カイジのシリーズ構成・高屋敷英夫さんの軌跡

アニメカイジのシリーズ構成・高屋敷英夫さんに興味を持って調べてみたら、膨大な量の担当作があることがわかりましたので、出来る限り同氏担当作を追跡しています。discordアカウントは、まきも#3872 です。

マッドハウス版X-MEN10話脚本:博愛>母の愛のエゴ、そしてぼっちを放置すると世界の危機すら起こる

 

XMEN脚本10話。(Togetterのバックアップです。修正や追加などで再構成しています。モバイルだと、クリックしても画像が大きくならないので、pic.twitterから始まるurlをクリックするとtwitterの大きい画面で見えます)

本記事を含めた、マッドハウス版XMENに関する記事一覧:

https://makimogpfb2.hatenablog.com/archive/category/%23XMEN

  •  これまでのあらすじ

恋人を亡くしたサイクロプスが仲間の支えで立ち直り、日本の東北地方で少年少女のミュータントがUMENに拉致され行方不明になるという事件をXMENの仲間達と追う。

罪のない青年が怪物化し、死ぬしか救いが無いという悲劇にXMENは遭遇。XMENは拉致された他の少年少女ミュータントを救出、その中に久子とエマがいた。救出作業中、UMENのロボット?が襲って来るが何故か臓器を寄越せと連呼する。

ロボットに襲われピンチとなる久子を、家庭教師のエマが身を挺し守る。だがそれを切欠に二次変質を発症。ミュータント特有の現象で、怪物化の危険がある。ビーストは検査とワクチン投与のためエマをXMENホームのエクゼビア機関に連れて行くことを提案。エマが、恋人が死んだ際にいた女に似ていることで疑念が晴れないサイクロプスだが、久子の純真さなどに根負けし承諾。

幸い、エマの二次変質は良性だったが、道中遭遇した敵は罪もないミュータントが実験で怪物化した姿だった。そうした現象が日本の東北地方のみで頻出する為、XMENは捜査を更に続行。一方訓練や試練に耐え、久子、エマがメンバーに。プロフェッサーXの精神ダイブ能力を使い、エマは皆に自分の記憶を見せる。迫害や差別、悪への加担の過ちなど複雑なものだが、ジーンを殺した過去はなく、サイクロプスの疑念は晴れ、正式メンバーと認められる。

全員が再び捜査のため日本の東北へ。出発前、エマはテレパシー能力の干渉でプロフェッサーXの記憶にある「佐々木結衣」という女性の存在を知ってしまったことを彼に話すが、エマは話したくないのならいい、と保留に。

訓練を終え、XMENのジュニアメンバーとして迎えられた久子と共に、引き続きXMEN達は東北の事件を追う。住民のミュータントには2次変質を発症している者が多く、ビーストは彼らにワクチンを打つ作業に追われる。また、川や橋にも異常な現象が起こっていた。調査中、事件の中心地にて、アシである飛行機・ブラックバード号がミサイル攻撃を受け墜落。雪を操る敵によりブラックバード号は動けなくなる。

ロボットに乗るUMEN戦闘員の襲撃を受けるが、XMENは見事な連携で撃破。だが敵は「ここには最強のミュータントが眠っている」と言い残し自爆。飛行機を失ったXMENは雪山を彷徨うが、ウルヴァリンの嗅覚のおかげで人の住む山荘を発見。

そこには、佐々木結衣、つまりエマがプロフェッサーXの心に触れてしまった時に出た名前の女性がいた。また、久子も、以前プロフェッサーXに「佐々木学園」というのを知らないか、とたずねられた時に思い出せなかった、佐々木学園の園長が佐々木結衣であり、自分が結衣の教え子であったことを思い出した。

佐々木結衣は佐々木学園というミュータントの子供達のための学校を開いていたが、すでに閉校し、今はミュータント関連の医療や科学について、ここの研究施設で助手と共に研究をしていると説明。その中で久子は、どうしても思い出せないが自分より少し下の男の子がいたと言い、結衣に尋ねるが、結衣も何か隠すように知らないと言う。また、事件やプロフェッサーXとのことについてぼやかした言い方をしていた。

