カイジのシリーズ構成・高屋敷英夫さんの軌跡

アニメカイジのシリーズ構成・高屋敷英夫さんに興味を持って調べてみたら、膨大な量の担当作があることがわかりましたので、出来る限り同氏担当作を追跡しています。discordアカウントは、まきも#3872 です。

忍者マン一平監督11話:人生に試練を課す「キャラクター」である雪山と崖。あらゆる作品に登場!

Togetterのバックアップです。修正や追加などで再構成しています。モバイルだと、クリックしても画像が大きくならないですが、urlをクリックするとtwitterの大きい画面で見えます)

ちょっと、カイジ1期(高屋敷氏シリーズ構成・脚本)について先に触れる。

下記、高屋敷氏が監督の忍者マン一平10話の特集にて、


機械=人の映し身、鏡=真実を映す、が高屋敷氏の演出特徴の1つと書いたが、カイジ1期の高屋敷氏脚本回の20話を見ていたら気付いたことがあった。時計=まさにキャラの映し身として、実際、意思を持ち伝えている。

posted at 22:03:27

忍者マン一平を見た後にカイジ1期20話を見ると凄い。時計や物の殺気走ったアップが沢山あり、「時計」「血」「血痕」が無言で何か訴える構成になっていて、忍者マン一平で種明かしされた「物や自然=キャラ」が存分に生かされている。
posted at 22:57:47

あと、カイジ1期23話見てたら笑った。カイジにもゴルフのカップインシーンがある。高屋敷氏の直接脚本回じゃないが(脚本は吉野智美氏)。 左から、高屋敷氏元祖バカボン演出、忍者マン一平監督・脚本(共著回)、カイジシリーズ構成 pic.twitter.com/1gzT2OM8x0
posted at 23:09:23

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元祖バカボンのまとめの時書いたが、元祖バカボン忍者マン一平では、カップにキャラが入っていて、物=キャラと明確に種明かししている(高屋敷氏特徴)。元祖バカボン忍者マン一平は貴重な上、これらをふまえた上でカイジを見ると面白い。 

posted at 23:15:06

高屋敷氏の特徴のひとつとして、紙がよく出るが、監督作の忍者マン一平でも、紙が人の姿を持ち、しかも皆を騙したり敵になる: 


カイジ1期26話脚本も、紙のくじ=会長の化身が強調されている。

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posted at 00:23:59

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しかも画像右端、原作では印をこっちに向けていないのに、会長が籖の印をこっちに向けて持っていて、ますます籖=会長が強調され、紙=キャラとなっている。

このように、高屋敷氏の過去作を見た後で、カイジをあらためて見ると色々と新しい発見がある。

posted at 00:26:51

脚本吉田喜昭氏、コンテFHキノミヤ(小林治氏の変名。長らく高屋敷氏だと思っていたが、2018年の小林治氏の個展にて判明)、演出:望月智充氏(らんま無印の実質監督や「海がきこえる」監督)。
FHキノミヤは、新ど根性ガエルと、この忍者マン一平にしか出ない。

 

高屋敷氏特徴の、開幕からの意味深な自然や物のアップが、開幕でもろに出ている。間の意味深さを感じる長さが独特。
そしてこの崖は、今回の話のキーとなる「キャラクター」でもある(特徴)。 pic.twitter.com/JpjtCT2SWp

posted at 01:11:31

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この話は、平面と手のひらの間に真空を作って吸盤のようにし、壁や崖を登るという、忍法真空ハンドを会得するための冬合宿の話。冒頭の崖は、その忍法の練習台。

ちょっと深読みすれば、これが人生の縮図になっていて面白い。同氏過去・未来作でも生きている要素。
posted at 01:17:13

忍法真空ハンド、お手本を見せた校長先生は8割がた崖を登るも、ちょっと気がそれて転落してしまう。同じく、高屋敷氏シリーズ構成・脚本のカイジでは、長年経験を積み上げ高みに登った利根川が、一瞬の気の迷いやミスにより転落してしまう。
対して、子供である一平達はちょっとしか登れない。
posted at 01:24:22

雪や雪山=人生の厳しさを表現、は高屋敷氏演出の家なき子で何回も描写され、同氏演出の最終回では、人生の厳しさをあえて体感するため、マチヤとレミは雪山に登り、気を緩めず自分の足で生きて行くことを誓いあう。ここでも意味深な雪山が二人を「見ている」。
posted at 01:29:15

そしてレミが「男は、いつか一人で生きて行くもの」という師匠ビタリスの教えを反芻し、雪山を見ると、ビタリスと雪山が重なる絵になる。これも自然=キャラ。pic.twitter.com/9lL98HKylB
posted at 01:33:15

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さて、今回の忍者マン一平では、平行エピとして、地元の居丈高なスキーチャンピオンの中学生(オオカミ・漢字不明)とその腰巾着が、一平達と対決する話がある。これは後にクライマックスで忍法真空ハンドのエピと合流する(特徴・複数平行エピとその合流)。

posted at 01:38:47

ところで、一平達が合宿に来ている地名は「ウルフ岳」、一平達と対立するのは「オオカミ」で異名はブラックウルフ。高屋敷氏脚本デビュー疑惑(無記名)は、ジョー1のウルフ金串戦。他の高屋敷氏作品、特にまんが世界昔ばなし演出や脚本でも狼推しが見られる。
posted at 01:45:40

