カイジのシリーズ構成・高屋敷英夫さんの軌跡

アニメカイジのシリーズ構成・高屋敷英夫さんに興味を持って調べてみたら、膨大な量の担当作があることがわかりましたので、出来る限り同氏担当作を追跡しています。ツイッターアカウントは@makimogpfbです。

コボちゃん55A話脚本:夢と“生きる”

アニメ『コボちゃん』は、植田まさし氏の4コマ漫画をアニメ化した作品で、幼児のコボを中心にしたファミリーコメディ。
監督:森田浩光氏、シリーズ構成:城山昇氏。

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本記事を含む、当ブログの、コボちゃんに関する記事一覧:

https://makimogpfb2.hatenablog.com/archive/category/%23%E3%82%B3%E3%83%9C%E3%81%A1%E3%82%83%E3%82%93

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  • 今回の話:

サブタイトル:「英会話道はつらい」
コンテ:小華和ためお氏、演出:志村錠児氏、脚本:高屋敷英夫氏。

将来の夢が特にないコボだったが、憧れの存在であるハナコが、外交官と結婚したいと発言したので、英語を習得しようとする。

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ある日、コボの通う幼稚園で、将来の夢について語り合う場が持たれる。ど根性ガエル(演出)でも、将来の夢について語り合う授業の場面があり、それと重なってくる。

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今回も、ど根性ガエル(演出)でも、将来はレーサーになりたいという意見が出て来るが、奇しくも高屋敷氏はレースアニメであるF-エフ-のシリーズ構成・全話脚本を務め、近未来モータースポーツとポリティカルサスペンスを融合したRIDEBACKの脚本・シリーズ構成陣であるのが面白い。

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将来の夢がないコボは、ハナコ(コボの憧れの女の子)やヒロコ(コボの友達)に、理想の結婚相手を聞く。ヒロコは、外交官と結婚し、旅行やグルメを楽しみたいと言う。
飯テロは頻出。ルパン三世2nd(演出/コンテ)、グラゼニカイジ2期・MASTERキートン(脚本)と比較。

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ハナコもヒロコに賛同し、結婚するなら外交官がいいと話す。それを受け、コボや、同じくハナコが好きなアキラ・ケンジ(コボの友達)は、外交官を目指すことに。動機が想い人のためなのは、ど根性ガエル(演出)と同じ。

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食卓を囲みながら、コボは外交官になりたいと家族に話し、なら英語を勉強する必要があると言われる。ここも飯テロ。グラゼニ・DAYS・花田少年史(脚本)と比較。

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アキラ、ケンジが英語の勉強を強化している中、コボは、外国人に英語を教えてもらうことを思いつき、親友のシゲルと共に、米国人のトムに話しかける。トムは、友達になることを快諾。強い握手に困惑する場面は、宝島(演出)にもある。

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トムは、石焼き芋のトラックを珍しがり、焼き芋に舌鼓を打つ。ここも頻出の飯テロ。オヨネコぶーにゃんじゃりン子チエ怪物王女おにいさまへ…(脚本)と比較。

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その後もトムは、日本の文化について、コボらに根掘り葉掘り聞く。コボらは、大人達の協力も得て、何とかトムの疑問に答えていくが、日本語での会話なので、一向に英語の勉強にならない。ここは話がポンポン進み、テンポがいい。

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トムの質問攻めにコボとシゲルは疲弊。そんな中、ハナコは外交官と結婚したいという発言を忘れており、男らしく優しい人なら仕事は何でもいいと発言。ど根性ガエル(演出)でも、女の子の気まぐれに、ひろし(主人公)が振り回される。

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コボは、外交官になる夢を断念。ミネ(コボの祖母)は、岩夫(コボの祖父)も、日記をつけるという目標を放棄していることを指摘し、岩夫はタジタジになる。
ちなみに高屋敷氏は、20年間、食事日記をつけているそうで、日記は好きなのかもしれない。

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最後に、コボは視聴者に将来の夢を尋ねるのだった。元祖天才バカボン(演出/コンテ)でも、ラストで視聴者に問いかけるネタがたまに見られる。

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  • まとめ

 ど根性ガエル15A話(高屋敷氏演出)をベースに、肉付けやアレンジを行っている印象を受ける。特に、想い人に振り回されるコンセプトが同じで、比較すると面白い。

 あと、高屋敷氏は大学で英文学科だったり、あしたのジョー2(同氏脚本)やRAINBOW-二舎六房の七人-(同氏脚本・シリーズ構成陣)で英語の台詞があったり、おにいさまへ…(同氏脚本・シリーズ構成陣)で独自の訳詞が出たりと、英語は好きなようだ。

 また、高屋敷氏は、「夢を持つ」ことは大事であると、様々な作品で主張している。よっぽど、ど根性ガエル15A話(同氏演出)が心に残っているのか、それとも、もともと持っているモットーなのか、興味深いところ。

 特にF-エフ-(高屋敷氏シリーズ構成・全話脚本)は、夢(レーサーになる)を持ち、その実現に向けて走り、苦しみ、成長し、そして夢をかなえるまでが非常に丁寧に、上手く構成されており感銘を受ける。

 おにいさまへ…(脚本・シリーズ構成陣)でも、武彦(主人公の文通相手)の夢(留学や結婚)について、原作より深く掘り下げられていたのが印象深い。夢を持つ人は素敵だという旨の、アニメオリジナル台詞もある。

 また、高屋敷氏は、夢を断たれた後、新しい事に打ち込み、再び、諦めた夢を追うという構成を、RIDEBACK(同氏脚本・シリーズ構成陣)でやっており(断念した夢を再び追うのはアニメオリジナル)、アレンジと拘りが見られる。

 そしてグラゼニ(高屋敷氏シリーズ構成・全話脚本)では、夢(プロ野球選手)を叶えた大人である夏之介が、いかにプロ野球選手として生き残り、成績と年俸をアップしていくかを描き、「夢を叶えた先の夢を持ち、生きる」ことについて取り組んでいる。

 カイジ1期(高屋敷氏シリーズ構成・脚本)でも、特に目標がなく自堕落な生活を送っていたカイジが、勝負の世界に巻き込まれ覚醒し、“兵藤会長(ラスボス的存在)を倒す”と誓うまでを丁寧に構成している。こう見て行くと、同氏の“夢”に対する姿勢は並々ならぬものがある。

 “夢”に向かって生きるというのは、“生き方”の一つ。一度“生”を受けたのなら、“夢”を持ち、それに向かい全力投球することは大事である…そんな高屋敷氏の主張が、様々な作品を通して伝わってくる。

 これは勿論、高屋敷氏が、あしたのジョー2の有名すぎる最終回(丈が燃え尽きる)の脚本を書いたことと無関係ではないだろう。やるからには、悔いなく全てを燃やせ、それが“生きる”ことだというメッセージは強烈だ。

 夢や生きがいを持つことは、“真に”、“生きる”ことの基礎ともいえる。まだまだ子供のコボが、最後に「皆の夢は何?」と視聴者に問いかけるのは、なかなか意味深だ。高屋敷氏の強い意志も感じられる回だった。