カイジのシリーズ構成・高屋敷英夫さんの軌跡

アニメカイジのシリーズ構成・高屋敷英夫さんに興味を持って調べてみたら、膨大な量の担当作があることがわかりましたので、出来る限り同氏担当作を追跡しています。ツイッターアカウントは@makimogpfbです。

『あしたのジョー2』41話脚本:色々な予兆

アニメ『あしたのジョー2』は、高森朝雄梶原一騎)氏原作、ちばてつや氏画の漫画をアニメ化した作品(第2作)。風来坊の青年・矢吹丈がボクシングに魂を燃やし尽くす様を描く。監督は出崎統氏。

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  • 今回の話:

コンテ:竹内啓雄氏、演出:大賀俊二氏、脚本:高屋敷英夫氏。

ついに、丈とホセ(バンタム世界王者)との試合の日時が決定し、ホセが来日。
そして、丈は旧友の西と、紀子(丈のガールフレンド)の結婚を祝う。

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丈とホセ(バンタム世界王者)との試合の日時が決定し、段平(丈の属するジムの会長)と丈はスパーリングをしてはしゃぐ。
カイジ2期・太陽の使者鉄人28号(脚本)ほか、高屋敷氏は、年の差があるコンビの仲良しぶりを表すのが上手い。

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一方葉子(白木ジム新会長)は、丈はパンチドランカーではないとするキニスキー博士(パンチドランカーに詳しい医者)の手紙について、祖父の幹之介と話す。パイプの描写が入るが、丁寧な喫煙描写はワンナウツグラゼニ(脚本)ほか多い。

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丈はロードワークの途中、西(丈の旧友)のアパートに寄り、西と紀子(丈のガールフレンド)の婚約を祝う。西は新婚旅行を延期して、対ホセ戦のセコンドにつくと言い、これからも丈のセコンドでいると誓う。最終回に向け、丁寧なアニメオリジナルだと思う。

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また、丈はドヤ街(丈の地元。東京の下町)の子供達と共に夏祭りに行く(アニメオリジナル)。
丈は、サチ子(ドヤ街の子供達の紅一点)のおてんばぶりをたしなめる。手を顔にやる反応は、ワンダービートSカイジ2期(脚本)などにもある。

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ドヤ街の子供達と共に、丈は夏祭りを楽しむ。夏祭り場面は、おにいさまへ…・F-エフ-(脚本)にもある。どれもアニメオリジナル。

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感慨深げに、丈は花火を見る。
意味深な花火の場面は、ベルサイユのばら(コンテ)にもあり、重なるものがある。

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その頃、ホセは日本に向かう飛行機内におり、ハンカチを丁寧にたたむ。
手による感情表現は頻出。RAINBOW-二舎六房の七人-・おにいさまへ…(脚本)と比較。

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そしてホセ来日後、段平や丈は試合の調印式に出席する(アニメオリジナル)。雨が降っているが、おにいさまへ…(脚本)や空手バカ一代(演出/コンテ)ほか、ドラマを盛り上げる雨は多い。

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後戻りできない所まで来てナーバスになる段平を、丈はなだめる。ここも、年の差があるコンビのナイスコンビ描写が上手い。
チエちゃん奮戦記・カイジ2期・はじめの一歩3期(脚本)と比較。

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記者会見にて、丈は帽子を手で回しながら話す。物と、それを手に持つ丁寧な描写は、色々な作品にある。F-エフ-・MASTERキートン(脚本)と比較。

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会場のシャンデリアが映る。ランプによる「間」は頻出。おにいさまへ…・RAINBOW-二舎六房の七人-・カイジ2期(脚本)と比較。

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互いにベストを尽くそうということで、丈とホセは固い握手を交わす。ここも頻出の、手による感情表現。
宝島(演出)、F-エフ-(脚本)と比較。

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そして、西と紀子の結婚式の日になる。色々と個性的なモブが出るが、MASTERキートン(脚本)、空手バカ一代(演出/コンテ)ほか、高屋敷氏は生き生きとしたモブ描写に長ける。

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沢山の人に温かく見守られ、西と紀子は結婚式を挙げる。おにいさまへ…めぞん一刻(脚本)ほか、高屋敷氏は結婚回に縁がある。

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ドヤ街の人々や丈は、西と紀子を祝福する。色々な人々が和やかに結婚を祝福する温かさは、おにいさまへ…めぞん一刻(脚本)でも印象深い。

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披露宴では、丈が少年院時代の思い出を語り、彼なりに西を祝福する。
このあたりの人間関係の複雑さの丁寧な描写は、原作もアニメも秀逸。

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一方ホセはミニキャンプを張り、トレーニングに励むのだった。夕陽が映るが、全てを見ているような夕陽は頻出。ガイキング(演出)、おにいさまへ…(脚本)と比較。

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  • まとめ

縁が縁を呼ぶのか、高屋敷氏は結婚回に縁がある。どれも、人々の温かさが目立ち、印象深いものになっている。

原作終了後だいぶ経ってのアニメ化である本作は、最終回に向けての伏線をたっぷり張ることができるのが強み。
段平や西の抱く、それとない不安(アニメオリジナル)は、最終回への緊張感を高めている。

夏祭りや花火(アニメオリジナル)も、物語のラストへの不穏さを予兆している。
キャラの一挙手一投足、小道具、自然、状況など、あらゆる物が、今後起こるドラマを盛り立てている様は見事。

結婚式というビッグイベントはあるものの、今回も試合があるわけでもないのに、最終回への緊張感が半端なくあり、面白く見られる。アニメオリジナル要素が、「どうやって終わるか」を上手く補強しているので、毎回が新鮮に映る。

原作のラストシーンはあまりにも有名なわけだが、「どうしてそうなったか」の組み立てが、本作(アニメ)は非常に丁寧。今も議論がある結末なだけに、アニメも色々な角度から掘り下げる必要があったのではないだろうか。

そうやって掘り下げた結果、原作と同じ結末でありながら、アニメでは違った見方もできるという、不思議な構造になっている。「見る人によって変わる」と言えばそれまでだが、面白い現象だと思う。

「結末がわかっているものを、どう面白く見せて行くか」は、ありとあらゆる原作つき作品が抱えている課題であるが、本作は、それに果敢に、かつ丁寧に取り組んでおり、その姿勢に敬服できる。