ルパン2期9話・高屋敷氏脚本「浮世絵ブルースはいかが」
高屋敷氏脚本(公式PN、毛利蘭名義)の赤ルパン9話見た。またも特徴全盛り
- 紙だらけ
- 年上男性(老人)に優しい(ルパン達全員)
- かわいいおっさん(銭形)
- 優しい手つき
- 手から手へ物を渡す
- 手・物のアップ
- 秀逸モブ
- ランプ
- ダジャレ好き(「写楽三世」←しゃらくせえのダジャレ)
- 過去作・未来作の映像が脚本から出力
- 豹変
あと、話としてもこれ凄い面白い。
- 最初はカイジ並にルパン達がお人好し。
- 冒頭の伏線から、ルパンが不二子に騙されると後半まで視聴者に思わせといて、最後にルパン達が知略大逆転。
- さらにおなじみ出崎兄弟合体要素。
出崎哲式高速横切り・高速動作・統式ジャンボジェットやNY描写・出崎兄弟パース - 流れるような早口台詞で密度の高い話を超圧縮 (カイジなどの1話で原作100P消費する圧縮技につながる)
- 連呼台詞
そして、コンテが東京ムービーの名作によく参加している佐々木正広さんで、演出が有名な御厨恭輔さん、ど根性ガエル動画出身の北原健雄さんが作監(ガンダムF91作監でもある)。そのためか、ど根性ガエルにそっくりな画が出力された。あと初代ルパンからなんだが、佐々木さんはホントかっこいいコンテを切る。
あと、いつも感じるのだが、高屋敷氏は、マジで自分が担当してない分の、ど根性ガエルも全話覚えてる勢い。
ルパン側がお人好しで出し抜かれそうになっても知略大逆転で不二子を逆に出し抜くのも滅茶苦茶痛快。(自身演出の神回、ど根性ガエル19話をさらに複雑にして密度を濃くした知略のせめぎあいと一発逆転)
ルパンが不二子を出し抜き返す時の、「女に騙されるわけにはいかない」的な台詞もビッチ嫌いな出崎哲さん大好き病を感じる。
とにかく、この高屋敷氏脚本の赤ルパン9話は最高だった。同氏の脚本は本当に、恐ろしさを感じるほど。演出も充分凄いんだけど…今までタメたキャリアを毎回全て出し切る主義なのだろう。 あと、奇跡的にカイジ2期最終話と似てる台詞がある。
ルパンと次元:「タダだ」「何?」「タダ!」
カイジと優しいおじさん:「タダだ」「タダ?帝愛が」「帝愛じゃねえ俺だ!俺がやるっていってんだ!」(なんとカイジの時代に入ると、洗練されて聞き返し・台詞リレー・単語連呼・リズム取りが全て入ってる!)
あと同氏ルパン脚本は、台詞リレーも多い。ジョー1から出ているが、これはキャラクターのやりとりがポンポン進むルパンで洗練されていった感じがする。
・画像編
おなじみ高屋敷ペーパー。何しろデビューのジョー1脚本(36・無記名だが確実)から紙だらけ。何が同氏をそうさせるのか…
優しい手つき。特に今回はルパンはじめ全員お年寄りに優しい。ルパンなんか、人情が優先してほぼタダで老人のために仕事を開始する。報酬確約としては不二子のラブラブサービスだけだが、その前に「死ぬ前に最後の仕事をしたい」と言う老人や、老人の仕事道具を見て真剣な表情のルパンが描かれている。五右衛門や次元もお人好し、つまり全員カイジ並のお人好しになっている。老人が死んだと思ったシーンは演技の不二子以外、全員本当に悲しんでる。
手から手へ物を渡す。手・物のアップ。これももう全参加作品全てで頻出。今回なんかカイジ破戒録で一条達がよく使ったリモコンと同じような画が出力されてる。
秀逸モブ。もうどの作品も(ジョー1から最新作一歩3まで)滅茶苦茶モブが個性的でセリフも印象的。銭形のルパンへの注意を逸らし、偶然ルパンへナイスアシストをしてしまうモブもいる。
高屋敷ランプ。もう同氏演出・コンテ・脚本全て、色々な作品にありすぎるからキリがないんだけどカイジ破戒録あたりと比較。これも何なんだろう。最初はジョー1の照明アップから来ていると思われる。ジョー1も結構出る。同氏のPNなのではないかと疑っている小林幸脚本回にもそっくりな間の照明アップが頻出する。
過去作・未来作の映像が脚本から出力。ど根性ガエルは全編通して、凧やアドバルーン、歌舞伎の見栄が出てたんだが今回それが出ている。
あと同氏脚本演出コンテでよく出るんだが、ドアの隙間からの構図。もとは大好きっぽくよく一緒に仕事している、出崎哲氏コンテからの影響と思われる。南先生の画像(2段目中央)が出崎哲氏のど根性ガエルコンテ。
