カイジのシリーズ構成・高屋敷英夫さんの軌跡

アニメカイジのシリーズ構成・高屋敷英夫さんに興味を持って調べてみたら、膨大な量の担当作があることがわかりましたので、出来る限り同氏担当作を追跡しています。ツイッターアカウントは@makimogpfbです。

花田少年史9話脚本:作品・年代を超えて描かれる、インチキオカルトへの怒り

Togetterのバックアップです。修正や追加などで再構成しています。)

花田少年史概要:

舞台は、カラーテレビが憧れだった時代の日本の田舎。
事故を切欠に幽霊が見えるようになってしまった少年・花田一路が遭遇する様々なドラマが描かれる。

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一路は下校途中に、占い師だと自称する謎の女に出会う。女は、かつてインチキ占い師だったが、今は違うらしく、「お隣さんが持ってきた大福を食べ損ねる」と一路の未来を予言。
画像はインチキオカルトの使い手集。今回、元祖天才バカボン演出、ルパン三世2nd・チエちゃん奮戦記脚本。

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彼女の予言を聞いた一路は、お腹がすいていたため、「大福大福大福…」と連呼(高屋敷氏の脚本における特徴)しながら急いで家に向かう。

帰宅すると、予言通り、お隣の山崎さんが大福を花田家にくれていた。一路は、最後の1個を姉の徳子と取り合う。食べ物を巡る醜い争いは高屋敷氏の作品にて頻出で、ど根性ガエル演出にも出る。

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争いの最中、大福は地面に落ちて台無しに。奇しくも、占い女の予言は当たった。元祖天才バカボン演出でも、僧侶の予言が次々当たる回がある。
一路は罰として、隣家の納屋に閉じ込められる。アニメオリジナルで夕日(特徴:全てを見守る太陽)が出てくるが、コボちゃん脚本と結構シンクロ。

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そして、納屋の中に占い女がテレポートしてくる。彼女は、自分が幽霊であることを明かし、生前はインチキ占い師だったが、死後は予言が当たりまくるようになったと話す。
一路は、幽霊が厄介事を持ってきた、と反発。そこで彼女は、もうすぐ納屋から出してもらえると予言。更に、今夜の夕飯が、約束のハンバーグではなく、肉の入っていないライスカレーであることも予言。

予言通り、母ちゃん(寿枝)が、夕飯はライスカレーだと言って納屋から出してくれる。
母ちゃんは優しく、ど根性ガエル演出の、ひろしの母ちゃんが思い出される。

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占い女の予言は続き、一路の皿にはイモが3個分配されるが、結局カレーを食べ損ねること言う。

予言通り、夕飯は肉の無いカレーだったが、一路の皿にはイモが4個入っていた。
特徴の飯テロ。DAYS脚本のカツカレーと比較。

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イモの数が予言と違うことで安堵した一路だったが、徳子がイモを1個奪う。またも姉弟の醜い争いが始まるが、見かねた一路の祖父・徳路郎がイモ1個を一路に差し出す。
ど根性ガエル演出にて、ケンカを止めるためにおかずを差し出す母ちゃんと比較(特徴:無償の愛)。

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だが寿枝に、数の不公平さが出るとたしなめられた徳路郎は、イモを自分の皿に戻す。結局、一路の皿には、予言通りイモ3個。

占い女は予言の的確さを自慢。うざがった一路は彼女に罵詈雑言を浴びせるが、それが父・大路郎に向けたものであると、皆に誤解される。

激怒した大路郎は、ちゃぶ台をひっくり返すが、大路郎と一路以外は、その前に皿を避難させる。
ルパン三世3期脚本にて、ルパンがテーブルをひっくり返しても、ご馳走を避難させていた次元と五右衛門が思い出される。
とにかく食いしん坊さが強調される。

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一路は再び納屋に閉じ込められる。占い女は、予言の的確さを自慢した上で、一緒に組まないかと持ちかける。彼女の目的は、生前騙した客に正しい道を示すことで、地獄行きを回避する事だった。
彼女は、いずれご馳走にありつけると言い、半ば強引に一路とコンビを組む。

女は、マダム・カトリーヌと名乗り、一路を弟子のムッシュ・イチ~ロと名付ける。
元祖天才バカボン演出にて、インチキオカルトを駆使する坊主に、パパが弟子入りする話があるが、それを彷彿とさせる。

