カイジのシリーズ構成・高屋敷英夫さんの軌跡

アニメカイジのシリーズ構成・高屋敷英夫さんに興味を持って調べてみたら、膨大な量の担当作があることがわかりましたので、出来る限り同氏担当作を追跡しています。ツイッターアカウントは@makimogpfbです。

コボちゃん12B話脚本:金と愛と生

アニメ『コボちゃん』は、植田まさし氏の4コマ漫画をアニメ化した作品で、幼児のコボを中心にしたファミリーコメディ。
監督:森田浩光氏、シリーズ構成:城山昇氏。

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本記事を含む、当ブログの、コボちゃんに関する記事一覧:

https://makimogpfb2.hatenablog.com/archive/category/%23%E3%82%B3%E3%83%9C%E3%81%A1%E3%82%83%E3%82%93

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  • 今回の話:

サブタイトル:「思い出はそのままに」
コンテ/演出:笠山葉一氏、脚本:高屋敷英夫氏。

楽しみにしていたクラス会に出席した早苗(コボの母)だったが、見栄と自慢ばかりの会話に終始する旧友達に失望する。

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早苗(コボの母)は、クラス会に着ていく服を選ぶのに迷う。ドレスアップの細かい描写は、おにいさまへ…ストロベリーパニック(脚本)にもある。

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耕二(コボの父)も、旧友の昇進祝いに呼ばれ、コボと共に出かける。それを聞いた竹男(コボの親戚で、コボらと同居)も、学生時代の部活仲間に連絡してみることにする。ここは、じゃりン子チエ(脚本)などと同じく、話のテンポがいい。

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クラス会にて、早苗は、夫や子供の自慢話に終始する旧友達に困惑する。ここは、おにいさまへ…(脚本)における、ソロリティ(学校の上流社交クラブ)に入った奈々子(主人公)の戸惑いを思わせる。

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早苗は、他の出席者が、自慢話ばかりする者達の影口をたたいているのを耳にする。カイジ2期・ストロベリーパニックおにいさまへ…(脚本)ほか、高屋敷氏はモブの扱いが上手い。

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いたたまれず休憩コーナーに行った早苗は、煙草をくゆらす、サバサバした旧友と居合わせる。彼女は、皆の会話にがっかりしたが、早苗は変わっておらず安心したと言って去る。印象深い喫煙場面は、あしたのジョー2・F-エフ-(脚本)ほか多い。

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一方、耕二も、出世した旧友達の会話に圧倒される。酒のアップがあるが、こういった、酒の「間」は結構出てくる。
ワンナウツ・RAINBOW-二舎六房の七人-(脚本)と比較。

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竹男は竹男で、故郷の学生時代の部活仲間が、地元でOB会をしていると聞き、寂しい気持ちになる。柔道着のアップがあるが、自己を表す物の意味深な「間」は、グラゼニ・F-エフ-(脚本)ほか数々の作品に見られる。

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岩夫(コボの祖父)とミネ(コボの祖母)は、竹男を気遣うが、竹男は、こんな事でいちいち帰れないと笑う。そこで三人は、外食することに。
落ち込んでいる者に、仲間や家族が寄り添うのは、F-エフ-・陽だまりの樹(脚本)ほか、強く描写される。

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耕二とコボは、駅前で佇む早苗を見かけ、声をかける。噴水描写があるが、噴水演出は、高屋敷氏が演出時代に、よく使っている。エースをねらえ!(演出)、ベルサイユのばら(コンテ)と比較。

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早苗は、クラス会の話をする。耕二は、人それぞれに色々あると言い、皆で食事に行こうと提案。メンタル不調の時こそ食べるべきという考えは、おにいさまへ…じゃりン子チエ(脚本)など、様々な作品で主張されている。

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コボらが、お好み焼き屋に行くと、そこに岩夫・ミネ・竹男がいた。合流した皆は、お好み焼きに舌鼓を打つ。飯テロは頻出。チエちゃん奮戦記・グラゼニアンパンマン怪物王女(脚本)と比較。