出崎兄式高速横切りと、弟式多層美術・ジャンボジェット・NY描写・出崎兄弟パース。脚本なんだけど…脚本は絵をいじれないんだけど…特に用事が無い限り、作画現場に来ないんだけど…後年、特にシリーズ構成になると、もっと恐ろしいことになる。出崎兄弟と自身演出コンテ時代の最終映像とドそっくりな画まみれになる。スタッフも年代も違うのに。丸山正雄氏とも関連あると思うが、丸山氏もここまで覚えてないだろって画や、全然丸山氏がいない制作会社(らんま、めぞんのディーンなど)でも出てくる。
おなじみ怪現象。ちなみに同じ泥棒もの、同氏脚本キャッツアイ3、4話でも激似シーンや未来作への酷似シーンが続出する。同氏脚本または演出コンテの赤ルパンはヘリがよく出るが、キャッツアイ4話も瞳達がヘリ乗ってる。ちなみにキャッツアイ監督が出崎統作品で代わりばんこに演出をした竹内啓雄氏はじめ、作監杉野氏、美術水谷氏に至るまで全員ジョー1やど根性ガエルからの密接な仲のため、キャッツアイ4話は悪乗りが過ぎるくらい全員同窓会状態の過去作全出し。しかしカイジ破戒録のモニタ部屋やカメラがルパンっぽいと思ったらホントにルパン三世、しかも本家だったw。比較したカイジ破戒録13話も高屋敷氏直接脚本。
- 台詞編。
話が普通は長くなるところを早口かつ流れるような台詞で超圧縮。富野氏コンテばりに場面数が多く、これはコンテも作画も演出も大変だったと思う。
あと、あっと驚く超トリック。これもカイジ並に大掛かりで全く予想がつかなかった。
そしてキャラ間のセリフリレーが小気味よく続く。
あと、ど根性ガエルの出崎哲さんコンテで何故か背景の映画館にアラン・ドロンとかチャールズ・ブロンソンとかよく書いてあるんだけど、今回アラン・ブロンソンってセリフが出たw哲さん大好き病…
- セリフリレーや聞き返しの反復
ギャラははずむわ
ギャラよりやりがいのある役がほしいね
全部本物じゃよ
え?
全部本物じゃて
飛行機の中で世話になったんじゃ
飛行機?
タダだ
なに?
タダ!
俺は乗る
次元は?
落っこち!1銭にもならねえ仕事はごめんだな!
- 早口でも言いやすい長台詞で密度の高い話を圧縮
いい女!可愛いしプロポーションも抜群!もうヨダレがダラダラ
どんなことでも最後までやりとげるお前のことだからな
(これ、ジョー1で同氏と疑っている小林幸脚本回で段平が似た台詞を言ってる。また、カイジも最後までやりとげる男っての強調されてるね)
- 写楽三世とルパン:
ルパン三世、あんたに是非会いたいと思っとった わしの体はごらんのような状態じゃ そこでわしに代わって仕事を完遂してくれる人物は 世界広しといえども、あんたしかおらんと思って
つまり俺にあの最後の一枚をすりかえてほしい、こういうわけ?
そうなんじゃ 探しあぐねていたあんたと 飛行機で隣り合わせになるのも何かの巡り合わせ…わしの願いを聞いてはくれんか
次元とルパン:
おい冗談じゃねえぜ!写楽の浮世絵っていえば、闇ルートで時価何億円もする 高価なもんなんだ!
俺はただねえ 泥棒史上に残るすりかえの名人 写楽三世の最後にな、花添えてやろうかなーなんて思ってただけだよ?
- ルパンと次元:
ちょい待ち次元!(酒瓶を投げる)
おお!最高級のスコッチ!(酒瓶をキャッチ)
夕方まで不二子ちゃんお留守なんだよね だからチビチビやりながらさ、写楽三世の看病でもしてくれや
看病?
ただ付き添ってやるだけでいいんだよ 最高級のスコッチじゃ 高すぎるくらいだぜ 部屋の地図はな お前のポッケの中に入ってるわ
ん?あー手回しのいい野郎だな!
- 五右衛門、ルパン、次元:
どうするルパン?
こうなったらセントルイスに空輸される時を狙う以外手はねえだろうな
そう!それしか手はない
おや?次元ちゃん まだ俺達の周りうろちょろしてんのか?
へへへ 写楽三世にあれだけの執念を見せつけられたんじゃ、ほっとくわけにはいかねえもんな
- 次元とルパン:
不二子のやつ俺達相手に大芝居を打つなんてまだまだ10年早いぜ
あれだけやれりゃ上等さ もうちょいでとんだ三枚目やらされるところだったもんな
- 不二子:
なるほど あなたがドジを踏んで口を割らされたってわけね 役者のくせにだらしないわねえ もう一芝居打てなかったの?あなたがなぜ売れない役者かよくわかったわ
- 連呼や3~4拍子をとるために同じ単語でサンドイッチする
おい、裏があるんだろ、裏が
いやいやいやちゃうちゃうちゃう!表も裏もないよ!