結衣は助手達とミーティングがあると言ってリビングを離れる。エマは彼女が嘘をついていると、テレパスではなく言動や女の勘で見抜く。

ビーストはプロフェッサーXに予備のブラックバードを送ってもらう準備をする。ビーストから佐々木結衣の事も含め連絡を受けたプロフェッサーXは、予備のブラックバードを送ると約束。そして佐々木結衣に連絡を取る。結衣はXMENや事件についてそっけない態度を取る。だがプロフェッサーXは東北に意識を向けた時、顔の無い少年を見たと言う。結衣は、それは自分とプロフェッサーXとの間の息子、タケオであると言い、だが「もうこの世にはいない」と告げ、もう心に入り込むなと突き放した。

一方、墜落し動けなくなったブラックバードの様子を見に行ったウルヴァリン、ビースト、ストームは二人の謎の敵に襲われ戦闘になるが、二人は挨拶だと言い残し去る。
佐々木邸では、結衣が研究施設で助手達に怪しい薬を注射させていた。

リビングでは、久子が、ここに来てから手のひらのアザが痛むと言い出す。何かの伏線か。痛み止めをもらいに結衣の所に行った久子を見送り、エマはサイクロプスと二人きりで話したいことがあると告げる。

一方プロフェッサーXは予備のブラックバードをオートパイロットにし、自分も乗り込んで日本へ向かう。

その頃、エマはサイクロプスの抱える傷や迷いと取り払うため、サイクロプスの心に精神ダイブしたいと言い出す。迷いのあるリーダーはよくないとの為。サイクロプスはエマの精神ダイブを受け、ジーンとの恋と彼女の死、自分が自分を殺すビジョンを見て苦しむ。ただ、ジーンはミュータントと人間の子供達のために光になりたいと言っていたことを思い出し、ジーンを救えなかった自分を許せなかった事に向き合う。サイクロプスは、ジーンの意志を継ぎ強い心を持つことを決意する。

一方結衣は研究設備で何かに襲われ、8話へ続く。
9話では、結衣が助手に投与していた怪しい薬は怪物化を防ぐための抑制剤だったことがわかる。また、エマは助手の真田純がインナーサークルのボス、マスターマインドであることを自身のテレパス能力で見抜き、二人きりになった所で問い詰める。映像もマスターマインドとなる。

また、マスターマインドは、ジーンが死ぬ際にエマに似た幻影を造り、サイクロプスがエマを疑うよう仕向けた事も判明。

怒りに燃えるエマはマスターマインドと戦うが、そこへマスターマインドの部下が襲って来る(以前にウルヴァリン達に挨拶した二人)。そこへXMENも来て全員で戦闘に。

だが心を操り幻影を見せる能力を持つマスターマインドは、ウルヴァリンを幻術にかけ、味方を襲うよう仕向ける。サイクロプスウルヴァリンの再生能力を知っているので、強引にウルヴァリンフルボッコしてウルヴァリンを正気に戻す。戦線復帰したウルヴァリンの所で10話へ。

 


  • 10話

今回出た特徴:

  • 出崎哲式高速回転
  • 出崎兄弟指パッチン演出
  • ナイスコンビ・チームプレー
  • 大人ガン泣き
  • ぼっち(救済失敗例)
  • 心の戦い
  • 母性
  • 愛が生むエゴ
  • テンポのいい台詞リレー
  • 手のソフトタッチ、手が訴える
  • 愛嬌ある敵
  • 欺き
  • 優秀モブ
  • 話の超圧縮

などなど。

posted at 03:31:05

9話広田光毅氏脚本回で、プロフェッサーXの元カノ科学者、結衣の助手の一人・真田がインナーサークルのボス・マスターマインドが化けた姿であると、自身のテレパス能力でエマが気付き、エマが問い詰めると、色々とマスターマインドのせいと判明し、XMEN全員が集結し戦闘へ。

