カイジのシリーズ構成・高屋敷英夫さんの軌跡

アニメカイジのシリーズ構成・高屋敷英夫さんに興味を持って調べてみたら、膨大な量の担当作があることがわかりましたので、出来る限り同氏担当作を追跡しています。ツイッターアカウントは@makimogpfbです。

オヨネコぶーにゃん16B話脚本:全力投球の結果

アニメ『オヨネコぶーにゃん』は、市川みさこ氏の漫画をアニメ化した作品。
ゆでた家に押しかけた、ふてぶてしい猫・オヨヨ(ぶーにゃん)を中心にしたギャグが繰り広げられる。
総監督:笹川ひろし氏、監督:葛岡博氏、シリーズ構成:金子裕氏。

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本記事を含む、当ブログの、オヨネコぶーにゃんに関する記事一覧:

https://makimogpfb2.hatenablog.com/archive/category/%23%E3%82%AA%E3%83%A8%E3%83%8D%E3%82%B3%E3%81%B6%E3%83%BC%E3%81%AB%E3%82%83%E3%82%93

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  • 今回の話:

サブタイトル:「恐怖!スイカ割り大会」

コンテ:遠藤克己氏、演出:吉田健次郎氏、脚本:高屋敷英夫氏。

アニメオリジナルエピソード。皆と海水浴に来たオヨヨは、スイカ割り用のスイカを食べてしまい、たまご(オヨヨの飼い主)から、スイカを買ってくるよう命じられる。

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オヨヨ、たまご(オヨヨの飼い主)、うずら(たまごの弟)、モンブランひなぎく(たまごの同級生)、まろん(近所の金持ちの子供)、黒子(まろんの従者)は海水浴に行く。
海水浴回は、じゃりン子チエ(脚本)も印象的。

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太陽のアップが映るが、空手バカ一代(演出/コンテ)、F-エフ-・らんま1/2(脚本)ほか、全てを見ているような太陽の「間」は頻出。

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オヨヨは、泳いでいるうちに、男子達の水着を剥ぎ取ってしまう。動物によるイタズラは、まんが世界昔ばなし(演出/コンテ)、じゃりン子チエ(脚本)などでも強調されている。

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遊んでいるうち喉が乾いたオヨヨは、サンオイルを飲み物と間違えて飲んでしまう。
口直しにと、クーラーボックスを開けたオヨヨは、スイカを発見する。ここは、話の流れがきっちりしていて、かつスムーズ。

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オヨヨは、頭突きでスイカを割り、全部食べてしまう。カイジ2期(脚本)、宝島(演出)などなど、飯テロ描写は実に多い。

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当然、オヨヨは皆から責められ、代わりのスイカを買ってくるよう命じられる。途方にくれるオヨヨの目に、他の海水浴客のスイカが飛び込んでくる。ここも、話のテンポが良い。

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他の海水浴客のスイカを奪おうとして、オヨヨは、地中から攻める作戦を取るが、掘り進みすぎて海に出てしまう。
地中を掘り進む作戦は、まんが世界昔ばなし(演出/コンテ)、新ど根性ガエル(脚本)にも見られ、比べると面白い。

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その後も色々やらかした後、オヨヨは浜茶屋の店主に、働くからスイカをくれと頼み込む。
ど根性ガエル(演出)の、ひろし(主人公)が梅さん(寿司職人)に弟子入りする話が重なってくる。

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仕方なく、店主はオヨヨに皿洗いを命じるが、オヨヨはミスして皿を割ってしまい、店主に怒られる。ここも、ど根性ガエル(演出)で、へまをして梅さんに怒られる、ひろしがオーバーラップする。

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そこで店主はオヨヨに、アイスキャンディー売りを命じる。だがオヨヨは、アレレ(近所の美猫)に見とれてアイスキャンディーを落とす。偶然それを見たチューパー(たまごの家に居着くネズミ)は呆れる。小動物の可愛さは、ガンバの冒険(脚本)でもおなじみ。

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度重なるオヨヨのミスに店主は怒るが、オヨヨは泣き落としにかかる。周囲の目もあり、店主は、ゴミを捨てる穴を掘るよう命じる。
ガン泣き描写は、あんみつ姫ストロベリーパニック(脚本)ほか多い。

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オヨヨは、穴掘りに張り切るあまり、浜茶屋を傾けてしまう。なんという縁だろうか、カイジ2期(脚本・シリーズ構成)では、(原作通りだが)建物を傾ける作戦が出てくる。

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やらかして、再度泣き出すオヨヨであったが、スイカをあげるから(働くのを)辞めて欲しいと店主に言われ、スイカをゲットする。最後に幸運を掴むのは、宝島(演出)、カイジ2期(脚本)でも強調されている。

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イカを携え、皆の元に戻ったオヨヨは、またもアレレに気を取られてスイカを割ってしまい、皆の怒りを買う。
食べ物が台無しになる場面は、おにいさまへ…あしたのジョー2(脚本)ほか、しばしば見られる。

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怒った皆は、オヨヨをスイカ役にして、スイカ割りを強行。たまらずオヨヨは、地中を掘って逃げるのだった。ここも、新ど根性ガエルの、地下を掘り進む話を彷彿とさせる。

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  • まとめ

 アニメオリジナルということもあり、高屋敷氏的なリズムで話が展開されていく。
あと、やはり、ど根性ガエル(高屋敷氏演出参加)など、過去に担当した作品からの応用が見られるのも面白い。

 先述の通り、カイジ2期(高屋敷氏シリーズ構成・脚本)との奇跡的な被り(建物を傾ける)も、縁を感じる。偶然とはいえ、高屋敷氏が数々の作品をこなしてきたからこそ起きた事象だと思う。

 また、食べ物を巡って話が回っていくというのも、実に(飯テロが特徴の)高屋敷氏らしい。とにかく同氏の、食べ物に対する執着は凄まじいものがある。これも、同氏の担当作を追っていく上での醍醐味。

 地下道を掘っていくネタについても、まんが世界昔ばなし(高屋敷氏演出/コンテ)→新ど根性ガエル(同氏脚本)→本作…と年代順に並べると興味深い。もしかして、洋画『大脱走』(地下道を掘るのが印象的)が好きなのだろうか?

 高屋敷氏の年代の作家(戦後すぐ生まれくらい)は、映画の黄金期直撃世代のためか、映画からのインスパイアが多い。どんな映画が好きなのか、聞けるなら直接聞いてみたくなる。

 映画といえば、高屋敷氏の、山田洋次監督作品好きは、ほぼ確定と考えている。
ルパン三世3期(同氏脚本)のサブタイトルが、山田洋次監督作品のパロディだったり、ガンバの冒険(同氏脚本)に、寅さんを元にしたキャラが出るためだ。

 あとは、好きかどうかは不明だが、高屋敷氏は、映画『12人の怒れる男』のような、密室での会話劇が抜群に上手い。これは、MASTERキートン8話カイジ2期7話・グラゼニ17話(高屋敷氏脚本)などで見事な手腕が見られる。

 全ての高屋敷氏担当作に言えるが、同氏は、目の前の仕事に、持てる引き出しを総動員している。その全力投球の姿勢が、数々の名作を生むのだと、つくづく思える。