氏は同作品最終シリーズのシリーズ構成も務めており、要所要所で原作と異なる、男の世界を展開している。カイジ(シリ構)の、一条とカイジの対決と被る。 

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三鷹響子の母に気に入られていることや、自分の経済的な安定さを自慢するが、五代は響子の気持ちは未だ決していないと反発する。三鷹はそれでも、五代が響子と結ばれるには駆け落ちしか無いとバカにする。

カイジにおいて、一条がカイジをチンピラ扱いするのと被る。

テニスクラブにて、三鷹は新規会員を紹介される。新規会員は、三鷹の見合い相手・九条明日菜だった。三鷹は以前、明日菜に、結婚の断りを入れたのだが、それは親族には伝わっておらず、破談に到らなかった。明日菜は不屈の精神(特徴)で入会して来たのであった。

三鷹は、明日菜を紹介した叔父に、今度こそ縁談を破談にしたいと伝え、九条邸を訪問すると告げる。
一方五代はバイト先で子守を頑張っていた。特にホステス・かすみの子供達になつかれていた(特徴:疑似家族)。五代や子供の描写が可愛く幼い(特徴)。

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ど根性ガエル同氏演出回にて、梅さんが新しい父となる…とひろしが夢想する話がある。

今回はかすみが、五代が子供達のパパならいいのに、と言う。画像は今回と、ど根性ガエル演出。どちらも疑似家族愛を前面に出している。

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その頃三鷹は、九条邸を訪ねていた。そこには三鷹の両親も来ており、明日菜の両親と歓談していた。この状況では、三鷹は破談の話を切り出せない。全ては三鷹の叔父の策略であった(特徴:知略)。

明日菜が三鷹を追ってテニスクラブに入会したことは、一刻館住人である四谷や一ノ瀬を通じ、五代の耳にも入る。

五代はこの状況を考え、複雑な気分に。
翌朝五代は、改めて響子に、保育士試験を受けると宣言(特徴:前へ進む意志)。
響子はそれを応援。

場面は転じ、五代のバイト先のキャバレーのネオンが灯される。同氏の大きな特徴である、意思を持つランプ演出。カイジ2期脚本と比較。どちらも波乱の幕開けを告げる。

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五代は、かすみからこっそり手紙を渡される。勤務時間が終わったら読んで欲しいと頼まれ、五代は戸惑う。

ど根性ガエル演出でも、梅さんと、ひろしの母がデキていると誤解される話があり、それと被る。親愛で手をつなぐのも特徴。 

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かすみの手紙は、子供達を頼む、というものだった。どうやら客とデキて逃げたらしい。子供は五代を「パパ」と呼ぶ。ここで次回へ。

特徴の疑似家族。カイジ2期脚本でも、おっちゃん・カイジの疑似父子愛が前面に出ている。思いを込めた手紙も頻出。

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  • まとめ

本作においての高屋敷氏の構成は、五代・三鷹響子のターンが交互に描写されることが多い。これは、じゃりん子チエ脚本にて、複雑に絡み合うエピをさばいた経験が生かされている。
演出時代からの特徴である、ランプ演出や幼いキャラ描写も発揮されている。

以前のブログ記事にも書いたのだが、本作の脚本・最終シリーズ構成にて、高屋敷氏は原作と少し異なる、「男の世界・男の成長」を押し出している。五代が原作より幼く見えるのは、最終的に五代が大人の男に成長するための布石と思われ、それは高屋敷氏の得意分野。

また、原作と少し異なり、一刻館の住人などを含めた疑似家族愛を前面に出している。今回の、かすみ・彼女の子供達・五代の織り成す疑似家族も、同氏の特徴が大きく出ている。
これらを見るに、ラブストーリーというよりファミリードラマの側面が強い。

演出も脚本も、同氏作品は、血が繋がっていなくても温かい絆で結ばれている描写が強く出ている。代表的なものとしては、家なき子演出の、レミとビタリスの疑似父子関係がある。
カイジとおっちゃんの関係や、前述の、梅さんとひろしの関係も近いものがある。

じゃりん子チエ脚本で培った、「原作通りでありながら自分の出したいテーマを前面に出す」技(チエ監督の高畑勲氏が得意とする)は、本作でも如何なく発揮されている。一方で原作クラッシャーである出崎統氏(同氏の師匠)の特徴も少し受け継いでいる。

こういった、出崎系と高畑系のハイブリッドな所は、高屋敷氏の個性であり魅力の一つ。
じゃりん子チエ、めぞん一刻カイジなど、原作力の強いアニメ作品で、自分の個性やテーマを出す事は相当に難易度が高い事が、長らく見ていくと分かる。