で、今回10話でマスターマインド率いるインナーサークルの説明を元組織員だったエマがするが、特徴の早口名調子。

インナーサークルは世界をあるべき姿にすると嘯いている、という台詞があるが、同氏脚本赤ルパンのインチキ教祖も世界をあるべき姿に、と民衆を騙していた

posted at 03:40:57

インナーサークルは人を奴隷のように…は同氏脚本・シリ構カイジネタw

また、マスターマインドテレパスで真田に化けてたわけだが、同氏演出・脚本参加した赤ルパンの変装ぽい。

XMEN対四天王のバトルで、トゲ球に変化し出崎哲式高速回転する敵がいる。
posted at 03:48:49

このトゲトゲ敵がウルヴァリンを刺してる間にストームが雷を放ち倒す。

ウルヴァリンの再生能力を信頼したコンビプレー。

ちょっと怒るウルヴァリンだが会話がコミカル(特徴)。

雷に射たれるのは、同氏脚本疑惑のど根性ガエル含め色々あり、天=重要キャラの特徴出てる
posted at 03:55:17

同氏脚本8話で怪物化し、XMENのおかげで元に戻った結衣の助手、リコと加賀が目覚める。以前結衣が彼らに投与していた怪しい薬は彼等の怪物化を抑制するものだったが、効果が薄れていたことが9話で判明。もしや「加賀」はエースをねらえ!の「加賀のお蘭」 から?
posted at 04:01:19

そしてこの加賀・リコは存在感ある(特徴・優秀モブ)。一方敵の心理攻撃の謎空間に飛行機ごと囚われたプロフェッサーXは故・ジーンの励ましもあり、諦めず脱出を試みる(特徴)。

また、謎空間に顔(キャラ化)。

複数に平行する事象の切り替えの妙が同氏のチエ脚本的
posted at 04:10:22

バトルの末四天王の残り3人が奥に撤退。

その間に加賀・リコも合流。

ビーストが医師として怪物化した事実を告げ、ビーストのワクチンで怪物化の心配は無いと説明。

「医者として」と話し始めるビーストが、医者としての見地を大切にしたジョー2脚本のキニスキー博士的。
posted at 04:15:21

また、今までの話で伏線を張っていた、UMEN以外の者がミュータント探知を不能にするカラクリが、結衣の研究施設にある巨大な機械であることをビーストが推理・証明。

結衣の抑制剤の原料はミュータントの新鮮な臓器で、取引の末UMENはミュータント狩りを行った。
posted at 04:22:26

この鬼畜な所業も、全ては結衣とプロフェッサーXの息子で、怪物化すれば世界を脅かす力を持つタケオの暴走を抑制する為だった(特徴・母性)。

加賀やリコは結衣を思いやって助手をしており、詰問される結衣を少しかばう(特徴)。

また、鬼畜所業もカイジ、アカギを彷彿
posted at 04:29:51

結衣は泣きながら(特徴)奥のドームへ走る。すると前からの伏線、久子の手のアザがドームに近づくたび痛む(元祖バカボン演出・喋る手の回を彷彿)。

ドームにはスクリーン投影の青空があり、偽の天だが(特徴)色々白日の下に晒される。そこにはタケオ、マスターマインドがいた
posted at 04:35:29

マスターマインドの説明が長台詞名調子(特徴)。

タケオが結衣とプロフェッサーXの「ハゲしい恋」(特徴のダジャレ)の結果産まれたと皆に発表。

怪物化すれば世界を破滅させる位の力を持つタケオを利用するため、マスターマインドは抑制剤をタケオに投与しなかった。
posted at 04:41:08

ところで抑制剤を投与されずグッタリしたり苦しむタケオが、ジョー2同氏脚本の、ジョーの地獄の減量回を思わせる。

ここで四天王の最後の一人が登場。触手を相手の体内に入れ神経を大増幅させ、少しの物音でも鼓膜が破れショック死させる技を持つ。(カイジの耳ドリル的)
posted at 04:47:39

この神経増幅能力を持つ四天王のキャラが面白い。しゃべり方がコミカルで、なんだか可愛い(特徴)。

一方タケオの能力が暴走を開始し、外界は空や自然に異常が発生。騒ぐモブが個性あり(特徴)。また、サイクロプス以外の仲間が身動き取れず、ピンチになり次回へと続く。
posted at 04:52:59

