カイジのシリーズ構成・高屋敷英夫さんの軌跡

アニメカイジのシリーズ構成・高屋敷英夫さんに興味を持って調べてみたら、膨大な量の担当作があることがわかりましたので、出来る限り同氏担当作を追跡しています。ツイッターアカウントは@makimogpfbです。

あんみつ姫10話脚本:笑顔の要素

あんみつ姫は、倉金章介氏の漫画のアニメ化作品で、お転婆なお姫様・あんみつをヒロインとした、和風ファンタジーコメディ。監督は案納正美氏で、今回のコンテ/演出は石山タカ明氏。そして脚本が高屋敷英夫氏。

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本記事を含めた、あんみつ姫の記事一覧:

http://makimogpfb2.hatenablog.com/archive/category/%23%E3%81%82%E3%82%93%E3%81%BF%E3%81%A4%E5%A7%AB

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  • 今回の話:

雪山に遊びに来た、あんみつ姫一行。
その夜、雪女が現れて、あんみつ姫を拐う。雪女は、自分を怖がらないあんみつ姫を見込んで、孤独な娘・小雪と遊んでやって欲しいと頼む。
あんみつ姫は、今まで凍らせてきた村の子供達の解放を条件に、それを承諾。
色々と大騒動を巻き起こしながら、あんみつ姫小雪は遊び、かまくらで仲を深める。
翌朝は、皆で雪合戦。また、雪女に解凍された村の子供達も、これに参加。
遊び尽くして満足した小雪は、来年の再会を、あんみつ姫と約束し、母と共に自分達の世界に帰るのだった。

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雪山回となるが、高屋敷氏は雪山回も多く担当している。下記画像は、忍者マン一平(監督)、家なき子(演出)、マッドハウス版XMEN(脚本)との比較。他も多数ある。

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何か出そうな不気味な雰囲気を醸し出す小道具として、やかんの意味深アップ・間がある。同氏は、こういった「物」を意味深に「活躍」させる。マッドハウス版XMEN・めぞん一刻・F-エフ-(脚本)と比較。

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更に不気味さを出すものとして、火のアップ・間も出る。こういった意味深な火の描写は、高屋敷氏担当作に実に多い。
陽だまりの樹・F-エフ-・蒼天航路花田少年史(脚本)と比較。

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雪女が、孤独な娘・小雪を思いやる場面では、母子愛が強調される。母子愛も、同氏は多く出す。ど根性ガエル(演出)、ベルサイユのばら(コンテ)、家なき子(演出)と比較。

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あんみつ姫が、小雪と一緒に遊ぶよう、皆に協力を仰ぐ場面では、彼女が「お返事は?」と言う。F-エフ-(脚本)でも、「“はい”は?」というアニメオリジナル台詞が出て来ている。高屋敷氏の言い回しの癖だろうか。

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皆が、小雪と何をして遊ぶか提案するが、遊びの種類を列挙していくリズムが、F-エフ-16話(脚本)にて、女性が遊びの種類を列挙する場面のリズムに似ている。こちらも、脚本上の個性が窺える。ただ、本作の場合は、(遊びの種類については)声優陣のアドリブかもしれない。

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あんみつ姫が、車の運転ごっこをして見せると、小雪が笑顔を見せる。DAYS(脚本)でも、友達や先輩が、心から笑う場面が強調されていた。

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あんみつ姫小雪が乗った車が暴走するが、車の暴走の雰囲気がF-エフ-1話(脚本)を思わせる。それもそのはずで、今回の演出/コンテの石山タカ明氏は、F-エフ-1話の演出も担当している。

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雪が降ってきたため、小雪あんみつ姫は、かまくらを作る。雪が、心と心を繋げるアシストをするのは、めぞん一刻(脚本)でも見られる。

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かまくらの中で、あんみつ姫小雪は語り合い、仲を深める。MASTERキートン4話(脚本)でも、原作通りだが、かまくらの中でキートンセミョーノフが語り合い、心を通わせる場面が強調されていた。

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あんみつ姫小雪は雪合戦をし、小雪は満面の笑顔を見せる。満面の笑顔も、高屋敷氏は様々な作品で取り扱う。エースをねらえ!(演出)、忍者戦士飛影あしたのジョー・DAYS(脚本)と比較。

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終盤は、皆で雪合戦となる。仲間が集まって、孤独なキャラを救済する展開は、非常に多い。ど根性ガエル(演出)、元祖天才バカボン(演出/コンテ)、エースをねらえ!(演出)、チエちゃん奮戦記(脚本)と比較。

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最後は、雪女母子を、皆が笑顔で見送る。こういった、皆の晴れやかな笑顔の描写も多い。太陽の使者鉄人28号めぞん一刻(脚本)と比較。

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  • まとめ

高屋敷氏の大きな特徴の一つ、「孤独救済」が炸裂。最初期である、ど根性ガエル(演出)から見られる特徴で、相当なこだわりが感じられる。もう、挙げればキリが無いくらい、多くの作品で確認できる。

また、可愛い友情も、同氏が得意とするところ。こちらも、ど根性ガエル(演出)をはじめ、様々な作品で描写されている。老若男女問わず、幼さが出るのも特徴。

あと、物、火、雪といった「人ではないもの」の活躍が今回も見られ、その一貫性に驚く。演出作でも脚本作でも、同じ事をしているというのは、高屋敷氏の作品を追う上で面白いところ。

脇役やモブの可愛さも、よく出ており、皆の笑顔が晴れやかなのは、「皆がいるから自分がいる・自分がいるから皆がいる」という、同氏がよく出すテーマから来ているのではないだろうか。

画に関与できないはずの脚本作でも、キャラクターが満面の笑顔を見せる事が多いのも、興味深い。キャラクターが心の底から笑顔になるための、シチュエーション作りが上手いのだろうか?ともあれ、多くの作品で印象に残る。

キャラクターが笑顔になるというのは、どういう時か…といえば、好きな事をしている時や、皆で楽しい事をしている時、勝利した時、心を許した時…などが挙げられる。振り返ってみれば、やはり高屋敷氏は、キャラクターが笑顔になるための、要素の積み上げが上手い。

そう思うと、脚本作を並べても画が似通うカラクリが少し見えてくる。設定したい感情や状況が、コンテや作画、演出に伝播するように計算しているのではないだろうか?または、打ち合わせ等で意向を伝えるのが上手い…なども考えられる。

ともあれ今回は、キャラクターの「笑顔」に心が和む。そして、そのための「積み上げ」を計算するという、脚本技術も感じられた回だった。