カイジのシリーズ構成・高屋敷英夫さんの軌跡

アニメカイジのシリーズ構成・高屋敷英夫さんに興味を持って調べてみたら、膨大な量の担当作があることがわかりましたので、出来る限り同氏担当作を追跡しています。ツイッターアカウントは@makimogpfbです。

コボちゃん37A話脚本:野球愛とキャラ愛

アニメ『コボちゃん』は、植田まさし氏の4コマ漫画をアニメ化した作品で、幼児のコボを中心にしたファミリーコメディ。
監督:森田浩光氏、シリーズ構成:城山昇氏。

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本記事を含む、当ブログの、コボちゃんに関する記事一覧:

https://makimogpfb2.hatenablog.com/archive/category/%23%E3%82%B3%E3%83%9C%E3%81%A1%E3%82%83%E3%82%93

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  • 今回の話:

サブタイトル:「お国自慢だ高校野球

コンテ・演出:笠山葉一氏、脚本:高屋敷英夫氏。

甲子園の2回戦で、耕二(コボの父)の出身地である秋田代表と、岩夫(コボの祖父)の出身地である香川代表が対戦することになり、岩夫と耕二は対立。

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耕二(コボの父)と、同僚の落合は、甲子園をテレビ観戦。
高屋敷氏は元球児で、高校野球部の監督も務めた。
野球アニメのワンナウツグラゼニのシリーズ構成・脚本をはじめ、ど根性ガエル(演出)やワンダービートS(脚本)など数々の作品に、野球好きが反映されている。

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耕二と落合は、出身地である秋田の代表校が1回戦を突破したのを見て喜ぶが、部長が通りかかったので隠れる。グラゼニじゃりン子チエ(脚本)など、男同士のコミカルなコンビネーションは色々な作品で目立つ。

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耕二は、秋田代表の甲子園1回戦突破を祝して落合と飲みに行く、と早苗(コボの母)に電話。一方、同じく甲子園をテレビ観戦していた岩夫(コボの祖父)は、出身地の香川の代表校が勝利したのを見て歓喜。早苗は男性陣の熱狂ぶりに苦笑。ここは話運びや伏線設置が上手い。

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祝杯を上げる耕二と落合だったが、秋田代表の甲子園2回戦の相手は香川代表と知り驚く。
ビールテロは実に多い。ミラクル☆ガールズMASTERキートンカイジ2期・グラゼニ(脚本)と比較。

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その後、酔って帰宅した耕二は、岩夫と竹男(コボの親戚。コボ一家と同居中)に、甲子園の話題を振る。ガンバの冒険カイジ2期(脚本)、ど根性ガエル・宝島(演出)ほか、酔っぱらい場面は多々ある。

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岩夫と竹男は、甲子園2回戦では、香川は秋田“なんか”に負けない、負けたら四国の恥だと豪語し、耕二は憤る。
手による感情表現は頻出。ストロベリーパニックワンナウツ・RAINBOW-二舎六房の七人-・グラゼニ(脚本)と比較。

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耕二は、ハタハタなどの秋田名物を挙げて岩夫に対抗。岩夫・竹男も負けじと、讃岐うどんなど香川名物を挙げる。ここは、食にこだわる高屋敷氏らしさが出ている。画像は飯テロ集。あんみつ姫おにいさまへ…(脚本)、宝島・ど根性ガエル(演出)との比較。

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岩夫が、コボに香川を応援するよう促すと、コボは、アイス買ってくれたらそうすると答える。
アンパンマンストロベリーパニック・F-エフ-(脚本)などなど、食いしん坊描写は数多い。

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岩夫と耕二は、コボを取り合い、早苗に制止される。手での感情伝達は、色々な作品に見られる。忍者戦士飛影あんみつ姫ルパン三世3期・オヨネコぶーにゃん(脚本)と比較。

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生まれ・育ちが東京の早苗は、秋田も香川もどうでもいいと一喝し、ミネ(コボの祖母)も同意。それでも岩夫・竹男と、耕二の対立は深まる。ここは、キャラの立ち位置がスッキリと上手く整理されている。

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そして香川対秋田の、甲子園2回戦当日。太陽が映るが、こういった「間」は多い。らんま1/2(脚本)、まんが世界昔ばなし・空手バカ一代(演出/コンテ)と比較。

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岩夫・竹男・耕二が、固唾を飲んでテレビ観戦する傍ら、コボはアイスを食べる。ここも飯テロ。怪物王女カイジ2期・チエちゃん奮戦記(脚本)と比較。

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試合描写は、実況も内容も具体的で、かなり本格的。このあたり、高屋敷氏の野球経験から来る、野球好きが滲み出ている。これは、グラゼニワンナウツといった野球アニメのシリーズ構成・脚本でも炸裂している。

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イニングの合間、ポチ(コボの飼い犬)が映るが、RIDEBACKめぞん一刻花田少年史(脚本)ほか、こういった犬の「間」はしばしば見られる。

