コボちゃん48A話脚本:最強のスパイス
アニメ『コボちゃん』は、植田まさし氏の4コマ漫画をアニメ化した作品で、幼児のコボを中心にしたファミリーコメディ。
監督:森田浩光氏、シリーズ構成:城山昇氏。
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本記事を含む、当ブログの、コボちゃんに関する記事一覧:
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- 今回の話:
サブタイトル:「おぼっちゃまのカップ麺」
コンテ・演出:笠山葉一氏、脚本:高屋敷英夫氏。
お坊ちゃんのケンジ(コボの友達)は、今まで一度も食べたことがないカップ麺を食べようとする。
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ケンジ(コボの友達)は、家政婦の秋子が出かけている隙に、一度も食べたことがないカップ麺を食べようと決意する。飯テロは頻出だが、アンパンマン・カイジ2期(脚本)など、夢想や想像での飯テロも多い。
コボはケンジを家に招き、カップ麺を食べさせて欲しいと早苗(コボの母)に頼む。ケンジは、普段は栄養管理が徹底されていると話す。あしたのジョー2・グラゼニ(脚本)ほか、高屋敷氏は、普段の食事描写でも美味しそうに見せるのが上手い。
早苗は、ケンジの家の方針を考慮し、カップ麺が今ないと言う。そこで、コボとケンジはシゲル(コボの親友)宅へ。すると、シゲルはカップ麺を食べている所だった。ここも飯テロ。あんみつ姫・F-エフ-・カイジ2期・チエちゃん奮戦記(脚本)と比較。
生憎、シゲルの食べていたカップ麺が、シゲル宅にあるラストだった。コボとケンジは、シゲルに事情を話す。木葉の描写があるが、グラゼニ・MASTERキートン(脚本)など、こういった表現はしばしば見られる。
ケンジは金持ちだが、口座のお金は一人でおろせず、持ち合わせがない。そこでコボとシゲルは小遣いを出し合い、ケンジにカップ麺を買ってあげる。宝島(演出)やカイジ2期(脚本)など、義理人情で、人に金を与える場面は印象に残る。
だが不幸にも、カップ麺はふとした拍子に車に轢かれて粉々に。飯テロも多いが、食べ物が台無しになる描写も結構ある。おにいさまへ…・あしたのジョー2(脚本)と比較。
コボ達は、今度は竹男(コボの親戚で中学教師。コボ一家と同居中)の勤務先の中学校に行き、カップ麺をくれと頼む。竹男は大量のカップ麺をストックしているため、一つくれる。ど根性ガエル(演出)、ガンバの冒険(脚本)ほか、食いしん坊描写は多い。
コボ達はケンジ宅で、いよいよカップ麺を調理する。待ち遠しい3分を耐えた後、ケンジはカップ麺の匂いを堪能する。アンパンマン(脚本)、ガイキング(演出)など、美味しそうな匂いの描写も、数々の作品に見られる。
そこへ秋子が帰ってきてしまい、コボ達はカップ麺を隠しながらケンジの部屋に行く。箸を持ってくるのを忘れたため、箸は鉛筆で代用することに。チームワークの良さは、ルパン三世2nd・カイジ2期(脚本)に通じるものがある。
だが、結局秋子にばれてカップ麺を没収される。ケンジは、どうしてもカップ麺を食べてみたいんだと秋子に力説し、家を飛び出す。家なき子(演出)、DAYS(脚本)ほか、高屋敷氏は、少年の成長の片鱗を切り取るのが得意。
一方竹男は、カップ麺を調理していた。工程を見せていくことで視聴者の食欲をそそるのも、高屋敷氏の十八番。
アンパンマン・チエちゃん奮戦記(脚本)と比較。
再度竹男のもとを訪ねたコボ達は、カップ麺を竹男から強奪し、追いかけてくる秋子から逃れて屋上へ。秋子は、コボらの力の緩急を利用した戦法にはまり転倒する。ここは流れるように展開され、テンポがいい。
コボとシゲルが秋子を押さえている隙に、ついにケンジはカップ麺を口にする。「おいしい」というケンジの声が響きわたる。
カイジ2期・はだしのゲン2・MASTERキートン・おにいさまへ…(脚本)など、置かれた状況で美味しさが加味される描写も数々ある。
秋子の嘆きを後目に、ケンジはカップ麺を完食する。ここも飯テロ。グラゼニ・アンパンマン(脚本)、宝島・ガイキング(演出)と比較。
ケンジは、今日食べたカップ麺の味は一生忘れない、とコボとシゲルの手を取り感謝する。F-エフ-・ワンダービートS・MASTERキートン(脚本)ほか、手から手へ感情を伝える描写は頻出。
三人を、夕陽が照らすのだった。全てを見ているような夕陽は、様々な作品で印象深い。じゃりン子チエ・あしたのジョー2・おにいさまへ…(脚本)と比較。
- まとめ
とにもかくにも(高屋敷氏得意の)飯テロである。本当に、高屋敷氏の「食」に対する情熱は並々ならぬものがある。しかも今回は、食い意地だけで1エピソードもたせており、相当な拘りが見られる。
また、ただただカップ麺が食べたいという話にはせず、ケンジの少しばかりの成長(秋子に自己主張するなど)も丁寧に切り取っているのは流石(高屋敷氏は、キャラの成長を描写するのが得意)。
あと、高屋敷氏の描写する飯テロは、匂い、熱さ、冷たさ、調理工程、シチュエーション、込められた思い、その時の感情など、実に多岐に渡っており、表現も豊かなのが凄い。やはり同氏のライフワークの一つと言える。
特に、置かれた状況が最高のスパイスとなって美味しさが格別になるといった主張が非常に強力。カイジ2期(高屋敷氏脚本・シリーズ構成)の「1ヶ月ぶりのビール」や、はだしのゲン2(同氏脚本)の、過酷な状況下(敗戦間もない広島)での餅などが代表的だ。
おにいさまへ…(高屋敷氏脚本・シリーズ構成陣)の、メンタルどん底の中味わうホットドッグも印象深い(アニメオリジナル)。メンタルダメージにはまず「食」が大切であると強く訴える力がある。
高屋敷氏は、「メンタル」についても、数十年に渡って鋭い視点と主張を持っており、こちらも同氏のライフワークの一つ。
メンタルと「食」は密接に繋がっているため、自然と、「食」の大切さは前面に出てくる。
アンパンマンの高屋敷氏脚本回では、皆で作って皆で食べるから美味しいのだ、と訴える話が多く、視聴する子供達のための「食育」の側面があった。それほどに、同氏の持つ「食」への感情は熱い。
「食」と「心」、この2つは高屋敷氏の担当作を考察する上でコアとなるものと言えよう。本作はファミリー向け作品だけに、それが直球で出ており、同氏のポリシーや主張、ライフワークを探る上で、やはり貴重と言える。
- こちらも紹介:
以前書いた、おにいさまへ…(高屋敷氏脚本・シリーズ構成陣)に関するブログ記事一覧↓
以前書いた、アンパンマン(同氏脚本参加)に関するブログ記事一覧↓