最終回まで少しバラすと、物理攻撃よりも、プロフェッサーXと怪物化したタケオの心理戦に。

プロフェッサーXやサイクロプスは自分の命を犠牲にしようとするが、久子とエマが否定。

久子のアザはタケオと久子の思い出の証で、タケオが久子から消去した記憶を蘇らせる
posted at 05:05:17

アカギ・カイジ脚本で山程心理戦を書いた広田・高屋敷氏なので心理戦に帰着したのも納得。

また、久子の純粋な心→覚醒で解決。

家族愛より広い愛(両氏特徴)がタケオ一家を救う。

広田・高屋敷氏の連携と伏線回収の手慣れた感じがチエ脚本の高屋敷・宮本氏を思わせる
posted at 05:13:26

超人のノリが、スタッフ(特に原画)がかぶってるためワンパンマンぽい。金世俊、久保田誓、すしお、わしお、赤井方尚さんなどはワンパンマンにも参加。

また、本作制作進行の牛嶋新一郎さんはワンパンマン助監督・演出陣。勿論ワンパン原作もXMENパロがあるし
posted at 05:19:22

話や言葉のシンクロは沢山あるが画のシンクロは今までより少ないから語ることあまりないかと思ったら結構あった。特にテーマのシンクロ。自殺やエゴ愛の否定、博愛推し。

本作ではビーストの博愛が目立つ。ビーストから優しくされた久子が最終回で鍵になるのは印象的
posted at 05:28:45

高屋敷氏の演出や脚本に、自殺のうまい否定の仕方や鬱病への正しい対処、疑似家族がよく出るが、元夫人の金春氏の脚本も、最近再放送の「こどものおもちゃ」で自殺の否定や疑似家族などが出て来るのは興味深い。金春氏シリ構の、うたプリも疑似家族的?
posted at 05:37:21

 XMENにおいても、結衣とタケオ母子が、ぼっち状態で結衣が自力で頑張り過ぎた。プロフェッサーX、またはXMENの誰かに相談すれば避けられた悲劇だったのが、同氏のテーマ、ぼっち救済の失敗例に見える。失敗すると世界の危機すら招くという警鐘かも
posted at 05:45:00

これを踏まえ、高屋敷氏の唯一の監督作の忍者マン一平の再放送が始まったので次はそっちの検証に入ろうと思う。

凄い速さで打ち切りになったので黒歴史かもしれないが貴重。この調子で追っていけば、XMENに入ってる隠し過去作ネタがまだ見つかるかもしれない。

追記:忍者マン一平についてはtogetter参照
posted at 05:51:13

  • 画像1

シンクロ怪現象。 よく出る吐き捨て動作とヘッドロックど根性ガエルコンテ疑惑、同演出、ジョー2・カイジ・チエ脚本、ど根性ガエル演出。左から時代順。相変わらず脚本でも画が似てくるのが怪 pic.twitter.com/LR53SjYJYG
posted at 08:04:48

 

  • 画像2

シンクロ集。左から時代順。笑ったのはモヤっとボール高速回転が出崎哲氏的であること。2段目左から3が哲氏コンテ・高屋敷氏演出回の高速回転。ど根性演出、カイジ、チエ、ゲン2、ジョー2、一歩3脚本。 pic.twitter.com/a8HXB8yDzP
posted at 08:11:02

ついでに言うと同氏チエ脚本でゲタを構えて不良に殴りかかるチエと、刃を構えて敵に斬りかかるウルヴァリンのアクションや雰囲気が結構似てたw

XMENは画面が暗く動作が速いので解りにくいんだけど。チエのゲタアクションも相当に速い

 

本放送のみ、2011頃だったので、冒頭でXMEN達が東北を応援する挨拶があった。

Pの丸山正雄氏、高屋敷氏はともに東北出身でもある。

他のスタッフさんも色々大変な年だったと思う。偶然にも本作の舞台が東北だったので思い入れはあったと思われ、頭が下がる。
posted at 08:20:51