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3回裏、一死三塁からのスクイズで秋田が先制。耕二は手を叩いて喜ぶ。観戦者の描写は、あしたのジョー2・ワンナウツ(脚本)などでも光る。

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イニング間、またもポチが映る。頭に止まった虫をポチが振り払うが、まんが世界昔ばなし(演出/コンテ)、おにいさまへ…あしたのジョー2(脚本)ほか、昆虫描写(特に蝶)は結構ある。

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5回表、同点に追い付いた香川は、二死満塁からの適時打で勝ち越し。岩夫は歓喜する。ワンナウツ(脚本)、宝島(演出)ほか、中高年キャラの愛嬌は色々な作品で強調される。

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そして香川1点リードでの9回裏。秋田は二死満塁、逆転サヨナラのチャンスだったが、打者がフルカウントから三振に倒れ試合終了。
野球の試合の緊張感は、グラゼニ(脚本)でも、非常に上手く描写されている。

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香川の勝利に、竹男と岩夫は抱き合って喜ぶ。ストロベリーパニックグラゼニ(脚本)、元祖天才バカボン(演出/コンテ)ほか、ハグはよくある。

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喜ぶ岩夫・竹男をよそに、耕二はその場を離れ、それを早苗は気にかける。
大切な人を気にかける描写は、じゃりン子チエ(脚本)などでも印象深い。

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耕二は、川沿いの土手に佇む。川の魚が跳ねる描写があるが、魚によるこういった「間」は、時折ある。陽だまりの樹・F-エフ-(脚本)と比較。

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そこへ早苗がやってきて、耕二に缶コーヒーを差し出す。心のこもった差し入れは、グラゼニおにいさまへ…ストロベリーパニックRIDEBACK(脚本)ほか様々な作品に見られる。

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早苗は、岩夫らに本気で対抗した耕二を評価する。早苗はずっと、耕二が岩夫に気を遣っているのではと気にしていたのだ。耕二は、気なんか遣っていないと言う。
キャラの掘り下げは、グラゼニワンナウツ(脚本)などなど、高屋敷氏の十八番。

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耕二は、秋田人は心が広い、いやこの場合は図々しい、とおどけ、早苗は笑う。おにいさまへ…・F-エフ-・RAINBOW-二舎六房の七人-・あんみつ姫(脚本)ほか、「笑うこと」の大切さは前面に出される。

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早苗と共に帰宅した耕二は、生ビールを買ってきたから祝杯を上げようと提案。岩夫は、大人げなかったと反省。ここもビールテロ。グラゼニMASTERキートンカイジ2期・めぞん一刻(脚本)と比較。

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一方コボは、試合に感化され、庭でチアガールの練習をし、皆は驚くのだった。多段落ちは、あんみつ姫オヨネコぶーにゃん(脚本)などにも見られる(オムニバス形式の作品に多い)。

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  • まとめ

 とにかく、高屋敷氏の野球好きが炸裂。選手として、(今回放映と同年に)高校野球部の監督として、甲子園を目指した同氏の思い入れが感じられる。

同氏の野球経験については、以前まとめたこちらを紹介:

https://togetter.com/li/1816701

 野球の試合描写も具体的・本格的で、気合いの入れようが凄い。野球経験者だけあり、様々な試合のシチュエーションが頭に叩きこまれているのではと考えられる。

 一瞬何のアニメかわからなくなるほど、野球の試合内容の緊迫感が凄い。それだけ、野球に対する熱意がこもっている。ワンナウツグラゼニ(高屋敷氏シリーズ構成・脚本)といった野球アニメでも、試合の盛り上げ方を心得ている感じを受ける。

 耕二と岩夫が、郷土愛で張り合うのも興味深い。高屋敷氏は岩手県出身で、所々、担当作に北国に対する愛着を入れている。アンパンマンでも、岩手名物・わんこそばに関する話の脚本を書いている。

 高屋敷氏が野球部の監督を務めたのは、盛岡にある同氏の母校であるので、そういった面からも、同氏の郷土愛が確認できるし、甲子園で都道府県民がぶつかり合う様子は、実体験でもあるのではないだろうか。

 終盤の、早苗と耕二のキャラの掘り下げについては、「そうだったのか」と感心させられる。
妻側の実家に住む夫というのは、サザエさんで慣れているだけに、視聴者が当事者の胸の内を見れるのは新鮮。

 このあたり、4コマ漫画原作と思えないほどに、よく分析されており、早苗と耕二のキャラに厚みが出ている。このような技術は、高屋敷氏の真骨頂で、毎回唸らされる。

 高屋敷氏は、キャラの造形こそ、話作りに非常に重要であると考えているのではないだろうか。思えば、シリーズ構成作では、キャラの魅力を爆発させるのが非常に上手い。
今回は、野球愛だけでなく、キャラ愛の強さも感じた回だった。