そういった難易度が高い中、今回は、同氏の長年のポリシーである疑似家族愛に強いスポットが当たっている。
疑似家族愛と、男の成長は、高屋敷氏が構成する本作最終シリーズの柱となる…というのを多いに感じさせる回だった。

元祖天才バカボン3話A演出コンテ:試練に打ち勝ち、己を保て

Togetterのバックアップです。修正や追加などで再構成しています。)

同氏演出の初出。脚本は吉田喜昭氏。
掃除の為に出しておいた古新聞を、新しい新聞と勘違いしたパパは、今日がエイプリルフールと思い込む。同氏特徴の紙ネタ。
新聞をよく見ると「アニメーター急募」「お粗末な子供番組」などネタが書いてある。 

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エイプリルフールと勘違いしたままのパパは、腕が取れるトリックを使いママ達を騙す(人形の手を使った)。うまく騙すトリックやイカサマは同氏特徴。カイジ脚本では、ガチで耳や指が欠損してしまうが。元祖天才バカボンの他の同氏演出回でも欠損ネタあり。

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騙されたままのバカボン達は医者を呼ぶ。3年ぶりの患者のため、医者は内心大喜び。同氏作品には医者が多く出てくるが、この医者も味がある。

医者の眉・髭・髪が怖いと駄々をこねるパパの為に、医者はそれらを全部剃る(特徴:アイデンティティ消失の危機)。

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ここで、パパはネタばらし。更にパパは、医者の顔に落書きする。

ここで鏡が出て来るが、真実を映すキャラとして、同氏作品で鏡はよく登場する。画像は今回と、ど根性ガエル演出、めぞん一刻脚本。

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激怒した医者はパパを追いかけるが、結局捕まえられず病院へ帰る。だが人相の変わった医者を、看護婦は別人と思い込んで叩き出す。医者は、「ワシはワシだからワシなんだ」と事情を話し、看護婦は納得。これも同氏特徴の、アイデンティティの消失からの自己認識。

夜、パパはママから説教を食らうが、まだまだ今日がエイプリルフールと勘違いしているパパは反省せず、騙された方が悪いと開き直る(特徴:善悪問わず知略に長けた者が勝つ)。その後煙草を買いに外へ出たパパは、トラックにはね飛ばされる。

はね飛ばされたパパが落下したのは、パパが騙した医者がいる病院だった。ガチに怪我したパパを手術できると、医者は喜ぶ。また、医者から今日がエイプリルフールでないことを教えられる。パパはガチで怖い思いをするのだった。

ここで、出崎兄弟がよく使う穴ごし構図が出てくる。影響下にある高屋敷氏の演出でもよく出る。怪現象だが脚本でもよく出てくる。画像は今回、忍者マン一平(監督)、カイジ脚本。他も多数、脚本でも不思議だが多数。

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  • まとめ

同氏演出の初出回だが、最初から特徴がよく出ている。医者は、アイデンティティを形成するものである眉・髭・髪を失うが、医者である自分を見失わない。「ワシはワシだからワシなんだ」は、結構深いかもしれない。

また、腕が取れるトリックについてだが、手足も別個の魂を持つキャラと捉える高屋敷氏の姿勢が出ているのかもしれない。DAYS脚本でも、「足を別個の生命体と考えろ」という直球台詞がある。元祖天才バカボン中盤演出回でも、手が喋る回あり。

パパのイカサマやトリックで泣きを見るゲストキャラは多い。諦めずに立ち向かう者もいれば、泣きを見たままの者もいる。また、今回のように、天がパパに罰を与える回もある。今回の場合は、自分を見失わなかった医者に対する、天のご褒美かもしれない。

髪などを失いアイデンティティ消失の危機に陥る話は、同氏の作品に多い。チエちゃん奮戦記脚本では、テツが丸坊主になる話があり、忍者マン一平(監督)では、一平が忍術発動と引き替えに髪を全て失う。アカギ脚本では血を失い、カイジ脚本では耳・指を失う。

アカギ(血)にしてもカイジ(耳と指)にしても、今回の医者と同じく、自己を形成するものを失うわけだが、アカギもカイジも最終的に自分を見失わない。カイジにも「オレだ、オレなんだ」や「信じるべきはオレの力」等、自分を強く認識する台詞がある。

そういった、自己を見失わない強い意志を持つ者には、今回のように、天が味方してくれることがある。カイジでも、「天」という台詞が強調されている。思えば、船井に騙された時のカイジは、船井に流され、自分を見失った状態だった。

一方、服や耳を失っても強固な自己意志を持つ覚醒カイジには、天が力を貸す。
今回も、天からパパが降ってきて、医者はパパに復讐することができた。
今回は、試練に打ち勝ち自己を保つ事が大事という同氏ポリシーを、シンプルながらも感じる回だった。