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耕二は、ビールを美味しそうに飲む。ビールテロも頻出。
MASTERキートンカイジ2期・めぞん一刻(脚本)と比較。

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早苗は、耕二と結婚してよかった、コボが素直に育って、家族が元気なら幸せだと涙ぐむ。ささやかながら、結婚し、家庭を持つ幸せを噛み締める描写は、グラゼニめぞん一刻(脚本)でも強調されている。

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竹男の音頭で、皆は乾杯するのだった。温かな絆や繋がりを表す乾杯は、グラゼニ・RAINBOW-二舎六房の七人-・MASTERキートンカイジ2期(脚本)など、色々な作品で印象深く描写されている。

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  • まとめ

 結婚し家庭を築くという、ささやかな幸せを噛み締めるのは、めぞん一刻(高屋敷氏脚本・最終シリーズ構成)や、グラゼニ(同氏シリーズ構成・全話脚本)21・22話の、徳永(主人公・夏之介の先輩)の結婚話でも強調があり、比べると面白い。

 めぞん一刻(高屋敷氏脚本・最終シリーズ構成)の五代(主人公)と響子(ヒロイン)は最終的に結婚するが、途中で、就職が絡む経済的な問題に五代が悩み、響子もまた、三鷹(金持ちでハンサム)に求愛され揺れる。それでも響子は、五代の真摯な想いに突き動かされ、五代を選んでいる。

 グラゼニ(高屋敷氏シリーズ構成・全話脚本)21・22話では、野球解説者の職を失うピンチに陥り、独立リーグ球団のコーチになるかどうか悩む徳永が、婚約者の朱美にそれを告げるが、どんな事があってもついて行くと朱美に言われ感涙する(結局危機を脱するが)。

 めぞん一刻(高屋敷氏脚本・最終シリーズ構成)にしろ、グラゼニ(同氏シリーズ構成・全話脚本)21・22話にしろ、そして今回にしろ、経済的なことより(それはそれで大事だが)、最愛の人と結ばれる幸せが強調されており、共通性が見えて興味深い。

 また、カイジ(高屋敷氏シリーズ構成・脚本)ではカイジが、グラゼニ(同氏シリーズ構成・全話脚本)では夏之介が、自分より金を得ている者に対し卑屈な感情を抱くが、カイジは勝負の世界、夏之介はプロ野球の世界を、強い意志で熱く進んで行く。

 ここから見えてくるのは、高屋敷氏の、「金」も大事だが、一番大事なのは「どう(熱く)生きるか」なのだという主張だ。
これは、同氏の担当作の端々に練り込まれており、シリーズ構成作ともなると、その思いの強さは絶大で、感動を呼ぶ。

 このあたりは、高屋敷氏のストーリーテリング力や、自身の思いを伝える力の強さを、つくづく感じさせる。さらに同氏が凄いのは、何度か書いているが、主張する事は熱くても、伝えるための戦略は冷静で綿密な点である。

 あと、今回の話は、めぞん一刻最終回(高屋敷氏脚本)の「その後」にあってもおかしくない。耕二役は、めぞん一刻の五代と同じく二又一成氏なので、その点でも、なかなか感慨深い。高屋敷氏も、少しこの事は頭にあったかもしれない。そんな想像の余地もある回だった。

  • 以前書いた、こちらも紹介:

めぞん一刻(高屋敷氏脚本・最終シリーズ構成)に関するブログ記事一覧↓

https://makimogpfb2.hatenablog.com/archive/category/%23%23%E3%82%81%E3%81%9E%E3%82%93%E4%B8%80%E5%88%BB

グラゼニ(同氏シリーズ構成・全話脚本)に関するブログ記事一覧↓

https://makimogpfb2.hatenablog.com/archive/category/%23%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%82%BC%E3%83%8B