コボちゃん62B話脚本:全ては野球に?
アニメ『コボちゃん』は、植田まさし氏の4コマ漫画をアニメ化した作品で、幼児のコボを中心にしたファミリーコメディ。
監督:森田浩光氏、シリーズ構成:城山昇氏。
───
本記事を含む、当ブログの、コボちゃんに関する記事一覧:
https://makimogpfb2.hatenablog.com/archive/category/%23%E3%82%B3%E3%83%9C%E3%81%A1%E3%82%83%E3%82%93
───
- 今回の話:
サブタイトル:「おぼっちゃまの誕生日」
コンテ:香川豊氏、演出:山崎友正氏、脚本:高屋敷英夫氏。
ケンジ(コボの友達。お坊ちゃん)は、想い人のハナコを自分の誕生会に招待し、想いを伝えようとする。
───
ケンジ(コボの友達。お坊ちゃん)は、思いきって、想い人のハナコを自分の誕生会に誘う。ハナコは快諾。
指をモジモジするのは、しばしばある。宝島(演出)、カイジ2期・ワンダービートS・めぞん一刻(脚本)と比較。
翌日ハナコは、ケンジの誕生会に他の皆が招待されていないことを知る。場を繋ぐための水道描写は、F-エフ-・めぞん一刻(脚本)などにも見られる。
誕生会当日、ケンジはぬいぐるみ相手に、ハナコに花束を渡す練習をする。小道具としてのぬいぐるみは、ルパン三世2nd(演出/コンテ)、おにいさまへ…(脚本)にも出る。
ハナコは、皆がいた方が楽しい、とコボ・シゲル(コボの親友)・ヒロコ(コボの友達)を連れケンジを訪ねる。
恋路が周囲に邪魔されるのは、めぞん一刻(脚本)によくあり、誕生会が台無しになるのは、元祖天才バカボン(演出/コンテ)が印象深い。
それでもケンジは、なんとかハナコを呼び出し、花束を渡そうとするが失敗する。
異性へのアプローチ失敗は、ルパン三世2nd(演出/コンテ)やF-エフ-(脚本)ほか結構見られる。
その後、フトシ(ガキ大将)、アキラ(コボの友達)もケンジ宅に来る。混乱に乗じ、ケンジはハナコに今度こそ花束を渡そうとするが、間違えてヒロコに渡してしまう。人間関係の複雑化は、おにいさまへ…・めぞん一刻(脚本)でも扱いが上手い。
すっかり勘違いするヒロコに我慢ならず、ケンジは、本当はハナコに花束を渡したかったと言い、自室にこもる。好きではない異性に言い寄られるのは、忍者マン一平(監督)、ルパン三世2nd(演出/コンテ)にもある。
ケンジの部屋に押し掛けた皆は、つまらぬいさかいを始め、苛立ったケンジはゲームパッドを投げるが、ハナコに当たりそうになり、ケンジは土下座。グラゼニ・F-エフ-・カイジ2期(脚本)、ど根性ガエル(演出)ほか、土下座場面は多い。
その後も男子達のいさかいは続き、キレたケンジも加わって大乱闘に。乱闘のハンドリングは、じゃりン子チエ31話(脚本)でも巧み。
ケンジは兜をかぶり、模擬戦用の槍をふりまわす。物を回転させるのは、高屋敷氏と縁深い出崎哲氏が得意としており、高屋敷氏もその影響が見られる。じゃりン子チエ(脚本)、ど根性ガエル(演出)と比較。ど根性ガエル(19B話)のコンテは出崎哲氏。
買い物から帰った、家政婦の秋子の一喝で、皆は散らかしたものを片付けることに。忍者マン一平(監督)でも、皆で秘密基地を大掃除する場面があり、それと重なるものがある。
すると、ケンジのバイオリンの稽古の時間に。その後もケンジのスケジュールは埋まっており、彼は落ち込む。
コボ達は、ケンジのバイオリンの稽古を覗く。皆で何かを覗く場面は、ワンダービートS・ストロベリーパニック・あんみつ姫(脚本)にもある。
バイオリンの稽古を終えたケンジがリビングに戻ると、皆はケンジの誕生日を改めて祝い、今までの無礼を詫びる。仲間愛の強調は、ど根性ガエル(演出)、元祖天才バカボン(演出/コンテ)など、色々な作品に見られる。
そして、お祝いに、ハナコはケンジの頬にキスする。今までの不運やアクシデントが最後に報われる展開は、アンパンマン(脚本)にもある。
男子達は、自分にもキスしてほしいとハナコにせがみ、ヒロコは呆れる。それをよそに、ケンジは感涙するのだった。
宝島(演出)、カイジ2期(脚本)など、感涙場面は印象に残るものが多い。
- まとめ
誕生会が台無しになるシチュエーションは、元祖天才バカボン(高屋敷氏演出/コンテ)や、おにいさまへ…のアニメオリジナル回(同氏脚本)など結構ある。高屋敷氏の得意な展開と思われる。
おにいさまへ…の誕生会台無し回(高屋敷氏脚本)について、以前書いたブログ記事はこちら:
https://makimogpfb2.hatenablog.com/entry/2019/05/05/135711
また、大乱闘への持っていき方、乱闘中の各キャラの扱いなどが巧みで、流石の手腕が見られる。先に述べたが、じゃりン子チエ31話(高屋敷氏脚本)の大乱闘を彷彿とさせる。
じゃりン子チエ31話(高屋敷氏脚本)について、以前書いたブログ記事はこちら:
https://makimogpfb2.hatenablog.com/entry/2021/05/23/140630
あと、ハナコをめぐる複雑な関係は、以前も高屋敷氏は関連エピソードの脚本を書いており、やはり、こじれにこじれる関係の扱いが上手い(めぞん一刻や、おにいさまへ…の脚本で鍛えられたと考えられる)。
本作での五角関係を扱った話(高屋敷氏脚本)について、以前書いたブログ記事はこちら:
https://makimogpfb2.hatenablog.com/entry/2022/02/13/135131
高屋敷氏が複雑な人間関係を捌くのを得意とするのは、めぞん一刻や、おにいさまへ…の脚本で鍛えたのもあるだろうし、ライフワークの一つも言える「人間の色々な側面を描く」こととも繋がっていると考えられる。
それとも関連するが、今回、ケンジというキャラを掘り下げてもいる。キャラの掘り下げは高屋敷氏の十八番。
ケンジは何度か、同氏脚本回で掘り下げられており、同氏の担当だったのかもしれない。
そして、仲間愛(これも高屋敷氏のライフワークの一つ)についても強調されている。これはカイジでも、わかりやすく強調されている要素。これについては、高屋敷氏が野球経験者であるのが関係していると考えられる。
野球は一人ではできないし、それぞれの役割がハッキリしている。仲間愛の大切さを強調するのも、人間関係を捌くのが上手いのも、高屋敷氏の特徴の全ては野球に繋がっている可能性があり、興味深い。
以前まとめた、高屋敷氏の野球経験についてはこちら:
https://togetter.com/li/1816701
今回は、最終回の一つ前の回なのだが、高屋敷氏なりに、人間関係を整理しようとしたと推察できる。ケンジが最後に報われるのは、同氏がケンジを結構気に入っているからなのかもしれない。