合宿といえばお約束の風呂と女湯のぞき話があり、そのエピも今回入っている。一平の目玉飛ばし忍術(目ん玉特捜隊)は、のぞきにも最適だが、大人の美人教師・徳川先生は子供達より知恵があるので、目玉を誘惑して風呂に沈め、のぼせさせる。これで一平達の覗きは失敗。
posted at 01:52:34

この女湯のぞきエピも相当な圧縮具合だし、

  • 中学生との対立
  • 忍法真空ハンドの授業
  • 風呂・旅館内ディスコでの中学生との対峙
  • 中学生との決闘
  • 忍法真空ハンドの意外なオチ、

とエピの数と圧縮具合が凄い(特徴)。監督という立場から、そういった方針を脚本や演出に出したのだろうか?
posted at 01:58:16

風呂で敵と対峙・戦闘→知略(特徴)で撃退は、ど根性ガエル高屋敷氏演出回にもある。一平も機転で撃退。これも裸状態で人間の本質を探る高屋敷氏特徴の脱衣演出の一端。最上段は今回とのシンクロ。 twitter.com/makimogpfb/sta… pic.twitter.com/V4EYcEttFQ
posted at 02:05:38

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この、風呂での対決において、敵は一平の目が無いことに驚き、さらに一平がお化けのふりをしたので怖がり気絶。 カイジ脚本では、カイジの耳が無いことに皆が驚き、カイジのこの決死行動で利根川は敗北する。 pic.twitter.com/813LGjPpON

posted at 02:12:18

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風呂での戦闘後、旅館併設ディスコでも敵と対峙し、「もう離さない!」(意味深)と一平は敵の手下に抱きつかれる(特徴:bl天然燃料)。そして決闘の日時・場所を決める。
ところで、ここらへんの場面で、ど根性ガエルの梅さんが出演している。 pic.twitter.com/TfBrEVOhHT

posted at 02:20:16

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このディスコでも一平の攻撃で敵の頭にミラーボールが被さり、人間ランプとなる。同氏演出・脚本で頻出の意味深なランプ=キャラクターであるという、答え合わせにもなっている。  pic.twitter.com/PJwoqz6c6e

posted at 02:23:46

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終盤の決闘では、一平の忍法スカイホークに対抗した、オオカミのウルフ戦法に一平は苦戦。だが知略をめぐらせ(特徴)、忍法真空ハンドを応用。ウサギの相棒・ブッピと共にピタゴラスイッチ的作戦で勝利。ルパン同氏演出でも、ピタゴラスイッチ的作戦はよく出る。

posted at 02:29:43

ラスト、忍法真空ハンドを会得したと思った一平だったが、全然できない。だがブッピは完全マスターしていた。つまり作戦の功労者はブッピだった。ブッピは煙草(特徴)を吸い大人の余裕を見せる。深い見方をすれば、一番大人であるのはブッピだったというオチ。
posted at 02:34:06

 

  • 画像

雪山シンクロ集。今回と、XMEN・キートン脚本、赤ルパン演出。やはり恐ろしいのは脚本でも画が似てくる怪。XMENにおいては、雪の切り立った部分まで似てくるから怖い。あと、喜び方が、絵に関われない脚本作でも可愛く、演出作と似た雰囲気になるのがいつもながら謎。 pic.twitter.com/s1xsTVPcQ6
posted at 02:40:07

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雪山・崖=人生の試練集。 今回、家なき子演出、キートン脚本、カイジシリ構。特に家なき子演出とキートン脚本は恐ろしいくらい、画も内容も共通項が多い。しかも家なき子のビタリスを救済するような内容。 pic.twitter.com/Z1MwbrH27Y
posted at 02:46:05

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色々なシンクロ集(内容も)。家なき子・赤ルパン演出、らんま・XMEN・カイジ脚本。らんま高屋敷氏脚本回のコンテ演出は、今回の演出の望月智充氏である。そのため、共通する部分が多々ある。 pic.twitter.com/BOYLSu0IIc
posted at 02:53:38

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  • まとめ

この「崖を登る」「雪山」=人生の試練という高屋敷氏特徴、シリアスになると絶大な効果を発揮することがわかった。特に家なき子演出とカイジシリ構は圧巻。今回、一番大人であるブッピが崖を登れるが、カイジも人生の幾多の命懸けの苦難を越え登り切った。
posted at 03:01:11

ところで、カイジ破戒録の高屋敷氏直接脚本回(22話)で、一条に関しても崖を登るイメージが入り、最後もカイジが崖から落ちそうになるイメージが入る。まさに崖は、人生の経験と試練を体現するキャラクター。 pic.twitter.com/7Ae084Lrb4
posted at 03:16:05

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今回の冒頭と中盤に、崖のアップと意味深な間がある。崖=試練は、家なき子最終回演出で非常に強くなった特徴かと思う。同氏演出の家なき子の他の回でも、崖からのダイブがある。カイジのイメージも崖が頻出。崖=人生の試練を課すキャラである事が判明した回だった。

posted at 03:25:13