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空腹でやる気が出ないと言う一路に、カトリーヌは、地蔵の傍にあった紙袋を渡す。
彼女は、袋の中にお菓子が入っているが、時を見極めて開けないと、食べられない物に変わってしまうと一路に警告する。
一路はそれを励みに、何とかカトリーヌと行動を共にする。

カトリーヌが贖罪したい一番目の客はホステス。特徴の、炎のアップが出る(キャラクターとしての炎)。ここはアニメオリジナル。コボちゃん脚本と比較。

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更に、原作通りだが炎が生き物のように燃え盛る。チエちゃん奮戦記・キートン脚本と比較。

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カトリーヌは一路の口を借り、田舎に帰って子を成せとホステスに助言する。

次に贖罪したい客は、受験生と、その母。
ここも、チエちゃん奮戦記脚本の、インチキ占い師が出てくる回と映像が似てくる。

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カトリーヌは再び一路の口を借り、受験生に「成人したら働け」と助言。

母子は激怒し一路にゲンコツするが、一路達はテレポートで脱出。
カトリーヌは満足し、また会いましょうと言って消える。ご馳走については、迷子になりながら家に帰れば食べれると予言。
その頃、一路の父と祖父は一路を探し回り、母は一路のためにハンバーグを焼いていた。特徴の飯テロ。カイジ2期脚本と比較。

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ハンバーグを焼く母を見て、徳子は嫉妬。ど根性ガエル演出にて、ひろしとピョン吉が母の愛を取り合う場面に重なるものがある。

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一方、カトリーヌから渡された紙袋を一路が開けると、犬の糞が入っており、一路は脱力(特徴:イカサマ)。だが父達の声は近付いて来ており、彼女の予言は当たるオチ。

  • まとめ

じゃりん子チエ脚本(2期含む)と同じで、原作に忠実でありながら、じわじわ高屋敷氏の個性が出てくる作り。
特に一路の食いしん坊ぶりが、ほぼ全編に渡り発揮されており、強調されている。コボちゃん脚本にて、やたら食べるシーンや飯テロが多かった事に重なる。

あと、幽霊に振り回される話は、監督作の忍者マン一平の最終回にもあり、その経験が生きているのが窺える。
忍者マン一平の場合は、散々世話をしてやったのに、一平達は幽霊に恩を仇で返される(幽霊自身は無自覚)が、今回の場合、一応報酬は貰える(予定)。

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あと、オカルト詐欺師については、私が見てきた中では元祖天才バカボン演出・ルパン三世2nd脚本・チエちゃん奮戦記脚本にて出て来ており、どれも、それに対する怒りのようなものを感じる。今回のカトリーヌも、地獄行き寸前だった訳で、面白い縁を感じる。

元祖天才バカボンでは、インチキ坊主が、どうとでも取れる予言をパパに言い、パパが坊主を信じてしまう事例が描かれる。この場合は、パパにかけられた洗脳が、バカボンの涙により解かれ解決する。
一方今回のカトリーヌは死んでおり、既に罰を受けている状態。

カトリーヌは今まで騙した客に対し贖罪をして回るわけだが、人生において的確な助言をするのみ。

そしてカトリーヌは、他の客については、騙された事に既に気付き学んだから、贖罪の義務は無いと言う。ここは、善悪の区別は単純ではないという高屋敷氏のポリシーが浮き出ている。

紙袋を使ったイカサマについてだが、これも、カトリーヌが培ったイカサマ術にかかれば、子供の一路など簡単に騙せることが描かれている。結局一路は、「開ける時を間違った」と信じ込んだままになっており、子供の無邪気さが出ている。これも、高屋敷氏の得意分野。

原作通りにしろオリジナルにしろ、高屋敷氏の作品にはイカサマの上手いキャラは沢山出てくるわけだが、善悪問わず、それに感心させられる作りになっている。
対してオカルト詐欺については、前述の通り、怒りのようなものが表れている。何故かは不明だが。

それとは別の話になるが、母の愛情についても、今回含めてクローズアップされることが多い。
また、なんだかんだ言っても一路が家族に愛されている事も描かれている。
疑似家族にしろ、血縁家族にしろ、家族愛が強調されているのも興味深い。

まとめると、
オカルト詐欺に対する怒り・イカサマ・善悪の区別の難解さ・幼さ・家族愛・母性・食いしん坊・飯テロ
について今回は強調されている。2000年代ともなれば、高屋敷氏の引き出しはかなり豊富。その歴史を感じる回だった。