さあさあ俺たちがなんとかするぜさあ落ち着いて
わかったわかったなんとかするよ!
- ミラクルシンクロ編
今回は老人が飛行機でルパンに世話になる。
↓
カイジ破戒録5話(同氏脚本)は石田息子が「エスポワールであんたに世話になった…」と父のことを言っているw
次元がルパンが投げた酒瓶をキャッチするが、アカギ(同氏シリーズ構成)で金をキャッチする南郷さんとだぶる
ど根性ガエルなどの脚本・エースをねらえ!一本だけコンテの九十英夫=高屋敷氏疑惑また出る。
「バイバイ」という台詞の多発(九十脚本と多い)、またバイバイの仕方がど根性ガエルの九十英夫脚本と同じ。(この西洋風バイバイ) ど根性動画出身の作監の北原氏の計らいか、もしかしてコンテ無記名だらけのど根性ガエル中盤~でもしかして佐々木正広さんがいたのかも。
ジョー1脚本 小林幸=高屋敷氏(または同氏と出崎統氏との共著?)疑惑また強まる。
段平:矢吹、大丈夫か(小林幸脚本ジョー1・50話)
ルパン:おいじいさん、大丈夫か
いたって普通に出てくる台詞だが、上記の言い方や使い方が似ている。場合によっては絵面も。とくにルパンやカイジは、介護対象に優しく手を置くのが似ている。
段平:そういったところで はいそうですかと聞く男じゃなかったっけかなあ(ジョー1・50話)
銭形:どんなことでも最後までやりとげるお前のことだからな
- スタッフ編
佐々木正広氏
前述の通り、東京ムービーの名作に多く参加している名演出家。
そしてなんと、この方も高屋敷氏とつながりあった。空手バカ一代の演出コンテ。高屋敷氏も同作でコンテを手がけている。おまけに前半の監督は出崎統氏だったりする。なるほど、怪現象の謎が解けた。
レイアウト葛岡博氏、なんと、元祖天才バカボン(高屋敷氏演出コンテまたは脚本として参加)の原画、高屋敷氏脚本参加の「およねこぶーにゃん」、「陽だまりの樹」にも参加している。しかも今は京都精華大学講師。なんかこの大学、出崎哲氏も講演か何かしてたような…この方も調べてみると高屋敷氏とリンクあった、だから一応怪現象ではないね
作監北原健雄氏
前述通りど根性ガエル動画出身のため、ど根性ガエルの思い出がよみがえったと思われる。(wikiにないけど、ど根性ガエルでクレジットを見た)残念ながら最近亡くなってしまった。今までおつかれさまでした…調べたら亡くなってるのは、本当にいつも悲しい。しかもこの方も高屋敷氏とつながりあった。
ジャングル黒べえ、エースをねらえ、ギャートルズ、侍ジャイアンツ、怪物くん、新ど根性ガエル、ルパン三世2・3期、じゃりん子チエの作監!これ全部高屋敷氏が演出、コンテ、脚本のいずれかまたは全部で参加した作品。出崎統作品もある。(黒べえとエースをねらえ)なんとまあ…
演出御厨恭輔氏
なんとまあ…こちらも高屋敷氏と馴染みが深かった。元祖天才バカボン演出仲間…あとガンバの冒険のDで高屋敷氏は色々脚本書いてる。さらにじゃりん子チエの演出が多く、こちらも高屋敷氏が色々脚本書いてる。こいつは凄い、全員が高屋敷氏と関係があった…そりゃ出力する画が以心伝心なわけだわ
とにかく「高屋敷座敷わらし現象」と私が勝手に呼んでいるくらい、新旧大御所、有名監督(一番の大物はカラー鉄腕アトムの手塚治虫先生)と一緒に仕事していて、その都度何か吸収したり逆に何かを年下の人に伝えたりと、何やら出会いを大切にしてる感じがするんだけど、まさかルパン三世すらここまでつながりあったとは気付かなかった…。あと、高屋敷氏と夫人(今は離婚)の金春氏との共同脚本の、うる星やつら劇場版「いつだってマイダーリン」でカイジ佐藤雄三監督が原画してるwなんという運命…
色々と同氏の脚本の好みが最終映像に出力されるのは、出崎統監督に関しては超ノリノリだった(特にジョー2)が、ルパンも納得のネットワーク。他のルパンの同氏脚本回で、ど根性ガエル演出仲間の三家本氏が演出として出ており、こちらも高屋敷氏が演出した家なき子と同じような画や、出崎統止め(ギャグだけど)、ど根性ガエルで高屋敷氏が脚本したと思われる(九十英夫名義?)話にそっくりな画を出力するという友情演出が見られる。